源泉徴収し忘れたから、強制売却して納税するぜ(byサクソバンク証券)

サクソバンク証券が盛大にやらかしました。




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サクソバンク証券は、我が国の証券会社で唯一、米国株口座にDRIP(配当金自動再投資サービス)を実装しています。
DRIPとは、米国株や米国ETFから配当金・分配金が出た都度、その配当金・分配金を使って米国株・米国ETFを自動的に買い増してくれるというサービスです。

しかし、サクソバンク証券の米国株口座は一般口座であり、

(1)自分で取得価額・売却価格(その時点の為替レートを含む)を記録・計算し、確定申告が必須
(2)国民健康保険や国民年金の免除・減額に影響する

ことから、特定口座の実装が待望されていました。

サクソバンク証券としても、顧客のニーズは十分に理解しており、2018年から特定口座の実装を目指してきました。
サクソバンク証券は、当初は2018年中にも特定口座を実装するとアナウンスしていましたが、ズレにズレ、現時点(2020年12月時点)では特定口座の実装がいつになるか全く未定の状態です。
【参考】
●サクソバンク証券、特定口座の対応時期は全く分からず
http://tawaraotoko.blog.fc2.com/blog-entry-1819.html


上記記事で、私は、サクソバンク証券が特定口座に対応するのはもう無理ではないかと述べました。
その懸念が現実化してしまったようです。

サクソバンク証券は、最近、顧客に対し、「外国証券等に係る配当における源泉徴収税未徴収について」と題する手紙を書留郵便で送付しています。
被害者がアップした画像はこちら。
https://twitter.com/ronaldread_blog/status/1341341275270696963/photo/1

その内容は、

(1)外国株式の配当金について、外国税と日本税を源泉徴収すべきところ、外国税については源泉徴収していたものの、日本税については2018年9月14日のサービス開始からずっと徴収し忘れていた。
(2)2020年11月30日までの源泉徴収税を12月28日に徴収する。
(3)口座残高が不足しているときは、有価証券を強制売却したり建玉を強制決済したりすることになる。
(4)2020年12月分については2020年12月中旬ころに順次徴収する。

というものです。

これはサクソバンク証券が悪いわけですが、国税の立場からすると、顧客も「納付すべきだった税金を納付していなかった」という点で同罪です。
一般口座を選択した以上、譲渡所得税や配当所得税は自分の責任で計算し納税しなければなりません。

特定口座(源泉徴収あり)で外国株を取引したときは、証券会社が税金を計算して源泉徴収してくれます。
これに対し、一般口座については証券会社は原則として源泉徴収をしません。ただし、外国株の配当金については、外国が源泉徴収するため、日本税についても源泉徴収して税務署に支払調書を提出しなければならないものとされています。

※国内の証券会社ではなく、外国の証券会社の口座を利用するときは、外国の証券会社は日本税を源泉徴収せず、日本の税務署に支払調書を提出しません。
ただし、脱税を防ぐ目的で、各国の税務当局はCRSという仕組みを作っており、外国の証券会社の口座情報についても日本の国税庁に提供されます。

というわけで、一般口座を利用して外国株を取引するのであれば、その税金については自身で完全に把握し、1円の誤差もないように計算して納税する必要があります。
サクソバンク証券が日本税を源泉徴収せず、支払調書を作成しなかったのであれば、顧客は、その時点で、「配当所得税についてはどうなっているのか」をサクソバンク証券に確認し、サクソバンク証券が納税していないというのであれば自ら計算して税務署に相談しなければなりませんでした。

サクソン2018年9月14日のサービス開始から現在まで日本税を源泉徴収していなかったということは、サクソバンク証券の顧客の誰一人として上記の手順を踏まなかった(脱税をしていた)ということを意味します。
私は、自身の税務知識が完全でないことを知っているため、一般口座を選択しようとは全く思いませんが、一般口座を選択する以上、何か不備があれば全て自身の責任になるということは覚悟しておいたほうがよさそうです。

そして、今回の件で、一つだけ確実なことがあります。
それは、サクソバンク証券の特定口座の実装時期は、はるか遠く先になってしまったということです。

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コメント

No title

支払調書は作成する義務はあるけど顧客に送付する義務はない。だから顧客側はそこまでわからない

No title

仮に特定口座を実装できたとしてこのような証券会社に大きな運用資産を置いておけるかという投資家としてのリテラシーが試されるでしょう。
FX本業の外資系がいつまでも日本で営業できるのかという根本的なリスクもあります。

No title

えげつない話ですね。金融庁からの指導も入りそうですね。

国内の証券会社では、配当についてはすべて支払の際に源泉徴収すべきこととなっています。一般口座とか関係ありません。


上場株式の配当等に係る配当所得については「申告しないこと」(申告不要)が所得税法上認められていますから、配当だけなら一般口座でも確定申告をしないで済ますことができます。
但しこれはあくまで「20.315%源泉徴収済」であることが前提なので、今回はそこが崩れるわけですね。


さらに「強制売却」となるとこれは「譲渡」ですから、一般口座の場合は知らないうちに確定申告義務が生じる可能性があります。やばいですねえ。

No title

コメントありがとうございます。

>支払調書は作成する義務はあるけど顧客に送付する義務はない。

普通の証券会社は、「支払通知書」を顧客に送付します。

>仮に特定口座を実装できたとしてこのような証券会社に大きな運用資産を置いておけるかという投資家としてのリテラシーが試されるでしょう。

特定口座は証券会社を信頼して全てお任せするものですから、我々は「安心して任せられる証券会社かどうか」という新たな問題に直面していますね。

>FX本業の外資系がいつまでも日本で営業できるのかという根本的なリスクもあります。

バンガード社のETFは他社に移管すればよいですが、今話題のARK社のETFは困るでしょうね。

>金融庁からの指導も入りそうですね。

普通だったら激怒しているでしょうね。
年末のクソ忙しい時期だけに余計に腹が立つことでしょう。

>「強制売却」となるとこれは「譲渡」ですから、一般口座の場合は知らないうちに確定申告義務が生じる可能性があります。

この点は気づきませんでした。
値上がり益が出ていると非常にまずいことになりますね。

No title

怪しいところに開くとこんなものでしょう。。

No title

コメントありがとうございます。

サクソバンク証券は怪しいところではありませんが、日本法人が非常に頼りない感じがして、とても心配です。

私は元々特定口座が実装された時点でVTを移管するつもりでしたが、今回の件でやめることにしました。
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たわら男爵

Author:たわら男爵
Painter:ますい画伯
http://www.masuitousi.com/

ブログ開始日 2016年3月1日

●「たわら先進国株」と「VT」を半分ずつ保有中。
●つみたてNISA(SBI証券)は「たわら先進国株」を年初一括購入中。
●クレジットカードによる投信積立サービスを利用し、SBI証券・楽天証券・auカブコム証券で「たわら先進国株」を毎月5万円ずつ購入中。

●無リスク資産は、個人向け国債変動10とauじぶん銀行(金利0.2%)。

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