コインチェック社に対する対処方法

仮想通貨取引所の大手であるコインチェック社がクラッキングを受け、580億とも620億ともいわれる仮想通貨XEM(ゼム)をクラッカーに盗まれた件について、コインチェック社は日本円で賠償することを発表しました。

これに対し、ほとんどの人はコインチェック社の支払能力を疑問視しており、コインチェック社の破綻を予想していただけに、上記発表は、当初、喜びをもって受け入れられました。

しかし、しばらくすると、賠償額が犯行時の時価の8割程度であったことから、10割返せとか円ではなくXEMで返せという声が上がりはじめました。

そこで、もし私が被害者であればどうするかという観点から考えてみます。

広告

まずは、とり急ぎ、コインチェック社に対し、犯行時のXEMの時価を円貨換算した金額を請求しておいたほうがよいでしょう。

これは別に内容証明郵便でなくても構いません。後でいつ請求したかが証明できればよいので、問い合わせ履歴が分かる問い合わせフォームが実装されているのであれば、問い合わせフォームから請求すればよいでしょう。

損害賠償請求には2種類あり、不法行為だと不法行為の時から遅延損害金が発生しますが、債務不履行だと遅延損害金は請求した時からしか発生しませんので、遅延損害金を実際に請求するかどうかは別にして、今のうちに請求だけはしておいたほうがよいです。

つぎに問題なのは、コインチェック社の自発的な賠償を待つかどうかです。

コインチェック社が賠償するとして、その方法は、顧客の口座に突然円を振り込み、知らないうちに買付余力が増えていたというものではなく、賠償額を確定した上で、「これを受け取った以後は残りがあっても一切請求しない」と顧客に約束させてから支払うはずです。
証券会社が規約を改定する際に「同意します」にチェックさせて暗証番号を入力させますが、私は、同じようなやり方になるのではないかと推測します。

当然のことながら、「同意します」にチェックを入れて8割相当額の日本円を受け取れば、残りの2割相当額は諦めなければなりません。

ここで同意しないのであれば、コインチェック社の自発的な賠償を待つ必要はありません。直ちに弁護士に依頼すべきです。
ただし、この時点まで待って弁護士に依頼すれば、弁護士の仕事は10割を取り戻すのではなく2割を取り戻すことになりますので、弁護士費用を節約することができます。

しかし、私は、大半の顧客は、ここで「同意します」にチェックを入れて8割相当額で満足すると思いますし、もし私でもそうします。

なぜなら、残りの2割を取り戻すためには、

(1)弁護士に依頼する
(2)弁護士費用を事前に用意して弁護士に支払う
(3)裁判をして勝訴する
(4)控訴されたら、弁護士費用をもう一度支払って高裁でも頑張ってもらい勝訴する

という手順をたどる必要があるからです。

弁護士に頼むには、損害額が多額である必要があります。

日弁連の弁護士報酬規程によれば、事件の経済的利益が300万円以下のケースでは、示談交渉の着手金は8%(最低10万円)、1審提訴時の着手金は4%(最低10万円)、報酬金は16%ですから、全部で28%が弁護士費用で消えます。

たとえば、損害額が100万円だとその2割は20万円ですから、これでは弁護士には頼めません。
示談交渉時と提訴時にそれぞれ弁護士費用が10万円ずつ必要だからです。2割相当額の全額を取り戻せても、全て弁護士費用で消えてしまうという無意味な結果になります。

損害額が1000万円であれば、その2割は200万円ですから、無事全額回収できれば、56万円のコスト(弁護士費用)で200万円を得ることになりますが、問題は、裁判は非常に時間がかかるということです。

コインチェック社に十分な金があればよいのですが、あの記者会見の社長の様子からは、潤沢な自己資金をプールしているようには思えませんでした。
もしコインチェック社に金がなく、今回の463億円も背後の金主が急遽用意したものであれば、コインチェック社と裁判をしている間にコインチェック社から顧客が逃げて同社の業績が急激に悪化し、コインチェック社に投資する旨味がなくなってしまえば、金主が金を引き上げる可能性があります。
コインチェック社の社長が記者会見でしきりに株主の意向を気にしていたのが、私には金主の顔色を窺っているように思えてなりませんでした。

コインチェック社が支払能力を失えば、裁判に勝って勝訴判決を得ても紙切れ同然であり、何の役にも立ちません。
金と時間と労力を使っただけ損になります。

このような理由で、私は、ほとんどの顧客は8割相当額をもらうだろうと予測します。もし私でもそうするでしょう。
そして、入金されたら、また資金凍結されないうちに直ちに出金します。

残る問題は、貰った賠償金の税務上の処理です。

これが、所得税法施行令30条2号の「不法行為その他突発的な事故により資産に加えられた損害につき支払を受ける損害賠償金」に該当すれば、所得税法9条1項17号によって非課税所得になります。

いけそうな気もしますが、どうなんでしょうね。
来年の確定申告までは1年以上ありますから、きっとその時までには税理士や税法に詳しい弁護士が解説記事をネットにアップしてくれていることでしょう。

広告

コメント

損害賠償じゃなくて、単なる強制利確扱いな気がします、、、!

No title

コメントありがとうございます。

>損害賠償じゃなくて、単なる強制利確扱いな気がします

既にXEMは盗まれてしまっていますから、強制利確したくてもできないと思います。

金融庁が業務改善命令を出したことは、管理体制の不備という不法行為による損害賠償に馴染みやすくなったといえます。

とはいえ、おそらく税務署は一時所得で税務申告するように指導してくると思われますので、最終的には税務訴訟で争うことになるでしょうね。
非公開コメント

広告

プロフィール

たわら男爵

Author:たわら男爵
Painter:ますい画伯
http://www.masuitousi.com/

ブログ開始日 2016年3月1日

●リスク資産(6割)は「たわら先進国株」(楽天証券)とVT(SBI証券)をほぼ50:50でホールド中。
●つみたてNISA(SBI証券)では「たわら先進国株」を年初一括40万円購入。
●楽天カード投資(毎月1日)では「たわら先進国株」を毎月5万円購入(+特定口座で11日と21日に各5万円ずつ積立買付中)。
●SBI証券で「インデックスマラソン」の毎営業日100円投資を実行中。

●無リスク資産(4割)は、個人向け国債変動10(みずほ証券、SMBC日興証券)と楽天銀行(金利0.1%)。

パソコン版右端の「ブログ記事検索」と「カテゴリ」が便利です。

●「誰でもできる超簡単ほったらかし投資」(カテゴリ「【公開】誰でもできる究極の投資」)はこのブログの全エッセンスを1記事に凝縮したものです。
●カテゴリ「この投資信託がすごい」では、ベストバイファンドの具体名を明示しています。
●カテゴリ「インデックスファンドの基礎知識」を読めば、誰でも簡単に投資信託の必須知識を得ることができます。

新着記事通知用のツイッターアカウントはこちら。
https://twitter.com/tawaradanshaku

インデックス投資家必読の書

ブログ記事検索

他の投信ブログはこちら

管理