ベビーファンドの純資産額が小さいことによるデメリット

私は、1年5か月前、パッシブファンドを選ぶときの判断要素として、

1、信託財産は多額か
2、信託報酬を含む実質コストは低額か

という2点が重要であるとお伝えしました。
http://tawaraotoko.blog.fc2.com/blog-entry-8.html#more

詳細は上記の記事をご覧いただくとして、上記記事では、巨額のマザーファンドがあるベビーファンドであれば、新設されたものでもよいのかについてはあえて明言していません。

そこで、今回はこの点についてお伝えします。

※1 「パッシブファンド」
一定の指数(ベンチマーク)に追随することを目的とする投資信託のこと。パッシブは受け身という意味。
対義語は「アクティブファンド」。

※2「ベビーファンド」
マザーファンドを買うだけの投資信託のこと。マザーファンドの赤ちゃんという意味。
投信会社としても、ファンドごとに現物株を買って運用するのは大変なので、ファンドは集金のチャンネルとしての役割に特化し、集めた金は一か所でまとめて運用したほうがよいとの判断で、マザーファンド形式のインデックスファンドが主流派となっている。
対人窓口販売用のイーマクシスとネット販売専用のイーマクシススリムができた理由も、マザーファンド形式だから。

広告

結論から言えば、

(1)ベビーファンド自体の純資産額も多ければ多いほどよい
(2)巨額のマザーファンドを買うだけのベビーファンドであれば、純資産額が増えるまでの間は、コスト、指数との乖離の2点で不利になるものの、買い控えをするほどではない

ということになります。

まず、ベビーファンドの規模が小さければ小さいほど、コストがかかります。
いくらマザーファンドを買うだけとはいっても、ひとつのファンドを運営する以上、どうしても固定費が掛かります。

この固定費は、

(1)信託報酬で賄うべきもの
(2)ファンドの実質コストとしてファンドが負担すべきもの

があります。

人件費、事務所家賃、光熱費、什器備品などは信託報酬で賄うべきものですが、マザーファンドのファンドマネージャーをベビーファンドのファンドマネージャーを兼務させることでほぼゼロにできます。
そのため、たわらシリーズにせよ、スリムシリーズにせよ、信託報酬を下げることができるわけです。
【参考記事】
たわら先進国株のファンドマネージャーはマザーファンドのファンドマネージャーが兼務しています
http://tawaraotoko.blog.fc2.com/blog-entry-262.html#more

これに対し、為替手数料、株式売買手数料、監査費用、指数の利用料は、ファンド自身が負担する実質コストとなります。

為替手数料や株式売買手数料は、実際に現物株を購入するマザーファンドから請求されるものであるため、ベビーファンドの規模が小さくても関係ありません(ベビーファンドの規模に応じて請求されるため)。

これに対し、監査費用や指数の利用料は、ベビーファンド自身が負担しなければなりません。

監査費用とは、監査法人に支払う報酬のことです。
監査法人との報酬契約の詳細は知りませんが、ファンドの規模が大きくても小さくても労力は変わらないこと(ゼロを付ける数が違うだけ)、同じ監査法人に多数のファンドの監査の依頼をしているであろうことから、ファンドの規模に関係ない固定費であると推測されます。
とすれば、ファンドの規模が大きくなればなるほど、1万口あたりの監査費用は低額になります。

指数の利用料(ライセンスフィー)は、正直、よく分かりません。
しかし、以下の記事を見て、何となく理解できました。

「MSCI勉強会に参加 指数のライセンスフィーの仕組みを詳しく聞いてきました」
http://longinv.blog103.fc2.com/blog-entry-2287.html#more

上記記事によれば、

(1)ライセンスフィーには2種類ある
(2)月報や運用報告書に指数情報を掲載するための利用料は固定額であり、数百万円程度
(3)インデックスファンドのベンチマークとして指数を利用するための利用料は一定の割合であり、0.03~0.05%程度。ファンドの信託報酬が安ければ安い率で済む

ということです。

このように、ベビーファンド自身の規模が大きければ大きいほど、ベビーファンド自身のコストが希釈化され、1万口あたりの費用は少なくなります。
これがベビーファンドの純資産額が小さいことによるデメリットその1です。

つぎに、ベビーファンドの純資産額が小さいことによるデメリットその2は、新規流入資金の留保額がベビーファンドに与える影響が大きくなる点です。

以前、私が電話したところ、以下の回答を得ました。
http://tawaraotoko.blog.fc2.com/blog-entry-262.html#more

たわら先進国株に対する注文(購入、解約)は、その日の15時で締め切られ、その後に証券会社を経由して当社にデータが届きますが、当日に入手できるデータは概算額に過ぎず、注文額が確定するのは翌日になります。
これはシステム上、どうしても避けることができないことから、マザーファンドにできるだけ迷惑を掛けないように、概算額よりも2~3%低い金額(たわら先進国株に2~3%の現金が残るような形)でマザーファンドに注文を出すことになります。
つまり、たわら先進国株は、常に日々の注文額の2~3%の現金を保有していることになりますので、その限度でマザーファンドとの乖離が生じることになります。

その際、投信会社の担当者が強調していたのは、マザーファンドの規模がいくら大きくても、ベビーファンドの規模が小さければ、日々の新規流入資金の影響を受けてしまい、どうしても指数と乖離してしまうが、ベビーファンドが育ってくれば、新規流入資金がベビーファンドに与える影響が小さくなることから、指数と乖離する度合いは減り、運用が安定してくるということでした。

このようなことから、ベビーファンドの純資産額が増えるのを待ち、具体的には第1回目の運用報告書を見てから乗り換えるという投信ブロガーもいます。

しかし、ベビーファンドの運用が安定しない理由は、ひとえに純資産額が少ないからです。ベビーファンドの純資産額はベビーファンドを買う人が増えなければ増えません。
第1回目の運用報告書を見て乗り換えるというのは、まさにペンギン作戦であり、潔くありません。

※ペンギンは、ヒョウアザラシに捕食されることを防ぐため、まず最初の1匹が氷上から海に飛び込み、その安全を確認してから一斉に飛び込みます。もちろん、誰も最初の1匹にはなりたくないため、氷上でおしくらまんじゅうをし、押し出された不運な1匹が犠牲となるわけです。

というわけで、私は、たわら先進国株がリリースされた当日に多額の購入をし、その後も既保有投信を解約してはたわら先進国株を同日購入することを繰り返してきました。

いまではたわら先進国株の純資産額は100億円を超えましたので、ベビーファンドの純資産額が小さいことによるデメリットは考慮しなくてもよくなりました。
むしろ、上記のペンギン作戦を採用し、様子見をしてニッセイ外国株をホールドしていた人がひどい目にあいました。
【参考記事】
たわら先進国株、ニッセイ外国株を0.412%上回る(11/9~1/16)
http://tawaraotoko.blog.fc2.com/blog-entry-292.html

氷上で様子見をしていたところ、後ろからシロクマに襲われたようなものですね。

というわけで、昨日の記事で言及したとおり、イーマクシススリムダウ、イーマクシススリム全世界株(除く日本)がリリースされたとしても、ベビーファンドの規模が小さいことによるデメリットを避けることはできません。
そのため、同率1位作戦がどこまで通用するかは疑問です。

なお、イーマクシススリムシリーズの唯一の成功例は8資産バランスですが、これはiFreeと形式的には同率1位作戦であるものの、iFreeの新興国株はスマートベータ指数であることから、実質的には単独1位となったためです。
同率1位作戦をとった、日本株、先進国株、国内債券、先進国債券は、純資産額が先進国株だけは9億ですが、その他はすべて3億円台にとどまっており、今後が非常に不安な状況となっています。

広告

コメント

非公開コメント

広告

プロフィール

たわら男爵

Author:たわら男爵
Painter:ますい画伯
http://www.masuitousi.com/

ブログ開始日 2016年3月1日

●リスク資産(6割)は「たわら先進国株」(楽天証券)とVT(SBI証券)をほぼ50:50でホールド中。
●つみたてNISA(SBI証券)では「たわら先進国株」を年初一括40万円購入。
●楽天カード投資(毎月1日)では「たわら先進国株」を毎月5万円購入(+特定口座で11日と21日に各5万円ずつ積立買付中)。
●SBI証券で「インデックスマラソン」の毎営業日100円投資を実行中。

●無リスク資産(4割)は、個人向け国債変動10(みずほ証券、SMBC日興証券)と楽天銀行(金利0.1%)。

パソコン版右端の「ブログ記事検索」と「カテゴリ」が便利です。

●「誰でもできる超簡単ほったらかし投資」(カテゴリ「【公開】誰でもできる究極の投資」)はこのブログの全エッセンスを1記事に凝縮したものです。
●カテゴリ「この投資信託がすごい」では、ベストバイファンドの具体名を明示しています。
●カテゴリ「インデックスファンドの基礎知識」を読めば、誰でも簡単に投資信託の必須知識を得ることができます。

新着記事通知用のツイッターアカウントはこちら。
https://twitter.com/tawaradanshaku

インデックス投資家必読の書

ブログ記事検索

他の投信ブログはこちら

管理