インデックス投資家が増えても問題はありません

5月22日19時の日経電子版に「「考えないマネー」ETF膨張 ゆがむ資本配分、競争阻む」という記事が掲載されています。
そして、この記事が翌日の日経新聞の1面を飾ったことで、多くの人が不安になったようです。

しかし、そんなことを気にしては仕方ありません。
我々は、淡々とスリム先進国株を買うだけです。


※よろしければ、次の記事もご覧ください。

たわら先進国株、230億円を突破+超低コスト戦争から一抜け
http://tawaraotoko.blog.fc2.com/blog-entry-907.html

●エポスカードを作り、nanacoギフト券を買って、8000ポイントゲットだぜ
http://tawaraotoko.blog.fc2.com/blog-entry-906.html

広告

本件記事は、ETFの問題点について、次のように指摘しています。

ETFは業績の良しあしに関係なく、指数に入っている銘柄を機械的に買う。
これが運用コストの安さの源泉だが、ETFが多数派になれば良い企業の株が上がり、悪い企業の株が下がるという株式市場の選別機能が弱まる。


このうち、前段の指摘は正しく、後段の指摘は正しくありません。
なぜなら、株価を決めるのは時価総額ではなく、取引価格だからです。

インデックスファンドは、購入した株式をひたすら塩漬けにするだけです。
インデックスファンドが保有株を売却するときとは顧客に解約金を渡す必要があるときであり、インデックスファンドが保有株を購入するときとは新規流入資金があったときです。

※確証はありませんが、普通に考えて、その日に顧客から届いた買い注文と売り注文の差額分のキャッシュを確保するために必要な限度で売買するはずです。

売買の必要があるとき、インデックスファンドは、時価総額比に応じて機械的に保有株を売買します。
そして、インデックスファンドが保有株を売買する際の基準である時価総額比は、アクティブ投資家が決めます。

すなわち、アクティブ投資家が「良い企業だから欲しい」と考えて買い注文を出せばその企業の株価は上がり、「悪い企業だからいらない」と考えて売り注文を出せばその企業の株価は下がります。

インデックスファンドは、アクティブ投資家が売りと買いの注文を出すことによって形成された時価総額比を忠実にトレースするだけです。そこには独自の考えも思想も投資判断も介在しません。
価値中立的に、無色透明な素直な心で、ただひたすら時価総額比をトレースすることだけに専念します。

例えば、10人の投資家のうち、1人がインデックス投資家で、残りの9人がアクティブ投資家だとします。
インデックス投資家は、自分以外のアクティブ投資家が戦う様子をじっと観察し、アクティブ投資家全員の平均についていくだけです。

10人の投資家のうち、インデックス投資家が6人であっても7人であっても8人であってもそれは同じです。
インデックス投資家が何人いても、インデックス投資家は自ら動くことはせず、アクティブ投資家の戦いの結果が判明した後、やはりインデックス投資家全員でアクティブ投資家全員の平均についていくだけです。

つまり、時価総額比を決定するのはアクティブ投資家全員の投資判断の平均ですから、アクティブ投資家の平均がある企業の株を買えばインデックス投資家も買い、逆に、アクティブ投資家の平均がある企業の株を売ればインデックス投資家も売ることになります。

とはいえ、全てのリスク資産の時価総額が不変であれば、インデックスファンドの時価総額が増えることはアクティブファンドの時価総額が減り、アクティブ投資家の数もまた減ることを意味します。

そのため、市場の価格形成機能が適切に働くためには、売買の回数や金額が多ければ多いほど都合がよいことになります。
仮にリスク資産全体の売買の回数や金額が不変であるとすれば、インデックスファンドが増えることで、確かにこれらは減ってしまうでしょう。その結果、アクティブ投資家の投資行動の1つ1つが及ぼす影響が大きくなり、株価は短期的には乱高下しやすくなるでしょう。

インデックス投資とは、相場がどうなろうと、ただひたすらその平均についていくという投資手法ですので、株価が短期的に乱高下すればインデックスファンドの基準価額も乱高下します。

しかし、株価が短期的に乱高下したとしても、アクティブ投資家が死に絶えることはありませんので、割安な株は買われ、割高な株は売られていきます。そして、株価は徐々に適正価格に収れんしていきます。

インデックスファンドの基準価額についても、短期的な乱高下はあるものの、株価の適正価格への収れんに伴って基準価額もまた適正価格に収れんしていくでしょう。

ここで重要なのは、既にインデックスファンドを保有しているときは、その後に基準価額が乱高下しても全く影響はないということです。
しばらくじっとホールドを続けていれば、次第に乱高下の嵐は収まっていくからです。

問題は、乱高下の嵐の中で売買するときです。
乱高下の嵐の中での売買は、得をすることもありますが、損をすることもあります。

我々インデックス投資家は、世界経済の発展に伴って企業収益が上昇し、それによって株価も右肩上がりで上昇していくことに賭けているわけですから、短期的な投機価格による利益は求めていません。
そのため、乱高下の嵐の中で売却せずに済むように、ある程度の無リスク資産を確保しておかなければなりませんし、嵐の中での購入が失敗しないように、買うときは毎営業日均等額積立投資で買うべきです。

このように、インデックスファンドがリスク資産に占める割合が増えたとしても、インデックスファンドは、通常、売買をしませんし、売買をするときはアクティブ投資家が形成した時価総額に追随するだけですから、十分な無リスク資産を確保しつつ、買うときは毎営業日均等額積立投資をする限り、何ら心配する必要はないと考えます。

広告

コメント

平均に追従するための売買が

いつも楽しく拝読しております。とても分かりやすい解説ありがとうございます。毎営業日均等積み立て投資が常時良いという見解には同意しませんが、それはこのコメントの主旨ではありません。

インデックス投資家が爆発的に増えて、仮にスリム先進国株式の純資産総額が(当初の運用上限を超えて)5兆円になったとします。するとアクティブ投資家の取った行動の結果の平均に遅れて追従する際の売買の額が大きくて、アクティブ投資家の行動の結果である株価に少なくない影響を及ばすようにはならないのでしょうか。

>お金を効率よく殖やす「考えないマネー」
と元記事にありますが、これって「考えるマネー」は非効率ともとれるような…

ありがとうございました

たわら男爵様

この度はコメントに対し親記事にて見解を披露して頂きありがとうございました。

とりあえず一安心しました。
これからも愚直にスリム先進国株を積み立てて行きたいと思います。

No title

コメントありがとうございます。

>インデックス投資家が爆発的に増えて、仮にスリム先進国株式の純資産総額が(当初の運用上限を超えて)5兆円になったとします。するとアクティブ投資家の取った行動の結果の平均に遅れて追従する際の売買の額が大きくて、アクティブ投資家の行動の結果である株価に少なくない影響を及ばすようにはならないのでしょうか。

なるとは思えません。

まず、いきなり5兆円になるわけではなく、長い時間をかけて増えていきますので、購入インパクトはかなり薄まります。

つぎに、5兆円になったとしても、実際に売買されるのは、
(1)買い注文と売り注文の差額を確保するための売買
(2)時価総額比にあわせるための売買
ですので、市場にインパクトを与えるほどの多額になるとは思えません。

さらに、仮に市場にインパクトを与えたとしても、エージェントに依頼して終値で買うだけですから、歪むのは終値だけです。しかも、歪んだ終値は翌日の市場が開くと同時に修正されるでしょう。


>「考えるマネー」は非効率ともとれるような

誰が考えるのかにもよりますね。

我々素人が一生懸命考えても仕方がないですし、プロであっても「結果が出せるプロ」かどうかは実際の結果を見た後でなければ分かりません。


>これからも愚直にスリム先進国株を積み立てて行きたいと思います。

アクティブ投資の才能がない我々は、仮にインデックス投資が少しくらい非効率であってもインデックス投資をすることしかできませんので、スリム先進国株の均等額積立投資を継続していくしかないと思います。

No title

インデックス投資家の多くは、買うだけで売ることが少ないので、悪い会社も含め、株価が一本調子で上がりやすくなることを日経新聞は懸念しているように思います。

しかし、それをインデックス投資家に帰するのは如何なものでしょうか。
悪い会社はインデックスから排除するような、より公正な機能がインデックスや市場に求められるように思います。

No title

男爵殿

間違いなく、日銀のインデックス買いがあるから増資できたインデックス採用銘柄はあります。

個人的にはインデックス投資が地味であってほしいですね。コストはメジャーにならないと下がりませんが。

No title

コメントありがとうございます。

>インデックス投資家の多くは、買うだけで売ることが少ないので、悪い会社も含め、株価が一本調子で上がりやすくなることを日経新聞は懸念しているように思います。

たしかに、もし誰も買わない悪い企業があったとしても、その企業がインデックスに含まれている限り、インデックスファンドは時価総額比に応じて必ず買い注文を出すことから、株価の下支えになるかもしれません。

>悪い会社はインデックスから排除するような、より公正な機能がインデックスや市場に求められるように思います。

時価総額比のインデックスファンドは、良い企業も悪い企業も、とりあえず時価総額比に応じて丸ごと買うから安く済みます。

悪い企業をインデックスから排除するとなると、誰がどのような基準で判断するのかという新たな難問が発生しますし、指数から除外された企業の株かはゲロ下げりしますので、結局のところ、インデックスファンドの保有者にとって損することになりそうです。


>間違いなく、日銀のインデックス買いがあるから増資できたインデックス採用銘柄はあります。

国策で株を買ってしまった日本株市場が果たして投資すべき対象なのかは、よく分かりません。

もっとも、よく分からないからこそ、とりあえず時価総額比で丸ごと買っておくというのは良い作戦なのかもしれませんね。

No title

 日経新聞のこの記事について、男爵様の見解をお尋ねした者です。

 ご回答を有難うございました。昨日から何度か読み返し、考えていました。仰ることは分かる気がしますが、インデックス投資が随分メジャーになったことで、なんとなく一抹の不安も感じます。ひふみ投資も持っていますが、あれもかなり有名になったため、いつ手放そうかとドキドキしながら毎日見ています。

 この度は有難うございました。これからも毎日の更新を楽しみにしています。
 

No title

コメントありがとうございます。

>インデックス投資が随分メジャーになったことで、なんとなく一抹の不安も感じます。

我々がインデックス投資家であるからそのような感想を抱くのであって、世間一般ではインデックス投資はまだまだマイナーですから、それほど心配する必要はないでしょうし、我々が死ぬ頃までは大丈夫ではないでしょうか。

また何かあればご連絡ください。
非公開コメント

広告

プロフィール

たわら男爵

Author:たわら男爵
Painter:ますい画伯
http://www.masuitousi.com/

ブログ開始日 2016年3月1日

●リスク資産(6割)は、たわら先進国株(楽天証券)とVT(SBI証券)をほぼ50:50でホールド中。
●つみたてNISA(SBI証券)はeMAXIS Slim先進国株を年初一括40万円購入。
●楽天カード投資はeMAXIS Slim先進国株を毎月5万円購入(+特定口座で4万円×4回=毎月16万円の積立買付中)。
●SBI証券で「インデックスマラソン」の毎営業日100円投資を実行中。

●無リスク資産(4割)は、個人向け国債変動10(みずほ証券、大和証券、SMBC日興証券)と楽天銀行(金利0.1%)。

パソコン版右端の「ブログ記事検索」と「カテゴリ」が便利です。

●「誰でもできる超簡単ほったらかし投資」(カテゴリ「【公開】誰でもできる究極の投資」)はこのブログの全エッセンスを1記事に凝縮したものです。
●カテゴリ「この投資信託がすごい」では、ベストバイファンドの具体名を明示しています。
●カテゴリ「インデックスファンドの基礎知識」を読めば、誰でも簡単に投資信託の必須知識を得ることができます。

新着記事通知用のツイッターアカウントはこちら。
https://twitter.com/tawaradanshaku

インデックス投資家必読の書

ブログ記事検索

他の投信ブログはこちら

管理