これは日経マネーの連載記事で、「さわかみ投信」の創業者である澤上篤人さんの署名記事です。
澤上さんは、次のように述べます。
ゼロ金利に甘えてきた企業は次々と淘汰され、それを横目に自助自立の精神と地力にあふれた企業が急浮上してくる。まさに、アクティブ運用の出番だ。
逆に、インデックス運用は冬の時代を迎える。この40年間、長期金利が低下し続け、株価全体が上昇トレンドの流れに乗り、インデックス運用は大きな地歩を築いた。個別企業のリサーチは不要だし、運用の実務はコンピューターにやらせておけばいい。当然、運用コストは驚くほど低い。これは良いということで、あっという間に年金はじめ、世界の機関投資家の株式運用の主役となった。
そんなインデックス運用だが、中身は玉石混交だ。金利上昇局面ではゼロ金利に甘えてきた企業の多くが、株価の下落に伴って淘汰されていくが、マーケットから退出する寸前まではインデックスの足を引っ張る。それがインデックス運用の成績悪化につながる。われわれのアクティブ運用からは大きく引き離されよう。玉石が混交する中から玉だけを選び出すことができればよいのですが、問題は
石が玉のように輝いて見えたり、玉が石のようにくすんで見えたりするという点です。
これらを見抜く目がファンドマネージャーにあることを期待して高い報酬を支払うのがアクティブファンドになるわけですが、問題は
アクティブファンドのファンドマネージャーに上記を見抜く目があるかどうかは運用結果が出てからでなければ分からないという点です。
アクティブファンドのファンドマネージャーの仕事は高度に専門的です。
そして、高度に専門的な事項に関する能力の有無を判断するためには、自身に同様の能力がなければなりません。
換言すれば、有能な弁護士を知るのは有能な弁護士だけであり、有能な医師を知るのは有能な医師だけであるということになります。
有能な弁護士は、自身や家族が法的トラブルに巻き込まれたとき、どの弁護士に頼めばよいかを知っています。同様に、有能な医師は、自身や家族が病気や怪我をしたとき、どの医師に頼めばよいかを知っています。
当該専門家が専門家たるにふさわしい知識や経験を具備しているかどうかの判断は専門家のみがなしうるという真実は、アクティブファンドのファンドマネージャーにも妥当します。
澤上さんはそうかもしれないしそうでないかもしれませんが、さわかみファンドの運用をしている最高投資責任者は澤上さんではなく黒島さんという人です。
黒島さんは、
40歳をすぎて「
何もかもが嫌になって日本を離れてある国に行こうと思って」迷っていたところ、「
投資については全くの初心者」だったが「
ビビっと来て」中途入社した。
さわかみ投信には2008年から2012年までの4年間しか在職せず、その後はファンドマネージャーとは無関係の仕事をしていたが、2022年7月、最高投資責任者として復帰した。
https://www.sawakami.co.jp/media/webmagazine/202208column/という異色の経歴の持ち主です。
黒島さんがさわかみ投信に在籍していたのは4年間ですが、2011年からは社長になっていますので、実質的には3年の実務経験しかありません。
40歳すぎまで投資について全くの初心者で、どれほど多く見積もっても3年の実務経験しかない人が、10年のブランクを経て50歳すぎで最高投資責任者をしているのがさわかみファンドということになります。
株式市場に玉石が混交しているとして、アクティブファンドのファンドマネージャーにも玉石が混交しています。
黒島さんが玉なのか石なのかは我々には分かりませんが、黒島さんの経歴を見る限りでは安心できそうにはありません。
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