eMAXISがeMAXIS先進国株の値下げではなく、eMAXIS Slim先進国株を新設した理由

三菱UFJ国際信託は、絶対値下げ宣言をするに当たり、eMAXIS先進国株の値下げではなく、eMAXIS Slim先進国株の新設という方法を選択しました。

なぜか。

その理由は簡単です。
eMAXIS先進国株を値下げすると損をするからです。

広告

eMAXIS先進国株の信託報酬は税抜0.6%です。内訳は、投信会社0.27%、販売会社0.27%、信託会社0.06%です。
これに対し、eMAXIS Slim先進国株の信託報酬は税抜0.2%。内訳は、投信会社0.09%、販売会社0.09%、信託会社0.02%。

そう、三菱UFJ国際投信の儲けが単純に3分の1に減ることになります。
信託報酬は信託財産の増減に連動して増減しますので、信託報酬率を3分の1に減らす以上、信託財産が3倍に増えて初めて損益とんとんとなるわけです。

eMAXIS先進国株の信託財産は355億3300億円です。この3倍は1065億9900万円となります。
つまり、もしeMAXIS先進国株の信託報酬を0.2%(うち投信会社の取り分0.09%)に減らすと、信託財産が1065億9900万円以上に増えない限り、三菱UFJ国際投信は損することになるわけです。

ニッセイ外国株の新規設定日(2013年12月10日)の前日→現在の信託財産

●ニッセイ外国株 0円→403億4700万円
たわら先進国株 0円→66億9800万円
●iFree外国株 0円→4億9000万円
●SMTグローバル株式 275億4200万円→539億4000万円
●外国株式インデックスe 97億7000万円→143億4700万円
●eMAXIS先進国株 135億0600万円→355億3300万円
●Funds-i外国株 10億7800万円→63億8800万円
インデックスファンド海外株式 101億2100万円→95億4100万円

合計 620億1700万円→1672億8400万円

つまり、1065億9900万円は、現在のめぼしい先進国株投信の合計額の3分の2(63.72%)になります。
これをeMAXIS先進国株が独占するのは不可能です。

というわけで、eMAXIS先進国株の値下げではなく、新ファンドの新設という方法を選択したのだといえます。

なお、販売会社の説得が難しかったので、やむなく新ファンドを新設したとの見立ては、私は間違いだと思います。
値下げしてもっと儲かるのであれば、販売会社は喜んで値下げに応じるでしょう。しかし、値下げすると確実に損をして、その損を取り戻すことができそうにないことから、今から振り返れば、三菱UFJ国際投信はeMAXIS先進国株を値下げする気など当初から全くなかったということなんでしょうね、きっと。

なお、投信ブロガーの中には、「フィデューシャリーデューティー」という観点から熱弁をふるう人がおられます。
私は、世の中はそんなきれいなものではなく、大義は本音を隠すための方便にすぎないと思っています。
得をするか損をするかということでしか物事は動きませんし、「フィデューシャリーデューティー」を掲げる投信会社は、そうした方が自社が儲かると考えているからそうしているだけにすぎないと理解すべきです。

三菱UFJ国際投信は「うちも顧客のために超低コスト競争に参加してまっせ」という振りをしつつ、他社のこれ以上の値下げ競争を阻止するという高等戦術に出ました。

さて、これからどうなるのでしょうか。

超低コスト投信どうしの生存を掛けた切りあいになるか、あるいは0.2%を下限とする暗黙のカルテルを結ぶのか。
少なくとも、超低コストを宣伝文句にして参入したたわら先進国株は、早急に対抗値下げをしないと、緩慢な死を迎えるだけであることは確実と言えます。

なお、信託報酬が税込0.9072%のインデックスファンド海外株式の現在の信託財産の金額がニッセイ外国株登場時とほぼ同額であるということは、他社で安い投信が発売されたとしても、普通の人は保有ファンドを売却してまで乗り換えることはしないということを意味します。
投信ブロガーの中にも、いまだにSMTグローバル株式を保有している人がいるくらいです。

一般に、投信会社が既存ファンドの値下げではなく新ファンドを新設するのは、既存ファンドから新ファンドに乗り換える顧客は多くはないことから、既存ファンドの儲けをしっかり確保するためだといえるでしょうね。

広告

コメント

たわらノーロードが信託報酬の引き下げに踏み切れないのは同じ理由だからでしょうね。なかなか信託財産を増やせていないですし。

この前だと、相対的に魅力が下がる一方なので、頑張って大幅な値下げを見せて欲しい所です

No title

コメントありがとうございます。

たわら先進国株は値下げのタイミングを計っているはずです。
eMAXIS Slim先進国株がニッセイ外国株と横並びにとどまったことから、機は熟しましたので、きっと近日中に値下げするでしょう。

なお、たわら先進国株の投信会社の報酬はニッセイ外国株と同額ですので、販売会社と信託会社の報酬をニッセイ外国株と同額に引き下げるだけでニッセイ外国株と同額(税抜0.2%)に下げることができますから、値下げのハードルは極めて低いです。

No title

たわらが同額報酬まで下げたとしても、業界最大手のSBI証券がニッセイ外国株にオススメマークをつけている以上、売上でニッセイに勝つことは難しいかもしれませんね。
細々とでも良いから長く続けてほしいものです。マザーファンドベースでの純資産増加ペースは三菱と旧DIAMどちらが多いか面倒で調べてませんが、旧DIAMは一昨年に3000億円から大幅に流出があったようなので、その後どうなってるかは気になるところです。

No title

コメントありがとうございます。

>細々とでも良いから長く続けてほしいものです。

信託報酬を含む実質コストで他社に負ければ、もはやたわら先進国株に存在意義はなくなります。
そのときは私を含めて顧客に見捨てられことになるでしょう。
私は、いまがたわら先進国株にとっての正念場だと考えています。

やるべきことをすべてやり、その上で新規流入資金の増加を願うことこそが本道といえましょう。

なぜそこまで、たわらノーロードに肩入れというか、消耗されるのでしょうか?新しい低コストで、いいと思えるファンドが設定されたら、乗り換えていけば良いだけでは?
既に多額の積立をされているのでしょうから、たわらに固執される気持ちが分からなくもないですけれど

No title

コメントありがとうございます。

>なぜそこまで、たわらノーロードに肩入れというか、消耗されるのでしょうか?

そこを指摘されると、このブログの存在意義がなくなります。
そもそも、私は「たわら男爵」と名乗っているわけですし。

>新しい低コストで、いいと思えるファンドが設定されたら、乗り換えていけば良いだけでは?

現状では、スリムを考慮してもなお、たわら先進国株がベスト先進国投信であることは変わりません。
とはいえ、私としては、もっとメジャーになってほしいですし、相撲で例えるなら、インデックス投信界の横綱になってほしいのです。
非公開コメント

広告

プロフィール

たわら男爵

Author:たわら男爵
Painter:ますい画伯
http://www.masuitousi.com/

ブログ開始日 2016年3月1日

●リスク資産(6割)は「たわら先進国株」(楽天証券)とVT(SBI証券)をほぼ50:50でホールド中。
●つみたてNISA(SBI証券)では「たわら先進国株」を年初一括40万円購入。
●楽天カード投資(毎月1日)では「たわら先進国株」を毎月5万円購入(+特定口座で11日と21日に各5万円ずつ積立買付中)。
●SBI証券で「インデックスマラソン」の毎営業日100円投資を実行中。

●無リスク資産(4割)は、個人向け国債変動10(みずほ証券、SMBC日興証券)と楽天銀行(金利0.1%)。

パソコン版右端の「ブログ記事検索」と「カテゴリ」が便利です。

●「誰でもできる超簡単ほったらかし投資」(カテゴリ「【公開】誰でもできる究極の投資」)はこのブログの全エッセンスを1記事に凝縮したものです。
●カテゴリ「この投資信託がすごい」では、ベストバイファンドの具体名を明示しています。
●カテゴリ「インデックスファンドの基礎知識」を読めば、誰でも簡単に投資信託の必須知識を得ることができます。

新着記事通知用のツイッターアカウントはこちら。
https://twitter.com/tawaradanshaku

インデックス投資家必読の書

ブログ記事検索

他の投信ブログはこちら

管理