【基礎知識】新興国株は不要か

ご質問をいただきました。

人口ボーナスの件で教えていただきたいのですが、単純に人口増加が見込めるのは先進国より新興国だと思うのですが、それでも米国が大半を占める先進国株式にリスク資産の9割近くを投資している理由を教えて頂きたいです。

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以前、私は、このような記事を書きました。

●なぜたわら先進国株なのか(1)
http://tawaraotoko.blog.fc2.com/blog-entry-7.html#more

上記記事の中で、私は、人口が右肩上がりで増えれば世界経済も右肩上がりで成長すると述べました。

1、人口が増える。
2、物やサービスを買う消費者が増える。
3、その需要に対応するために、物やサービスが増える。
4、景気が良くなる。

これを理論的に説明したものが「人口ボーナス論」です。

ところで、先進国よりも新興国のほうが人口が増えています。
また、人口ボーナス論からは、既に人口ボーナスを使ってしまった先進国よりも、これから人口ボーナスが発生する新興国のほうがより大きな経済成長を期待することができます。

そうすると、先進国100%では新興国の人口ボーナスを取りこぼしてしまうおそれがありそうです。

しかし、先進国の各企業は、自国内だけでなく新興国を含めたグローバルな地域で活動しています。先進国のグローバル企業は、新興国内で活動することによって新興国の人口ボーナスの相当部分を得ることができます。
そのため、新興国株の人口ボーナスを得るためには、なにも新興国株に直接投資する必要はなく、先進国株に投資すればよいといえます。

また、新興国の株式市場は誰もが自由にアクセスすることができませんし、新興国政府は先進国では非難の大きさから実施されない大胆な規制を事前予告なく行うこともあります。
株価が企業価値を正しく反映するためには、株式市場が完全に自由化され、全世界からのアクセスが保証されていなければなりません。なぜなら、市場の見えざる手は、株式市場における日々の自由な売買が行われなければ有効に機能しないないからです。

このように、新興国株式市場は効率的ではないことから、新興国株には、

(1)株価が企業価値を正しく反映したものではないリスクがある
(2)新興国株にアクセスするコストが高くなり、トータルコストが高くなる

という問題点があります。

また、新興国株をポートフォリオに取り入れたとしても、その配分比の上限は時価総額比までにとどめるべきですから、せいぜい1割です。

●「自分がこれだと思う株を市場の示す配分比率以上に買うと、その判断を間違えるリスクを負う。」
「チャールズ・エリスのインデックス投資入門」161頁

また、自身のポートフォリオに新興国株を1割混ぜると、年1回のリバランスが必要になります。

●リバランスは「安く買って高く売る」魔法の方法
http://tawaraotoko.blog.fc2.com/blog-entry-778.html#more

しかし、上がっているものを売って下がっているものを買うことは、精神的に苦痛です。

なぜなら、短期的に見れば、上がっているものは売った後に上がっていく可能性が高く、下がったものは買った後に下がっていく可能性が高いことから、「もう少し後に売買したほうが儲かるのでは?」というスケベ心を克服しなければならないからです。

コストが高く、株価が企業価値を正しく反映していない可能性がある新興国株をわずか1割買うことで、リバランスという苦行をしなければならないことを思うと、私は、先進国株ファンド100%でよいと考えています。

しかし、自動リバランスサービスを使えば話は別です。
事前設定しておけば勝手にリバランスをしてくれることから、リバランスの精神的苦痛から解放されます。

●「スリム全世界株リバランス積立」の活用方法
http://tawaraotoko.blog.fc2.com/blog-entry-725.html#more

また、新興国株のコスト高も、信託報酬0.19%のイーマクシススリム新興国株を買うことである程度は解消することができます。
新興国株をポートフォリオに混ぜたとしても1割程度ですから、市場の非効率性に目をつぶってより大きなリターンを目指してみようという気持ちにもなれます。


以上をまとめます。

1、初心者は、イーマクシススリム先進国株だけを買えばよい。

2、初心者であっても、松井証券の自動リバランスサービスを利用すれば、時価総額比を限度として新興国株を混ぜてもよい。
松井証券を利用するのであれば、日本株を混ぜて「スリム全世界株」ファンドを自作すると、配分比をめぐる一切の悩みから解放される。

3、新興国株を買う人は、何があっても絶対に年1回のリバランスを実行すること。また、時価総額比を超えて新興国株を買うべきではない。


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コメント

No title

以下の部分は一般的なお話でしょうか。
意味はわかるのですが、少しネットで調べても実際にそうであるのかがよくわからず、質問させてください。
また、日本もグローバル企業は多くあり、同じ条件だと思うのですが、日本は人口ボーナスを使い切ったのでダメだというお話だったと思います。
日本は他の先進国と条件が違うのでしょうか。

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しかし、先進国の各企業は、自国内だけでなく新興国を含めたグローバルな地域で活動しています。先進国のグローバル企業は、新興国内で活動することによって新興国の人口ボーナスの相当部分を得ることができます。
そのため、新興国株の人口ボーナスを得るためには、なにも新興国株に直接投資する必要はなく、先進国株に投資すればよいといえます。
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強制変更させてしまう人間の感情

新興国株式について時価総額比を越えないようにということには、同意です。
ただし、個別に新興国株式を保有すると、特有のボラタリティのため、どうしても心理的にリバランスできない気がします。日本株式や先進国株式と比較してあまりに低迷してしまい、「やっぱりいらない」となるか、リーマンショック直前のように数倍に跳ね上がり、「数倍になったのだから、半分に減ってもいいや。課税がもったいないから」と売却リバランスをためらいそうです。
机上の計算では、松井証券で、1:8:1と設定すれば、そのようなことは起きそうにないのですが、設定を変えてしまう行為を行う可能性があります。
そのため、自分としては、野村つみたて外国株投信で外国株式部分の時価総額部分を変更できないようにしました。
もう一つに問題点は、証券会社の信用リスクです。信託銀行で資産が保全されたとしても、やはり証券会社の破綻後の処理は面倒です。どこでも同じようなものでしょうが、SBI証券や楽天証券と比較すると、どうしても松井証券は、リスキーに感じます。

No title

最近、影の薄くなった、野村つみたて外国株投信は、自動的に時価総額比にリバランスしてもらえるので、コレ1本という選択肢はどうでしょうか?

自分はそうしてます。

自分のように、日本を除く全世界株式を時価総額比で、という人はある程度はいるので、ある程度のコンスタントの資金流入はあると思うのですが。

No title

コメントありがとうございます。

>以下の部分は一般的なお話でしょうか。

アメリカ人がVTではなくVOOやVTIを買うのは、アメリカの企業が海外で多くの利益を上げているからです。

「コカコーラのような多くの「国内」企業は海外市場で利益の大半を得て」いる
「チャールズ・エリスのインデックス投資入門」188頁

「アメリカのトータル・ストック・マーケット・ファンドだけでも、かなりの分散投資になっている。GEやコカ・コーラに代表されるアメリカの多国籍企業が、事業の大きな部分を国際的に展開しているからだ。」
「ウォール街のランダム・ウォーカー原著第11版」476頁

>日本もグローバル企業は多くあり、同じ条件だと思うのですが、日本は人口ボーナスを使い切ったのでダメだというお話だったと思います。日本は他の先進国と条件が違うのでしょうか。

日本は超高齢化社会になります。
年寄りが海外で頑張るのはキツいのではないでしょうか。

>松井証券で、1:8:1と設定すれば、設定を変えてしまう行為を行う可能性があります。そのため、自分としては、野村つみたて外国株投信で外国株式部分の時価総額部分を変更できないようにしました。

販路が限定され、スポット購入ができない野村つみたて外国株投信の純資産額が伸び悩むリスクが心配ですが、それを除けば野村つみたて外国株投信はいいファンドです。

>SBI証券や楽天証券と比較すると、どうしても松井証券は、リスキーに感じます。

この点は、既に3代続いている松井証券のほうが、創業者であるオーナーの強烈な個性が輝く2社(SBIはソフトバンク・インベストメントも略称です)よりも安定しているという見方もできます。

特にSBI証券の親会社は、元々のオーナーだったソフトバンクによって売却されたことから核となる大株主がいませんので(北尾会長は1.7%の株主でしかありません)、松井家、三木谷家が20~30%を超える大株主である他の2社より不安定といえるかもしれません。

>最近、影の薄くなった、野村つみたて外国株投信は、自動的に時価総額比にリバランスしてもらえるので、コレ1本という選択肢はどうでしょうか?

販売会社と購入方法が極めて限定されていますので、純資産額が伸び悩むリスクが高いと考えています。
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プロフィール

たわら男爵

Author:たわら男爵
Painter:ますい画伯
http://www.masuitousi.com/

ブログ開始日 2016年3月1日

●リスク資産(6割)は、たわら先進国株(楽天証券)とVT(マネックス証券)をほぼ50:50でホールド中。
●つみたてNISA(SBI証券)はeMAXIS Slim先進国株を年初一括40万円購入。
●楽天カード投資はeMAXIS Slim先進国株を毎月5万円購入。
●松井証券で「Slim全世界株リバランス積立」の毎営業日1万円投資を実行中。
●楽天証券で「たわら男爵15種」の毎月2回100円投資を実行中。
●SBI証券で「インデックスマラソン」の毎営業日100円投資を実行中。

●無リスク資産(4割)は、個人向け国債変動10(みずほ証券、大和証券)と楽天銀行(金利0.1%)。

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