2021/03/26
無分配投信の問題点
インデックスファンドに限らず、投資信託は原則として分配金を出します。我々のたわら先進国株も、目論見書6頁で次のように記載し、分配金を出すことを前提としています。
年1回決算を行います。
●毎年10月12日に決算を行い、基準価額水準、市況動向等を勘案して分配金を決定します。
●将来の分配金の支払いおよびその金額について保証するものではありません。
●分配金額は、分配方針に基づいて委託会社が決定します。あらかじめ一定の分配をお約束するものではありません。分配金が支払われない場合もあります。
ここで「分配方針」が何かが気になりますが、目論見書16~17頁で説明されています。
収益分配方針
毎決算時に、原則として以下の方針に基づき収益分配を行います。
(1)収益分配額の範囲
経費控除後の配当等収益および売買益(評価益を含みます。)等の全額とします。
(2)分配対象額についての分配方針
委託会社が基準価額水準、市況動向等を考慮して、分配金額を決定します。ただし、分配対象額が少額の場合は分配を行わない場合があります。
(3)留保益の運用方針
留保益の運用については、特に制限を設けず、委託会社の判断に基づき、元本部分と同一の運用を行います。
このように、目論見書では、まるでETFのように全額分配が原則であることが明示されています。
しかし、たわら先進国株は2015年12月の新規設定から一度も分配金を出していません。
運用報告書5頁では、分配金を出さなかったことについて、次のように記載しています。
当期の収益分配金については運用実績等を勘案し、無分配とさせていただきました。なお、収益分配金に充てなかった利益は信託財産内に留保し、運用の基本方針に基づいて運用いたします。
目論見書や運用報告書でこのような記載をしているのは、なにもたわら先進国株だけではありません。
ニッセイ外国株もスリム先進国株も同じ記載をしています。ただし、スリム先進国株は次のように少し踏み込んだ記載をしています。
分配金額の決定にあたっては、信託財産の成長を優先し、原則として分配を抑制する方針とします。(基準価額水準や市況動向等により変更する場合があります。)
今回は、なぜ各社が分配を原則とした記載をしているのか、スリム先進国株の記載(原則として分配を抑制する方針)が危ない理由について説明します。
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過去記事(2021.3.5)のリンクを張っておきます。
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コメント
No title
冗談も一部あるでしょうが,「明確に何年分配しなくてもいいかという前例はないものの,澤上さんのところが怒られたら考える」と仰っていました.
金融庁の位置付けが中央省庁ではそこまで高くないことを考えると,あまりはっきりと分配しないと書くのは得策ではなさそうですよね
2021/03/26 22:03 by くは72 URL 編集
2021/03/27 06:01 by URL 編集
No title
>「明確に何年分配しなくてもいいかという前例はないものの,澤上さんのところが怒られたら考える」
さわかみファンドは一昔前の代表的なファンドでしたが、今はスリムシリーズが代表的なファンドになりました。
そのスリムシリーズが無分配を明言するのは非常にまずいと思います。
国税は一罰百戒が大好きですので、狙い撃ちにされるリスクがあるからです。
>どのようなロジックで分配金を出していないのか
決算の直前までは全額分配するつもりだったものの、決算の直前に再度検討したところ、諸般の事情を考慮して今回はやむを得ず分配をしないという苦渋の決断をしたわけです。
これがたまたま続いているだけです。
2021/03/28 02:07 by たわら男爵 URL 編集