小室哲哉に対する文春砲は許されない

小室哲哉に対し、週刊文春が「小室哲哉裏切りのニンニク注射」と題して不倫疑惑を報じました。
しかし、小室哲哉の記者会見を受け、週刊文春に対する批判が強まっています。

ここで重要なのは、小室哲哉は性行為を含む性的接触行為を否定しているという点です。
性的接触行為が存在しなければ、民事上も違法行為とはなりません。「裏切りのニンニク注射」との表現は、明らかに小室哲哉が妻以外の女性と性的接触行為をしたとの非難ですから、週刊文春は、真実に基づかない誤報によって小室哲哉の名誉を毀損したといえます。

これに対し、週刊文春は、既婚者である小室哲哉が妻の留守中に自宅に女性を招き入れ、長時間、2人きりで過ごしたことから、性的接触行為があったものと信じて報道したと反論することでしょう。

しかし、そもそも、そのような反論は許されないものです(「#週刊文春を許さない」)。

【付記】
この点に関し、弁護士による法的見解を知りたいと考え、ブログ村を当たったものの、解説記事を発見することができませんでした。
誰か書いてくれないかしら。

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この点について、東京高裁は、平成13年7月5日、非常に参考になる判決を言い渡しています。

少し長いですが、該当部分を引用します。

【引用開始】

ア 名誉毀損については、その行為が公共の利害に影響を有するなど公共性が認められる事実に係り、専ら公益又は一般人の健全で正当な関心ないし判断に資する目的に出たものであり、かつ、摘示された事実が真実であることが証明されたときは、その行為は、違法性を欠き、不法行為とはならない。
また、仮に上記事実が真実であることが証明されなくても、その行為者においてその事実を真実と信じるについて相当な理由があるときは、その行為には違法性がないものとして、結局、不法行為は成立しないものと解するのが相当である。

イ ところで、控訴人は、被控訴人が著名な女優であることを理由に、その私生活上のトラブルは社会的事件として公正に報道すべき事実であり、その意味で、本件記事は、公共の利害に関する事実に当たると主張する。
しかし、そもそも、公共の利害に関する事実とは、当該事実が多数一般の利害に関係するところから右事実につき関心を寄せることが正当と認められるものを指すのであって、多数人の単なる好奇心の対象となる事実をいうものではない。
個人の私生活上の言動や家庭その他の私的な生活関係を構成する事実で、一般人の感性を基準として公開を欲しないような事実は、これを公開することに特に公共的な意義が認められる場合、又は当該個人の社会的地位や活動状況からいって、国民の自らの人格的素養を高めることに資するために、その情報の利用価値があり、これについて知る権利を認めるのが相当であり、その目的に沿うべく報道の自由を認めるべき必要があって、当該個人にその事実の公開を受忍させるのが相当と認められる場合を除き、その公開はプライバシーの侵害に当たり、その事実の摘示が、対象者の社会的評価を低下させるものと認められるときは、名誉毀損に当たるというべきである。

ウ これを本件についてみるに、まず、本件記事等に記載された内容は、いずれも、被控訴人の私生活上の言動などであり、被控訴人の芸能活動及びこれに関連する生活関係に関する記事とはいえず、プライバシーの保護が及び得る私的な生活関係に関連する事象であり、一般人の感性を基準とした場合、公開を欲しないような事実であると認められる。
また、被控訴人が日本において著名な女優であることは当事者間に争いがないものの、芸能活動自体は、一般人の個人的趣味に働き掛けて、これを通じて公共性を持つものであるから、必ずしも私的な生活関係を明らかにする必要があるような社会的地位にあるとの特段の事情は認められない。
著名な女優といえども、私生活の上では、一人の人間に過ぎず、その私生活の平穏は保護されるべきで、その私生活を好奇心の対象とすることが許されてよいわけではない。

これに対して、控訴人は、本件記事等は、芸能人の離婚、愛人問題、不倫関係などのスキャンダルなどの場合と異なり、被控訴人の近所付合いという公的空間に踏み出したトラブルを社会的事件として報道しているから、ファンや一般読者に、被控訴人に何が起きているかという判断材料を提供しようとするものであって、知ることにつき社会的需要のある国民の関心事であり、その知る権利に適うものとして公共性、公益性があると主張する。
しかしながら、前記認定によれば、本件記事等が指摘する被控訴人の近所付合いに関する言動は、その内容が被控訴人の芸能人としての立場に原因があるとか、その立場に影響を受けているといえるものではなく、専ら著名な女優である被控訴人の私的な市民生活上の出来事を取り上げて、芸能活動上の関心とは異なる興味本位の関心をかき立てる性質の誇張された内容と表現であると認められる。
したがって、本件記事等の内容は、一般人感性を基準として見ても、通常は公表されたくないと考えられるものであり、被控訴人が著名な芸能人であるからといって、その情報が国民の個人としての自己の思想及び人格の形成、発展に資する性質のものであってその社会生活の中にこれを反映させていく上で不可欠のものであるとはいい難く、それを報道することが公共性、公益性を帯びるとはいえない。
被控訴人が近隣住人等に怒鳴り散らしている事実は、被控訴人が人気のある女優であることに照らせば、これを報道することは、国民の低俗な覗き見趣味にかなうと言えても、本件記事1ないし4の内容からも被控訴人が近隣住民に怒鳴り散らしているという表現が相当する実態があるとは認め難いことや被控訴人が人気のある女優であるが故に前記のような誇張された表現の本件記事等まで甘受すべき立場にあるとはいえないことにかんがみ、正当化し得るものではない。

以上によれば、本件記事等は、公共の利害に関する事実には当たらず、本件週刊誌への掲載も、専ら公益を図る目的に基づいてはいなかったと認めるのが相当であり、これを覆すに足りる証拠はない。そうだとすると、控訴人の名誉毀損の違法性阻却の抗弁は、その余の点を判断するまでもなく、理由がないというべきである。

【引用終わり】

ここで面白いのは、週刊誌の側でも、スキャンダル報道が名誉毀損にあたることを当然の前提とした上で、「本件はスキャンダル報道ではなく、社会的事件である」旨を一生懸命主張している点です。

ひるがえって、小室哲哉に対する文春砲は、単なるスキャンダル報道です。

不倫をしたかどうかは、仮にそれが真実であったとしても、「個人の私生活上の言動や家庭その他の私的な生活関係を構成する事実」ですし、「国民の自らの人格的素養を高めることに資するために、その情報の利用価値があり、これについて知る権利を認めるのが相当であり、その目的に沿うべく報道の自由を認めるべき必要」性が認められる余地のない単なるスキャンダルにすぎません。

今回の小室哲哉に対する文春砲は、大衆の「低俗な覗き見趣味」に迎合し、小室哲哉の「私生活の平穏」を完膚なきまでに破壊し、「その私生活を好奇心の対象」としたものであり、断じて許されないものです。

報道の自由とは、「国民の個人としての自己の思想及び人格の形成、発展に資する性質のものであってその社会生活の中にこれを反映させていく上で不可欠」な情報を主権者である国民に知らせるための重要な権利であり、スキャンダル報道を正当化するものではありません。

私は、報道の自由の理念と大きくかけ離れたくだらないスキャンダル記事によって、稀有な才能を持ったかけがえのない人が失われようとしていることに対し、強い憤りを感じています(「#文春を許さない」)。

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