【追記あり】一括投資か積立投資かという議論はナンセンス

これまで全く投資をしたことがなかった人がインデックス投資をスタートするとき、手持ちの預貯金の中から幾らのお金を投資に回すかについて、自身のリスク許容度を踏まえて決めなければなりません。

※リスク許容度
ある人の属性を神様の目から見たとして、幾らならリスク資産に投資してもよいかという客観的な基準のこと。
Aさんと全く同じ属性(学歴、職歴、資格、年齢、性別、子供、健康、預貯金、本人や配偶者の親族の属性などのその人を取り巻く全ての要素)のBさんがいたとして、Aさんのリスク許容度とBさんのリスク許容度は全く同じになります。
これに対し、「リスク選好度」は主観的な基準で、簡単に言うと「ビビらない気持ち」のことです。Aさんであればビビらない含み損でもBさんはビビるかもしれません。この場合、AさんよりもBさんのほうがリスク選好度が低いことになります。


つぎに、幾らのお金を投資に回すかを決めた後、そのお金をどのような時間軸で市場に投下するかを決める必要があります。
つまり、1000万円でインデックスファンドを買おうと決めたとしても、最初の1回目で1000万円のインデックスファンドを買うのか、あるいは数年かけて分割して買うのか、どちらがよいかということです。




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結論から先に述べると、私は、投資に回すお金は60等分し、60か月かけて毎月同じ金額のインデックスファンドを買うべきであると考えています。
例えば、1000万円を投資すると決めたら、毎月16万6666円ずつのインデックスファンドを買っていくわけですね。

具体的には、

(1)つみたてNISA口座で40万円を年初一括投資する。
→年の途中で投資を思い立ったのであれば、初年度はその日に一括投資し、翌年以降は年初に一括投資する。

(2)楽天証券で楽天カード投資をする。
楽天カード投資の上限は月額5万円のため、

1日 5万円(楽天カード投資を利用して買う)
11日 5万円(普通に積立設定して買う)
21日 5万円(普通に積立設定して買う)

という感じで買っていく。

(3)つみたてNISA口座に年初一括投資をするお金がなくなったら、特定口座のインデックスファンドを40万円分だけ売却し、つみたてNISA口座で40万円分のインデックスファンドを購入する。


私は、インデックス投資の成功は「入金力」で決まると考えています。
入金力とは、より早く、より多額のお金でインデックスファンドを買った人がより成功するということです。

なぜなら、リターンとリスクとは表裏一体の関係にあるため、高いリターンを得たければ高いリスクを取ることを覚悟しなければならないところ、より早く、より多額のお金でインデックスファンドを買った人は、そうしない人よりもより高いリスクを取っていることになるため、より高いリターンを得ることが期待できるからです。

そうすると、入金力という観点からは、投資できるお金がある人は、5年かけて60分の1ずつインデックスファンドを買うよりも、最初に一括してインデックスファンドを買ったほうがより高いリスクを取っている以上、より高いリターンを期待できるのではないかという疑問が発生するでしょう。
その疑問は正しく、一括投資はほぼ全てのケースで積立投資よりも高いリターンを生み出します。

インデックスファンドの始祖であるバンガード社は、一括投資を推奨しています。
【参考】
●バンガード社は一括投資を明確に推奨している
http://tawaraotoko.blog.fc2.com/blog-entry-1350.html


この本を出版した星野泰平さんも、同書318~319頁で、


すべての運用年数で積立投資のほうが損をした回数が多かった。
圧倒的に一括投資のほうが平均的に利益を上げている。


と述べています。

しかし、より高いリターンが期待できるとしても、誰もが勧めるのは一括投資ではなく積立投資のほうです。
その理由は、一括投資をしたとしても、その後ずっと保有し続けなければリターンを得ることはできないからです。

投資初心者がインデックスファンドを一括投資したとして、その後に相場が暴落して含み損が1割、2割、3割と増え続けた時、パニック売りをせずにホールドし続ける胆力がどれほどの人にあるのかと考えると、普通の投資初心者にはそのような胆力はありませんから、パニックになってさっさと売ってしまうでしょう。
そして、暴落後の稲妻が輝くような相場上昇期をみすみす取り逃がすことになるわけです。
【参考】
●積立買付で含み益というお守りを獲得しよう
http://tawaraotoko.blog.fc2.com/blog-entry-622.html


一括投資ではなく積立投資を選択すると、徐々に含み益が積み上がっていきます。
暴落相場が到来したとしても、リスクにさらしているお金はまだ少額であるため、含み損の金額も少額で済みます。その結果、「投資を続けよう」という気持ちが折れずに投資を継続することができることになります。

結局のところ、一括投資か積立投資かという議論はナンセンスです。
その理由は、次のとおりです。

(1)一括投資ができる余剰資金を持っている人は投資初心者であるため、暴落に耐えうるほどの「リスク選好度」がなく(一括投資した時に「ある」と思っていたものは実は誤解で、本当のリスク選好度はもっとずっと低かった)、暴落にビビッてパニック売りをしてしまうリスクが高い。

(2)暴落に耐えうるほどの「リスク選好度」がある人は、既にある程度の投資経験があり、余剰資金は使い切っているため、一括投資したくてもできない。


一括投資ができるほどの「リスク選好度」がある人は、一括投資か積立投資かを悩むことなく、余剰資金はさっさと使い切ってしまっているものです。
つまり、一括投資か積立投資家を悩む時点で、あなたのリスク選好度は一括投資に向かないと言えるため、素直に余剰資金を60等分して均等額積立投資をすることをお勧めします。


【2020.10.18追記】

自分自身の「リスク選好度」がどの程度かは、相場が暴落し、含み損が1割、2割、3割と増え続ける状況になって見ないと分からないものです。
暴落前に決めた投資計画どおりに均等額積立投資を続け、売らずにホールドし続けることができる人は、自分自身のリスク選好度を適切に把握できていたと言えるでしょう。

これに対し、暴落時に「もっと積立額を増やしたい」と思う人は、暴落前に想定していた自分自身のリスク選好度が低く、実際にはもっと高かったことになります。
しかし、リスク選好度を高く見積もるとパニックになって相場から撤退するリスクがあるのに対し、リスク選好度を低く見積もると残念な気持ちになるだけですから、自分自身のリスク選好度を想定する際は引く目に見積もっておくべきです。

なお、リスク選好度を高めに見誤ってしまったとしても、

(1)すぐに暴落が来れば、暴落直前に一括投資した人と比べてリスク資産の総額が少なく済むため、暴落による含み損の金額も少なくなり、パニック売りを思いとどまることができる
(2)数年後に暴落が来れば、それまでに積み上がった含み益が存在するため、暴落のショックがその分だけ緩和される

ことになります。

なお、一括投資の数年後に暴落が到来するケースの方が、積立投資を始めて数年後に暴落が到来するケースよりも含み益が多くなります。
しかし、それはあくまでも結果論です。一括投資の直後に暴落が到来するリスクを考えると、私はおそろしくて一括投資はできません。

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コメント

リスク許容度は客観的指標であるとした後で、リスク許容度は主観的なものと表現されています。後者はリスク選好度とかの書き間違いではないでしょうか?

No title

まさに自分も同じ考えです

リスク選好度のある人が数年投資期間が短くなっても、勿論金額の絶対値は相当大きくなるかもしれませんが、逆の場合(本文(1))と比べたら損失は限定的というのもありますね

投資に関わる情報発信者は、一括投資どころかレバレッジまで掛けるようなリスク選好度が高い人が「実際の投資家全体の中の割合」よりも多いかもしれない、というのも気に留めておいて良さそうです


>これに対し、「リスク許容度」は主観的な基準で
の部分が誤記と思われるので記載しておきます

No title

コメントありがとうございます。

>後者はリスク選好度とかの書き間違いではないでしょうか?

>リスク許容度」は主観的な基準で
の部分が誤記と思われるので記載しておきます

ご指摘ありがとうございます。
本文を訂正しました。

>一括投資どころかレバレッジまで掛けるようなリスク選好度が高い人

ほとんどの人が「自分のリスク選好度は高い」と誤解しているため、暴落時にパニックになってしまうのでしょうね。

この点について本文に記載しておきます。

No title

いつも拝読しております.

男爵さまのいう通りですね.
リスク選好度が高い方はまとまったキャッシュを何もせずに手元に置いていることはなさそうです.
また,現役世代は投資の原資が毎月の給料ですので,手持ちの資金をいち早く投入しようと考えると,自ずと積み立てにならざるを得ません.

No title

コメントありがとうございます。

>現役世代は投資の原資が毎月の給料ですので,手持ちの資金をいち早く投入しようと考えると,自ずと積み立てにならざるを得ません.


手元に余剰資金がない以上、毎月の収入からやりくりして投資資金を少しずつでも捻出していく必要があります。

しかし、「小さなことからコツコツと」でも投資を続けていると、10年20年たったころには馬鹿にならない金額になりますから、もっと多くの人に積立投資をしてほしいものですね。
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●つみたてNISA(SBI証券)では「たわら先進国株」を年初一括40万円購入。
●楽天カード投資(毎月1日)では「たわら先進国株」を毎月5万円購入(+特定口座で11日と21日に各5万円ずつ積立買付中)。
●SBI証券で「インデックスマラソン」の毎営業日100円投資を実行中。

●無リスク資産(4割)は、個人向け国債変動10(みずほ証券、SMBC日興証券)と楽天銀行(金利0.1%)。

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