いま一括投資すべきではない

ご質問をいただきました。

初めまして。
インデックス投資を始めようと勉強を始めたばかりの初心者です。
貴ブログではいつも勉強させて頂いています。有難うございます!
是非お教え頂きたい事があるのですが、場所はこの欄で良いのか、また、その内容も・・と躊躇しましたが、勇気を出してお尋ねさせて下さい。
いま投資しようと思う資金が1000万程あります。購入に当たり、購入日を積み立てのように分散させた方が良いのか、一度に購入した方が良いのか、迷っています。
購入日を定期的に分散させるメリットをとると、資金が遊んでいる期間が生じてしまい勿体無い気がします。
つまらない質問ですが、お時間のある時で結構です。
アドバイスを頂けたら嬉しいです。どうぞよろしくお願いします。

早速回答します。

なお、このブログでは、ご質問を随時受け付けています。
その際は、最新記事のコメント欄に記載いただければ幸いです。

※よろしければ、次の記事もご覧ください。

●eMAXIS Slimシリーズ初の値下げへ。まずは先進国株から
http://tawaraotoko.blog.fc2.com/blog-entry-561.html#more

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1、結論
SBI証券で、たわら先進国株の毎営業日積立て(毎日8000円ずつ)をして、5年程度の時間をかけて資金を投入してください。
また、それとは別に、つみたてNISAを満額掛けることをお勧めします。

2、理由

現在の相場は、日経平均もダウも連日、最高値を更新しています。
たわら先進国株も、2015年12月の設定来の最高値です。

>購入日を定期的に分散させるメリットをとると、資金が遊んでいる期間が生じてしまい勿体無い気がします。

みんながそう思って株を買うと、株価はどんどん高くなっていきます。
株価は株式会社の清算価値ですから、その会社の将来の成長を先取りして取り込むにしても限度があります。
そして、その会社の現在及び将来の価値を離れ、「儲かりそうだ」という期待で多くの人が投資をする状況を「バブル」と呼びます。

今が「バブル」かどうかは誰にも分かりません。今が「バブル」だったとしても、それが分かるのはバブルがはじけた数年後だからです。
しかし、仮に今が「バブル」だったとしても、資本主義社会では富は自己増殖しますから、一旦はバブルがはじけて株価は急落するとしても、資本主義社会が継続する限り、数年後には株価は回復し、今の株価よりも上がっていくことでしょう。

問題は、仮に今が「バブル」だったとして、一括投資をした場合、バブルがはじけた後の巨額の含み損に接したとき、損切りの美名で自分に言い訳し、解約してしまわないかどうかということです。
この気持ちのことをマルキール先生は「リスク選好度」と呼びました。

マルキール先生は、次のように述べます。

投資の原則を個々の投資家向けに応用する際に、一番重要な問題は投資家個々人のリスク選好である。
毎年のポートフォリオの価値は結構変動するが、それを我慢して見守るだけの忍耐強さが必要なのである。2008年に株式市場全体が50%近くも暴落したのを、あなたはどのように受け止めただろうか。そういう事態が起きた時に、胃が痛くて夜も眠れないというのであれば、株式の保有割合を減らすべきだ。
(「ウォール街のランダム・ウォーカー原著第11版」448頁)

ドル・コスト平均法の問題点として学者たちが強調するのは、遺産相続などによって手に入れたまとまった金額を投資する際には、必ずしもリターンが最大になる投資方法とは言えないということである。
もし全額を株式に投資して、その直後に相場が下落に転じるようなら、確かに投資した人は大いに後悔するに違いない。単に値下がり損を被るばかりか、ひどい自己嫌悪に陥るだろう。
ほとんどの投資家にとって本質的な問題は、悲観論が蔓延するような相場下落の局面でも、動揺しないで株式投資を続けられる固い意思があるかどうかということである。
相場が下落したからといってやめてしまっては、元も子もないのだ。
(同署440~441頁)

投資の経験者でなければ、相場を読むこと(今が買い時かどうかを判断すること)はできません。
投資の経験者であれば、保有している投資信託の含み益がすごい勢いで減っていき、含み損に転化し、含み損がすごい勢いで増えていきますので、「買い時=含み損がすごい額になったとき」という判断ができます。

そのときに、ビビッて解約してしまうか、チャンスだと考えて追加投資に踏み切るかは、まさにその人のリスク選考度によります。
このリスク選考度とは、言葉を換えれば「ビビらない気持ち」のことです。
しかし、自分がビビるかどうかは、実際に極限状況に立ってみないと分かりません。

ドルコスト平均法による投資のメリットは、リスク資産がなかなか増えないということです。
リスク資産がなかなか増えませんから、リスクにさらされたとき、含み損は少額で済みます。まだ手元に豊富なキャッシュがあることから、相場の暴落は安く買えるバーゲンセールであると喜ぶ余裕も生まれます。

これに対し、一括投資のほうが合理的であると主張する人がいます。
私もそう考えます。
これまでいろいろな人がいろいろな試算をしていますが、どの試算でも、一括投資とドルコスト平均法を比較したとき、より儲かるのは一括投資のほうです。
「積立投資のすべて」という本を書いた星野泰平さんも、「圧倒的に一括投資のほうが平均的に利益を上げている。」と述べているくらいです。
【参考記事】
●積立投資は保険である
http://tawaraotoko.blog.fc2.com/blog-entry-435.html

上記記事の中で、私はこのようにまとめました。

一括投資に比べ、積立投資はリターンの点でもリスク(ここでは損をしない可能性という意味)の点でも劣ります。
リスク資産を買ったほうが儲かる可能性が高いからこそ、みんなリスク資産を買うわけですから、より多額の資産をより早期にリスクにさらす一括投資のほうが儲かる可能性が高いに決まっています。
しかし、我々は、儲けの一部を諦めるというコスト(山崎先生の言う「機会コスト」)を支払って、狼狽売りの防止という保険を手に入れるためにドルコスト平均法で積立投資を行うのです。

というわけで、私は、一括投資をすることには反対です。
そして、ドルコスト平均法で投資すると決めたら、自分で決めた期間が終わるまでやり続けるべきです。

最後に、マルキール先生のお言葉をお贈りします。

ドル・コスト平均法は、決して株式投資のリスクを取り除く万能薬ではない。市場全体が大きく下げる時に、その影響を免れるような投資プログラムなどありえないのだ。
そして、たとえ空にどんな暗雲が垂れ込めていても、ドル・コスト平均法のメリットを享受するためには、信念を持って投資し続けなければならない。新聞の金融欄が恐ろしいニュースであふれて悲観論一色になっていても、自動継続投資プランは中断してはいけない。
というのは、もしやめてしまえば、株価が暴落してまたとないバーゲン価格で追加の株が入手できるという、このアプローチの最大のメリットを放棄することになってしまうからだ。
どんな相場環境下でも買い続けることによって初めて、あなたの平均購入単価が平均株価よりも低くなるのだ。
なぜかと言うと、この方式の下では株価が安い時にはより多く、高い時にはより少ない株数を購入することになるからである。
(同書439~440頁)

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コメント

ツイッターへのリンクですが。

こんにちは!
いつも興味深く拝見しております。
最新情報と更新の素早さにいつも敬服しているのですが、ツイッターで記事をご紹介したくてもツイッター等のリンクボタンが無く、何か考える所があるのかと躊躇している所です。
この点、是非お考えをお聞かせください!

No title

コメントありがとうございます。

>ツイッターで記事をご紹介したくてもツイッター等のリンクボタンが無く、何か考える所があるのかと躊躇している所です。

私はツイッターをやっていないことから、ツイッターのリンクと言われてもピンとこないのですが、現状だと何か具合が悪いのでしょうか?

なお、当ブログはリンクフリーですので、どのような形であれご紹介いただけるのはうれしいです。

No title

投資に対する考えが共感でき、いつも参考にしています。

積立投資か一括投資か、この議論はとても奥深いです。
なぜなら、一括投資が合理的にもかかわらず、積立投資を選ぶ人がいるからです。
決して積立投資が間違っていると思いません。
「高値で買ったらどうしよう!」
私も大変気持ちがわかります。

「圧倒的に一括投資のほうが平均的に利益を上げている。」
この言葉に「圧倒的に」と「平均的に」という二つの文字が使われています。
特に「平均的に」がとても気になります。
確かに平均的な利益を上げることが確率的に多いと思います。
しかし、そうでない場合も可能性としてはありえると思います。
例えば、2006年の天井で一括1000万購入した人は、2016年の底で売った場合、いくら儲けが出ているのでしょうか?
おそらく平均的な利益は出せてないように思います。
(これらを具体的に計算したホームページがあれば面白いと思います)

「天井で買ったらどうしよう」
もしかしたら、暴落と同じくらい天井も怖いのかもしれません。

No title

 たわら男爵さま

とてもご丁寧なご回答を有難うございました!
何度も読み返させていただきました。

短期の上げ下げはあるものの、長期的には値上がりすると判断しているからインデックス投資をしようと思いました。
ならば、最初に一括で購入したほうがトータルのリターンは大きいのではないかと思いました。

また、この資金は全くの余裕資金で、例え半分の値になったとしても狼狽売りはしないと(多分)断言できるということ。

以上のことから、一括購入(といっても1つの商品には2~300万位ずつですが)に気持ちが傾いたのですが、いやしかしドルコスト法による購入も・・・と迷っていました。

でも、たわら男爵さんが仰っておられること、また、引用してくださったこと、とても納得できます。

いまの相場は過熱しているような気もしますし、少しずつ投資していきます。
(5年かけて積み立てるなら、その間の残りの資金はどうしよう・・)

この度は貴重なお時間を割いてご回答頂き、本当に有難うございました!

たわら男爵さんが書いておられる記事、過去にさかのぼって熟読し、勉強させて頂きます。

これからもブログの更新を楽しみにしています!



No title

参考にしていただけて、よかったです。

>この資金は全くの余裕資金で、例え半分の値になったとしても狼狽売りはしないと(多分)断言できるということ。

実際に暴落の現場を経験しないと、あのおそろしさは実感できません。
みんなが「もう資本主義社会は終わった。株価が回復することはない」とパニックになるわけです。
自分だけは大丈夫なはずはなく、必ず、みんなと一緒にパニックになります。

このようなときにスポット購入などできませんので、マルキール先生のお言葉どおり、事前に「自動継続投資プラン」を設定して放置しておくべきです。銀行口座に金がある限り、自動継続投資プランが淡々と安値買いを続けてくれます。

>5年かけて積み立てるなら、その間の残りの資金はどうしよう

楽天銀行の普通口座に入れておけば、0.1%の金利が付きます。
楽天銀行を証券口座の引き落とし口座に設定しておけば、暴落相場でも自動的に買ってくれるでしょう。

インデックス投資は、リスク市場に長く生き残れた人だけが儲かる投資方法です。
お互い、長く生き残れることをお祈りしています。

No title

てつ&どうさん
コメントありがとうございます。

>「圧倒的に一括投資のほうが平均的に利益を上げている。」

これは平均利益率の項目(同書319頁)の記載です。
同書によると、「積立投資よりも一括投資のほうが2.3倍儲かった」ことになります。
同書の試算は1989年12月から2010年12月までの252か月のうちの始点を1か月ずつずらした全ての120か月分、合計133回です。

>例えば、2006年の天井で一括1000万購入した人は、2016年の底で売った場合、いくら儲けが出ているのでしょうか?

2008年1月9日に新規設定されたSMTグローバル株式の基準価額は、2009年3月10日には4116円に下落しています。
もし一括投資をしていたとしたら、大抵の人はこのような状況には耐えられないはずです。

私は、インデックス投資において重要なのは儲けではなく、市場に居続けることだと考えています。
市場に居続けていれば、儲けは指数の期待リターンという形で後からついてくるものだからです。
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プロフィール

たわら男爵

Author:たわら男爵
Painter:ますい画伯
http://www.masuitousi.com/

ブログ開始日 2016年3月1日

●リスク資産(6割)は「たわら先進国株」(楽天証券)とVT(SBI証券)をほぼ50:50でホールド中。
●つみたてNISA(SBI証券)では「たわら先進国株」を年初一括40万円購入。
●楽天カード投資(毎月1日)では「たわら先進国株」を毎月5万円購入(+特定口座で11日と21日に各5万円ずつ積立買付中)。
●SBI証券で「インデックスマラソン」の毎営業日100円投資を実行中。

●無リスク資産(4割)は、個人向け国債変動10(みずほ証券、SMBC日興証券)と楽天銀行(金利0.1%)。

パソコン版右端の「ブログ記事検索」と「カテゴリ」が便利です。

●「誰でもできる超簡単ほったらかし投資」(カテゴリ「【公開】誰でもできる究極の投資」)はこのブログの全エッセンスを1記事に凝縮したものです。
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