東芝に対する提訴はコストの無駄遣い

東芝に対し、インデックスファンドが相次いで提訴しています。

「2015年に発覚した不正会計問題による株価下落で損失を被ったとして、信託銀行11行は7日までに、東芝に計約140億円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴した。」
http://www.jiji.com/jc/article?k=2017040701154&g=eco

●三井住友トラストアセットマネジメント
http://www.smtam.jp/shared/pdf/news/20170424.pdf
代表的なインデックスファンドは、SMTシリーズ

●三井住友アセットマネジメント
http://www.smam-jp.com/documents/www/NEWS/fund/migration/news_20170502_toushiba.pdf
代表的なインデックスファンドは、三井住友DC日本株S

広告

ブロガーの中では、これを評価する人がほとんどです。
しかし、私は反対です。

理由1)
コスト(印紙代、弁護士費用)が掛かること。

記事のとおり、140億円で提訴し、140億円の勝訴判決が出たとすると、印紙代2002万円、弁護士費用8億5107万円(着手金2億8369万円、報酬5億6738万円)の合計8億7109万円のコストが掛かります。

※ このうち、印紙代と着手金は1審提訴時、報酬は勝訴判決確定時にそれぞれ支払う必要があり、実際に東芝から回収できなくても満額の報酬を支払う必要があります。また、1審で完全勝訴しても、東芝から控訴されると、新たに着手金(1審着手金と同額)を支払う必要があります。
東芝と控訴審まで徹底的に争い、控訴審判決が確定した時点で東芝が破綻すると、東芝から1円も回収できないのに10億円以上のコストを負担しなければならないリスクがあります。
また、東芝も自分の弁護士に同額の着手金を支払う必要があります。

真の勝者は双方の弁護士のみということになりそうです。

印紙代
http://www.courts.go.jp/vcms_lf/315004.pdf
弁護士費用
http://www.miyaben.jp/consultation/pdf/expenses_kijun.pdf

理由2)
東芝が破綻すれば、8億7109万円のコストが回収不能となり、最終的には、ファンドの経費として顧客が負担する結果となること。

※ 繰り返しますが、弁護士の報酬は、東芝からの回収の事実に関係なく、勝訴判決が確定した時点で支払わなければなりません。

理由3)
東芝が破綻せず、東芝から弁償を受けたとしても、それによって得をするのは東芝からの弁償金が入金された時点の顧客であって、現時点の顧客ではないこと。

理由1の経費(弁護士費用の報酬を除く部分)は、現時点の経費として、現時点の顧客が負担することになります。
現時点の顧客が弁償金の入金時までずっとファンドを保有していれば損はしませんが、途中で売却すると、基準価格から差し引かれた経費はそのままとなります。

したがって、勝訴した時点で三井住友DC日本株Sを買っておけば、弁償金が入金されなくても経費を負担していないことから損はせず、もし弁償金が入金されればノーリスクで得だけすることになります(弁護士報酬がファンドから支払われた後に買わないと、弁護士報酬を負担してしまうことになります)。

もっとも、東芝はメモリ事業を手放しておしまいでしょうから、果たして弁償金が入金されるのかは疑問です。
とはいえ、既存の顧客はコストを負担してしまった後ですから、もうどうしようもないですね。

とここまで書いて気づきましたが、私も、たわらTOPIXに乗り換えるため、4月26日に6万7807円の三井住友DC日本株Sを売却しています。

なんてこったい。

広告

コメント

非公開コメント

広告

プロフィール

たわら男爵

Author:たわら男爵
Painter:ますい画伯
http://www.masuitousi.com/

ブログ開始日 2016年3月1日

●「たわら先進国株」と「VT」を半分ずつ保有中。
●つみたてNISA(SBI証券)は「たわら先進国株」を年初一括購入中。
●クレジットカードによる投信積立サービスを利用し、SBI証券・楽天証券・auカブコム証券で「たわら先進国株」を毎月5万円ずつ購入中。

●無リスク資産は、個人向け国債変動10とauじぶん銀行(金利0.2%)。

パソコン版右端の「ブログ記事検索」と「カテゴリ」が便利です。

●「誰でもできる超簡単ほったらかし投資」(カテゴリ「【公開】誰でもできる究極の投資」)はこのブログの全エッセンスを1記事に凝縮したものです。
●カテゴリ「この投資信託がすごい」では、ベストバイファンドの具体名を明示しています。
●カテゴリ「インデックスファンドの基礎知識」を読めば、誰でも簡単に投資信託の必須知識を得ることができます。

新着記事通知用のツイッターアカウントはこちら。
https://twitter.com/tawaradanshaku

インデックス投資家必読の書

ブログ記事検索

他の投信ブログはこちら

管理