楽天バンガードの月次レポートの乖離率を気にするのはナンセンス

楽天バンガードファンドシリーズの1番手である楽天全世界株と楽天全米株の純資産額が、それぞれ10億円、20億円を突破しました。
2017年11月17日付けの純資産額は、楽天全世界株が10億0500万円、楽天全米株が20億6200万円です。

しかし、このめでたい節目のタイミングで公開された月次レポートが大きな波紋を呼んでいます。
https://www.rakuten-toushin.co.jp/fund/nav/rivge/pdf/rivge_M201710.pdf
https://www.rakuten-toushin.co.jp/fund/nav/rivue/pdf/rivue_M201710.pdf

当ブログのコメント欄だけではなく、様々な投信ブログでも言及されています。
投信ブロガーの偉大な先駆者であるNightWalkerさんでさえ動揺していましたから、この月次レポートが普通の人に与える衝撃度は絶大といってよいでしょう。

●楽天・全世界株式インデックス・ファンドの最初の月次報告にびっくりの巻
http://nightwalker.cocolog-nifty.com/money/2017/11/post-7acf.html#more
月次報告には、1ヶ月のファンドの騰落率が出ています。
ファンド +1.4%(基準価額から計算して、正確には、+1.37%と思われる。)
インデックス +2.2%
なんと、1ヶ月で、ー0.8%!
にわかには信じがたい数値です。
単純に12倍すると、1年で9.6%もアンダーすることになってしまいますからね。


しかし、この点を心配しても仕方ありません。

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そもそも、楽天バンガードファンドシリーズは「バンガード社のETFを買うだけファンド」です。

楽天バンガードファンドシリーズが新規設定されると知った時の気持ちを振り返ってみてください。
あのとき、我々は、楽天バンガードファンドシリーズに指数との連動性を求めてはいなかったはずです。

あのときの我々が感じたことは、

「これで自分でVTやVTIを買わずに済む」
「配当再投資のわずらわしさから逃れられる」
「VTやVTIを100円から積立買付することができる」

ということだったはずです。

つまり、楽天全世界株や楽天全米株に我々が求めたことは、指数との連動性ではなく、「自分の代わりにVTやVTIを購入し、勝手に配当再投資をしてくれること」でした。

VTやVTIはETFですから、公開市場で売買されます。
そのため、VTやVTIの実際の価値よりも高く取引されるときもあれば安く取引されるときもあります。

たとえば、直近の11月17日の相場を見てみます。
VTは72.13ドルから72.29ドルまで値が動きました。その差額は0.16ドルであり、VTの取引価格の0.22%に相当します。

買うタイミングによっては1日で0.22%の差が生じるわけですから、仮に1か月で0.8%の差(0.8%は月次レポートの1か月の乖離率)が生じたとしても、別に気にするほどのことではありません。

自分でVTを1年間に何度か買ったとします。
VTの時価総額よりも安く買えた時もあれば高く買ってしまった時もあるでしょう。
そのとき、含み損益を気にする人はいるとしても、自分の購入価格と指数との乖離率を気にする人はいません。
楽天全世界株も、つまりはそういうことなのです。

しかし、楽天バンガードファンドシリーズは、つみたてNISAに対応するため、指数との連動性をうたってしまいました。
楽天バンガードファンドシリーズにできることは単一の米国ETFを買うだけですから、そもそも指数との連動性をはかるための独自の行動を起こすことは予定されていませんし、仮に何かやりたかったとしても何もやることは残されていません。
繰り返しますが、楽天バンガードファンドシリーズは、ETFを買うことしかできないのです。

私は、ETFを買うだけファンドである以上、指数との乖離率を問題視することは無意味であり(投資対象のETFが信頼できるものかどうかが重要であるだけです)、信託報酬を除くコストがどれほどかかるのかが重要であると考えています。
しかし、コストが明らかになるのは1年後の運用報告書が開示された時点ですから、それまでは100円投資でそっと応援することしかできません。

この意味で、なまじ三分の計を採用してしまったEXE-iつみたてグローバル(中小型含む)株式ファンドは、これから大変ないばらの道が待っています。

投資対象のETFも、バンガード社のETFに比べると規模は50分の1から100分の1ですし、その名称は、私を含め、大抵の人は知りません。
ファンドの全体を全世界株指数に連動させるのではなく、5割をアメリカ株指数、4割をアメリカ除く先進国株指数、1割を新興国株指数に連動させ、それらを50:40:10で組み合わせ、年に1回程度の頻度でリバランスしていくとしたほうが、指数との乖離率を突っ込まれることもなかったと思うのですが、きっと楽天全世界株に対抗したかったのでしょうね。

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コメント

No title

新規のファンドですと、指定インデックスファンドの条件を満たしていない商品は「アクティブ運用(略)等」に分類されるために、運用実績や資金流入実績が必要になるために、つみたてNISA対象商品にならないのだと思います。
なので指定のインデックスに連動することは絶対条件なのでしょう。

No title

 いつもながら深い分析ですね。とても参考になります。

 私も積立NISAは野村つみたて外国株投信にしようか迷い始めています。

No title

コメントありがとうございます。

>新規のファンドですと、指定インデックスファンドの条件を満たしていない商品は「アクティブ運用(略)等」に分類されるために、運用実績や資金流入実績が必要になるために、つみたてNISA対象商品にならないのだと思います。

「FTSEグローバル・オールキャップ・インデックスへの連動を目指すと言っておけば、つみたてNISAの対象銘柄になれるから、とりあえず言ってみようぜ」

ということなんでしょうけれど、FTSE社と関係ない3種類のETFを合成してFTSE全世界株指数と連動させると宣言するというのは余りにどうかなという気がします。

>私も積立NISAは野村つみたて外国株投信にしようか迷い始めています。

信頼性の面で、楽天全世界株よりはいいと思います。

すみません。馬鹿な質問ですが、教えて下さい。記事中にETFは刻々と値が動くので買い付けるタイミングによって乖離が生まれるとあるのですが、それは現物を運用する他のインデックスファンドも同じではないのですか。現物株もその時その時によって株価が変動するので買い付けるタイミングによって、想定していたよりも高く(安く)買えてしまったという場合もあると思うのですが、その場合は乖離が起きないのでしょうか。

No title

最近投資を始めたもので参考にさせていただいています。
自分の理解があっているか、ご意見いただけたら幸いです。

①VTIを自分で買い付け→指数かい離「購入時に発生」
②楽天全米株につみたて→指数かい離「毎日発生」
③ifee S&P500につみたて→指数かい離「運営品質による」

だとすれば、指数とのかい離リスクは、「②大>①小>③極小」と言えそうです。
特に③の理解があっているか伺いたいのですが、「運営に不手際がなければ、指数通りに買い付けされていて、かい離はほぼ発生しない」と思っていました。
このような理解で間違っていないでしょうか?

結果的に1年を通して①②のかい離が±ゼロまたはプラスに収束すれば良いですが、マイナスかい離すれば③よりコストが安いメリットが吹き飛んでしまいます。

また、②楽天からの買い付け時間帯に、今年はプラスかい離が多かった、昨年はマイナスかい離が多かった、というように偏りがあるような気もします。

この考え方であっているのだとすると、多少0.2%程度のコストを支払ってでも指数かい離リスクの無い③がベターな選択のように思えます。

No title

コメントありがとうございます。

>現物株もその時その時によって株価が変動するので買い付けるタイミングによって、想定していたよりも高く(安く)買えてしまったという場合もあると思うのですが、その場合は乖離が起きないのでしょうか。

現物株ファンドは、単純に構成銘柄数が多いことから、安く買えたものもあれば高く買ってしまったものもあり、それらが平準化されて全体としてはいい塩梅になるのだと考えています。

>特に③の理解があっているか伺いたいのですが、「運営に不手際がなければ、指数通りに買い付けされていて、かい離はほぼ発生しない」と思っていました。このような理解で間違っていないでしょうか?

現物株で構成されるインデックスファンドは、巨額のマザーファンド、ベビーファンドの純資産額も相応の規模、運用会社の運用技術の3点で指数との乖離が少なくなります。

野村つみたて外国株投信は、ベビーファンドは小規模ですが、マザーファンドが我が国随一で、運用技術が極めて高いことから、乖離が非常に少なくなっているものと推測されます。

iFreeSP500は、マザーファンドがなく、ベビーファンドも20億円程度であり、運用技術も平均的(先進国株の信託報酬除くコストから推測)であることから、そこそこ乖離が発生しそうです(乖離がどの程度かは、同種のインデックスファンドがない以上、VOOと為替から手計算するしかありません)。

また、VTIを自分で買うのと楽天VTIのどちらがよいかですが、買う回数が多くなればなるほど平準化されていきますので、楽天VTIのほうが指数との乖離率の観点からは有利になるはずです(コスト増による悪影響がどの程度あるかは1年後の運用報告書を待つしかありません)。

ただし、VTIを買う人で、買うタイミングによって指数との乖離率が生じることを気にしている人を見たことがありませんので、この点は気にしても仕方ないことかもしれません。

ある程度まとまった金があり、ドルによる配当再投資の手間が気にならないのであれば、VTIを買ってしまうほうが何も悩まずに済むでしょう。
ただ、少額のドルで配当されても始末に困ります(再投資する際に手数料がかかるため)。

今は空前の超低コスト時代になりましたので、たわら先進国株か野村つみたて外国株投信を買ったほうが簡便ですし、気軽に追加投資することができます。

No title

ご回答ありがとうございました。

インデックスファンドの指数かい離要因は運用技術だけでなく、マザーファンドとベビーファンドの資産規模が重要だということを理解できました。

自分なりに回答いただいた内容を熟考して見た結果ひとつの結論を出せました。

・VTIを買うとしたら月1回程度の頻度になりますので、毎日買い付ける楽天の方が買い付けかい離率が低い

・ifreeSP500は、そこそこかい離率あるとはいっても、自分でVITを購入する方が買い付けかい離率が大きい

・楽天は資産規模が大きくなれば、資産規模に比して買い付け金額が小さくなっていくため、「買い付けかい離率」の「全体かい離率」に対する影響は極小になっていく
→自分でVTI買っても同じ

そう考えると、まさにたわら男爵さんが仰るとおり、楽天は自分でVTIをこまめに買うのをわずかなコストで代行してくれているということを理解できました。
ただ初期は買い付けかい離が与える影響が大きいですから、落ち着くまでifreeSP500にし、落ち着いたら楽天にしようと思います。

先進国株でしたら、迷わずたわら先進国株や野村つみたて外国株投信にすると思いますが、今はどうしてもSP500に惹かれています。

先進国株へ分散投資したほうが心は落ち着くと思いますが、自分の目標額には心もとないこと、過去の歴史から見た実績、金融資本家が根城とする米国がこの世紀も世界経済を主導していくと思えるため、僅かのリスクをテイクして米国集中投資していこうと思っています。

No title

コメントありがとうございます。

>そう考えると、まさにたわら男爵さんが仰るとおり、楽天は自分でVTIをこまめに買うのをわずかなコストで代行してくれているということを理解できました。

ETFを買うだけファンドは(つみたてNISA採用銘柄になるために目論見書で指数との連動性をうたうことはあったとしても、本心では)指数との連動性を目指してはいません。
なぜなら、ETFを買うことしかできないからです。

その意味で、iFreeSP500のような現物株運用の一般的な投資信託とは性質が異なるものです。

私は、ETFを買うだけファンドで重要なのは、ETFの信頼性とコストの2点だけだと考えています。
このうちコストは購入及び配当再投資代行手数料と整理すると、非常に分かりやすいと思います。
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プロフィール

たわら男爵

Author:たわら男爵
Painter:ますい画伯
http://www.masuitousi.com/

ブログ開始日 2016年3月1日

●リスク資産(6割)は「たわら先進国株」(楽天証券)とVT(SBI証券)をほぼ50:50でホールド中。
●つみたてNISA(SBI証券)では「たわら先進国株」を年初一括40万円購入。
●楽天カード投資(毎月1日)では「たわら先進国株」を毎月5万円購入(+特定口座で11日と21日に各5万円ずつ積立買付中)。
●SBI証券で「インデックスマラソン」の毎営業日100円投資を実行中。

●無リスク資産(4割)は、個人向け国債変動10(みずほ証券、SMBC日興証券)と楽天銀行(金利0.1%)。

パソコン版右端の「ブログ記事検索」と「カテゴリ」が便利です。

●「誰でもできる超簡単ほったらかし投資」(カテゴリ「【公開】誰でもできる究極の投資」)はこのブログの全エッセンスを1記事に凝縮したものです。
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