SBIバンガードS&P500はやっぱり驚安(売買委託手数料はゼロ)

2020年11月25日付けでSBIバンガードS&P500の第1期運用報告書が公表されました。
信託報酬を含むファンドの経費率は0.08%、投資先の米国ETF(VOO)の経費率0.03%と併せても0.11%であるため、驚愕の安さです。

しかし、運用報告書の費用明細を見ると、

売買委託手数料 -
有価証券取引税 -

という見慣れない表記がなされています。

私は、費用がかかっているものの「0.000」に達しない僅少なものであるという意味だと理解し、「算定不能」と翻訳しました。
【参考】
●【スリム米国株の67.48%】SBIバンガードS&P500、第1期運用報告書を公表
http://tawaraotoko.blog.fc2.com/blog-entry-1941.html


しかし、投信ブロガーの河童さんは次のように痛烈に批判しています。

公開された運用報告書を見ました。思った通り、売買委託手数料と有価商取引税が計上されていませんでした。VOOを買うだけのインデックスファンドでそれをやっちゃいかんでしょ。運用報告書って監査対象じゃないの?
https://twitter.com/KappaProject/status/1331898538209419265

SBIバンガードS&P500の第一期運用報告書が公開されましたが、驚いたことに売買委託手数料が計上されていません。ひどいですね。それは不誠実でしょ。
https://twitter.com/KappaProject/status/1331896939776884736

SBIバンガードS&P500の場合、ゼロなわけないでしょう。
計上しないのが通るなら、楽天全米株式も楽天全世界株式も計上しなくてOKになり、暗黒世界に落ちてしまいます。

https://twitter.com/KappaProject/status/1331903045366468609


しかも、河童さんの感情的な意見に同調する人も出現し、ツイッターのタイムラインは地獄のような状況です。
でもね、私はいつも思うのです。批判する前に聞いてみろ、と。



※よろしければ、次の記事もご覧ください。

●eMAXISシリーズ、9000億円に到達
http://tawaraotoko.blog.fc2.com/blog-entry-1942.html


●auカブコム証券で投信を50万円買って2万4200ポイントをゲットだぜ
http://tawaraotoko.blog.fc2.com/blog-entry-1885.html



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運用会社に聞いてみました。


売買委託手数料と有価証券取引税の表記が「-」なのは、発生していないからである。
雪だるま先進国株の運用報告書では、有価証券取引税の欄に「0.000」と表記しているが、「0.000」未満のコストがかかっているため、「-」ではなく「0.000」と表記している。
SBIバンガードS&P500の売買委託手数料が全くのゼロなのは、マーケットメーカーから直接購入しているからである。マーケットメーカーから直接購入する場合は手数料が発生しない。なお、売買委託手数料込みの代金を支払っているために運用報告書の売買委託手数料の欄に計上できないといったことではなく、本当にゼロである。
雪だるまシリーズも、当初は売買仲買人(ブローカー)から購入していたのでかなりの売買委託手数料がかかっていたが、その後、マーケットメーカーから直接購入できるものについては徐々にそちらに切り替えていると聞いている。


というわけで、SBIバンガードS&P500はやっぱり驚安でした。

なお、トータルコストが驚安であるはずのSBIバンガードS&P500は、トータルリターンではスリム米国株に負けてしまっています。
その理由はシンプルです。運が悪かったからです。

この点については、以下の記事で説明しています。

●この投資信託がすごい(2020年7月、全世界株編)
http://tawaraotoko.blog.fc2.com/blog-entry-1807.html
ETFを買うだけファンドである以上、日々のETFの時価に影響される宿命にあり、時価が理論価格よりも高ければリターンが悪化し、安ければリターンが向上することになるものの、それをファンドの運用会社がコントロールすることはできません。
すなわち、ETFは、ある日の終値では指数より上振れしたりある日の終値では下振れしたりするものの、市場の価格形成機能(上振れすれば割高と感じた市場参加者による売りが入り、下振れすれば割安と感じた市場参加者による買いが入ることで適正値が形成される機能)によって自然と指数に近づくように価格変動が収束していく仕組みになっています。
これに対し、ETFを買うだけファンドは、日々、指数よりも上振れたり下振れたりしている米国ETFを、日々の注文額に応じて多く買ったり少なく買ったりするわけですから、日々の米国ETFの乖離率と日々のファンドの注文額という2つの要素に影響されて乖離率がより発生しやすいという制度的宿命にあります。
これは全くの偶然の事情に左右される制度的宿命ですので、運用会社の努力で改善できるものではありません。



SBIバンガードS&P500は、第1期決算期を想定を超える成績で乗り切ることができました。
運用報告書を見る限り、コスト面での不安は一切ありません。
運用面での不安は、VOOという定評のある米国ETFを買うだけファンドであることから全く存在しません。
その上、米国株100%ETFであることから、三重課税コスト問題は発生しません。現物株を保有せず、ETFを保有することによる不利益は一切ないことになります。


米国株インデックスファンドの筆頭は純資産額2000億円に到達したスリム米国株ですが、SBIバンガードS&P500の純資産額も900億円に到達しています。
私は米国株インデックスファンドではなく先進国株インデックスファンドを買うことを推奨しますが、米国株インデックスファンドがほしいという人にとってSBIバンガードS&P500は真っ先に検討すべきファンドであるのかもしれません。

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コメント

No title

市場から買付ではなくダークプールでマーケットメーカーを使ってコストを安く済ますってのは良いですね。
ロビンフッダー達と同様に日本の個人投資家も手数料無料メリットを享受できます。
フロントランニングを問題視する人もいますがVOOなどの巨大ETFならば購入者にデメリットはほぼないでしょう。
もうこれでいいじゃん、って感じです。
VT、VTI、VEA、VWO、セクターETF・・・もう全部をシリーズに揃えてほしいです。
無理でしょうけど。

来年の積み立てnisa

男爵さま はじめて質問致します。
来年の積み立てNISAは
SBI証券の続投でしょうか?
それとも楽天証券に
鞍替えでしょうか?
よろしくお願いいたします。

No title

この度はご愁傷さまでした。。

運なのか何なのか分かりませんが、理論上のコストとは程遠い実績で、結果としてコストが高いとされる類似他商品に負けてるファンドで、何か裏がありそうで気持ち悪いので、あまり持ち上げないほうがいいのでは??

私はたわらは信用できても、SBIバンガードはまだ信用できません。設定からもう1年経ちましたからね。。

No title

批判する前に聞いてみろ!

そう、正しくその通りだと思います。
でも私を含めてみんな腰が重いんですよね。
色々調べていただきありがとうございました。

ある程度の期間の騰落率で比較した方が正確かもしれないですね

No title

コメントありがとうございます。

>市場から買付ではなくダークプールでマーケットメーカーを使ってコストを安く済ますってのは良いですね。

ダークプールではなく、特定のマーケットメーカーから相対取引で買っているような印象を受けました。

>VT、VTI、VEA、VWO、セクターETF・・・もう全部をシリーズに揃えてほしいです。

既に雪だるまシリーズがあるため、同種のファンドは難しそうです。
しかも、バンガードの日本支社が撤退してしまいますし。

SBIアセットマネジメントは「SBIバンガードS&P500をシリーズ化しない(このファンドだけ)」と最初から言っています。

バンガード社が先行して提携した楽天投信投資顧問との関係に配慮して、楽天バンガードファンドシリーズとかぶらないVOOに限定してSBIアセットマネジメントとの提携を認めたのかもしれないと漠然とですが考えています。

>来年の積み立てNISAはSBI証券の続投でしょうか?

私は、そのままSBI証券で行きます。

ただ、楽天カード投資の枠を無駄にすると勿体ないため、楽天証券の特定口座で月額5万円の楽天カード投資をするだけの資金的余力がない人は、つみたてNISAを含めて楽天証券に集中すべきです。

>何か裏がありそうで気持ち悪いので、あまり持ち上げないほうがいいのでは??

単にVOOを買っているだけのファンドですので、私は何も心配していません。

>でも私を含めてみんな腰が重いんですよね。

情報を積極的に発信しなければ別に構わないのですが、憶測に基づいて他者を誹謗中傷する意見を発信するのは法的にアウトです。

毒舌と誹謗中傷は質的に違う(誹謗中傷は表現の自由の範囲を超えて法的責任を問われる)ということをよく理解して情報を発信しなければならないということを考えさせられた出来事でした。

>ある程度の期間の騰落率で比較した方が正確かもしれないですね

SBIバンガードS&P500は、VOOを買っているだけですから、指数との乖離率やリターンの多い少ないを問題にしても意味がないと考えています。

唯一心配だったのは「ファンド固有の運用コストが高いのではないか」という点だったのですが、第1期運用報告書でその懸念も払拭されました。
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たわら男爵

Author:たわら男爵
Painter:ますい画伯
http://www.masuitousi.com/

ブログ開始日 2016年3月1日

●「たわら先進国株」と「VT」を半分ずつ保有中。
●つみたてNISA(SBI証券)は「たわら先進国株」を年初一括購入中。
●クレジットカードによる投信積立サービスを利用し、SBI証券・楽天証券・auカブコム証券で「たわら先進国株」を毎月5万円ずつ購入中。

●無リスク資産は、個人向け国債変動10とauじぶん銀行(金利0.2%)。

パソコン版右端の「ブログ記事検索」と「カテゴリ」が便利です。

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