金融庁、eMAXIS Slimを狙い撃ち

日経電子版(2021年3月26日 4:30)の下記記事を読みました。

●金融庁、インデックス投信の手数料を調査
金融庁は、夏ごろの公表を予定している「資産運用業高度化プログレスレポート2021」で、株価指数などに連動した運用を目指すインデックス投資信託の手数料について調査結果を公表する方針だ。
赤沢副大臣は、既存の商品と同一のベンチマークを用いて信託報酬の低い新商品を複数組成する実態があり、結果的に、同一販売会社のラインアップ内に、同一の指標に連動するにもかかわらず、手数料水準の異なる複数のインデックス投信が含まれる例があると指摘。その上で、「その結果、古くからの顧客が割高なファンドを保有している状況となっている」と問題意識を述べ、「プログレスレポート」で調査結果を公表する考えを表明した。





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金融庁の上記方針は、eMAXIS Slimシリーズを念頭に置いたものと思われます。

eMAXIS Slimシリーズ13ファンドの純資産額は9141億3500万円であり、もう少しで1兆円に到達します。
eMAXIS Slimシリーズは、名実ともに我が国におけるナンバーワンインデックスファンドシリーズになったと言ってよいでしょう。

eMAXIS Slimシリーズは全部で13ファンドですが、スリムオールカントリーとスリム3地域均等型バランスを除く11ファンドには、より信託報酬が高いeMAXISシリーズが存在します。

三菱UFJ国際投信には、ニッセイなしなしシリーズやたわらノーロードシリーズに対抗する方法として、

(1)eMAXISシリーズの信託報酬を引き下げる
(2)eMAXISシリーズはそのまま放置して、新シリーズを立ち上げる

という2つの選択肢があったところ、後者を選択しました。

副大臣が指摘するとおり、そのせいで「古くからの顧客が割高なファンドを保有している状況」になってしまったことになります。

しかし、副大臣の上記指摘は当を得ていません。
なぜなら、eMAXISシリーズの顧客は、eMAXISシリーズの信託報酬が気に入らなければeMAXISシリーズを売却してeMAXIS Slimシリーズに乗り換えることができるからです。

eMAXISシリーズの信託報酬に満足していないのにeMAXIS Slimシリーズに乗り換えていない人の理由はただ一つです。
それは、eMAXISシリーズで多大な含み益が出ており、eMAXISシリーズを売却すると含み益×20.315%の課税コストを支払わなければならなくなってしまうからにほかなりません。

これを解決する方法は簡単です。
同じ指数をベンチマークとするインデックスファンドに同日売買で乗り換えたときには、譲渡所得税を課税しないことにすればよいだけだからです。

問題の本質がこの点にあることは明らかですが、赤沢副大臣や金融庁は財務省に注文を付けられないため(正確には、注文を付けても財務省に相手にしてもらえるだけの発言力がないため、注文を付けようという発想に至らない)、スリムシリーズを狙い撃ちにしたのでしょう。

スリムシリーズは、我が国を代表するインデックスファンドシリーズになってしまったことから、これまでなんとなく許されてきたことが許されなくなりつつあります。
行政は一罰百戒が大好きです。なぜなら、出る杭を狙い撃ちにすると、周囲がそれにビビって勝手にいろいろと忖度しておとなしくなり、言うことを聞かせやすくなるからです。

行政に付け込まれないためには隙を見せてはダメなのですが、

●無分配投信の問題点
http://tawaraotoko.blog.fc2.com/blog-entry-2071.html


上記記事でもお伝えしたとおり、スリムシリーズ、どうも隙があるように思えてなりません。

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コメント

NISAとIPO

いつも有益な情報を本当にありがとうございます。

一つ質問があります。
自分はNISA(つみたてではなく一般)を使ってIPOを購入しており、年末に余った枠ですべてスリムオールカントリーを購入しております。
IPOの購入をNISAで行うことをあまり見聞きしないのですが、なにかデメリットがあれば教えて頂けないでしょうか?
よろしくお願い致します。

No title

ニッセイ外国株式インデックスファンドとDCニッセイ外国株式インデックスも同じMSCIコクサイ・インデックス(配当込み、円換算ベース)を指標としていますが、こちらも対象になりそうな気がしますがいかがしょうか?

SBIのidecoがオリジナルプランとセレクトプランに分かれる元凶になったDC用と一般用の手数料逆転現象、これもなんだかおかしな話だなぁと、当時思った記憶があります。
一般の投信なら(税金さえなんとかなれば)乗り換えられますが、idecoラインナップは簡単には変更出来ませんから結局金融機関ごと変えるか、プランを変更するしかなく、そのためには一度投信を解約>プランor金融機関変更>再度購入という利用者には痛い投資の空白期間が一か月以上発生するものでした。

No title

アセットマネジメントoneの日経225のファンドを調べてみると、信託報酬0.88%で純資産1700億円のもの(1998年設定)と、信託報酬0.187%で純資産400億円のもの(2015年設定)が見つかりました。日経225以外の指数は調べてませんが、同様の状況と思います。

アセットマネジメントoneは既存のファンドの信託報酬を下げれば良いだけのはずなのに、そうせずに別の信託報酬が低いファンド(たわら)を作りました。それが上手くいったのを見て、後発のslimはたわらの真似をしただけではないでしょうか。

特にemaxisが狙い撃ちにされているとは思いません。信託報酬を最安に合わせろと言われたとき、利益減少が大なのは他の会社かもしれませんね。

No title

コメントありがとうございます。

>IPOの購入をNISAで行うことをあまり見聞きしないのですが、なにかデメリットがあれば教えて頂けないでしょうか?

IPOは初値で売却するのがセオリーです。
せっかくの非課税投資枠を非課税期間満了時まで有効活用できず、もったいないことになります。

>ニッセイ外国株式インデックスファンドとDCニッセイ外国株式インデックスも同じMSCIコクサイ・インデックス(配当込み、円換算ベース)を指標としていますが、こちらも対象になりそうな気がしますがいかがしょうか?

後者はDC専売品で販路が違いますので、今回の金融庁の方針とは関係ないと思います。

>idecoラインナップは簡単には変更出来ませんから結局金融機関ごと変えるか、プランを変更するしかなく

方法があるだけよかったと思うしかないと思います。

>アセットマネジメントoneの日経225のファンドを調べてみると、信託報酬0.88%で純資産1700億円のもの(1998年設定)と、信託報酬0.187%で純資産400億円のもの(2015年設定)が見つかりました。

前者はマザーファンドを持たないのに対し、後者(たわら日経225)は30億円程度の既存のマザーファンドを有効活用したもので、全く違います。

>日経225以外の指数は調べてませんが、同様の状況と思います。

全く違うと思いますよ。
ぜひ調べてみてください。

>アセットマネジメントoneは既存のファンドの信託報酬を下げれば良いだけのはずなのに、そうせずに別の信託報酬が低いファンド(たわら)を作りました。

1300億円の純資産額があった日経225ノーロードオープンの信託報酬を引き下げる理由がありません。

>それが上手くいったのを見て、後発のslimはたわらの真似をしただけではないでしょうか。

たわら日経225はうまくいっていません。

この仕組み(マザーファンドも販路も同じで信託報酬だけが違うのを新ファンドとして発売する)を成功させたのはスリムシリーズです。

たわらノーロードシリーズはこの仕組みを採用していません。


>信託報酬を最安に合わせろと言われたとき、利益減少が大なのは他の会社かもしれませんね。

例えば、どこになりますか?

No title

> 前者はマザーファンドを持たないのに対し、後者(たわら日経225)は30億円程度の既存のマザーファンドを有効活用したもので、全く違います。
金融庁はそんな細かいところを問題にしていますか? 先の書き込みの例は、同一の指標に連動するにもかかわらず、手数料水準の異なる複数のインデックス投信があり、古くからの顧客が割高なファンドを保有している状況となっている、に完全に合致していますよね。

> 例えば、どこになりますか?
日経225インデックスファンドだと、純資産が多くて信託報酬が高いファンドを持っているのは日興アセット、AMOne、三菱UFJ国際あたりですね。信託報酬と純資産額を考慮すると、AMOneでしょうか。
https://www.nikkei.com/markets/fund/ranking/?type=netasset&category1=dms

No title

コメントありがとうございます。

>金融庁はそんな細かいところを問題にしていますか?

信託報酬を区別する合理的な理由があれば、金融庁は文句を言えません。

同じマザーファンドを買うだけファンドで販路もオンライン中心なのに、信託報酬だけが違うというあからさまな商売をしているからこそ狙い撃ちされたと思っています。

eMAXISシリーズは一部地銀等で店頭窓口でも取り扱われていることから、目論見書等の紙提供の必要があり、完全にオンライン専用のSlimよりもコストがかかるという違いがあるのでしょう。いずれにせよ他の方がコメントされている通り、eMAXISのみを狙い打ちにしたわけではないでしょう。

No title

コメントありがとうございます。

>eMAXISシリーズは一部地銀等で店頭窓口でも取り扱われていることから、目論見書等の紙提供の必要があり、完全にオンライン専用のSlimよりもコストがかかるという違いがあるのでしょう。


三菱UFJ国際投信は、下記の紹介文のとおりeMAXISをネット専売品であるとしています。


三菱UFJ国際投信がネット投資家の皆さまにお届けするノーロード・インデックスファンド・シリーズ“eMAXIS(イーマクシス)シリーズ”
ネット専用商品として数多くの販売会社での取扱いを目指して参ります。

地銀HPの投信取り扱い情報でネットや店頭での取り扱い有無が確認できます。eMAXISで店頭取り扱いがあるものは散見されます。どうぞご確認ください。

No title

コメントありがとうございます。

>eMAXISで店頭取り扱いがあるものは散見されます

ネット専売品として設計されたかどうかという点が重要なのであって、現実に店頭販売されているかどうかは重要ではありません。

金融庁から、

eMAXISとSlimは、どちらも販売経路はオンライン中心で投資対象も同じマザーファンドなのに、なぜ信託報酬がこれほど違うのですか?

と聞かれたときに合理的な説明ができるかどうかが問題になります。


ちなみに、たわら日経225は、

日経225ノーロードオープンは店頭販売用として設計されたもので、オンライン販売用として設計されたたわら日経225とは販売経路が異なります。
また、たわら日経225はマザーファンドに投資するものであり、マザーファンドを持たない日経225ノーロードオープンとはこの点でも異なるものです。

という合理的な説明ができます。

No title

スリムだけ狙い撃ちじゃない思うな
先日の観測気球報道のように、消費者にとっての投信における一物多価の問題でしょうね

No title

コメントありがとうございます。

>消費者にとっての投信における一物多価の問題でしょうね

これを利用して、わが国最大のインデックスファンドに成り上がったのがスリムシリーズです。
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プロフィール

たわら男爵

Author:たわら男爵
Painter:ますい画伯
http://www.masuitousi.com/

ブログ開始日 2016年3月1日

●リスク資産(6割)は「たわら先進国株」(楽天証券)とVT(SBI証券)をほぼ50:50でホールド中。
●つみたてNISA(SBI証券)では「たわら先進国株」を年初一括40万円購入。
●楽天カード投資(毎月1日)では「たわら先進国株」を毎月5万円購入(+特定口座で11日と21日に各5万円ずつ積立買付中)。
●SBI証券で「インデックスマラソン」の毎営業日100円投資を実行中。

●無リスク資産(4割)は、個人向け国債変動10(みずほ証券、SMBC日興証券)と楽天銀行(金利0.1%)。

パソコン版右端の「ブログ記事検索」と「カテゴリ」が便利です。

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