バンガード社はこのような会社です。
バンガードは、他の運用会社を圧倒する低コスト戦略により差別化を図る戦略が奏功し、08年以降、米国の運用会社ランキングでトップの座を獲得している。 バンガードの運用体制は、銘柄選定が不要で、組入れ商品の入れ換えも少なくコストが安い
インデックス運用に注力する体制を採っており、債券ファンドと
インデックス・ファンドに関しては自社で運用しているが、アクティブ運用の株式ファンドについては、外部の運用会社をサブアドバイザーとして活用することで、自社ブランドのファンドの品揃えの幅を広げている。 バンガードは、
インデックス・ファンド市場においては、2010年時点で純資産残高が上位20本のファンドのうち15本を同社のファンドが占めるなど、高いシェアを有している。
他方、ETFに関しては、ETFと
インデックス・ファンドが競合するとの懸念などから ETF市場への参入は01年と遅かったものの、直近では、低コスト戦略を武器に市場シェアを 徐々に拡大している。 販売チャネルに関しては、バンガードは、直販を主体としている。販売会社への手数料がないため、その分のコストを引き下げることを狙っている。バンガードは、広告・宣伝活動をほとんど行っておらず、利用者による評判の積み重ねを重視している。直近では、アドバイス提供を求める投資家が増加していることに対応して、ウェブサイトや電話を通 じたアドバイザリー・サービスの内容を拡充させている。また、82年よりフルサービスの401(k)プランの提供を開始している。
http://www.meti.go.jp/meti_lib/report/2012fy/E002019.pdf#search=%27%E3%83%90%E3%83%B3%E3%82%AC%E3%83%BC%E3%83%89+%E7%9B%B4%E8%B2%A9+%E9%AB%98%E9%A1%8D+%E5%84%AA%E9%81%87%27バンガード社が直販メインの事業形態である理由について、バンガード・インベストメンツ・ジャパンの社長は、次のようなコメントをしています。
結局、販売金融機関にファンドを売らせると、どうしても手数料の高いファンドをすすめたり、手数料収入の最大化を目指して、短期売買に顧客を誘導するインセンティブが働きがちです。当然、それは投資家の手数料負担を増やすし、ファンドの運用にとっても良いことではない。ということで、バンガード社は直販をスタートしたのです。
http://diamond.jp/articles/-/41118三菱UFJ国際
投信が日本のバンガード社を目指すことを宣言した以上、その基本戦略は次のようなものとなるでしょう。
(1)スリム先進国株、スリム新興国株の異次元の値下げによって、スリムシリーズは超低コストを志向するホンモノの
インデックスファンドであるとの確固たる評判を獲得する
(2)直販でスリムシリーズを販売する
(3)証券会社を通じて買うよりも直販で買うほうが得になるように、顧客の保有残高か保有年数に応じて直販のスリムシリーズの信託報酬を値下げすることで、証券会社の客を直販に誘導していく
(4)信託報酬を下げても、巨額の純資産額によるスケールメリットによって利益を確保していく
旅する
インデックス投資家さんの取材によれば、三菱UFJ国際
投信は、イーマクシス先進国株の運用報告書上のコストが高い理由について、次の2点を挙げているそうです。
(1)ラップ口座の頻繁な売買による売買コストがかかること
(2)市場内取引が多いこと
三菱UFJ国際
投信によれば、上記の2点については運用報告書上のコストが高くなるだけであり、以下の理由でリターンには悪影響を及ぼさないとのことです。
(1)ラップ口座の頻繁な売買によるコスト増は、ラップ取引をする都度、信託財産留保額をマザーファンドに入れてもらうことで手当てをしている(運用報告書の上ではコスト増になってしまうが、ラップ取引から信託財産留保額を徴収することでラップ口座以外の顧客に不利益にならないようにしている)
(2)他社は、運用報告書に書かなくてもよい市場外取引が多いだけであり、実際には売買コストはかかっている
1年リターンを見てみます。
スリム先進国株
2017/3/28 9836
2018/3/28 10601
騰落率 7.77755%
たわら先進国株
2017/3/28 10635
2018/3/28 11455
騰落率 7.71039%
私は、これまで毎月定期的に
たわら先進国株のリターンを他社ファンドと比較してきました。
たわら先進国株は実質コストが最安のはずなのに、他社ファンドと比較した時に実質コスト相当額のリターン差が出ないばかりか、新設されたばかりのスリム先進国株にもリターンが負けてしまっている理由が分かりませんでした。
運用報告書のコストの記載が全てではないとすると、一応の合理的な説明がつきます。
しかし、運用報告書のコストの記載が完全ではないとすると、我々は何を基準としてインデックスファンドを評価すればよいのか分からなくなります。
結局のところ、ニッセイ外国株のように異常なブレがないかどうかを監視しつつ、各ファンドの騰落率を比較し、
最もリターンがよいものが最も指数と接着している
と擬制するしかないのでしょうね。
なお、スリムシリーズは、やはり日本を含む全世界株ファンドは出さないそうです。
詳細は、旅するインデックス投資家さんの下記記事をご覧ください。
http://heiseitureduregusa.blog.so-net.ne.jp/2018-03-28-1上記記事を見ると、可能性は完全になさそうですね。
日本を除く全世界株ファンドと3地域均等型は、どちらも純資産額が増えることなくコケるでしょうから、なおさら全世界株ファンドを増やす方向にはならないでしょう。
残念です。
私は、三菱UFJ国際
投信が直販で成功したいのであれば、次のサービスを導入しなければならないと考えています。
(1)ポイント制度の導入
→
投資信託の保有残高の0.05%相当額を毎年顧客にボーナスとして渡す(実際に保有する
投資信託の口数を増やす形にすれば、キャッシュで渡すよりも運用会社にとってメリットになりますし、顧客にとっても自動再投資による利益を得ることができます)
(2)翌月分の投資予定額を前月末に顧客の銀行口座から自動送金するシステムの導入
(3)複数の
投資信託を事前設定した任意の固定配分比で自由に組み合わせ、年に1回、事前設定した固定配分比で自動リバランスするシステムの導入
(4)毎営業日、毎週、毎月、任意の複数日の積立設定の導入
直販が成功するためには、現在の販売会社から顧客を奪わなければなりません。
より儲かる、より便利だと思わなければ顧客は直販に乗り換えることはないでしょう。
三菱UFJ国際
投信が日本のバンガードを目指すと宣言したことで、これまで静観していた他社も三菱UFJ国際
投信に飲み込まれないように、生存をかけて必死の抵抗をしてくることが予想されます。
このまま順当にスリムシリーズが天下を制するのか、あるいは他社の必死の巻き返しが奏功するのか、超低コスト戦争はいよいよ最終段階に突入しました。
実に面白い事態になってきました。わくわくしますね。
コメント
No title
slim全世界(日本除く)と異なり,slim全世界(3資産均等)は自作するよりもコストが安くなっているようですので,実質コストしだいではありますがslim全世界(日本除く)よりはいい線行くのではないかと思います.
私自身は時価総額比率での投資をメインにしていますが,少額積立はしてみたいと思っています,
2018/03/29 07:08 by URL 編集
実際のところ全世界株のメリットには取締役が言ってるような「時価総額比で投資できて気持ちがいい以上の意味はない」んでしょうか?
これが本当のことでも需要があるなら提供した方が良いんじゃないかと個人的には思うのですが
2018/03/29 15:16 by どどん URL 編集
No title
それはそうとして、野村のファンドは記載されているコストの比較以外でも優秀な成績を収めているわけですから、やはり相当優秀なのではないでしょうか。
2018/03/29 21:41 by binboinvest URL 編集
No title
>インデックス投資家はヤマゲン先生の信奉者が多いこともあり,ヤマゲン先生が提唱するの日本・先進国・新興国均等配分投資の需要はそれなりにある様にも思います
ヤマゲン先生はインデックス投資に利用しやすい主張をされることから人気がありますが、私は、ヤマゲン先生の提唱する配分比(日本株と先進国株を半々ずつ)を採用しているブロガーを見たことはありません。
そもそも、ヤマゲン先生もVTを買っていますしね。
3地域均等型は、やっぱり売れないと思います。
>実際のところ全世界株のメリットには取締役が言ってるような「時価総額比で投資できて気持ちがいい以上の意味はない」んでしょうか?
3地域均等型というユニークな配分比で失敗すると後悔しますが、時価総額比で失敗しても諦めがつきます。
世界経済の発展による株価の右肩上がりに賭ける以上、時価総額比で全世界株を保有したいと考えるのは実に自然なことだと思います。
楽天VTがわずか半年で55億円も売れているわけですから、8年近くかけても73億円しか売れていないイーマクシス全世界株(除く日本)よりもニーズがあるに決まっていると思うのですけどね。
>けっきょく、同じ指数に連動するファンドどうしならリターンの高いものを選びましょうが正解になるかもしれないですね
確実な物差しが騰落率しかないわけですから、リターンを比較するしかありません。
>野村のファンドは記載されているコストの比較以外でも優秀な成績を収めているわけですから、やはり相当優秀なのではないでしょうか
私もそう思います。
その意味で、野村つみたて外国株投信、非常に良かったのですが、残念です。
2018/03/30 00:49 by たわら男爵 URL 編集