まずは、eMAXIS Slim全世界株です。
トータルコスト 税込0.226144%(
投信保有ポイント考慮前)
【内訳】
●信託報酬 税抜0.1225%(税込0.1323%)
計算式:0.159×10%=0.0159、0.1095×80%=0.0876、0.19×10%=0.019
●運用コスト 0.093844%
計算式:0.006×10%=0.0006、0.094×80%=0.0752、0.18044%×10%=0.018044
つぎに、楽天全世界株です。
トータルコスト 0.40664%(
投信保有ポイント考慮前)
【内訳】
●信託報酬 税込0.1296%
●運用コスト(推定値)0.05%
●VTの経費率 0.11%
●三重課税コスト(推定値)0.11704%
※運用コスト
i-mizuho米国株の信託報酬除く実質コストが0.06%、EXE-i先進国株・新興国株の信託報酬除く実質コストが0.04%であることから、0.05%と推定した。
ところで、i-mizuho新興国株(IEMGのみを買うもの)の第1期運用報告書(ネットで入手不可)を見た
投信ブロガーの報告(
http://longinv.blog103.fc2.com/blog-entry-1586.html)によれば、信託報酬を除く実質コストは税抜1.24%であった。
その後の運用報告書(ネットで入手可能)を調査したところ、第2期運用報告書では税込0.229%、第3期運用報告書では税込0.19%、第4期運用報告書では税込0.17%と推移しており、1種類の米国ETFを買うだけファンドであってもコスト高となるリスクがある。
※三重課税コスト
三重課税コストとは、ファンドが保有する株式の配当金について、
(1)
投資信託 現地国、日本の二重課税
(2)米国ETF 現地国、アメリカ、日本の三重課税
というように、米国ETFはアメリカが10%の源泉税を徴収するというものである。
現地国の税率は10%であることが多く、アメリカは残りの配当金(90%)に10%の源泉税を徴収するため、配当金の9%がアメリカに奪われる。
ファンドが保有株の配当金を受け入れる際、原則としてその10%が保有株の所属国(現地国)によって課税されるが、保有株がファンドと同じ国籍の時はファンド受入時には課税されず、ファンドが顧客に分配金を出した時点で初めて課税される。
この例外が適用されるのは、日本の
投資信託であれば日本株、米国ETFであれば米国株となる。
ファンドが分配金を出したとき、日本の
投資信託は、日本株は日本国の一重課税、日本株以外は現地国・日本国の二重課税であり、米国ETFは、米国株は米国・日本国の二重課税であるが、米国株以外は現地国・米国・日本国の三重課税となる。
配当金が100あったとして、
(1)
投資信託 現地国9(
投資信託の現地国である日本株の1を除いたもの)、ファンド受入額91
(2)米国ETF
うちアメリカ株(VTは52%) 現地国(アメリカ)5.2、ファンド受入額46.8
うちアメリカ株以外(VTは48%) 現地国4.8、アメリカ4.32、ファンド受入額38.88
となるため、この差額5.32%(91-46.8-38.88)が三重課税コスト(米国ETFではなく
投資信託であれば払わずに済んだコスト)となる。
ここで「ファンド受入額」と記載したが、これは便宜上の表現である。投資信託は文字どおりファンドの純資産額に上積みされ、顧客にとっては含み益の一部となり、売却時に譲渡所得として日本国によって課税されるが、米国ETFはそのまま顧客に分配されるため、分配時に配当所得として日本国によって課税され、その際、20.315%が日本国によって源泉徴収される。
無分配の投資信託であれば、米国ETFと異なり、保有株の配当金を顧客に分配して20.315%を徴収されることなく、この20.315%相当額もファンド内で運用し、その運用利益を顧客に渡すことができるため、その分、リターンが向上する(課税の繰り延べ効果)。
VTの配当利回りは2.20%であるため(マネックス証券「米国株源泉銘柄レポートBOOK2017年冬号」54頁)、三重課税コストは0.11704%(2.2×5.32%)と推定される。
もっとも、この推定は、米国株とそれ以外の地域の構成株の配当利回りが同率であることを前提とするものであるため、あくまで参考値にすぎないことに注意されたい(一般に新興国株のほうが配当利回りが高いことから、三重課税コストが0.11704%を超える可能性がある)。
両者の差 0.180494%(0.40664%-0.226144%)
楽天全世界株には、SBIポイントが0.03%、楽天ポイントが0.048%付与されます。
しかし、両者のコスト差は0.180494%ですから、eMAXIS Slim全世界株の
投信保有ポイントがゼロでもeMAXIS Slim全世界株の勝ちです。
しかも、この差は、楽天全世界株の運用コストを0.05%としたときの推定値であり、楽天全世界株に最も有利な推定値となります。
なぜなら、楽天全世界株の運用コストは、他社の米国ETFを買うだけファンドの設定直後の運用コストから推定すると0.05%では収まらず、0.2%前後となる可能性があるからです。
仮に運用コストが0.2%になると、両者の差は0.330494%に広がってしまいます。
これは1000万円あたり1万8049円から3万3049円のコスト差となります。
というわけで、楽天全世界株はFOYで初登場1位を獲得しましたが、もし全世界株がほしければeMAXIS Slim全世界株を自作したほうが得だというお話でした。
コメント
No title
お時間がありましたら、eMAXIS Slim全世界株 vs VT の検証をお願いできないでしょうか?
過去の記事から、たわら全世界株 vs VTよりさらに有利になると予想しており、今後の追加投資はeMAXIS Slim全世界株にするつもりですが、現在所有しているVTにかなりの含み益があり、売却してまでeMAXIS Slim全世界株に乗り換えるべきか悩み中です。
よろしくお願いします。
2018/01/15 20:51 by だるっち URL 編集
No title
>お時間がありましたら、eMAXIS Slim全世界株 vs VT の検証をお願いできないでしょうか?
明日か明後日の新記事にしますので、しばらくお待ちください。
2018/01/15 22:36 by たわら男爵 URL 編集
No title
2018/01/16 20:41 by だるっち URL 編集
No title
先ほど新記事をアップしましたので、ご覧ください。
2018/01/17 01:54 by たわら男爵 URL 編集