【基礎知識】指数の種類

インデックス投資とは、指数(インデックス)との連動を目指す投資法です。

時価総額比の指数の場合は、指数の値動きは市場平均と一致します。
市場平均とは、全ての市場参加者のリターン(プラスリターンとマイナスリターン)の平均ですので、指数との連動を目指すということは、全ての市場参加者の平均点を狙うことを意味します。

例えば、日本の株式市場では、個人投資家は17.1%です(2016年。日本取引所グループ調べ)。
www.jpx.co.jp/markets/statistics-equities/examination/nlsgeu000002ini6-att/report2016.pdf

このように株式市場の市場参加者の大半はプロですから、市場平均とはプロの平均リターンといえます。
つまり、インデックス投資は、インデックスファンドを買うだけでプロがしのぎを削って獲得したリターンの平均を手にすることができる投資方法といえます。

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チャールズ・エリスは、下記の本で次のように述べます。

アクティブマネージャーが市場に勝てないのは能力不足だからではない。正反対だ。
多くの競争相手の技術力が高く、情報も豊富で、勤勉で、情報とテクノロジーを使いこなしているからこそ、ほとんどのアクティブマネージャーはその判断の集約されたものとしての市場に一貫して勝ち続けることができない。
そして、実質的には、アクティブ運用の手数料とコストがアクティブ運用の付加価値を上回っているのだ。

このように、指数(インデックス)とはプロの判断の集約された市場のリターンに低コストでフリーライドするものですが、この指数には様々な種類があり、先進国株の時価総額比の指数(代表的なものは「MSCIコクサイ」指数)にも、

プライス 「配当除く」指数
ネット 「配当込」指数(配当は課税後配当)
グロス 「配当込」指数(配当は課税前配当)

の3種類があります。

主要な超低コストファンドを分類してみます。

プライス eMAXIS Slim先進国株、iFree先進国株、野村つみたて外国株投信
ネット ニッセイ外国株
グロス たわら先進国

この中で最もシンプルなのがプライスです。
グロスは全ての構成株の配当金を考慮しなければならず、しかも配当利回りは毎年変動します。
ネットは全ての構成株の配当金を考慮した上で、全ての構成株の所属国の配当所得課税も考慮しなければなりません。

これらの指数の中で優劣はありませんし、どの指数を採用しても、それによってインデックスファンドのリターンが良くなったり悪くなったりすることはありません。

ただ、考慮しなければならない要素が増えれば増えるほど、エラーが発生する回数も増えていき、指数の正確性が犠牲になっていくはずですから、正確性の観点からはプライスが最も優れているのかもしれません。

他方で、プライスは配当金を一切考慮しない指数であることから、配当金をファンドに受け入れるインデックスファンドのリターンよりも、必ず、下振れします。
つまり、プライスを採用するインデックスファンドは、実際には配当金のおかげなのに、頑張って指数よりプラスのリターンを上げたように見せかけることができますので、プライスを採用するインデックスファンドはずるいという投信ブロガーもいます。

このようにMSCIコクサイ指数でさえ3種類あり、しかもそれぞれの指数はドルで提供され、円換算は各運用会社が独自に行っていることから、月次報告書や運法報告書に記載されている指数との乖離率を見ただけでは、指数に連動しているかどうかを十分に確認することはできません。

そこで、指数との連動性を確認するには、円換算された同種のファンドの基準価額の騰落率を計算し、それらを比較することで、指数との乖離率を推測するほかありません。

一番簡単なのは、たわら先進国株の騰落率を物差しとして利用することです。
たわら先進国株は、マザーファンドの規模が大きいだけでなく、その大半がDCファンドや機関投資家専用ファンドであって安定しており、たわら先進国株自体の純資産額も200億円もあることから、指数とのブレが最も小さいと思われるからです。

もちろん、インデックスファンドの騰落率を物差しにすると、トータルコストが少ないインデックスファンドほど有利になります。
正確さを求めるのであれば、トータルコスト相当額を除外しなければなりませんが、信託報酬の値下げが相次いでいる現状では、トータルコストを日割計算する必要があり、現実的ではありません。

コストもインデックスファンドを選定する際の重要な基準ですから、私は、我々個人投資家のレベルでは、「全部ひっくるめてリターンが最も良いファンドこそが最も優れたインデックスファンドである」としてよいと考えています。

なお、運用報告書の指数との乖離率の記載は全くの無駄ではなく、利用方法があります。
すなわち、月ごと、あるいは年ごとの乖離率が一定かどうかを確認するために利用します。

4月は-0.1%なのに5月は+0.1%で6月は+0.2%というように、同じ指数への連動を目指しているはずなのに上振れ下振れを繰り返しているものは信用できません。年ごとも同じです。

上方乖離でも下方乖離でもどちらでも構いませんので、同じ乖離率で推移していれば、運用が安定していると評価することができるでしょう。

【基礎知識シリーズ】

●インデックスファンドにかかるコスト
http://tawaraotoko.blog.fc2.com/blog-entry-752.html#more
●下方乖離の原因
http://tawaraotoko.blog.fc2.com/blog-entry-755.html
●指数の種類
http://tawaraotoko.blog.fc2.com/blog-entry-757.html#more

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コメント

No title

いつもあまり他では聴けないような分析等、また親身なお応えを感謝します。
男爵様はマキシススリム先進国(日本株を除く)だけで十分だということですが、、日本株は入れなくて良いとお考えなのでしょうか?
日本株の先行きは悲しいと前のブログにもありましたが、そうお考えの理由などをもう少し教えて頂けないでしょうか?
また、idecoもお薦めされていらっしゃらなようなコメントもありましたが、節税になるメリットもあるので活用しようと思うのですが、宜しければそのお考えも聴かせて下さいますようお願い致します。
お手数をお掛けして申し訳ないですが何卒、宜しくお願い申し上げます。

No title

おはようございます。いつも難しいことを初心者にもわかるようにご説明いただいてありがとうございます。
ヘンテコな質問で申し訳ありません。
インデックス投信とは、インデックスに近くなるように工夫して、各運用会社が全世界の株を買っているのでしょうか。買う会社の本社のある国の市場で、現地通貨で買っているのでしょうか。ドルやユーロやその他の通貨に対して円高だと、有利に買えることになるのでしょうか。

すっきりしました

12月半ばから何回か質問させて頂いた三重の者です。たわら男爵さまにいろいろ質問させて頂き、3年続けてきたセゾン投信とひふみ投信を解約し(ひふみ投信はネット上ですぐ処理できましたがセゾン投信はとにかく書類でやりとりで非常に手間暇かかりました。12月末から動いてようやく今日全部の手続きが終わりました)、家族の資産を整理しました。

優待目的で何となく買っていた株もこれだけは、というもの以外売却しました。中途半端に分散していた郵便局の定期も整理し、みずほ証券で個人国債をまとめて購入。つみたてNISAも「eMAXIS Slim先進国株式」で始めました。

今までは毎日ひふみとセゾンのサイトにログインして基準価格の上下に一喜一憂しておりましたが、そういうことも無くなり非常にすっきりしました。あとは淡々と積立を続けていこう、と今非常に心穏やかな気持ちです。(少しでも早く資産を増やさないと、と必死だったときにはこんな気持ちにはなれませんでした)


男爵様が何回も紹介されているチャールズ・エリスの「インデックス投資入門」も繰り返し読んでいます(難しい部分も多々あるのですが)最近始まったブログの「基礎知識」シリーズも非常に分かりやすいです。いかに自分が何も分からないまま投資を始めたのか、と汗をかく思いですが。


12月半ばに偶然、男爵様のブログを知り、自分の資産形成のやり方はどうなんだ?と疑問を持ったところからスタートし、一か月強でこのように軌道修正出来て本当に良かったです。無知丸出しの質問にも丁寧にご回答頂き、本当に感謝しています。これからもブログ更新楽しみにしています。

No title

コメントありがとうございます。

>日本株の先行きは悲しいと前のブログにもありましたが、そうお考えの理由などをもう少し教えて頂けないでしょうか?

結局のところ、人口が増えないと経済成長は難しいです。
このままだと日本は年寄りばかりになってしまい、若くてみずみずしい発想に基づく技術革新の波から取り残されてしまうでしょう。

私の場合は、どうせ全資産の4割は円の無リスク資産を持たなければなりませんので、あえて日本株まで保有しなくてもいいかなと思っています。

>idecoもお薦めされていらっしゃらなようなコメントもありましたが、節税になるメリットもあるので活用しようと思うのですが、宜しければそのお考えも聴かせて下さいますようお願い致します。

節税になると確信できる人はぜひやってください。そういう人ならば得をします。

ただ、iDeCoは、厳密には課税の繰り延べにすぎず、受領時に元本部分にも課税されることから、退職金控除や年金控除があるとはいえ、取り扱いが非常に難しいです。

また、特別法人税が復活するリスクも抱えています。

というわけで、得をするかどうかはその人次第であり、しかも、現時点では得をしても将来的に離職等をしたときに損をする可能性もあり、非常に難しい判断をする必要があります。

>買う会社の本社のある国の市場で、現地通貨で買っているのでしょうか。

そのとおりです。

>ドルやユーロやその他の通貨に対して円高だと、有利に買えることになるのでしょうか。

円→ドル→現地通貨に換えて現地株を買っていることから、ドルに関して円高、現地通貨に関してドル高のほうが有利です。

しかし、3か国の相場が絡みますので、タイミングを計算して投資するのは不可能です。
天に任せるしかありません。

>12月半ばに偶然、男爵様のブログを知り、自分の資産形成のやり方はどうなんだ?と疑問を持ったところからスタートし、1か月強でこのように軌道修正出来て本当に良かったです。

喜んでいただけて何よりです。
今後もご愛読、よろしくお願いします。



質問です。

 半年前より投資信託を始めました初心者です。いつも読ませていただき勉強しております。
今日は質問があり投稿させていただきました。
半年前、200万円の余剰金ができ、よくわからず近くの三井住友に行って相談し、NISA口座、特定口座で JPMベストインカム(毎月決算型)を購入しました。
購入手数料2.16% 信託報酬1.6%
今現在毎月5600円ほどの分配金が出ており、評価損益は特定分がマイナス162円、NISA分が、プラス13012円となっています。(NISA口座を作るため三か月ほどのタイムラグがあります。)
その後積み立てNISAのことなど自分で調べているうちに、こちらのブログにたどりつきました。
コスト、分配金のことなど全く考えずに、この買い物をしてしまいました。
今後、これをNISAの五年間終了時まで持ち続けるべきか(長く持てば購入手数料の一年あたりの負担率が減ると説明を受けました。)、または今年で売却し、コストの安いものに買い替えるべきか、もしアドバイスなどありましたら、いただけますでしょうか。
なお1月よりSBI証券に変更し、積み立てNISAで、emaxisスリム先進国を購入しています。
よろしくお願いいたします。

No title

コメントありがとうございます。

>半年前、200万円の余剰金ができ、よくわからず近くの三井住友に行って相談し、NISA口座、特定口座で JPMベストインカム(毎月決算型)を購入しました。
購入手数料2.16% 信託報酬1.6%

これはやばい奴ですね。
1年の騰落率は9575円→10201円(分配金30円×12か月を含む)で6.53%。

これに対し、たわら先進国株は、10717円→12891円で、騰落率は20.28%。

株のリターンが良かった時期だったことも影響はしていますが、高い手数料を払ってこれでは非常に残念です。

私はこのファンドの商品性に魅力を感じませんので、私ならば非課税投資枠は失いますが、全売却してイーマクシススリム先進国株を買います。

No title

お忙しい中お答えくださり、ありがとうございました。
 やはりやばい奴だったのですね。勉強不足だった自分がいけないのですが、高い授業料になりました。そのようにしようと思います。
ありがとうございました。またブログを読んで勉強いたします。

No title

コメントありがとうございます。

>勉強不足だった自分がいけないのですが、高い授業料になりました。


普段の買い物だと数百円の違いでも悩むのに、比較的ないリスクがあるはずの投資をする際にはあまり知りもしない銀行員の口車に乗って大金を投じてしまうことはよくあることですが、今回は損をしなかっただけでもよかったと思うべきです。

ブラジルレアル建ての毎月分配型の外債ファンドや仕組債とかだったら悲惨なことになっていたかもしれません。
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プロフィール

たわら男爵

Author:たわら男爵
Painter:ますい画伯
http://www.masuitousi.com/

ブログ開始日 2016年3月1日

●リスク資産(6割)は、たわら先進国株(楽天証券)とVT(SBI証券)をほぼ50:50でホールド中。
●つみたてNISA(SBI証券)はeMAXIS Slim先進国株を年初一括40万円購入。
●楽天カード投資はeMAXIS Slim先進国株を毎月5万円購入(+特定口座で4万円×4回=毎月16万円の積立買付中)。
●SBI証券で「インデックスマラソン」の毎営業日100円投資を実行中。

●無リスク資産(4割)は、個人向け国債変動10(みずほ証券、大和証券、SMBC日興証券)と楽天銀行(金利0.1%)。

パソコン版右端の「ブログ記事検索」と「カテゴリ」が便利です。

●「誰でもできる超簡単ほったらかし投資」(カテゴリ「【公開】誰でもできる究極の投資」)はこのブログの全エッセンスを1記事に凝縮したものです。
●カテゴリ「この投資信託がすごい」では、ベストバイファンドの具体名を明示しています。
●カテゴリ「インデックスファンドの基礎知識」を読めば、誰でも簡単に投資信託の必須知識を得ることができます。

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