つみたてNISA、スリム先進国株でコツコツ投資

日経電子版2018年7月7日13:00の記事「つみたてNISA、コツコツ効果が高い投信は?」を読みました。
筆者は、安定の田村正之さんです。

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さて、記事です。

記事は、

つみたてNISAでは毎月金額を決めて、コツコツと投信を購入する。

と解説した上で、毎月均等額積立投資を10年間したときと20年間したときのリターン、リスク、積立成績を一覧表にしています。
この一覧表を見ると、直近10年では

1位 SP500 2.36倍
2位 先進国株 2.02倍
3位 全世界株(日本含む、日本除く) 1.95倍
5位 新興国株 1.55倍

となります。

直近20年では、

1位 SP500 2.63倍
2位 新興国株 2.61倍
3位 先進国株 2.33倍
4位 全世界株(日本除く) 2.30倍
※全世界株(日本含む)はデータなし

となります。


記事では、上記データを踏まえ、

過去20年の結果では、最も上昇した新興国指数より米国株の方が、累計投資額に対する資産の増え方がやや大きかった。新興国株指数は2007年前後に大きく上昇し、平均購入価格が上がったからだ。さらに、過去10年では5指数の最低だった。「積み立ては新興国株投信が有利」と決め付けるのは危ない。
独立系運用アドバイザーの吉井崇裕氏は「指数の上昇率も積み立て効果も事前予想は困難。迷うなら先進国と新興国に投資できる全世界株型投信を選ぶのも手」と話す。
両社が比較可能な過去10年では、この2指数はリターンもリスクもほぼ同じ。FTSEは中小型を含む分リターンが高そうに見えるが、実際には時価総額の大きな銘柄の影響力が強い。連動投信のコスト(信託報酬)などを見比べて好みで選べば良いだろう。

と述べ、全世界株ファンドを推奨しています。

まず、そもそもの前提として、「つみたてNISAでは毎月金額を決めて、コツコツと投信を購入する。」との部分ですが、間違っています。
正しくは、

つみたてNISAは、上限40万円の非課税投資枠が毎年1本、20年連続で最大20本与えられる制度です。
それぞれの非課税投資枠では、最初の1年目に上限40万円の投資信託を購入することができます。その後、最初の1年目を含む20年間ずっと保有し続け、20年後の非課税投資期間終了時の時価で特定口座に移管されます。
つまり、つみたてNISAでは、最初の20年間は毎年上限40万円ずつ一括投資をし続け、21年目から40年目は「元本40万円+20年分のリターン」ずつ特定口座の保有残高が増えていくことになります。

となります。

つまり、「つみたてNISA」というと、そのネーミングのイメージから「コツコツと均等額積立投資を20年間する制度」であると誤解しがちですが、投資期間が1年という幅はあるものの、「上限40万円の一括投資をし、その後の20年間ひらすらホールドする」という究極のバイアンドホールドになります。

そのため、毎月均等額積立投資を10年間したときと20年間したときを比較しても無意味です。
私は非課税投資枠のメリットを最大限の享受するため、年初一括投資を推奨していますが、金融庁のモデルケースは毎月3万3333円ずつの12か月均等額投資ですから、試算するとすれば、

最初の1年間は毎月3万3333円ずつ合計39万9996円を投資していき、ずっと保有だけし続けたときの満20年の時価

を20本分計算しなければなりません。

もっとも、このようなことは私が思い付くくらいですから、金融庁も田村さんも十分承知していることでしょう。



牧民官

という言葉があります。

かつて大日本帝国には強大な権力を誇った内務省という官庁がありました。
内務省は全国全ての都道府県庁と警察本部を支配下においていましたが、「牧民官」は内務官僚が好んだ言葉です。
「牧民官」とは、国民に全てを知らせる必要はなく、牧場の羊のようにうまい牧草を腹いっぱい食わせておけば従順に指示にしたがうようになるから、我々官僚は牧羊犬のように無知な羊たちを脅したりなだめたりしながら我々の政策目標を実現すべく誘導してやればよいという意味です。
論語の「民はよらしむべし知らしむべからず」という有名なフレーズから着想されたものです。

私は、つみたてNISAにも同じ匂いを感じます。

20年間コツコツ投資

というと、なんとなく低リスクであるかのような感じがします。
貯金代わりにやってみようか、誰でもそんなふうに抵抗感なく受け入れてしまうことでしょう。

しかし、その実際は、一括投資をした上で20年間ホールドするという究極のバイアンドホールドですから、受けるイメージが全く違います。
金融庁は官僚の巣窟ですから、一定の政策目標を実現するために耳触りの良い言葉で国民を扇動することはある意味仕方ないことです。特に金融庁のような弱小官庁では、なりふりを構っていては実効性のある政策を打ち出すことなどできません。

しかし、私は、マスメディアまでがその尻馬に乗って、無批判に国家政策を礼賛することには違和感を感じます。
田村さんには、「つみたてNISAはコツコツ投資ではないが、極めて良い制度である」という前提で記事を書いてほしかったところです。

本題です。

実際とは違うとはいえ、上記記事の10年投資、20年投資の成績を見ると、何も考えずスリム先進国株だけを買えば間違いないことが分かります。

また、新興国株を混ぜても混ぜなくても成績は大差ない(20年成績で同じ、10年成績だと混ぜると損する)ことが分かります。そのため、新興国株を混ぜても混ぜなくてもよいと考えますが、スリム全世界株(除く日本)はコストが高く、あえて選択する魅力を感じません(スリム全世界株は、スリム先進国株と新興国株の信託報酬を配分比で案分したわけではなく、それより高い値段設定がされているからです)。


スリム先進国株、新興国株、TOPIXの信託報酬を配分比で案分した「スリム全世界株(含む日本)」のリリースが待たれます。


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コメント

すみません、記事を見る限り10年、20年ともにsp500がトップなので、買うべきはsp500ではないのですか? なぜ、成績が劣る先進国株を買えば間違いないという結論に至るのですか?

No title

コメントありがとうございます。

>記事を見る限り10年、20年ともにsp500がトップなので、買うべきはsp500ではないのですか?

SP500にはアメリカの地域リスクがあります。
先進国株とSP500を比較したとき、リターン差はあるものの、その差は、地域リスクによるリターン差として許容できる範囲内にあります。

逆に言えば、SP500と先進国株のリターン差がなければ、地域リスクをとってSP500に投資する価値はないことになってしまうでしょう。

返答ありがとうございます。 大変申し訳ありませんが、先進国で良いという根拠がどうしてもわかりませんでした。
地域リスクは先進国の方が高く(アメリカ一国に比べて先進国はそのアメリカを大部分を含んだ上アメリカより信用力の劣る他国を多数含んでいることから)、これまでの結果としてリターンはアメリカ一国の方が高いうえ、リスクもアメリカ一国の方が低かったこと、そもそも地域リスクの大小が最終的なリターンに繋がるわけではないこと、sp500と先進国のリターン差が許容範囲と思われるならば(私は決して小さい差と思いませんが)、先進国と全世界のリターン差およびコスト差も許容範囲内のはずであること。
以上からリターンを求めるならsp500、一国に投資することが不安ならば(あまり意味はないが)全世界株を買えば間違えなく、あえて先進国単独を選ぶ必要はないと考えます。

No title

コメントありがとうございます。

>地域リスクは先進国の方が高く(アメリカ一国に比べて先進国はそのアメリカを大部分を含んだ上アメリカより信用力の劣る他国を多数含んでいることから)

地域リスクとは、そのような意味ではなく、アメリカに何か起こったら、SP500は100%影響を受けるのに、先進国株は66%の影響で済むという意味です。

私は、1つの地域に集中投資するということは非常にリスクがあると考えており、それを「地域リスク」と表記しました。

>これまでの結果としてリターンはアメリカ一国の方が高いうえ、リスクもアメリカ一国の方が低かったこと

過去リターンは参考程度にしかなりません。
それよりは、現在から将来をみたときの期待リターン、リスクを参考にしたほうがよいと思います。

>そもそも地域リスクの大小が最終的なリターンに繋がるわけではないこと

地域リスクが現実化してアメリカが沈めば、SP500も一緒に沈みます。

>sp500と先進国のリターン差が許容範囲と思われるならば、先進国と全世界のリターン差およびコスト差も許容範囲内のはずであること

私は、コスト差が許容できる範囲であれば先進国株よりも全世界株のほうがよいと考えています。
しかし、スリム先進国株の信託報酬の1.3倍の信託報酬を支払って新興国株を13%混ぜることには魅力を感じません。
http://tawaraotoko.blog.fc2.com/blog-entry-951.html

なお、0.048%の楽天ポイントを諦めるのであれば、松井証券で「スリム全世界株リバランス積立+自動リバランスサービス」をするのもありです。
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ブログ開始日 2016年3月1日

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●つみたてNISA(SBI証券)はeMAXIS Slim先進国株を年初一括40万円購入。
●松井証券で「Slim全世界株リバランス積立」の毎営業日1万円投資を実行中。
●楽天証券で「たわら男爵15種」の毎月2回100円投資を実行中。
●SBI証券で「インデックスマラソン」の毎営業日100円投資を実行中。

●無リスク資産(4割)は、個人向け国債変動10(みずほ証券、大和証券)と楽天銀行(金利0.1%)。

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