たわら先進国株のファンドマネージャーはマザーファンドのファンドマネージャーが兼務しています

12月7日に「たわら先進国株の実質コストが判明、乖離も問題なし」という記事を書いたところ、このようなコメントをいただきました。
http://tawaraotoko.blog.fc2.com/blog-entry-260.html#more

【引用開始】
いつも楽しく拝見しています。
基準価額とベンチマークである配当込みインデックスの差が2015年12月3.4%→2015年9月2.4%に縮小するのは1.0%の上方乖離ではないのでしょうか?

>うーん、私には、新規設定日の意図的な乖離を順調に消化しているように見えます。
と仰っていますが、ベンチマークに追従するべきインデックスファンドが乖離を縮小(上振れ)しては下振れニッセイと同じで褒められたものではないと思うのですが。
【引用終わり】

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そもそもの前提として、たわら先進国株は、新規設定日の属する月である2015年12月に指数より3.4%上振れています(上振れとは、指数よりも良いリターンを上げている=指数よりも儲かったということです)。

そして、新規設定日から決算日までの指数との乖離率は2.5%ですので、指数より2.5%良いリターンを上げたことになります。

ここで誤解してはいけないのは、新規設定日から決算日までに乖離率が3.4%から2.5%になったということは、たわら先進国株がその後の運用を失敗したわけではない(その後の運用で指数を大幅に下回り、リターンを下げたわけではない)ということです。

2015年12月18日、21日、22日の基準価額を比較してみます(20日、21日は土日)。

たわら先進国株 1万円(純資産額100万円)→1万円(純資産額100万円)→1万0029円(純資産額1億2900万円)
つまり、たわら先進国株は、初日から3日目で+0.29%のリターンを上げたことになります。

ニッセイ外国株 1万2591円→1万2298円(-2.327%)→1万2336円(-2.035%)
外国株式インデックスe 1万9998円→1万9534円(-2.320%)→1万9593円(-2.025%)
SMTグローバル株式 1万4212円→1万3882円(-2.321%)→1万3924円(-2.026%)

おいおい、ニッセイ外国株だけ下振れているぞ、という新事実が発覚してしまいましたが、それは今日の本題ではないため措いておきます。
ここでの問題は、他の先進国株投信が3日間で2.025~2.036%下落したのに、たわら先進国株だけは0.29%上昇したということです。そのため、たわら先進国株は、指数より2.315%~2.326%ほど乖離したと推定できます。

※ダイレクトに指数との乖離率で比較できれば良いのですが、データが入手できないことから、単純に各投信の基準価額の変遷によって指数との乖離率を推定しています。
平たく言えば、「みんなと違う値動きをしているインデックス投信は指数と乖離しているはずだ」ということです。

ただし、たわら先進国株の最初の3日間の乖離の原因ははっきりしています。
すなわち、初日と2日目に純資産額全額(といっても内部資金100万円です)を現金のままにしていたところ、顧客の金の投入を開始した3日目に相場が下がったということです。

最初の3日間の推定乖離率が2.3%なのに、12月はなぜ3.4%になったのかですが、私は、おそらくこの間の相場が下落傾向にあったからだと推測しています。
冒頭でリンク先を記載した12月7日の記事に書いたことですが、運用会社は、

たわら先進国株はマザーファンドを忠実にトレースしているが、
(1)最初の内部観察期間に100万円を現金のままにしたこと
(2)当日の概算注文額より2~3%ほど現金がファンドに残るようにし、概算注文額の97~98%の金額でマザーファンドを買っていること
の限度でマザーファンドより乖離している

としています。

つまり、たわら先進国株は、常に概算注文額の2~3%の現金をファンド内にプールし、翌日に注文額が確定した時点で概算注文額と確定注文額との差額で更にマザーファンドを買っていることから、当日より翌日の相場が下落すれば、結果的に本来よりも少しだけ安く買えてしまえることになります。
乖離率が拡大し、指数よりもプラスリターンとなったのは、最初の内部観察期間中の2.3%のプラスリターンに加え、毎日、前日にプールした現金(前日の概算注文額の約2~3%。正確には概算注文額と確定注文額との差額)で前日よりも株価が安くなった翌日にマザーファンドを買ったことによるものだと私は推測しています。

とはいえ、プラスリターンになったのは前日よりも相場が安くなったせいであり、逆に相場が高くなれば高く買ってしまうことになることから、運用期間が長くなれば、安く買う日の数も高く買う日の数も平準化されていきますので、全体としてみれば指数に近づいていくでしょう。
また、ファンドの純資産額が多額になればなるほど、概算注文額と確定注文額の差額(概算注文額の2~3%程度)がファンドに占める割合が減っていくことから、その差額を当日ではなく翌日の注文に回すことによるファンド全体に与える影響も小さくなっていきます。

ここで重要なポイントは、たわら先進国株の初期のぶれは、新規設定したインデックスファンドであればどれにも言えることだという点です。
たわら先進国株は、当初募集ではなく継続募集であり、最初の2日間は内部資金を現金のままプールしていたことで、相場が2.3%も下落したこととあいまってプラスリターンが目立ちましたし、その後の下落基調の相場のせいで、結果的に前日の概算注文額の2~3%でナンピンを毎日繰り返すことになり、プラスリターンが拡大してしまいました。

しかし、最初の2.3%があったから指数との乖離が目立っただけで、もし最初の2日間の内部運用をしていなければ、おそらく誰も気付かなかったはずです。
毎月定点観察していた私も気付きませんでしたし、他の投信ブロガーも運用報告書を見るまで気付きませんでした(もっとも、私は、初日と2日目の基準価額が1万円で変わらないことを不思議に思っており、初日からすると他の投信との乖離があり過ぎたことから、定点観察の始期は12月18日ではなく21日からにしています)。
毎月の定点観察(右端のカテゴリの「たわら先進国株vsニッセイ外国株vsインデックスe、SMTグロ株、Funds-i外国株」シリーズ)を見る限り、たわら先進国株は他の先進国投信と比較して顕著な上振れも下振れも見受けられません。

具体的には、たわら先進国株は、2016年11月21日の時点(11か月目)で、外国株式インデックスeより約0.207%プラスリターンとなっています。これは12か月に直すと0.2258%であり、両者の信託報酬の差0.297%(0.54%-0.243%)を考えるともう少したわら先進国株に頑張ってほしいところですが、0.0712%の少差ですから、新規設定されて1年にも満たないことを考慮すれば、まあまあそんなものといえるのではないでしょうか(当日に確定注文額は判明せず、概算注文額しか判明しないという現状では、ファンドの規模が小さければ小さいほど、ファンドにプールした現金がファンドのリターンに与える影響は大きくなります)。

というわけで、私は、たわら先進国株の運用に問題はないと考えています。

なお、これまで何度も書いていますが、上振れであろうと下振れであろうと、指数と接着していなければインデックスファンドとしては不合格である点は変わりません。
なぜなら、確かに上振れであれば顧客は損はしませんが、上振れするということはインデックスファンドとしての運用に何か問題があるせいですので、下振れするリスクも同様に抱えているといえるからです。
指数を道路と例えるのであれば、蛇行運転を繰り返す車は左右どちらに蛇行しても危険極まりないといえることと同じです。インデックスファンドである以上、上振れも下振れもどちらもノーサンキューであり、指数を忠実にトレースしなければなりません。

私はこれを「指数に殉じる」と勝手に名づけましたが、何があろうとただひたすらに指数と一蓮托生であるのが真のインデックスファンドと言えましょう。

なお、たわら先進国株のマザーファンドの指数との乖離率は、

2012年2月 0.4%
2013年2月 0.5%
2014年2月 0.2%
2015年2月 0.3%
2016年2月 0.2%

です(運用報告書全体版9頁)。

たわら先進国株は、概算注文額の2~3%を常に現金でプールし、97~98%でマザーファンドを買っていますので、マザーファンドがぶれない限り、たわら先進国株がぶれることは想定しにくいと言えます。
そして、マザーファンドは2426億9400万円の規模ですから、これで運用がぶれるということは想定しにくいと言えます(電話して聞いたところ、たわら先進国株のファンドマネージャーはマザーファンドのファンドマネージャーが兼務しているそうですから、マザーファンドの運用が信頼できるのであれば、たわら先進国株の運用も信用できると言えるでしょう)。

念のため、3264億3100万円の野村アセットマネジメントが運用するマザーファンド(これはFunds-i外国株のマザーファンドです)の乖離率を調べてみました。

2012年4月 0.4%
2013年4月 0.6%
2014年4月 0.2%
2015年4月 0.4%
2016年4月 0.4%

やっぱりたわら先進国株だね。

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コメント

No title

たわら男爵さんは、

>これまで何度も書いていますが、上振れであろうと下振れであろうと、指数と接着していなければインデックスファンドとしては不合格である点は変わりません。

と書いていらっしゃいますが、一方で以前、ニッセイのトラッキングエラーに関して、


>1000万円の保有者で2万8000円の無意味な損ですから、もし私がたわら先進国株に乗り換える前だったら、とても悲しかったでしょう。

とも書いておられます。ということは、今回のニッセイがもし仮に上方乖離だったとしたら、たわら男爵さんは、


>2万8000円の無意味な「得」ですから、もし私がたわら先進国株に乗り換える前だったら、とても悲しかったでしょう。

と書いたはずだったのでしょうか?

それとももし仮に上方乖離だった場合は、ここまで執拗にニッセイを叩くことはしなかった?

いやいやそうではないその証拠に

>…、確かに上振れであれば顧客は損はしませんが、上振れするということはインデックスファンドとしての運用に何か問題があるせいですので、下振れするリスクも同様に抱えているといえるからです。指数を道路と例えるのであれば、蛇行運転を繰り返す車は左右どちらに蛇行しても危険極まりないといえることと同じです。インデックスファンドである以上、上振れも下振れもどちらもノーサンキューであり、指数を忠実にトレースしなければなりません。

と書いているではないか、と仰るでしょうか?


でも、たわら先進国株に関してたわら男爵さんは、

>プラスリターンになったのは前日よりも相場が安くなったせいであり、逆に相場が高くなれば高く買ってしまうことになることから、運用期間が長くなれば、安く買う日の数も高く買う日の数も平準化されていきますので、全体としてみれば指数に近づいていくでしょう。

とも書いておられます。これは、運用期間が長くなれば上方乖離と下方乖離が打ち消しあって帳消しになるという意味ですよね?蛇行していても全体としては指数という道路に近づいていくのでOK、と仰っているのですよね?

であれば、これはそのままニッセイに関してもいえるのではないでしょうか?

「今回の乖離を取り戻しに行くような運用はしない」という言質をニッセイから取ったとどなたかが書いておられて、だから、今回の乖離は永久に固定されたとの意見もあるようですが、それはインデックス運用者として意図的やることはないということであって、偶然の相場変動によってニッセイが今度は上方乖離する可能性はあるわけですよね?今後10年20年30年40年たった時にそれが「平準化されて」いくので「全体としてみれば指数に近づいていく」のでは?

そしてそれは、たわら先進国に関してたわら男爵さんが書いておられることとまったくの相似形では?

ニッセイがよいとはいいませんが、わたしには、ニッセイもたわらも五十歩百歩に思えますし、インデックスファンドにとって指数からの乖離がなぜ悪なのか、意見がふらふらしているようにもお見受けします。

No title

コメントありがとうございます。

そもそもの前提として、私は、

1、たわら先進国株は運用を失敗していない
2、ニッセイ外国株は運用を失敗した

と理解しています。

たわら先進国株の上方乖離の原因は、マザーファンドに資金を投下しなかった最初の2日間の影響を除いては、日々の概算注文額の2~3%を翌日の注文に回したということだけですが、これはどのファンドでもやっていることです。
そして、新規設定日を無視し、2日目を実質的な新規設定日として観察してみると、他の先進国株投信と同様のリターンになっており、顕著な上振れも下振れも見受けられません。
ということは、たわら先進国株には運用上の問題はないということになります。

これに対し、ニッセイ外国株には、現時点で、他の先進国株投信に比して顕著な下振れが認められます。
この顕著な下振れは、為替でやってしまったせいであり、単純な運用ミスです。
また、ニッセイ外国株のマザーファンドは、他の先進国株マザーファンドとは明らかに異なるファンタステックな値動きをしており、上下にブレまくっています。

この点で、両者は質的に異なります。

なお、私はニッセイ外国株を執拗に叩いているわけではありません。
ほとんどの投信ブロガーが、これほどの理由の付かないエラーを出したニッセイ外国株に対し、気味が悪いほど好意的な意見を述べていることから、バランスを取らなければならないと考えたからです。

前にも書きましたが、ニッセイ外国株はプロです。プロである以上、結果に責任を持たなければなりません。
プロであれば、顧客から「長い目で育てよう」などと言われたら、恥ずかしさと情けなさの余り死にたくなるはずです。もし死にたくならないなら、そんな奴はプロを名乗ってはならないと考えます。

No title

たわら男爵さん

すみません、よろしければ教えてください。

ニッセイは「失敗」したのですか?

オープン型投信であるがゆえに避けることのできない不可効力だったのではなくて?

本当ですか?どんな「失敗」なのですか?



>この顕著な下振れは、為替でやってしまったせいであり、単純な運用ミスです。

と書いておられますが、「為替で」「やってしまった」というのはどういうことなのですか?

何を、どう、「やって」しまったのですか?

それは「単純な」「運用ミス」なのですか?

何をどこまで理解して、そう主張なさっているのですか?

たわらに同じことが起きないと言い切れるのですか?

わたしは、今回はたまたまニッセイだっただけで、状況が状況ならたわらにだって同じことが起きるのではないかという気がするのですが、そうではないのですか?

No title

コメントありがとうございます。

>オープン型投信であるがゆえに避けることのできない不可効力だったのではなくて?

ニッセイ外国株がペーパーを出していますので、ご自身でじっくりお読みになった方がよろしいと思いますよ。

私を含め、投信ブロガーの誰一人として、あのペーパーを読んで、ニッセイ外国株が何を言いたいのか理解することができませんでした。
避けることができない不可抗力だったのであれば、はっきりペーパーに書くはずです。そのように書かず、誰も理解できない説明文にあえてしたことは、避けることができなかった不可抗力ではなかったことを示しています。

避けることができない不可抗力だったことを説明する義務は、私ではなく、プロの運用会社であるニッセイにあると思うのですが、あなたはそのようにお考えにはならないのでしょうか?

なお、わざわざニッセイ外国株に電話して聞いてみた投信ブロガーがいますが、その結果、ニッセイ外国株が「一発やらかした」と結論しています。
http://randomwalker.blog19.fc2.com/blog-entry-3113.html

>わたしは、今回はたまたまニッセイだっただけで、状況が状況ならたわらにだって同じことが起きるのではないかという気がするのですが、そうではないのですか?

やらかしたのはニッセイ外国株だけで、たわら先進国株を含む他の先進国株投信はやらかしていないのにそのように思うのですか?

No title

たわら男爵さん

丁寧にお返事いただいてありがとうございます。

そのニッセイのペーパーですが、わかる人には、ちゃんとわかるみたいですよ。


http://investoronline.blog.fc2.com/blog-entry-744.html
(小黒とらのパーソナルファイナンスと悠々自適な生き方)



この方の解説を読むと、乖離の原因は、大きな資金移動ですね。

「為替でやってしまったせい」ではなさそうですし、「単純な運用ミス」というべきものでもないですね。


大きな資金移動が乖離の原因だということになると、気になるのはたわら先進国のマザーファンドの資金流出です。

2014年2月の3115億円から、2016年2月の2426億円へと、2年間で689億円も減少していますよね?

この間、基準価額は22679円から23909円に上昇しているので、時価減が理由ではないですし、そうなると実際の流出はもっと大きいことになります。

これ全部、小口の流出の積み上げでしょうか?
もしこの中に、ときどき、大口の資金流出が含まれていたとしたら?

という気がします。

それに、マザーファンドの規模が大きいことはたわらの優位点に違いないでしょうけど、結構な勢いで減少傾向にあるってのは、実際どうなんでしょうか?

No title

コメントありがとうございます。

ご指摘のブログは公開された直後に読みましたが、論旨がしっくりきませんでした。
なぜなら、もしそのような理由であればニッセイ外国株のペーパーにそのように記載されていたはずですし、その後も下方乖離が拡大していることの説明が付かないからです。
http://tawaraotoko.blog.fc2.com/blog-entry-258.html#more

なお、たわら先進国株のマザーファンドの資金流出は私も気付いていましたが、それがマザーファンドの指数との乖離率に影響していない以上、大した問題ではありません。

何度も繰り返しますが、インデックスファンドにとって重要なのは指数に殉じているかどうかであって、極論すればそれ以外はどうでもよいのです。
少なくとも、ニッセイ外国株は、ニッセイ外国株自体も、そのマザーファンドも、指数との関係性がファンタステックに過ぎます。
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プロフィール

たわら男爵

Author:たわら男爵
Painter:ますい画伯
http://www.masuitousi.com/

ブログ開始日 2016年3月1日

●リスク資産(6割)は、たわら先進国株(楽天証券)とVT(SBI証券)をほぼ50:50でホールド中。
●つみたてNISA(SBI証券)はeMAXIS Slim先進国株を年初一括40万円購入。
●楽天カード投資はeMAXIS Slim先進国株を毎月5万円購入(+特定口座で4万円×4回=毎月16万円の積立買付中)。
●SBI証券で「インデックスマラソン」の毎営業日100円投資を実行中。

●無リスク資産(4割)は、個人向け国債変動10(みずほ証券、大和証券、SMBC日興証券)と楽天銀行(金利0.1%)。

パソコン版右端の「ブログ記事検索」と「カテゴリ」が便利です。

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●カテゴリ「インデックスファンドの基礎知識」を読めば、誰でも簡単に投資信託の必須知識を得ることができます。

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