危うし配当金生活 【税制改正大綱】

自民党と公明党は、2021年12月10日、令和4年度税制改正大綱を発表しました。
これにより、配当金生活者は深刻なダメージを受けることになります。







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原文はこちら。
https://jimin.jp-east-2.storage.api.nifcloud.com/pdf/news/policy/202382_1.pdf


問題の箇所は、91ページの下記部分です。

上場株式等の配当所得等に係る課税方式
① 個人住民税において、特定配当等及び特定株式等譲渡所得金額に係る所得の課税方式を所得税と一致させることとする。
② 上記①に伴い、次の措置を講ずる。
イ 上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の適用要件が所得税と一致するよう規定の整備を行う。
ロ その他所要の措置を講ずる。
(注)上記の改正は、令和6年度分以後の住民税について適用するとともに、所要の経過措置を講ずる。



※特定配当等
上場株式等の配当等のうち大口株主等が支払を受けるものを除く配当及び利子で、所得税と個人住民税が20.315%(所得税及び復興特別所得税15.315%、道府県民税配当割5%)の税率で源泉徴収(特別徴収)されているものをいいます。
https://www.city.mito.lg.jp/001133/001182/kojinnshiminnzei/p022465.html


これにより、配当金生活者は深刻なダメージを受けることになるでしょう。

配当金生活をするときは、特定口座で配当金を受け取った後、所得税については総合課税を選択して確定申告し、住民税については何もしない(特定口座から出さない)という方法をとることになります。

所得税(総合課税)は超過累進課税を採用しており、所得金額が多額になればなるほど税率が増えていきます。
配当所得を総合課税で申告すると、

1,特定口座のまま 15.315%
2,総合課税で申告し、配当金と他の所得と合計した所得金額が、
(1)194万9000円以下 5%
(2)329万9000円以下 10%
(3)694万9000円以下 20%
(4)899万9000円以下 23%
(5)1799万9000円以下 33%
(6)3999万9000円以下 40%
(7)4000万円以上 45%

となります。

したがって、他に所得が何もないリタイア者が329万9000円以下の配当金を受け取ると、税率が15.315%から10%に下がって得をすることになります。

※正確には、329万9000円の配当金を受け取ったとき、194万9000円までは5%、195万円から329万9000円までは10%の税率になるため、実際の税率は10%を下回ります(329万9000円の所得金額だと、所得税率は7%です)。


そして、日本株で配当金生活をすると、配当控除を利用することができます。
配当控除を活用すると、1億円の個別株を買って配当金生活をしたとしても、所得税は無税で5%の住民税しかかからないという素敵なことになります。
【参考】
●配当金生活は最高かもしれない
http://tawaraotoko.blog.fc2.com/blog-entry-1817.html

しかし、今回の税制改正で、所得税を総合課税で申告し、住民税は特定口座に残すという技が使えなくなります。
かといって、住民税を特定口座から出すと、国民年金と国民健康保険の掛金が激増することになります(掛金を算定する際の基礎収入に配当金がカウントされることになるため)。

※これを避けるには、資産管理会社を作って取締役になり、社会保険に加入する(国民年金や国保からは脱退する)という方法があります。
なぜなら、社会保険の掛金は、全ての給与所得(役員報酬も含まれる)の合計額で算定し、事業所得や配当所得があっても影響しないからです。

法人の役員になって社保に加入すれば、住民税が5%(特定口座)から10%に倍増するだけで済みますので、配当金を特定口座から出すべきか出さざるべきかの検討がしやすくなります。

私も、令和6年度の確定申告から、米国ETFの配当金をどうするかを悩まなければなりません。

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コメント

ヤバイ~!

とても分かりやすくて助かりました!

ただこれ、P91を読むと、配当だけではなく、譲渡所得を損益通算や繰越損失のために確定申告した際の申告不要制度も同様に無くなりそうな書きぶりなので、②のイの内容次第では譲渡所得も増税にもなりそうですね・・。

その内、特定口座が社会保障費に算入されないの優遇が消えそうな気が!

No title

コメントありがとうございます。

>譲渡所得を損益通算や繰越損失のために確定申告した際の申告不要制度も同様に無くなりそう

なくなりますね。

ただし、現行の制度下で住民税を申告不要にしたほうが得かどうかについては、検討したことがないため、分かりません。

>特定口座が社会保障費に算入されないの優遇が消えそう

いずれは分離課税ではなくなり、総合課税になりそうですね。

いつも拝読しております。

今後総合課税になることを見据えるなら、無配当のインデックスファンドにひたすら積み立てて、リタイア後も現金資産を主軸として必要最小限だけインデックスファンドを取り崩していくのが、税制面では最善手になりそうですね

いわゆる「1億円の壁」を解消するなら、自分も総合課税にするしかないと思うのですが、それだと特定口座でも証券会社による源泉徴収が出来ず、今まで確定申告していなかった多数の人に確認申告の義務が生じます。ここがネックのような気がします。
源泉徴収では最大の45%を取っておいて「取り戻したかったら確定申告してね」という事かもしれませんが、、、

No title

コメントありがとうございます。

>無配当のインデックスファンドにひたすら積み立てて、リタイア後も現金資産を主軸として必要最小限だけインデックスファンドを取り崩していくのが、税制面では最善手になりそう

私もそう思います。

>今まで確定申告していなかった多数の人に確定申告の義務が生じます

ぬるま湯につかった蛙を徐々に熱するように、分離課税の税率が上げられていくのでしょうね。
悲しいです。

No title

いつも拝読しております。
ふと思ったのですが、こちらは逆に確定申告をしないという選択肢が得策かもしれないのでしょうか?
無知な初心者の質問で大変恐縮ですが、たわら男爵様のご意見をご高察をお伺いしたく存じます。

No title

コメントありがとうございます。

>確定申告をしないという選択肢が得策かもしれないのでしょうか?

住民税は、「絶対に得だ」との確信がない限り特定口座から出さないほうがよいと考えています。

悩ましいのは、確定申告をしないと配当控除や外国税額控除が利用できないという点です。
制度が具体化した時点でどうしたほうがよいのかを考えてみるつもりですが、その判断は非常に難しそうです。
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http://www.masuitousi.com/

ブログ開始日 2016年3月1日

●「たわら先進国株」と「VT」を半分ずつ保有中。
●つみたてNISA(SBI証券)は「たわら先進国株」を年初一括購入中。
●クレジットカードによる投信積立サービスを利用し、SBI証券・楽天証券・auカブコム証券で「たわら先進国株」を毎月5万円ずつ購入中。

●無リスク資産は、個人向け国債変動10とauじぶん銀行(金利0.2%)。

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