ソースはこちら。
https://emaxis.jp/text/release_230315.pdfプレスリリースによると、信託報酬は、
税抜 0.0880%→0.0852%
税込 0.0968%→0.09372%
となります。
プレスリリースには、実に興味深い記載があります。
こちらです。
以下の引き下げは他社類似ファンドの情報を元に決定されたものです。今後も引き続き、他社類似ファンドの運用コストに注意を払い、業界最低水準の運用コストをめざします※
※業界最低水準の運用コストを目指す一環として、公正な比較の対象となる他社類似ファンドに係る信託報酬率が当社ファンドを下回る場合、ファンドの継続性に配慮した範囲で信託報酬率を引き下げることを基本とします。ただし、信託報酬率が業界最低水準となることを、保証等するものではありませんのでご留意ください。「業界最低水準の運用コストをめざす」ことの意味が
顧客にとって不利益な方向にどんどん変わっていることが気になります。
今回は「
ファンドの継続性に配慮した範囲で信託報酬率を引き下げる」ことが明記されるに至りました。
スリム米国株はS&P500をベンチマークとするものですが、同ファンドが「業界最低水準の運用コストをめざす」のはS&P500ファンドに限りません。米国株インデックスファンドであれば何でも対象となります。
同ファンドより信託報酬が安い米国株インデックスファンドは、次の5ファンドです。
●SBI・V・S&P500、SBI・V・全米株、iシェアーズ 米国株式
税抜信託報酬 0.088%
税込信託報酬 0.0938%
●PayPay投信米国株インデックスファンド
税抜信託報酬 0.085%
税込信託報酬 0.0915%
●PayPay投資信託インデックスアメリカ株式(2023年3月22日に新規設定)
税抜信託報酬 0.076%
税込信託報酬 税込0.0806%
となります。
これらはいずれも米国ETFを買うだけファンドですので、米国ETFの経費率には日本の消費税が課税されません。
そのため、スリムシリーズは、米国ETFを買うだけファンドに対抗するときは
税抜信託報酬を基準にしてきました。
今の信託報酬である税抜0.088%は1~3番目のファンドの税抜信託報酬と同額ですし、今回の税抜0.0852%は4番目のファンドの税抜信託報酬0.085%とほぼ同額です。
3月22日に税抜信託報酬0.076%で5番目のファンドが新規設定されるわけですから、本来であれば5番目のファンドの税抜信託報酬をターゲットにして対抗値下げを発動しなければならなかったところ、4番目のファンドをターゲットにしたということの意味は、
1,スリム米国株としてはこれ以上の値下げはしたくなかったので、4番目のファンドは無視してきた。
4番目のファンドはよく分からない米国ETFを買うだけファンドであったこともあり、顧客もそれほど反発しなかった。
2,しかし、PayPay投信は空気を読まず、更なる低コストの米国株ファンド(5番目のファンド)を投入してきた。
しかも、5番目のファンドはVTIを買うだけファンドであり、よく分からない米国ETFに投資する4番目のファンドとは違うので、5番目のファンドを無視するとかなりの批判を受けることが想定される。
3,そこで、4番目のファンドが新規設定から満1年を迎える2023年3月16日の直前である3月15日、4番目のファンドに対抗する体裁で信託報酬の引き下げを公表することにした。
こうすることで、5番目のファンドに対抗値下げをするまでの時間を1年間、稼ぐことができる。具体的には、
●スリムシリーズ、信託報酬の引き下げ競争から離脱http://tawaraotoko.blog.fc2.com/blog-entry-2647.htmlこのようなことを言う人が増える事態を防ぎたい。
といったようなことなのでしょうね。
ただ、私が予想するに、
SBI・V・S&P500とSBI・V・全米株は、5番目のファンドの水準まで値下げを断行すると思います。
なぜなら、スリム米国株が信託報酬を引き下げた以上、スリム米国株を追う立場であるSBI・V・S&P500とSBI・V・全米株も信託報酬を引き下げざるを得ないわけですが、後出しでスリム米国株と同額に引き下げたとしてもインパクトが全くなく、スリム米国株に勝てないからです。
新規設定から満1年を迎えるのに純資産額が4億円に満たないPayPay投信とは異なり、SBI・Vシリーズの純資産額は
VOOを買うだけファンド 7908億円
VTIを買うだけファンド 1326億円
ですから、仮にSBI・Vシリーズが5番目のファンドの水準まで信託報酬の引き下げたとしたら、スリム米国株は対抗値下げに動かざるを得ないでしょう。
ただ、今回、1年遅れとはいえ対抗値下げをするという実績を作ったことから、SBI・Vシリーズが信託報酬の引き下げをしたとしても5番目のファンドの新規設定日の1年後(2024年3月21日)までは引き延ばすかもしれません。
【2023.3.16 15:40追記】
コメント欄で、たわらS&P500に対抗したのではないかとのご指摘をいただきました。
私は知らなかったのですが、エディネットで確認すると、3月14日午前9時3分に有価証券届出書が公開されています。
それによると、アセットマネジメントONEは、たわらノーロードシリーズにS&P500インデックスファンドを新規設定するとのことです。
信託報酬は税抜
0.0852%です。
スリム米国株の値下げ後の税抜信託報酬と一致しますので、明らかにたわらS&P500の信託報酬に合わせたものと思われます。
とはいえ、私は、スリム米国株がたわらS&P500に対抗値下げしたとは思いません。
というのは、スリム米国株が信託報酬の引き下げを発表したのは3月15日であり、実質1営業日しか時間がないからです。
これまでPayPay投信を無視し続けてきたスリム米国株が、たわらノーロードシリーズがより低コストなS&P500ファンドを新規設定したからといって即座に対抗値下げに踏み切るとは思えません。
私は、次のように考えています。
PayPay投信米国株インデックスファンドに対抗値下げするかどうかについて、新規設定から1年を超えて無視するのはさすがに無理があるので3月16日になる前にやらざるを得ないかと考えていたところ、3月7日にPayPay投信がVTIを買うだけファンドを更なる低コストで新規設定することを知って覚悟を決め、税抜0.085%への引き下げをする旨を内部決定した上でPayPay投信米国株インデックスファンドが満1年を迎える前日(3/15)に発表しようとしていたところ、3月14日にたわらS&P500が税抜0.0852%で新規設定するということを知って、急遽0.085%から0.0852%に変更した。
こうすることで、PayPay投信なんてものは知りませんという顔をしつつ、たわらS&P500に即座に対抗値下げをしたという印象を顧客に与えてブランドイメージを守ることができると考えたのでしょう。
ただ、私は、
SBI・VシリーズがPayPay投資信託インデックスアメリカ株式への対抗値下げをすることで、スリム米国株の上記目論見はうまくいかないものと考えています。
その理由は、スリム米国株と同率値下げをしてもスリム米国株に勝つことはできませんし、このやり方こそがPayPay投資信託インデックスアメリカ株式への対抗値下げを回避すべく頑張っているスリム米国株に対して最も痛烈な打撃を与える方法だからです。
コメント
2023/03/16 07:57 by URL 編集
No title
slimシリーズより低コストの米国株ファンドとして、iシェアーズ 米国株式(S&P500)インデックス・ファンドもあるのではないでしょうか?
2023/03/16 10:29 by URL 編集
No title
2023/03/16 12:34 by URL 編集
No title
>たわらノーロードSP500
>たわらS&P500
情報提供ありがとうございます。
追記しました。
>iシェアーズ 米国株式(S&P500)
すっかり忘れていました。
これですね。
http://tawaraotoko.blog.fc2.com/blog-entry-2528.html
本文を訂正しておきます。
2023/03/16 16:14 by たわら男爵 URL 編集
まあ、下げてくれるだけでありがたいですが。
2023/03/17 22:56 by URL 編集
No title
2023/03/18 09:22 by ビットコインは神 URL 編集
No title
>下げてくれるだけでありがたい
同感です。
>iシェアーズ 米国株式は信託報酬が低いのに影が薄い
信託報酬を引き下げるタイミングが遅かったのでしょうね。
2023/03/18 19:26 by たわら男爵 URL 編集