YouTubeプレミアムのVPNを偽装すると、アメリカから訴状が届くリスクあり

YouTubeを見ていると、広告が自動表示されます。
投稿者が収益化をしていない動画についても、2021年6月1日からは広告が自動表示されるようになったこともあり、かなり頻繁に広告が表示される感じがします。

広告が自動表示されないようにするためには、月額1180円を支払ってYouTubeプレミアムに加入する必要があります。
※Appleのユーチューブアプリ経由で登録すると月額1550円になるため、ウェブ経由で申し込むべきです。

しかし、ネットで検索すると、月額150~200円前後でYouTubeプレミアムを利用できる裏技が紹介されています。






新着記事通知用のツイッターアカウントはこちら。
https://twitter.com/tawaradanshaku

広告

この裏技は、YouTubeプレミアムの月額利用料金が国ごとに違うことを利用し、月額利用料金が安い国(具体的にはインドやアルゼンチン)から申し込んだものとVPNを偽装することで、月額150~200円相当の現地通貨をクレジットカード決済して支払うというものです。
なお、申込時には住所登録が必要であることから、適当なインドのホテルの住所を入力するように勧めるブログもあります。

しかし、この方法は「裏技」でもなんでもない違法行為です。
YouTubeの規約には、


適用法により認められない場合を除き、お客様は、本有料サービス規約、本有料サービスに関する取引、及び本有料サービス規約に基づくお客様と Google の関係については、国際私法(抵触法)の原則にかかわらず、アメリカ合衆国カリフォルニア州法が適用法令となることを確認し、同意するものとします。また、お客様によるYouTubeウェブサイト及び本有料サービスの利用を理由の全てまたは一部とする請求及び紛争については、お客様は、アメリカ合衆国カリフォルニア州サンタクララ郡に所在する裁判所の専属的管轄権に服することに同意するものとします。
https://www.youtube.com/t/terms_paidservice


と記載されています。

これは、要するに、Google(アルファベット社)と法的紛争になると、カリフォルニア州裁判所から訴状が届くリスクがあるということを意味します。
日本の裁判所であれば未払いの利用料金を支払うだけで済みますが、アメリカには「懲罰的損害賠償」というおそろしい制度がありますので、莫大な損害賠償金の支払いが命じられるリスクがあります。

カリフォルニア州民法典には、契約に起因しない義務の違反を理由とする訴訟において、被告に欺罔行為などがあったとされた場合、原告は、実際に生じた損害の賠償に加えて、見せしめと被告に対する制裁のための損害賠償を受けることができる旨の懲罰的損害賠償に関する規定(三二九四条)が置かれている。
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/782/054782_hanrei.pdf


ただし、普通の日本人はアメリカに資産がありませんので、確定したカリフォルニア州裁判所の判決を日本国内で強制執行しなければなりません。
具体的には、日本の地方裁判所に対し、「外国裁判所の判決についての執行判決を求める訴え」(民事執行法24条)をし、日本の裁判所の判決を別途もらう必要があるわけですが、日本の最高裁判所は、懲罰的損害賠償を認める外国判決は違法無効であるとの判断をしています。

外国判決のうち、補償的損害賠償及び訴訟費用に加えて、見せしめと制裁のために被上告会社に対し懲罰的損害賠償としての金員の支払を命じた部分は、我が国の公の秩序に反するから、その効力を有しないものとしなければならない。
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/782/054782_hanrei.pdf
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=54782


そのため、仮にカリフォルニア州裁判所が懲罰的損害賠償を命じる判決をしたとしても、日本国内では効力を有しないため、その限度では助かることになります。
ただし、弁護士費用を含む実費が損害としてカリフォルニア州裁判所の判決で認定されると、日本国内で効力を有する「補償的損害賠償及び訴訟費用」として扱われる可能性があります。
つまり、月額1000円程度の金を浮かそうと考えたせいで、その何百倍もの損害賠償金を支払わなければならないリスクがあることになります。

コンビニでコーヒーを注文し、こっそりカフェラテを入れて逮捕される人が忘れたころにニュースになりますが、VPNの偽装も同じようなものです。
申込時に現地国の住所を虚偽申告している点で、よりタチが悪いと言えるかもしれません。

民事・刑事の法的紛争に巻き込まれないためにも、このような方法の利用は厳に慎むべきですし、もし既に利用してしまっている人がいるのであれば直ちにやめるべきです。

広告

コメント

こんにちは
いつも楽しくなさ読ませていただいています。

アドブロッカーなどのVPN接続するアプリはどうなんでしょう?
流石にYouTubeの広告は消せないでしょうが

なぜ、同じサービスが料金違うのか

No title

コメントありがとうございます。

>アドブロッカーなどのVPN接続するアプリはどうなんでしょう?

Googleから提訴されるリスクはありませんが、セキュリティーリスクが発生するみたいですね。
【参考】
●広告ブロックツールに潜むリスクとは
https://ascii.jp/elem/000/004/002/4002471/

>なぜ、同じサービスが料金違うのか

購買力が違うからでしょうね。

No title

料金差があるのは普通に物価が違うからじゃね


確かにこういうリスクはあるけど、天下のgoogleで世界で利用の多いyoutubeが一匹一匹調べて潰すコスト考えれば割に合わんけどな。

No title

コメントありがとうございます。

>世界で利用の多いyoutubeが一匹一匹調べて潰すコスト考えれば割に合わん


私は、見せしめと制裁のために提訴や刑事告訴に踏み切るリスクはかなりあると考えています。

筆者様は

『YouTubeプレミアムのVPNを偽装すると、アメリカから訴状が届くリスクあり』

と記載されておりますが、筆者様の提示する条文を読む限りにおいては

「そもそもYouTubeとPremium契約をすると、アメリカから訴状が届く可能性があり」

という解釈の方が正しいかと思います。


YouTubeとユーザの間で、Premium契約を行なっている上で規約違反があれば、日本で契約していようが、海外で契約していようが、アメリカから訴状がくる
と言う話なのかと、記事を読み解釈しました。

しかし、そもそも論として、規約違反に当たらない場合は訴状が来る理由にはならないように思います。
海外で契約された場合、帰国後即座に、帰国先の国で再契約する内容の規約文は見つけることができませんでした。
また、海外に滞在している場合にホテルの住所を入れてはいけないのか?
なんなら、実際は契約時に日本の住所を入力することも可能です。

VPNで通信を偽装してPremium契約することを擁護するわけではありませんが
記事自体の結論に正当性を感じなかったため、一意見としてコメントさせていただきました。

No title

コメントありがとうございます。

>YouTubeとユーザの間で、Premium契約を行なっている上で規約違反があれば、日本で契約していようが、海外で契約していようが、アメリカから訴状がくると言う話なのかと、記事を読み解釈しました。

そうなりますね。

>規約違反に当たらない場合は訴状が来る理由にはならないように思います。

VPNの偽装は明らかな違法行為ですから、当然に規約違反になります。

>海外に滞在している場合にホテルの住所を入れてはいけないのか?

ホテルは生活の本拠地ではないため、「住所」ではありません。
当然ダメです。

海外に行った際に登録するの場合も駄目なのでしょうかね?
1年半近くそのまま利用してますが、VPNは使用してませんし、住所入力が登録の際に必要ない国でしたよ。

No title

コメントありがとうございます。

>海外に行った際に登録するの場合も駄目なのでしょうかね?



本有料サービスをご利用いただくことにより、お客様は、以下のそれぞれに同意したことになります。(1) 本有料サービス利用規約、並びに、(2) お客様の国/地域に応じて適用される YouTube利用規約、プライバシー・ポリシー及びコミュニティ・ガイドライン、並びに YouTube ウェブサイトに一般的に適用されるその他の利用規約類。


と書いてあるので、ダメだと思います。

本有料サービスをご利用いただくことにより、お客様は、以下のそれぞれに同意したことになります。(1) 本有料サービス利用規約、並びに、(2) お客様の国/地域に応じて適用される YouTube利用規約、プライバシー・ポリシー及びコミュニティ・ガイドライン、並びに YouTube ウェブサイトに一般的に適用されるその他の利用規約類。と書いてあるので駄目って具体的にどのへんのどこがだめなのですか?
仮に駄目だとするなら海外に住んでる日本人が登録するは駄目という事になりますよ。VPNもアウトなら日本円で支払えませんよね。
というか、仮に駄目ならそもそもPremium登録時に日本語で表示されること自体に違和感を覚えるのですが

No title

コメントありがとうございます。

>駄目って具体的にどのへんのどこがだめなのですか?

ここです。

お客様の国/地域

>海外に住んでる日本人

住んでいるのであれば問題ないでしょうね。
サービスの提供を受ける国・地域に適用される料金を払わないと法的リスクが発生すると思います。

違法性は全くないのに適当なことを…
利用規約的に問題があるだけであって訴訟されるリスクはありませんよ
利用規約違反でGoogleアカウントが止まることは有り得ますが、法律的にはVPNを通してどんな値段で契約しようが問題ありません。
Youtube以外にもVPNを使えば値段が変わるようなサイトはたくさんありますが、そのようなもので訴訟されたとか聞いたことないですよね?

No title

コメントありがとうございます。

>利用規約的に問題があるだけ

これを「違法」と言います。

>そのようなもので訴訟されたとか聞いたことないですよね?

全ては費用対効果です。
NHKも昔は受信料不払者に対して訴訟はしませんでしたよね。

経済合理性の観点からは訴訟をしてもペイしませんが、類似の違法行為を鎮圧する一罰百戒のために特定の誰かを血祭りにあげる(提訴し、それをマスコミに大々的に報道させてさらし者にする)ことは十分にあり得ると考えています。

No title

利用規約違反=違法

ではありません。

企業側が最初に利用規約を提示しておけば、違反者にどのような制裁でも与えられるというわけではありません。

No title

コメントありがとうございます。

VPNを偽装して利用料金を誤魔化す行為は、明らかに違法だと思いますよ。
非公開コメント

広告

プロフィール

たわら男爵

Author:たわら男爵
Painter:ますい画伯
http://www.masuitousi.com/

ブログ開始日 2016年3月1日

●「たわら先進国株」と「VT」を半分ずつ保有中。
●つみたてNISA(SBI証券)は「たわら先進国株」を年初一括購入中。
●クレジットカードによる投信積立サービスを利用し、SBI証券・楽天証券・auカブコム証券で「たわら先進国株」を毎月5万円ずつ購入中。

●無リスク資産は、個人向け国債変動10とauじぶん銀行(金利0.2%)。

パソコン版右端の「ブログ記事検索」と「カテゴリ」が便利です。

●「誰でもできる超簡単ほったらかし投資」(カテゴリ「【公開】誰でもできる究極の投資」)はこのブログの全エッセンスを1記事に凝縮したものです。
●カテゴリ「この投資信託がすごい」では、ベストバイファンドの具体名を明示しています。
●カテゴリ「インデックスファンドの基礎知識」を読めば、誰でも簡単に投資信託の必須知識を得ることができます。

新着記事通知用のツイッターアカウントはこちら。
https://twitter.com/tawaradanshaku

インデックス投資家必読の書

ブログ記事検索

他の投信ブログはこちら

管理