積立買付のタイミング

ご質問をいただきました。
さっそく回答します。


いつも楽しく且つ有益な記事をありがとうございます。
私は山崎元さんの著書をきっかけにインデックス投資に興味を持ちました。その後、男爵さんのブログを始め色々な方の考えに触れる中で、幾つかの疑問を抱くようになりました。そのうちの一つが今回取り上げられたニッセイ外国株の件でしたので、記事を拝読して一つ気持ちがすっきりしました。
(以下、今回のエントリーと話題がずれてしまいますがご容赦ください)
氏の著書を読んで抱いていたもう一つの疑問は、“投資の諸条件を決めたらタイミングを気にせず一気に買う”という点でした。しかし、この点についても男爵さんのブログを読む中で、(時間)分散の考え方を学び今に至ります。
(前置きが長くなりましたが、ここからがお聞きしたいことの本題です)
しかし、いざ積み立て投資を始めようとすると「この上げ相場で投資を始めてもよいのだろうか…」という不安が先立って買うことができません。
これまで、男爵さんの書かれたをエントリーを参考に、「つみたてNISA」で年間40万円の投資および、それとは別に余剰資金(約600万円)を60等分し、5年に分散して投資をする心積もりをしてきたのですが、昨年10月の総選挙後からの国内株の上げ調子、また世界的な株高ということで、『もう少し様子見・・・』と思っているうちに、季節は秋から冬に。年明けの相場の値上がりを目にしては『やはり今じゃあないのかも・・・』と及び腰になってしまっています。
「じゃあ、下がったとき、暴落したときに自分はまとまった金額を投資できるのか?」と考えてみると、恐らく、そのアクションも取れない気がしています。頭では、こういうときのために一括投資ではなく(時間)分散投資をするのだ、と理解しているつもりでも、“明らかに高いと分かっているのに買う”ということに対する心理的抵抗が拭えません。
何とも合理的でない思考と思いますが、同じ思いを持つ方(特に投資初心者)もいらっしゃるのでは・・・と思い、ひと言アドバイスをお願いできればと思っております。
唐突に長いお尋ねで申し訳ありません。お手数をおかけしますが、よろしくお願いいたします。


※よろしければ、次の記事もご覧ください。

●eMAXIS Slim全世界株vsVT
http://tawaraotoko.blog.fc2.com/blog-entry-745.html#more

●楽天VTIが50億円を突破し、iFreeSP500の2倍に
http://tawaraotoko.blog.fc2.com/blog-entry-744.html#more

●【追記あり】ヤマゲン先生、スリム派に転向
http://tawaraotoko.blog.fc2.com/blog-entry-743.html#more

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重要なポイントは、

(1)今の相場が割高かどうかは、プロを含めて誰にも分からない
(2)将来的に必ず暴落が発生することは確実だが、暴落の底値が今の相場より安いかどうかは、プロを含めて誰にも分からない

という点です。

今の相場が100として、例えば6か月後に70まで下がり、10か月後には100まで回復することが分かっていたら、誰でも6か月後まで待ち、全資産を投入して70の底値でリスク資産を買います。
今の相場が高いか安いかを今分かる人は誰もいないのです。

バンガード社の創業者であるジョン・C・ボーグルという人がいます。
20世紀の投資業界における4巨人の1人です。

プロ中のプロであるボーグルは、

投資家が投資をする際に「感情を除外する」にはどうしたらよいでしょうか

との質問に対し、この本78頁で次のように回答しています。

それは私を含めて誰にもできない。
「市場が50%下落したら、どう感じるか」と聞かれたら、正直に「惨めに感じる」と答える。
胃がキリキリ痛んできたら、自著2冊を取り出し、「長期的展望を維持する」と書いた箇所を読み返す!


インデックスファンドを世に広めたボーグルでさえ、暴落時には底値買いをする余裕などなく、自著を読み返し、相場は必ず回復することを自分に言い聞かせることしかできません。

ボーグルでさえできないことを自分ならできると思ってはダメです。
無理です。

証券口座にログインすると、含み益があっという間に縮小し、含み損になり、含み損がどんどん増えていくときの恐怖は事前に想像することはできません。想像を絶する恐怖です。明日には世界は終わるのではないかと錯覚します。
だからこそ、みんなが理性を失い、感情的に投げ売りをするわけですね。

そして、投げ売りは投げ売りを呼びます。
含み損が日々すごい勢いで増えていくわけですから、今日耐えられた人も、明日、明後日になると、増え続ける含み損に耐えられなくなり、投げ売ってしまいます。
最初はレバレッジをきかせている人が証拠金を入れることができずに飛びます。相場が暴落を増すにつれて、次から次に飛んでいきます。そして、現物株を握っている人も耐えられなくなり投げ売るのです。

そのような阿鼻叫喚の地獄絵図の中で、自分だけは大丈夫と思うのは単なる阿呆です。
みんなが地獄の中で右往左往しているわけですから、私もあなたもみんな右往左往することになります。

追加投資をしようなどという精神的余裕などあるわけがないと思うべきです。

そんなとき、積立買付設定をしていれば、プログラムが自動的に定額買付を実施してくれます。
暴落時には証券口座にログインしようという気持ちの余裕すらなくなりますから、感情のないプログラムが淡々と安値買いを継続し、その結果、相場の回復時には莫大な含み益を手にすることができます。

というわけで、投資しようという気持ちの余裕がある今のうちに余剰資産を60等分して均等額積立買付設定を完了し、暴落時に備えておくべきです。

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コメント

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No title

コメントありがとうございます。
非公開設定でしたので、はりつけます。

【質問】

早速のご回答ありがとうございました。明快且つリアリティのあるお答えを拝読し、腹が決まりました。「気持ちの余裕がある今のうち」に積立買付を始めたいと思います。

二点追加で質問させてください。
男爵さんは投信銘柄としてemaxis slim先進国株を薦めておられますが、疑問なのは emaxis slim 先進国株の国別構成比率の大半(60%以上?)がアメリカに集中している点です。これは、米国株の長期的な成長を期待しての投資と理解すればよいのでしょうか?
もう一点はこのことに関連した質問ですが、私は実際の投資は男爵さんの言われる「スリム全世界株」型の投資をしたいと考えています。この「スリム全世界株」ですが、“先進国80:新興国10:日本10”という構成比率はどこから来る数字なのでしょうか? 一つめの質問と関連しますが、先進国、とくにアメリカ株の比率が高すぎるのでは? という思いと同時に、国内・新興国の比率をもう少し高めてもよいのでは? と感じています。
いずれも勉強不足を承知の上での質問です。ご回答いただければ幸いです。

【回答】
「スリム全世界株リバランス積立」の80:10:10の配分比は時価総額比を丸めたものです。
ちなみに、厳密な時価総額比は、80.2(先進国株):11.8(新興国株):8(日本株)です。
http://doc.wam.abic.co.jp/ap02rs/contents/pdf/55311179_m.pdf

私は、全世界株の発展を信じるのがインデックス投資である以上、時価総額比で買うべきだと考えています。

アメリカ株の割合が大きいのは、単にアメリカ株の時価が大きいからです。

>先進国、とくにアメリカ株の比率が高すぎるのでは? という思いと同時に、国内・新興国の比率をもう少し高めてもよいのでは? と感じています

「自分がこれだと思う株を市場の示す配分比率以上に買うと、その判断を間違えるリスクを負う。その判断は正しいかもしれないが、少なくともうまくいくためには買いと売りの2回、正しい判断ができなければならない。」(チャールズ・エリス)

GPIFの配分

いつも楽しく拝見しております。

投資歴期はリーマンショック直前からです。

いろいろ資産配分については試行錯誤繰り返しまましたが、株式はACWIの配分で投資しております。

また、株式:個人向け国債=6:4です。
リターンというより、リスクが今の自分にあっているからです。

GPIFの配分は、男爵殿はどう思いますか。(リターンは別として)
GPIFは最大の投資家でありますし。暴落時も個人投資家が精神的な支柱となりうると思われます。





No title

興味深いご意見だったので私も質問させて頂きます。

全世界株の発展を信じるのであれば、浮動株調整後時価総額比ではなく、純粋な時価総額比またはGDP比で買う方が、実体経済をより現しているとは言えませんか?
GDP比だと、6(先進国株):3(新興国株):1(日本株)になるので、浮動株調整後時価総額比とは大きく配分が異なります。

アメリカ株を60%買うことは、自分がこれだと思う株に集中投資をしていることになりませんか?
アメリカ株のリターンが冴えなくなった場合、残りの40%ではカバーし切れないと考えます。
市場の将来は分からない、という立場であれば、全ての国、株を等配分で買う方が合理的ではないでしょうか。

No title

いつも有益な記事をありがとございます。

現在、リスク許容度に比べて過剰に無リスク資産がある状態のためリスク資産への追加投資を検討しています。

一括投資するか時間分散するかを検討しています。
たわら男爵様が「60等分」するという60回はどのような考えのもと生み出されたものでしょうか。

No title

コメントありがとうございます。

>GPIFの配分は、男爵殿はどう思いますか。

私は、リスク資産は株100%にして、相当額の無リスク資産をとっておくほうが好みです。

債券は株と一緒に暴落するリスクがありますが、キャッシュ(個人向け国債を含む)は安全ですし、歴史的な超低金利時代の債券は利上げで大きく価値を減らすリスクがあるからです。

>全世界株の発展を信じるのであれば、浮動株調整後時価総額比ではなく、純粋な時価総額比またはGDP比で買う方GDPが、実体経済をより現しているとは言えませんか?

インデックスファンドの指数は、実際に市場で買えない固定株が除かれていますので、浮動株で調整しないと、固定株以外の株をより沢山買うことになってしまうでしょう。

また、GDPの正確性には疑問があります。
中国は誤魔化しているでしょうし、日本も日銀の数字と政府の数字が乖離しています。

>アメリカ株を60%買うことは、自分がこれだと思う株に集中投資をしていることになりませんか?アメリカ株のリターンが冴えなくなった場合、残りの40%ではカバーし切れないと考えます。

インデックス投資は世界経済の発展を超えたリターンを求めるものではありませんので、世界経済が全体として低調であればインデックス投資のリターンも低調で仕方ないと考えています。
アメリカも世界経済の一部ですから、アメリカが不調で世界経済も不調であれば、インデックス投資も不調になるのは当然のことであり、ホールドしている限り、いずれ良い日が必ず巡ってくるでしょう。

>市場の将来は分からない、という立場であれば、全ての国、株を等配分で買う方が合理的ではないでしょうか。

私は、世界経済は全体として発展していくという前提に立って投資をしていますので、等配分に魅力は感じません。

>たわら男爵様が「60等分」するという60回はどのような考えのもと生み出されたものでしょうか。

マルキール先生が5年程度に時間分散して手持ち資金を投資することを推奨しているからです。

御礼

最初に質問した者です。迅速かつ丁寧なご回答をありがとうございました。
また、他に質問していただいた皆さんとのやり取りも大変勉強になりました。合わせて御礼申し上げます。

No title

参考にしていただけて、よかったです。
また何かご質問があればご連絡ください。

No title

ご回答ありがとうございます。

ご意見を拝見して素朴な疑問が生じたのですが、浮動株時価総額が実体経済を最も正確に反映していると考える理由はどのようなものなのでしょうか?

例えば浮動株時価総額であれば、GDP世界2位の中国はわずか2.6%しか組み入れられていません。日本が8.4%組み入れられているとは対照的です。
GDP算出に不正確な面はあるとは思いますが、中国のGDPが日本の1/3以下とは考えられません。

浮動株時価総額が実体経済を最も正確に反映しているとは言えないように思うのですが、たわら男爵様のお考えをお聞かせ頂ければと存じます。

No title

コメントありがとうございます。

>浮動株時価総額が実体経済を最も正確に反映しているとは言えないように思うのですが、たわら男爵様のお考えをお聞かせ頂ければと存じます。

この議論は実益がありません。
なぜなら、指数は浮動株を基準にしいることから、インデックス投資をするには浮動株基準の時価総額比のファンドを買うしかないからです。

たしかに、世界経済IFはGDP比を参考にして配分比を決定していると目論見書には書いてあります。
しかし、世界経済IFは、厳密にGDP比に基づいて配分比を決定しているインデックスファンドではなく、ファンドマネージャーの投資判断で意図的にGDP比と乖離した配分比にしているアクティブファンドです。
しかも、先進国、新興国、日本の配分比は一応GDPを参考にして決定していますが、先進国内部、新興国内部、日本内部は浮動株基準の時価総額比です。

というわけで、浮動株基準の時価総額比のインデックスファンドしか買えない現状では、先進国株ファンド、新興国株ファンド、日本株ファンドの配分比も浮動株基準の時価総額比にするのが最も自然であり、これと異なる配分比は自身の投資判断を介在させることになると考えます。

さらに言えば、マルキールにしてもエリスにしてもボーグルにしても、インデックス投資の権威はみな、浮動株基準の時価総額比のインデックスファンドを使ったインデックス投資を推奨しています。

というわけで、私は、超低コストインデックスファンドは全て浮動株基準の時価総額比のインデックスファンドである以上、それらを浮動株基準の時価総額比で組み合わせて保有すれば十分であると考えています。

No title

ご回答ありがとうございました。

実務上、浮動株基準の時価総額比でなければファンドの組成ができないというのが大きな要因になっているとは思います。

私としては浮動株基準の時価総額比が実体経済を反映していないのであれば、出来る範囲でベストを追求していきたいです。

No title

コメントありがとうございます。

>私としては浮動株基準の時価総額比が実体経済を反映していないのであれば、出来る範囲でベストを追求していきたいです。

この点は好みの問題でしょうが、あまりいろいろと工夫するよりも、インデックスの大河の流れに身を任せ、のんびり川下りを楽しんだほうがリスク市場に長く居続けることができるのではないかと考えています。
非公開コメント

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プロフィール

たわら男爵

Author:たわら男爵
Painter:ますい画伯
http://www.masuitousi.com/

ブログ開始日 2016年3月1日

●リスク資産(6割)は、たわら先進国株(楽天証券)とVT(マネックス証券)をほぼ50:50でホールド中。
●つみたてNISA(SBI証券)はeMAXIS Slim先進国株を年初一括40万円購入。
●楽天カード投資はeMAXIS Slim先進国株を毎月5万円購入。
●松井証券で「Slim全世界株リバランス積立」の毎営業日1万円投資を実行中。
●SBI証券で「インデックスマラソン」の毎営業日100円投資を実行中。

●無リスク資産(4割)は、個人向け国債変動10(みずほ証券、大和証券)と楽天銀行(金利0.1%)。

パソコン版右端の「ブログ記事検索」と「カテゴリ」が便利です。

●「誰でもできる超簡単ほったらかし投資」(カテゴリ「【公開】誰でもできる究極の投資」)はこのブログの全エッセンスを1記事に凝縮したものです。
●カテゴリ「この投資信託がすごい」では、ベストバイファンドの具体名を明示しています。
●カテゴリ「インデックスファンドの基礎知識」を読めば、誰でも簡単に投資信託の必須知識を得ることができます。

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