スリムTOPIX、保有株の5割が貸株

読者の方から情報提供をいただきました。

eMAXIS Slim国内株式(TOPIX)」の運用報告書(全体版)のp.12の「有価証券の貸付及び借入の状況」という項目で、貸し付けの実績が記載されています。





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早速確認してみました。


●2018年3月26日時点
貸付有価証券総株数 1015万5800株
(うちモルガン・スタンレーMUFG証券 1015万5800株)
総保有株数 1億3735万9000株
貸株の割合 7.3936%

●2019年3月25日時点
貸付有価証券総株数 1261万2000株
(うちモルガン・スタンレーMUFG証券 1261万2000株)
総保有株数 1億2504万4000株
貸株の割合 10.0860%

●2020年3月25日時点
貸付有価証券総株数 1162万0100株
(うちモルガン・スタンレーMUFG証券 497万4400株)
総保有株数 1億3734万0000株
貸株の割合 8.4608%

●2020年4月27日時点
貸付有価証券総株数 6581万1400株
(うちモルガン・スタンレーMUFG証券 1154万4000株)
総保有株数 1億3734万0000株 ※ただし、2020年3月25日時点の数字を採用
貸株の割合 47.9185%


事実関係を整理すると、スリムTOPIXは、かねてからモルガンスタンレーに限定して貸株をしていたものの、2019年4月以降は他社にも門戸を開放し、2020年4月27日時点では保有株の48%を貸し出すに至ったということになります。

私はこの衝撃の事実を受け止めきることができず、本当かどうか電話で聞いてみました。

本当でした。



なんてこったい。




ただ、気になるのは、(1)貸し倒れが発生した時にどうなるのか、(2)貸株料の一部を三菱UFJ国際投信が報酬として受領するのかという点です。
前者は、マザーファンドの純資産額が減少し、最終的に我々がその損を被るリスクがあります。
後者は、貸株料の報酬目当てで高利の貸し出しをしてしまうリスクがあります。

三菱UFJ国際投信に確認したところ、


(1)信託銀行での分別管理が継続され、貸出先の資産として扱われることはないため、貸し倒れリスクが発生することはない。
(2)三菱UFJ国際投信が受領する報酬は信託報酬のみであり、貸株に関し報酬を受領することは一切ない。


ということでした。

たしかに、スリムTOPIXの目論見書のリスクの項には貸し倒れリスクは記載されていません。

①価格変動リスク
一般に、株式の価格は個々の企業の活動や業績、市場・経済の状況等を反映して変動するため、当ファンドはその影響を受け株式の価格が下落した場合には基準価額の下落により損失を被り、投資元本を割り込むことがあります。
②信用リスク
信用リスクとは、有価証券等の発行者や取引先等の経営・財務状況が悪化した場合またはそれが予想された場合もしくはこれらに関する外部評価の悪化があった場合等に、当該有価証券等の価格が下落することやその価値がなくなること、または利払いや償還金の支払いが滞る等の債務が不履行となること等をいいます。当ファンドは、信用リスクを伴い、その影響を受けますので、基準価額の下落により損失を被り、投資元本を割り込むことがあります。
③流動性リスク
有価証券等を売却あるいは取得しようとする際に、市場に十分な需要や供給がない場合や取引規制等により十分な流動性の下での取引を行えない、または取引が不可能となるリスクのことを流動性リスクといい、当ファンドはそのリスクを伴います。例えば、組み入れている株式の売却を十分な流動性の下で行えないときは、市場実勢から期待される価格で売却できない可能性があります。この場合、基準価額の下落により損失を被り、投資元本を割り込むことがあります。
※留意事項
・当ファンドのお取引に関しては、金融商品取引法第 37 条の6の規定(いわゆるクーリングオフ)の適用はありません。
・収益分配金の水準は、必ずしも計算期間における当ファンドの収益の水準を示すものではありません。収益分配は、計算期間に生じた収益を超えて行われる場合があります。
投資者の購入価額によっては、収益分配金の一部または全部が、実質的な元本の一部払戻しに相当する場合があります。当ファンド購入後の運用状況により、分配金額より基準価額の値上がりが小さかった場合も同様です。
収益分配金の支払いは、信託財産から行われます。したがって純資産総額の減少、基準価額の下落要因となります。
・当ファンドは、ファミリーファンド方式により運用を行います。そのため、当ファンドが投資対象とするマザーファンドを共有する他のベビーファンドの追加設定・解約によってマザーファンドに売買が生じた場合などには、当ファンドの基準価額に影響する場合があります。
・当ファンドは、東証株価指数(TOPIX)(配当込み)の動きに連動することをめざして運用を行いますが、信託報酬、売買委託手数料等を負担すること、株価指数先物取引と当該指数の動きが連動しないこと、売買約定価格と当該指数の評価価格の差が生じること、指数構成銘柄と組入銘柄の違いおよびそれらの構成比に違いが生じること、当該指数を構成する銘柄が変更になること等の要因によりカイ離を生じることがあります。



ちなみに、楽天全米株の目論見書の記載は、次のようになっています。

① 価格変動リスク
当ファンドが実質的に投資する上場投資信託証券は、上場株式同様、市場で取引が行われ、市場の需給の影響を受けて価格が決定されます。需給環境の変化等により当該上場投資信託証券の価格が下落した場合には、基準価額の下落要因となります。
② 株価変動リスク
当ファンドが実質的に投資する上場投資信託証券に組入れられた株式の価格は、政治・経済情勢、発行企業の業績、市場の需給関係等の影響を受け変動します。当該株式の価格が下落した場合には、基準価額の下落要因となります。
③ 為替変動リスク
当ファンドは実質的な外貨建資産について原則として為替ヘッジを行わないため、為替レートの変動により基準価額は変動します。為替レートが円高方向に変動した場合には、基準価額が下落する要因となります。
④ 流動性リスク
当ファンドが実質的に投資する上場投資信託証券の流動性は、需給環境や市場に対する相場見通し、経済・金融情勢等の変化、当該上場投資信託証券が売買される市場の規模や厚み、市場参加者の差異等の影響を受けます。当該上場投資信託証券の流動性が低下した場合、市場実勢から期待できる価格で売買が実行できず、不利な条件での売買を強いられる可能性があり、その場合、基準価額の下落要因となります。
⑤ 信用リスク
当ファンドが実質的に投資する上場投資信託証券に組入れられた有価証券の価格は、発行体の倒産、財務状況または信用状況の悪化等の影響を受けます。発行体の経営状態の悪化等により当該有価証券の価格が下落した場合には、基準価額の下落要因となります。
⑥ カントリー・リスク
当ファンドが実質的に投資する上場投資信託証券は、海外の金融・証券市場において投資を行うため、当該国・地域の政治、経済および社会情勢の変化により金融・証券市場が混乱した場合には、基準価額が大幅に下落する可能性があります。
※基準価額の変動要因は、上記に限定されるものではありません。
<その他の留意点>
① 当ファンドはマザーファンドが投資する上場投資信託証券を通じて、対象指数に連動する投資成果を目指して運用を行いますが、当該上場投資信託証券は対象指数と連動することが約束されているわけではないほか、当ファンドにおける資金流出入から当ファンドとマザーファンド間の資金移動までのタイミングのずれ、当ファンドにおける信託報酬やマザーファンドにおける売買コストをはじめとする当ファンドとマザーファンドの運営にかかる費用負担の影響等から、当ファンドの基準価額と対象指数との乖離が拡大する場合があります。
有価証券の貸付取引等において、取引先リスク(取引の相手方(レンディング・エージェントを含みます。)の倒産等により契約が不履行になる危険のこと)が生じる可能性があります。
③ 当ファンドはファミリーファンド方式で運用を行います。当ファンドが投資対象とするマザーファンドを同じく投資対象としている他のベビーファンドにおいて、追加設定・解約や資産構成の変更等により資金移動等が起こり、その結果、マザーファンドの組入れ上場投資信託証券に売買等が生じた場合等には、当ファンドの基準価額に影響をおよぼす場合があります。
④ 当ファンドの取引に関しては、金融商品取引法第 37 条の 6 の規定(いわゆるクーリングオフ)の適用はありません。
⑤ 当ファンドに関連する法令・税制・会計等は、今後、変更される可能性があります。これに伴い、当ファンドの基準価額に 影響がおよぶ場合があります。
⑥ 市況動向や資金動向等によっては、投資方針に沿った運用ができない可能性があります。


赤字にした部分が、スリムシリーズの目論見書にはなく楽天バンガードファンドの目論見書にはある貸し倒れリスクに関する部分になります。
また、下記記事でお伝えしたとおり、楽天投信投資顧問は貸株料の一部を報酬として受領します。
【参考】
●楽天バンガード、保有ETFを第三者に貸し出し追加報酬を狙う
http://tawaraotoko.blog.fc2.com/blog-entry-2039.html


というわけで、楽天投信投資顧問の説明がますます求められることになりそうです。

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コメント

No title

「貸株をしても、分別管理をして、貸倒れリスクがない」、かつ「貸株収入を得ることによって信託財産が増える」としたら、投資信託を買った人にとっても、メリットだけのような気がするのですが、どんなリスクがあるのでしょうか?
この場合はOKなのでしょうか?

これらの貸株は、回り回って、kabucomなどの一般信用用の貸株として回ってるんでしょうか?

No title

これってもしかして他の有名投信もおなじことしてるんじゃ・・・

No title

同じ貸株でも、スリムはリスクが無く、楽天はリスクがあるということでしょうか?

No title

コメントありがとうございます。

>投資信託を買った人にとっても、メリットだけのような気がするのですが、どんなリスクがあるのでしょうか?

そんなうまい話があるのかよく分かりません。

>これらの貸株は、回り回って、kabucomなどの一般信用用の貸株として回ってるんでしょうか?

この点についての知識は全くありませんが、モルガンスタンレーに融通しているということはそういうことなのかもしれませんね。

>これってもしかして他の有名投信もおなじことしてるんじゃ

私も同じように思ってざっと確認したのですが、発見できませんでした。

>同じ貸株でも、スリムはリスクが無く、楽天はリスクがあるということでしょうか?

楽天は目論見書にリスクがあると書いてありますのであるのでしょうね。

スリムは目論見書にリスクがあるとは書いておらず、分別管理されているからリスクはないと断言していましたので、我々はそれを信じるしかないわけですが、「半分も~?」という気持ちはありますよね。

No title

三菱国際投信もやってたんですか。知りませんでした。モルガン・スタンレーMUFG証券っていうのが嫌な感じですね。モルスタは危ないことして行政処分けてますし。50%近くもレンディングしていてリターンに反映されているのでしょうか?経過を見て行きたいところですね。

No title

コメントありがとうございます。

>モルガン・スタンレーMUFG証券っていうのが嫌な感じですね。

これまでは貸出先はモルスタだけでしたが、最近ではそれ以外にも手を広げていますので、私はそのほうが心配です。

>50%近くもレンディングしていてリターンに反映されているのでしょうか?

リスクゼロでリターンだけをマシマシできるといううまい話が本当にあるのか疑問ですが、次回の運用報告書を待ちたいと思います。

No title

電話で問い合わせしていただきありがとうございました。

長いコメントになって恐縮ですが、私の理解が追い付いていないところがあるので、どうかお付き合いください。
個人が証券会社を通じて個別株を貸し付ける場合、どんな貸し倒れリスクがあるかを改めて見直してみました。
以下、SBI証券ウェブサイトより引用(一部改変)します。
---
https://search.sbisec.co.jp/v2/popwin/help/stocklend_03_01.html
1.当社(借入者)の信用リスク
貸株サービスご利用にあたり当社と締結いただく契約は「消費貸借契約」であり、無担保契約になります。したがいまして、お客さまは当社が倒産した場合などの信用リスクを負うことになります。

2.当社(借入者)からの貸出先に対する信用リスク
貸出先に万一のことがあり、株券が返却されない場合、当社があらかじめ貸出先から確保している担保で株券を調達し、お客さまが貸出していた株券をすべて返却いたしますが、その場合でも返却が難しい場合には、基本契約書に定められた遅延損害金としてお客さまにお支払をすることになります。その場合には、株主として得られる権利(株主優待、議決権等)に相当する内容は、その保証対象とはなりませんので、あらかじめご了承ください。

3.投資者保護基金の対象とはなりません
お客さまが貸出す株券は通常の保護預りとは異なり、証券会社が自社の資産とお客さまの資産を区別して管理する分別保管の対象とはなりません。したがいまして、当社が倒産した場合などに投資者保護基金による保護の対象とはなりません。
---

投資家の資産を信託銀行で分別管理するという投資信託の仕組みからすると、ファンドによるレンディングには個別株の貸株でいう1.と3.のリスクは当てはまらないことが電話で確認できたとわかりました。2.については、貸出先の機関投資家が信託銀行(受託会社)に担保を差し入れているのでしょうね。

No title

もし仮に貸し倒れたら本当に信託銀行が担保してくれるのか、そこが倒れても大丈夫なのか未知数だよね。そこは担保してません。うちは別ですとか言い張られたら終わりな気がするけどな。隠れリスクとしては値下がりリスク以上かと思うけどどこも触れないね~

個人的には所有権が証券会社にコンマ1秒でも移る貸株が大嫌いなので潜在的には超ハイリスクなのでは?と思ってしまう。

いくつかの目論見書読んだけどどっこも書いてないんだよね貸株行為について。過去に破綻がないからOKという認識なのか、そもそも分けて管理してるので大丈夫だろうとかなのかな?投信が将来どこにリスクが有るのかわからんサブプライムローン化しなきゃいいけど。。。

No title

コメントありがとうございます。

>2.については、貸出先の機関投資家が信託銀行(受託会社)に担保を差し入れているのでしょうね。
>もし仮に貸し倒れたら本当に信託銀行が担保してくれるのか

信託銀行での分別管理が継続されると言っていましたので、私は、信託銀行内部での分類が変更されるだけだと理解しました。

三菱UFJ国際投信がリスクはないと断言している以上、もし何かあったら三菱UFJ国際投信が責任を取って填補してくれるのでしょう。
この点が顧客にリスクを負担させて貸株報酬を受領する楽天バンガードファンドと決定的に異なる点だと思います。

スリムのやり方がノーリスクだとしたら、楽天バンガードはなぜ同じやり方をしないのでしょうか?

No title

コメントありがとうございます。

>楽天バンガードはなぜ同じやり方をしないのでしょうか?

貸出先が外国であることや金利の多寡が関係しているのではないかと思っているのですが、よく分かりません。

今後はより運用会社への信頼性という部分が問われるようになってきますね…

今までは選択基準は良くも悪くもコストコストでしたから

No title

コメントありがとうございます。

>今後はより運用会社への信頼性という部分が問われるようになってきますね

楽天バンガードファンドの今回の試みが顧客に支持され純資産額が伸びると、他社も真似するようになるかもしれません。

私は、楽天バンガードファンドの純資産額の推移に注目しています。

No title

slim先進国やslimオールカントリーの請求目論見書にも有価証券の貸付をすることができると書いてありますね。実際にはまだ行われてなさそうに見えますけど。

No title

コメントありがとうございます。

>slim先進国やslimオールカントリーの請求目論見書にも有価証券の貸付をすることができると書いてありますね。

たわらにもニッセイにも同じ記載があります。
おそらく定型文言なのだろうと思われます。
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プロフィール

たわら男爵

Author:たわら男爵
Painter:ますい画伯
http://www.masuitousi.com/

ブログ開始日 2016年3月1日

●リスク資産(6割)は「たわら先進国株」(楽天証券)とVT(SBI証券)をほぼ50:50でホールド中。
●つみたてNISA(SBI証券)では「たわら先進国株」を年初一括40万円購入。
●楽天カード投資(毎月1日)では「たわら先進国株」を毎月5万円購入(+特定口座で11日と21日に各5万円ずつ積立買付中)。
●SBI証券で「インデックスマラソン」の毎営業日100円投資を実行中。

●無リスク資産(4割)は、個人向け国債変動10(みずほ証券、SMBC日興証券)と楽天銀行(金利0.1%)。

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