【基礎知識】下方乖離の原因

基礎知識シリーズ第2弾は、下方乖離(指数のリターンより投資信託のリターンが悪くなること)の原因についてお伝えします。

第1弾では、インデックスファンドにかかるコストは「信託報酬」と「諸経費」であるところ、3つの原因で「信託報酬」と「諸経費」の合計額を超えた下方乖離が発生するとお伝えしました。

●【基礎知識】インデックスファンドにかかるコスト
http://tawaraotoko.blog.fc2.com/blog-entry-752.html#more

その3つの原因とは、

(1)マザーファンドの純資産額
(2)ベビーファンドの純資産額
(3)マザーファンドに占めるベビーファンドの割合

です。


※よろしければ、次の記事もご覧ください。

●仮想通貨は死んだ
http://tawaraotoko.blog.fc2.com/blog-entry-754.html#more

●【悲報】スリムの新ファンドは日経平均だった
http://tawaraotoko.blog.fc2.com/blog-entry-753.html#more

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我々がある投資信託を購入したいときは、証券会社(販売会社)を通じて購入申込みをします。

証券会社(販売会社)は顧客の注文を運用会社に取り次ぎ、運用会社は証券会社(販売会社)を通じて、顧客に対し、注文金額に応じた投資信託の口数を割り当てます。

その投資信託が先進国株のときは、

(1)顧客は当日15時(日本時間)までに証券会社(販売会社)を通じて投資信託(ベビーファンド)を注文する。

(2)証券会社(販売会社)は、運用会社に対し、注文額の概算額を連絡する。

(3)投資信託(ベビーファンド)のファンドマネージャーは、証券会社(販売会社)から連絡された概算額を参考にして、マザーファンドのファンドマネージャーに対し、マザーファンドの購入注文をする。

(4)マザーファンドのファンドマネージャーは、各ベビーファンドの注文額に基づき、先進国株の各構成国の株式市場(日本時間の夕方から翌日早朝)で現物株を調達してマザーファンドの保有資産を増やし、各ベビーファンドに対し、各ベビーファンドの注文額に応じてマザーファンドの口数を割り当てる。

(5)証券会社(販売会社)は、運用会社に対し、注文額の確定額を連絡する(日本時間の翌営業日)。

(6)投資信託(ベビーファンド)のファンドマネージャーは、注文額の確定額に基づき、顧客に対し、投資信託(ベビーファンド)の口数を割り当てる。

という流れになります。

ここで問題なのは、投資信託(ベビーファンド)のファンドマネージャーがマザーファンドの購入注文を出すときは、概算額しか分からないという点です。
マザーファンドを多く買うわけにはいきません。なぜなら、投資信託(ベビーファンド)が赤字になり、マザーファンドに多大な迷惑をかけてしまうからです。
そのため、投資信託(ベビーファンド)のファンドマネージャーは、通常、マザーファンドに対し、概算注文額を若干下回る金額の購入注文を出します。

たとえば、たわら先進国株は、マザーファンドに対し、概算額の97~98%の購入注文を出しています(電話確認済)。つまり、概算額の2~3%はキャッシュのままたわら先進国株が保有することになります。

投資信託(ベビーファンド)がフルインベストメント(全額投資)することができず、毎日の概算注文額の2~3%(たわら先進国株のケース)をキャッシュで残しておかなければならないことから、必ず、フルインベストメントを前提とする指数(インデックス)との乖離が発生することになります。
具体的には、株価が翌日に上がればキャッシュの分だけ下方乖離することになり、株価が翌日に下がればキャッシュの分だけ上方乖離するわけです。

このように、投資信託(ベビーファンド)が乖離する原因は、投資信託(ベビーファンド)のファンドマネージャーが概算注文額しか分からない状態でマザーファンドに対して注文を出さざるを得ないからですが、

(1)マザーファンドの規模が大きい
(2)ベビーファンドの規模が大きい
(3)マザーファンドに占めるベビーファンドの割合が少ない

ほど指数(インデックス)との乖離は小さくなります。

まず、(2)ベビーファンドの規模が大きければ大きいほど、日々の概算注文額のうちキャッシュで残しておく金額(たわら先進国株であれば2~3%)がベビーファンド全体に与える影響力は小さくなります。
たとえば、投資信託(ベビーファンド)の純資産額が1000万円しかないのに100万円のキャッシュを残せば大変な乖離が発生しますが、投資信託(ベビーファンド)の純資産額が200億円あれば、100万円のキャッシュを残したとしても大した影響はありません。

つぎに、(1)マザーファンドの規模が大きければ大きいほど良い理由は、指数(インデックス)の構成銘柄を毎日まんべんなく購入することができないからです。

マザーファンドは、各ベビーファンドからの購入注文額に基づいて現物株を購入しますが、毎日、全ての構成銘柄を時価総額比で購入することはできません。それだけの金(各ベビーファンドからの注文額)がないからです。
そのため、できるだけ指数(インデックス)の時価総額比を崩さないように配慮して、先物やETFを活用しながら少しずつ現物株を増やしていくことになりますが、全てを時価総額比に応じてまんべんなく購入することができない以上、必ず、指数との乖離が発生します。
ここで、マザーファンドの規模が大きければ大きいほど、新規購入した現物株がマザーファンド全体に与える影響は小さくなります。

最後に、(3)マザーファンドに占めるベビーファンドの割合が多いと、マザーファンドがベビーファンドの売買の影響をもろに受けてしまい、マザーファンドの運用が不安定になってしまいます。

理想を言えば、売買がほとんどないDCファンドや機関投資家専用ファンドがマザーファンドの大半を占めていることです。
たとえば、たわら先進国株のマザーファンドの大半はDCファンドや機関投資家専用ファンドであることから、たわら先進国株が幾ら激しく売買されたとしても、マザーファンドは全く揺らぎません。
これに対し、ニッセイ外国株のように、マザーファンドの大半がニッセイ外国株で占められていると、ニッセイ外国株が激しく売買されるとマザーファンド自体の運用も不安定になり、指数(インデックス)との乖離が増大してしまいます。

ところで、マザーファンドの規模を知りたいときは、毎年作成される運用報告書を見れば明記されています。
新規設定ファンドでは、初めての運用報告書は新規設定の1年後に作成されるのが通常であるため、それまではマザーファンドの規模を運用報告書で確認することはできません。

この点について、カンさんは、本日付けでこんな記事を書いています。
http://tohshi.blog61.fc2.com/blog-entry-2655.html

非常に残念です。プロなのに目論見書を見ていないということが分かってしまいました。

カンさんがグーグルで検索してマザーファンドを推測している「野村つみたて外国株投信」は、請求目論見書(公式サイトにアップされており誰でも見れます)29頁で先進国株のマザーファンド、同30頁で新興国株のマザーファンドを紹介しており、それぞれの純資産額も明記されています。
ちなみに、運用報告書には「交付運用報告書」という簡略版もあり、こちらにはマザーファンドの名称しか記載されていません。

カンさんが上記記事の中で紹介しているブログを見ると、「請求目論見書」ではなく「交付目論見書」しか確認していないことが分かります。
当ブログと同じで、紹介元は素人の趣味ブログですから、交付目論見書しか確認せずにグーグルの力を借りても仕方がないことですが、カンさんはプロですからもうちょっと頑張ってほしかったところです。

ちなみに、紹介元のブログで例示されているのはeMAXIS Slim先進国株ですが、交付目論見書ではなく請求目論見書(25頁)を見ればマザーファンドの純資産額がやはり明記されています。

また、請求目論見書を見てもマザーファンドの純資産額が明記されていなければ、運用会社に電話すれば簡単に教えてくれます。

いずれにしても、グーグルで検索するという方法は、本当に同じマザーファンドかどうかが分からない以上(同じ運用会社に似たような名称のマザーファンドが複数あるケースもあります)、間違った情報を得てしまうリスクがありますので、避けたほうがよいでしょう。

【基礎知識シリーズ】

インデックスファンドにかかるコスト
http://tawaraotoko.blog.fc2.com/blog-entry-752.html#more
●下方乖離の原因
http://tawaraotoko.blog.fc2.com/blog-entry-755.html
●指数の種類
http://tawaraotoko.blog.fc2.com/blog-entry-757.html#more

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コメント

ファミリーファンド方式の利点は、今回の記事でも触れられている通り、指数を構成する株式をよいバランスで保有するには規模が大きい方が有利だから、と思っていました。
しかし、ETFを買うだけファンドの場合は、個別の株を買うわけではないため規模が小さくとも大きな問題はないように思えます。
マザーファンドの管理にも費用がかかると思うので、楽天バンガード等もファミリーファンド方式ということは、マザーを共有するベビーファンドを設定する可能性があると言うことですかね。

No title

コメントありがとうございます。

>マザーファンドの管理にも費用がかかると思うので、楽天バンガード等もファミリーファンド方式ということは、マザーを共有するベビーファンドを設定する可能性があると言うことですかね。

どうなんでしょうね。
分かりませんが、とりあえずマザーファンドをかませておいたほうが、後で選択の幅が広がります。

債券ETFと組み合わせたバランスファンドもできるかもしれません。
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プロフィール

たわら男爵

Author:たわら男爵
Painter:ますい画伯
http://www.masuitousi.com/

ブログ開始日 2016年3月1日

●リスク資産(6割)は、たわら先進国株(SBI証券)とVT(マネックス証券)をほぼ50:50でホールド中。
●つみたてNISA(SBI証券)はeMAXIS Slim先進国株を年初一括40万円購入。
●松井証券で「Slim全世界株リバランス積立」の毎営業日1万円投資を実行中。
●楽天証券で「たわら男爵15種」の毎月2回100円投資を実行中。
●SBI証券で「インデックスマラソン」の毎営業日100円投資を実行中。

●無リスク資産(4割)は、個人向け国債変動10(みずほ証券、大和証券)と楽天銀行(金利0.1%)。

パソコン版右端の「ブログ記事検索」と「カテゴリ」が便利です。

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