最悪のタイミング(暴落の直前)に一括投資をするとどうなるか

ニッセイ基礎研究所から

●老後のための資産形成-確定拠出年金等で老後のために何に投資したら良いのか?-外国株式型、国内株式型、バランス型、外国債券型と国内債券型でのパフォーマンス比較
https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=71804?pno=1&site=nli

というレポートが公表されています。

これは、インデックス投資家であれば必ず読んでおくべきものです。





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このレポートが興味深いのは、9種類の代表的な株式インデックスの価格推移について、暴落の直前から次の暴落の直前までの期間で区切って分析している点です。
つまり、暴落の直前という最悪のタイミングに一括投資をするとどうなるかが分かることになります。

具体的には、次の4つの期間です。

日本バブル崩壊直前からITバブル崩壊直前まで(1990年初~2000年2月末)
ITバブル崩壊直前からリーマン・ショック直前まで(2000年2月末~2007年10月末)
リーマン・ショック直前からコロナ・ショック直前まで(2007年10月末~2019年12月末)
コロナ・ショック直前から現在まで(2019年12月末~2022年4月末)


上記レポートには、各期間のスタート時点の価格を100としたときの最終値と最低値が記載されています。
たわら先進国株のベンチマークであるMCSIコクサイの価格推移は、次のとおりです。

1,日本バブル→ITバブル
100でスタートし、暴落時は83.2まで下がって、333.4でフィニッシュ。

2,ITバブル→リーマンショック
100でスタートし、暴落時は62.8まで下がって、161.7でフィニッシュ。

3,リーマンショック→コロナショック
100でスタートし、暴落時は38.4まで下がって、188.1でフィニッシュ。

4,コロナショック→現在(2022.4末)
100でスタートし、暴落時は77.9まで下がって、150.8でフィニッシュ。


上記レポートによれば、それぞれの暴落時の下落率は次のとおりです。

日本バブル崩壊 83.2%(-16.8%
ITバブル崩壊 62.8%(-37.2%
リーマンショック 38.4%(-61.6%
コロナショック 77.9%(-22.1%


一般に20%の下落が発生すると「暴落」と呼ばれます。
MSCIコクサイ(日本を除く先進国株インデックス)にとっては、日本バブル崩壊は暴落とは言えないものの、ITバブル崩壊、リーマンショック、コロナショックは暴落と言え、特にリーマンショックは62.8%の大暴落でした。

しかし、暴落を無視してバイアンドホールドを継続する限り、上記4回の全てでスタート時の価格を大きく上回る結果になっています。
特に、リーマンショックでは、スタート時の100が38.4まで大暴落しました。ここでパニック売りをしてしまえば61.6の損失が確定しましたが、ホールドを続けていれば188.1まで上昇し、88.1の含み益が発生していたことになります。底値の38.4からフィニッシュ時の188.1までは実に4.9倍です。

この点について、筆者は次のように述べます

代表的な株式インデックスは経済危機による一時落ち込みが繰り返し生じるものの、そのショックを乗り越えて長期的に上昇してきたことが分かる。特に、米国および先進国株式インデックスは1990年以来長期に亘って上昇率が高い水準を維持していることが分かる。
https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=71804?pno=3&site=nli


上記レポートをここまで読むと、


それぞれの暴落の直前で投資し、現在まで持ち続けたらどうなるのだろうか


という疑問が生じます。

勿論、上記レポートはこの点の分析もしています。
なお、「現在」とは2022年4月末時点を指します。

1,日本バブル崩壊直前(1989.12末)に一括投資し、現在までホールド
100万円→1511万円(年率利回り8.8%

2,ITバブル崩壊直前(2000.2末)に一括投資し、現在までホールド
100万円→453万円(年率利回り7.1%

3,リーマンショック直前(2007.10末)に一括投資し、現在までホールド
100万円→284万円(年率利回り7.5%

4,コロナショック直前(2019年12末)に一括投資し、現在までホールド
100万円→151万円(年率利回り19.3%


この点について、筆者は次のように述べます。

金融・経済危機直前という非常に悪いタイミングで株式インデックスに投資を開始したとしても、長期保有をすると、元本100万円が大幅に増えることが多い。
投資を始める時期について、金融・経済危機の最中、つまり最安値のタイミングで投資できればベストのタイミングなのであろうが、金融・経済危機がいつ起きるか、株価の最安がいつなのかは事前には予測できない。人生100年を豊かにするためのお金を効率良く準備したいのであれば、株価の短期的な値動きに一喜一憂し、試行錯誤を重ねて短期売買するよりも、良い株式インデックスを選んで長期投資をして値上がりを待つ方が堅実なのではないかと思われる。

https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=71804?pno=3&site=nli

しかし、筆者は、次のように警告しています。

株式インデックス投資に長期投資すると高い収益が期待できるのだが、注意する必要があるのは、株式インデックス投資には値下がりして含み損を抱えるリスクがあり、決して値動きがずっと安定しているわけではないということである。
株式インデックスに投資する場合は、金融・経済危機等があると、大きな価格下落によって、元本割れを被る時期がほぼ間違いなくあると覚悟すべきである。
最低点にいても我慢して持ち続けていれば、一時的に損失を被ったとしても、その後の好調時期の値上がりによって埋め合わせることができている。過去データからは、一時的に株式インデックスで元本割れして含み損を抱えるリスクや不安な気持ちを受け入れることの対価として、預金等よりも極めて高い利回りが得られるということが分かる。

https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=71804?pno=3&site=nli


各暴落期間の最低額と元本割れの期間を整理すると、次のとおりです。

1,日本バブル崩壊直前(1989.12末)に一括投資し、現在までホールド
100万円→1511万円(年率利回り8.8%
最低額 83万円
元本割れの期間 4.6%


2,ITバブル崩壊直前(2000.2末)に一括投資し、現在までホールド
100万円→453万円(年率利回り7.1%
最低額 61万円
元本割れの期間 39.1%


3,リーマンショック直前(2007.10末)に一括投資し、現在までホールド
100万円→284万円(年率利回り7.5%
最低額 38万円
元本割れの期間 41.4%


4,コロナショック直前(2019年12末)に一括投資し、現在までホールド
100万円→151万円(年率利回り19.3%
最低額 78万円
元本割れの期間 32.1%



このように、暴落の直前に一括投資をすると、保有期間の3割ないし4割もの間、含み損に耐え続けなければならないことになります。
これに対し、積立投資を選択すれば、暴落の最中であっても追加投資が可能になるため、含み損に耐え続けなければならない期間を短縮することができます。

1,日本バブル崩壊直前(1989.12末)にスタート
一括投資 最低額83.2、元本割れの期間4.6%
積立投資 最低額83.8、元本割れの期間5.4%

2,ITバブル崩壊直前(2000.2末)にスタート
一括投資 最低額61.4、元本割れの期間39.1%
積立投資 最低額64.2、元本割れの期間27.4%

3,リーマンショック直前(2007.10末)にスタート
一括投資 最低額38.4、元本割れの期間41.4%
積立投資 最低額58.9、元本割れの期間24.1%

4,コロナショック直前(2019年12末)にスタート
一括投資 最低額77.9、元本割れの期間32.1%
積立投資 最低額85.6、元本割れの期間14.3%


このように、MSCIコクサイにとって暴落とは言えない日本バブル崩壊時を除き、一括投資よりも積立投資のほうが、最低額がより高く、元本割れの期間がより短いことが分かります。

含み損の金額が多ければ多いほど、そして含み損の期間が長ければ長いほど、保有者は惨めな気持ちになるものです。
そして、いつかのタイミングで惨めな気持ちを抱き続ける自分に耐えられなくなり、損切りの美名を言い訳にしてパニック売りをし、損害を確定してしまいがちです。

積立投資は、最低額をより高く、元本割れの期間をより短くすることで、一括投資よりもパニック売りをしてしまうリスクを減らすことができます。

一括投資と積立投資のどちらが儲かるかは、明らかに一括投資のほうです。
【参考】
●積立投資と一括投資では、どちらが得なのか?
http://tawaraotoko.blog.fc2.com/blog-entry-2506.html

しかし、インデックス投資では、バイアンドホールドを継続することが全ての前提です。
積立投資は、一括投資よりもリターンは少ないものの、その分、バイアンドホールドを継続する意欲を失うリスクを減らすことができます。


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コメント

いつも有益な情報ありがとうございます。

自分は積立投資をしてて、後から一括投資の方がリターンが大きいことを知り、ずっと後悔していたのですが、今回の記事から積立投資の方がリスクが低いので、市場に居続けることができたと考えると、自分にとっては積立投資も悪くなかったのかなと思えました。

ところで、今回の期間に一括投資と積立投資それぞれ行った場合の最終的なリターンは、各期間どのようになったのでしょうか?もしわかれば教えて下さい。

No title

コメントありがとうございます。

>積立投資の方がリスクが低いので、市場に居続けることができたと考えると、自分にとっては積立投資も悪くなかった

市場から退場してしまったら元も子もありませんので、つみたてNISAは別として、特定口座での一括投資は避けたほうがよいと思います。

>今回の期間に一括投資と積立投資それぞれ行った場合の最終的なリターンは、各期間どのようになったのでしょうか?

暴落直前に100万円を一括投資したケースと、100万円を均等額積立投資したケースの比較だと思うのですが、今回のレポートではそのような比較はされていません。

No title

ぷー様
Youtubeで、
「【NASDAQ・S&P500】ITバブル絶頂期から投資開始…元本に戻るまで何年かかった?」
のタイトル動画でITバブル崩壊時、NASDAQ100とSP500で検証しているのを見つけました。
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たわら男爵

Author:たわら男爵
Painter:ますい画伯
http://www.masuitousi.com/

ブログ開始日 2016年3月1日

●「たわら先進国株」と「VT」を半分ずつ保有中。
●つみたてNISA(SBI証券)は「たわら先進国株」を年初一括購入中。
●クレジットカードによる投信積立サービスを利用し、SBI証券・楽天証券・auカブコム証券で「たわら先進国株」を毎月5万円ずつ購入中。

●無リスク資産は、個人向け国債変動10とauじぶん銀行(金利0.2%)。

パソコン版右端の「ブログ記事検索」と「カテゴリ」が便利です。

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