バンガード社の直販にスリムシリーズは勝てるのか?

1975年12月31日、バンガード社の創業者であるボーグルによって、世界で初めてインデックスファンドが設定されました。

これまでバンガード社は、日本では直販をせず、古くはマネックス証券やセゾン投信、最近では楽天投信と提携し、外国籍のインデックスファンドや米国ETFを提供する形で間接的に関与してきました。

そこにきての重大な方針転換です。



※よろしければ、次の記事もご覧ください。

●スリム先進国株、楽天全米株に1日遅れで100億円を突破
http://tawaraotoko.blog.fc2.com/blog-entry-876.html#more

●楽天全米株の純資産額が100億円を突破するも、スリム先進国株が猛追中
http://tawaraotoko.blog.fc2.com/blog-entry-875.html#more

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ソースはこちら。

●米バンガード、日本でファンド直販を検討-提携にも引き続き門戸開く
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-04-25/P7QB9F6TTDS501

日本では2000年以降、パートナーと組んで投信を販売してきた。バンガードの日本部門、バンガード・インベストメンツ・ジャパンのディビッド・キム社長(45)は3月のインタビューで、直販の日程は決まっていないと述べた上で、日本での従業員を増やしたことを明らかにした。
直販が実現すればバンガードの日本部門には、戦略の大きな変化を意味する。これまで、独立系投信会社のセゾン投信などを通じてファンドを販売してきたからだ。キム社長は日本では「まだまだだ」とし、「わたしたちにはもっとできる」と語った。
米国外ではオーストラリアで20年余りにわたって個人投資家にファンドを直販してきたバンガードは昨年、英国でも同様のサービスを開始。日本で受け入れられる「適切な方法」を検討中だとキム社長は述べた。



キムさん、やる気ですね。

ところで、

●VTのインデックスファンド(VTWSX)の実質コストは0.21%だった
http://tawaraotoko.blog.fc2.com/blog-entry-454.html

この記事でお伝えしたとおり、VTにはインデックスファンドがあります。
この記事を書いた時点でのトータルコストは0.21%でしたが、現在では0.19%です。

内訳です。

「Management Fees」 0.15%
「Other Expenses」 0.04%
「Total Annual Fund Operating Expenses」 0.19%

VTの経費率は0.10%ですから、0.09%は配当再投資を代行してくれる手間賃といえます。

eMAXIS Slim先進国株のコストをアメリカ風に整理してみます。

「Management Fees」 0.11826%
「Other Expenses」 0.069%
「Total Annual Fund Operating Expenses」 0.18726%

参考記事
●スリム先進国株のコストが0.18726%に
http://tawaraotoko.blog.fc2.com/blog-entry-843.html


スリム先進国株は、VTWSXと比較すると、日本株と新興国株を含まず、先進国株の小型株を含みません。
構成銘柄数も、VTWSXが7985銘柄であるのに対し、スリム先進国株は1326銘柄です。
したがって、広く世界に分散する点で、スリム先進国株はVTないしVTWSXには勝てません。

他方で、VTSWSXはアメリカを通じて第三国に投資することから、アメリカ以外の株式の配当金は必ず三重課税されます。
そのコストは、私の推定によれば0.11704%です。

参考記事
●eMAXIS Slim全世界株vsVT
http://tawaraotoko.blog.fc2.com/blog-entry-745.html#more

また、VTI(アメリカの大中小株に投資するもの)にはAdmiral Sharesというものがあります。
これはインデックスファンドでありながら、その経費率はETFと全く同額のようです。

下記記事によれば、1万ドル以上の投資額でAdmiral Sharesを利用することができるそうですので、もしこれが直販されれば楽天全米株は即死するでしょう。
http://binboinvest.blog.fc2.com/blog-entry-42.html

また、吊ら男さんの下記記事によれば、VTにはAdmiral Sharesはないようです。
http://www.tsurao.com/archives/2014-01-09-1796386

この記事は5年前のものです。最新版にアップデートしたものが見たいと勝手にリクエストしますので、よろしくお願いします。

さて、バンガード社がとうとう直販に踏み切るのか、踏み切るとしてアメリカと同条件の投資環境を提供してくれるのかという問題はありますが、日本のバンガードを目指すスリムシリーズは、この黒船に徹底的に対抗し、大和魂を見せ付けねばなりません。

そこで、黒船が来航するまでに、ぜひ日本を含む全世界株を超低コストでリリースし、本家とガチンコ勝負をしてほしいものです。
少なくともバンガード社のインデックスファンド(アメリカ株を除く)は三重課税コストという重大な不利益を抱えていますので、スリムシリーズが全世界株ファンドでガチンコ勝負をしたとしても勝算は十分にあるものと考えます。


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コメント

No title

VT相当のAdmiral shareはまだないようです。

https://investor.vanguard.com/mutual-funds/list#/mutual-funds/asset-class/month-end-returns からShare Classでフィルターできますし,VTやVTWSXのページ行っても他にShare Classがある場合にはその旨の説明があります。
例えばVTWSXなら「Also available as an ETF.」


またバンガードのアメリカ以外の直販だとオーストラリアとイギリスの事例が参考になるるかなと思います。基本的にはアメリカとは別のファンドやサービスですね。
ここはバンガードの方針や各国の法規制などによるのでしょう。

No title

ご連絡ありがとうございます。

>VT相当のAdmiral shareはまだないようです。

残念です。

>またバンガードのアメリカ以外の直販だとオーストラリアとイギリスの事例が参考になるるかなと思います。基本的にはアメリカとは別のファンドやサービスですね。

こちらの記事も大変参考になりました。

http://www.tsurao.com/archives/2018-04-27-1894288#more

ありがとうございました。
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●「たわら先進国株」と「VT」を半分ずつ保有中。
●つみたてNISA(SBI証券)は「たわら先進国株」を年初一括購入中。
●クレジットカードによる投信積立サービスを利用し、SBI証券・楽天証券・auカブコム証券で「たわら先進国株」を毎月5万円ずつ購入中。

●無リスク資産は、個人向け国債変動10とauじぶん銀行(金利0.2%)。

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