高齢の両親が高手数料ファンドを買ってしまったら

ご質問をいただきました。


いつも拝見させていただいています。
たわら男爵様の内容を参考に、スリム先進国の積み立てを始めた者です。

先日実家に帰った際に、70になる母親も投資信託をしているというので、内容を確認しましたが、下記のような内容でした。
アドバイスを求められましたが、まだまだ勉強不足のため、回答が出来ません。
たわら男爵様から見てどのような印象を受けますでしょうか。
「このままでもいいのでは。」「すくに解約してでも低コストのファンドへ乗り換えるべき。」等々、アドバイスいただけますでしょうか。
すべてNISAのようです。

岡三アセットマネジメント
アジア・オセアニア好配当成長株オープン(毎月分配型)
 購入時手数料 :3.2%
 信託報酬年  :1.134%
 信託財産留保額:0.3%

 分配
  時価残高:500,000
  評価損益:-60,000
 再投資 
  時価残高:300,000
  評価損益: 2,000

三井住友アセットマネジメント
インド債券ファンド(毎月分配型)
 購入時手数料 :3.78%
 信託報酬年  :1.08%
 信託財産留保額:なし

 再投資 
  時価残高:100,000
  評価損益:-10,000

三菱UFJ国際投信株式会社
ワールド・リート・オープン(毎月決算型)
 購入時手数料 :2.7%
 信託報酬年  :1.674%
 信託財産留保額:なし

 分配
  時価残高:500,000
  評価損益:-60,000
 再投資 
  時価残高:700,000
  評価損益:-30,000


ご教示のほどよろしくお願いいたします。

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まず言えることは、どれも非常にユニークなファンドであるということです。

「アジア・オセアニア好配当成長株」
http://www.okasan-am.jp/fund/551269/feature#ancFund

これだと思うのですが、純資産額は3585億円です。

>信託報酬年1.134%

これは信託報酬0.594%の投資信託証券を買うだけファンドですから、実質的な信託報酬は年1.728%となります。


私であれば、このように説明します。

ねえ、お母さん、このファンドの信託報酬って幾らか知ってる?
ん?信託報酬の意味が分からないって?信託報酬っていうのは、お客さんから預かったお金で株や債券を買って運用するわけだけど、その手間賃を払ってあげなきゃいけないよね。信託報酬ってのは、運用を任せる手間賃のこと。

で、このファンドの信託報酬なんだけど、1年で1.728%なんだよね。信託報酬ってのは、儲かったお金の1.728%を払うんじゃないんだよ。儲かっても損しても、毎年必ず預けた全てのお金の1.728%が信託報酬として減っていくことになる。
だから、儲けがゼロだとすると、58年預けると、58年分の信託報酬で預けたお金がゼロになることになる。

一般に、株の儲けは年5~6%と言われている。年1.728%の信託報酬を支払うということは、儲けのうち28.8%から34.56%が信託報酬となる。つまり、儲けたお金の3分の1が信託報酬で消えてしまい、お母さんの手元に残るのは儲けの3分の2でしかないことになる。

つぎに、「アジア・オセアニア好配当成長株」って意味が分かる?分かんないよね。
このファンドは香港の株を45%も買っているんだ。次に台湾が15%、そして韓国が13%。これらの合計は73%だから、このファンドの4分の3が香港、台湾、韓国の株で占められていることになる。
でね、香港、台湾、韓国の株式会社って、どこか1社でも言える?言えないよね。

さて、物を買うときに「何を幾らで買うか」が分からないで買う人はいないよね。
でも、お母さんがしたのは、何を買うのかも、幾らで買うのかも分からず、単に証券会社の担当者に勧められて買っちゃったということになる。
これって、とっても怖いことだとは思わない?

なぜ怖いのかといえば、証券会社の担当者はお母さんの身内でも友達でもないから、普通はそんな人が本心からお母さんを儲けさせてあげようと思って頑張ってはくれないから。
証券会社の担当者は仕事だから、商品を売って手数料を稼がなければ上司に怒られ、成績が悪くなり、出世に響くから、お母さんにこのファンドを売りつけたと考えたほうが、お母さんのためを思って、お母さんを儲けさせてあげようと思ってこのファンドを勧めたと考えるよりも常識的だとは思わない?
普通に考えて、見ず知らずの婆さんにおいしい儲け話は持っていかないでしょ。

そして、もっと怖いのは、証券会社の担当者が善意からこのファンドを勧めたのだとしたら、その担当者は残念ながら無能だということ。
あのね、世の中に最も害悪をもたらす人は、無能な働き者と言われている。なぜなら、無能が頑張ると、周りに迷惑をかけるから。

金融庁という投資信託の運用会社を監督する国の役所があるんだけど、その金融庁が今年から「つみたてNISA」というものを作ったんだ。
金融庁は、投資経験がなかった人につみたてNISAを始めてほしいと考えて、まず何をしたのかというと、お母さんが勧められたようなファンドは全て排除した。
いい?すべて排除したんだ。つまり、金融庁は、投資経験がない人がお母さんが買ったようなファンドを買うことができないようにした。そして、何を買えるようにしたのかというと、それは信託報酬が安いインデックスファンドというもの。

お母さんが買ったファンドの信託報酬は1.728%だよね。でも、金融庁が厳選したつみたてNISA対象ファンド、例えば、イーマクシススリム先進国株というファンドがあるんだけど、その信託報酬が幾らか分かる?年0.11826%。お母さんが買った1.728%の信託報酬のファンドの6.84%、たった6.84%だよ。

もちろん、お母さんが1.728%もの報酬を出した「アジア・オセアニア好配当成長株」はイーマクシススリム先進国株よりずっと儲けているかもしれないよね。
ずっと儲けていれば、0.11826%の報酬でイーマクシススリム先進国株を買うよりも、1.728%を出して「アジア・オセアニア好配当成長株」を買ったほうが得なのかもしれない。

比較してみよう。

●「アジア・オセアニア好配当成長株」
2017.6.21 2764
2018.6.20 2804
騰落率 1.4471%

●イーマクシススリム先進国株
2017.6.21 10383
2018.6.20 11502
騰落率 10.7772%

お母さんが年1.728%の報酬を払ったファンドは1.4471%しか儲からなかったけど、イーマクシススリム先進国株は0.11826%の報酬で10.7772%も儲かったことになる。
馬鹿馬鹿しいとは思わない?

お母さんが高い報酬を払ってこれらのファンドを買ったことで、結局16万円を損してるよね。226万円が210万円になっちゃたわけだ。
でも、もし1年前にイーマクシススリム先進国株を買っていれば、226万円が250万円になっていた。
210万円と250万円の違いは大きいよね。

でも、これからイーマクシススリム先進国株を買って1年たてば必ず1割儲かるかといえば、それは誰にも分からない。なぜ誰にも分からないのかを理解するためには、本を1冊、最初から最後まで読まないといけない。
お母さんももう70なんだし、これから投資のことを勉強するのも大変だろうから、こんなファンドは全部売ってしまって銀行に預けたほうがいいと思うんだけど、どうかな。
どうしても投資をしたいというなら、いい本を貸すから、まずはそれをじっくり読んでみよう。この本を読んで面白いと思う人でなければ、投資をしてはダメだと思う。


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コメント

いいアドバイスですね

真心溢れるいい回答ですね。
うちの親も引っかかりそうなので、いつでも説得できるように、ブックマークさせて頂きますー。

No title

いつも参考になる記事をありがとうございます。
投資関連の情報を調べている中で、ソーシャルレンディングというものを見つけました。
私も現在インデックス投資を行っており、今後も投資の主軸として行っていく予定ですが、たわら男爵様はソーシャルレンディングを検討されたことはありますでしょうか。

ネットの情報を見る限りでは、インデックス投資と同等程度の利回り5%程度を狙うなら、選択肢として検討できそうに思っています。
お手数ですが、見解をいただけますと助かります。

No title

コメントありがとうございます。

>うちの親も引っかかりそうなので、いつでも説得できるように、ブックマークさせて頂きます

この記事を有効活用する事態が到来しないことをお祈りしています。


>たわら男爵様はソーシャルレンディングを検討されたことはありますでしょうか。


現在、超低金利時代のせいで金融機関はどこも金が余っていますので、まともな事業であれば喜んで融資をしてくれます。

ソーシャルレンディングとは、融資したくてたまらない、新たな融資先を喉から手が出るほど欲している金融機関がでさえ見向きもしない事業のことです。

また、まともな起業家は、何かしようと考えた時、真っ先に事業資金の確保に動きます。

私は、ソーシャルレンディングとは、銀行に見捨てられ、自ら事業資金を用意する甲斐性すらなく、事業資金の確保に失敗した残念な起業家が、窮余の一策として無知な大衆から集金するための手段だと考えています。

全く魅力を感じませんので、検討すらしたことはありません。

投信ではないのですが自分の母親も、外貨建ての保険を銀行窓口で買わされて満期が数年先で今解約すると損をするとかなんとか。暇つぶしとはいえ、FP資格取ってた自分に聞いてほしかった泣

No title

コメントありがとうございます。

>自分の母親も、外貨建ての保険を銀行窓口で買わされて満期が数年先で今解約すると損をするとかなんとか

悲しいですね。

60代以降の運用

この記事に関連するかもしれないと思い、こちらで質問させてください。

私自身は男爵様のブログを参考に以下の運用を実施しておりますが、60代半ばになる親
に対し、どのような資産運用を考えるべきかご意見いただけないでしょうか?
年齢が年齢なので、私と同じような運用を進めて良いものか判断出来ずにおります。
無リスク資産:銀行預金/国債変動10(キャッシュバック目的)
 リスク資産:①積み立てNISA Slim先進国株 年初一括投資
       ②Slim全世界株リバランス積立

今まで1年以内に使う予定が無い余剰資金は各銀行の定期預金に入れていたようですが
最近は定期預金に入れても金利が低く、余剰資金をどうすればいいか悩んでいるようです。

現在の状況としては以下の通りで、生活費とマンションの管理・修繕費がかかるのみです
収入:パート勤め、年金や別の定期的な収入も有り、生活資金は問題無し
住宅:分譲マンション購入済み、残ローン無し
資産:住居(マンション)、大半が現金で各銀行口座に預金中
補足:①余剰資金から毎年新規一転し決めた金額を子や孫に贈与
   ②将来、老人ホームに入ることになる可能性を考え、その資金は確保


お手数ですが、男爵様のお考えを聞かせて頂けると有難いです。

No title

コメントありがとうございます。

>60代半ばになる親に対し、どのような資産運用を考えるべきかご意見いただけないでしょうか?


今まで投資をしたことのない人が60歳になって初めて投資を始めるべきではないと考えます。

生活に困っておらず、子や孫に生前贈与を検討するぐらいであれば、銀行に入れて置き、死ぬまでに好きなだけ使えばいいのではないでしょうか。

男爵様、

ありがとう御座います、モヤモヤしていたものがスッキリしました。
明快な回答改めてありがとう御座いました。

No title

コメント失礼します。

騰落率 1.4471%、信託報酬(実質)年1.728%の設定の中で↓となる部分が理解できないのですが、大変お手数をおかけしますが重要な部分なのでご説明頂けますと幸いです。

>お母さんが高い報酬を払ってこれらのファンドを買ったことで、結局16万円を損してるよね。226万円が210万円になっちゃたわけだ。

No title

コメントありがとうございます。

言われるままに高コストファンドを買ったことで、16万円の含み損になっているという意味です。

226万円で買ったものが時価210万円になっているということですね。
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プロフィール

たわら男爵

Author:たわら男爵
Painter:ますい画伯
http://www.masuitousi.com/

ブログ開始日 2016年3月1日

●リスク資産(6割)は「たわら先進国株」(楽天証券)とVT(SBI証券)をほぼ50:50でホールド中。
●つみたてNISA(SBI証券)では「たわら先進国株」を年初一括40万円購入。
●楽天カード投資(毎月1日)では「たわら先進国株」を毎月5万円購入(+特定口座で11日と21日に各5万円ずつ積立買付中)。
●SBI証券で「インデックスマラソン」の毎営業日100円投資を実行中。

●無リスク資産(4割)は、個人向け国債変動10(みずほ証券、SMBC日興証券)と楽天銀行(金利0.1%)。

パソコン版右端の「ブログ記事検索」と「カテゴリ」が便利です。

●「誰でもできる超簡単ほったらかし投資」(カテゴリ「【公開】誰でもできる究極の投資」)はこのブログの全エッセンスを1記事に凝縮したものです。
●カテゴリ「この投資信託がすごい」では、ベストバイファンドの具体名を明示しています。
●カテゴリ「インデックスファンドの基礎知識」を読めば、誰でも簡単に投資信託の必須知識を得ることができます。

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