学術会議・任命拒否はなぜ問題なのか?

私は、菅首相が「デジタル化」をテコにして、スピード感をもって行政改革を推進する姿を見て、大変期待していました。
しかし、非常に残念な事態が起こりました。
日本学術会議が推薦した会員候補のうち、6名を菅首相が任命しなかった問題です。



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現在、任命を拒否された6名の学者の素性がどうだとか、日本学術会議の運営資金を税金でまかなってよいのかどうかとか、学問の自由云々といった批判がなされています。
しかし、はっきり言ってそのようなことはどうでもよいことです。

今回の問題は、法律を作る際に国会に対して説明したことと違う運用を内閣がしたことにあります。


●総務大臣が泉佐野市に負けた理由
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法律を作るのは国会であり、内閣は国会が作った法律を「誠実に執行」(憲法73条)しなければなりません。
これこそが「民主的統制」(国民→国会→内閣)です。

最高裁が泉佐野市を勝たせた理由は、実にシンプルです。
すなわち、「泉佐野市を狙い撃ちにするために法改正をする」ことを内閣が国会に知らせなかったせいで、国会は「泉佐野市を狙い撃ちにするために法改正してもよいかどうか」という審議をすることができなかったから、新しい法律を使って総務大臣が泉佐野市を狙い撃ちにすることは許されないという判断をしたことになります。

今回も同じです。
議事録(第98回国会・参議院文教委員会第7号昭和58年5月10日)を見てみます。

061 手塚康夫
○政府委員(手塚康夫君) ただいまの点、確かに現行では選挙制によっているために、実は任命を必要としておりません。実はこの総務長官試案につきまして、学術会議の方で改革委員会・選挙制度一般に関する分科会の報告、比較的短期間の間によく分析しおまとめいただいたと私ども思っておりますが、その中にも、「選挙の場合には、立候補制であるから任命を必要としないが、学協会推薦制の場合には任命行為が必要となる。」したがって、それが自主的に行われるものであってはいけないので、「学長の任命におけるごとく、」「形式的任命権にとどめておかなくてはならない。」というふうに書いてあります。
それから、いまちょっとお話にございましたように、何か法令上の根拠もというふうに書いてございます。その辺私どもは、これは全く形式的任命であると考えているわけでございます。
研連に二百十名の会員候補者の割り当てを行って、そこから二百十名出てくれば、これはそのまま総理大臣が任命するということでございまして、それが二百二十名出るとか何とかであれば問題外ですが、そういう仕組みになっておりません。そういう意味で、私どもは全くの形式的任命というふうに考えており、法令上もしたがってこれは形式的ですよというような規定、ほかにも例がございませんが、書く必要がないと判断して現在の法案になっているわけでございます。
062 高木健太郎
○高木健太郎君 法律に明文化されておりませんので、いまの審議官がおっしゃったことをそのまま私信用するわけにはまいりませんが、この委員会においでの方はすべてそのようにお考えだと思いますので、強くその点はしっかりと記憶していただく、しっかりと守っていただくということをここで言明をしていただきたい。長官にひとつお願いしたいと思います。
063 丹羽兵助
○国務大臣(丹羽兵助君) せっかく高木先生からの御注意であり、要請でございますし、当然なことでございますから、この場で責任のある大臣として、長官として、いま事務当局から答えましたように、守らしていただくことをはっきり申し上げておきたいと思います。
https://kokkai.ndl.go.jp/#/detail?minId=109815077X00719830510¤t=4


Q.学術会議の6名を任命除外した理由は?会見などで説明する考えは?
「法に基づいて適切に対応した結果です」(菅首相)

https://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye4092773.html


当時の内閣は、国会に対し、総理大臣の任命権は形式的任命権にすぎず、推薦された人をそのまま総理大臣が任命し、任命拒否は絶対にしないと明確に約束したので、国会は法律を改正して内閣総理大臣に任命権を与えました。
したがって、今回の菅首相の任命拒否は法律を誠実に執行したとは言えないことになり、憲法上の職務違反行為をしたことになります。

菅首相が任命拒否したいのであれば、国会に対し、「今の法律は内閣総理大臣に形式的任命権しか与えておらず推薦された人をそのまま任命しなければならないから、法改正して任命を拒否することができる実質的任命権を内閣総理大臣に与えてほしい」と求めなければなりませんでした。
法律では形式的任命権しか認められていないのに実質的任命権があるように運用することは、内閣が法律を実質的に改正してしまうことを意味します。
法律を改正するのは国会の権限です。内閣が自分勝手な法解釈で法律を運用すると、その時点で国会を通じた民主的統制が効かなくなってしまいます。

安倍内閣もそうですが、菅内閣も「正しい目的のためなら少しばかりルールを逸脱してもよい」と考えているように思えてなりません。
しかし、目的は手段を正当化しません。中国共産党指導部がチベット人やウイグル人や香港市民を弾圧しているのは、それが正義を実現するための手段であると考えているからです。
国家権力はいきなり濫用されることはありません。誰にも分からないように少しずつできることを増やしていき、みんなが気付いたときにはもう誰も逆らえない状態になっているものです。


今回の問題点を簡単な言葉で言えば、内閣が国会とした約束を破ったことであり、菅首相がそのことを十分に認識しつつ、「内閣が国会とした約束など破ってもよい」と判断したことだと思うのです。


約束を守る、という極めて当たり前のことをないがしろにする人を信用することができるのか。


今回の問題できっと誰もが抱いたであろう漠然とした違和感は、この点に由来するのではないでしょうか。


【2020.10.9追記】

この問題について、高橋洋一・嘉悦大学教授が菅首相を強力に擁護しています。

今回、一部野党や一部メディアが1983年の国会における政府答弁を持ちだし、「学術会議が推薦する会員に対して政府が任命する際に裁量はない」とか、「政府が任命を拒否するのであれば説明責任がある」と主張している。これは、2003年改革で「民営化」しなかった経緯を無視したものだ。
学術会議が政府の機関で、会員は国家公務員である以上、政府の任命に裁量があるのは当然だ。それが不満であれば、学術会議を民営化すればいい。学術会議が民営化を望まなかったのであれば任命に従うのは当然だ。その場合、政府による任命は「人事」であるので、その理由は述べないのが普通だ。そもそも人事に説明責任がないのはどんな組織でも同じだ。
筆者の印象では、03年改革で日本学術会議は「民営化阻止」が最大目標だったのだろう。だから当時、「民営化」について意見を述べる機会が多かった筆者のところにも陳情に来たのだと思われる。筆者は詳細は覚えていないが、「民営化阻止」のためには何でもする、政府による人事も認めるという雰囲気はなかったのだろうか。

https://www.zakzak.co.jp/soc/news/201009/dom2010090001-n2.html


しかし、内閣総理大臣の任命権に裁量の余地を与えるかどうかを判断するのは国会です。
中曽根内閣は「形式的任命権しかいらない」と国会に説明してそれに沿う法改正を求めて国会がそれに応じて法改正したわけですから、学術会議のメンバーは内閣が人事権を持つ普通の国家公務員ではないわけです。

また、学術会議を民営化するかどうかを決めるのは国会であって学術会議ではありません。
当時の学術会議の執行部が金欲しさに小泉内閣と裏取引をし、今後は内閣の意向に沿う人物を推薦すると約束したのかどうかは分かりませんが、仮にそのようなことをしたとしても学術会議にはそのようなことを決める権限はありません。
権限があるのは国会です。

国会とした約束を破って開き直る内閣を信用できるのか、という観点がこの問題の出発点ではないかと考えます。

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コメント

No title

前から思っていたのですが、男爵殿は法曹出身ですか?あるいは司法試験を受けられたことがあるか。

法律の素養が明らかにあるので。

No title

コメントありがとうございます。

学生時代に少しかじった程度です。

No title

菅総理が本日の記者会見でも述べていますが、2004年に、それまで各学術団体からの推薦だったのが学術会議の推薦に変わっています。
1983年の中曽根答弁はこれより前なので、推薦元が変わった時点で無効と考えることができます。
今は「各学術団体」の意見ではなく「学術会議」自体の意思で推薦されていています。
何かおかしなことになっています。

No title

コメントありがとうございます。

>推薦元が変わった時点で無効と考えることができます。

法は内閣総理大臣に形式的任命権しか与えていませんので、菅首相が実質的任命権をほしいのであれば国会を説得して法改正をしなければなりませんでした。

菅首相が幾ら学術会議の悪口を言って自身の任命拒否を正当化しようとしても、菅首相には任命拒否をする権限が与えられていませんので、法を故意に破った事実は変わりません。

私は学術会議の実態を知りませんが、仮に学術会議がゴミ屋敷だとしても、菅首相にはそこに立ち入って掃除をする法的な権限がないわけですから、そのようなことをしてはいけなかったということです。

No title

多くのインデックスブロガーが、投資に直接(≒すぐに?)関係しない政治ネタを書かない中、ときどきこうした骨のある記事を書かれる男爵様を応援しています。
株式市場を含め世の中はきちんとしたルールに基づいて運営されているわけで、そのようなルールをゆがめるような問題については、本来無関心であってはならないと思います。

No title

私は法律の事は詳しくないのですが、法的に問題ないか確認を取った上での判断とのことです。
まあ後は野党の追及を生暖かく見守ることにしましょう。
この問題、追及すればするほど学術会議側の探られたくない痛い腹が晒される結果になりそうです。
ちなみにふるさと納税の問題は政府側に落ち度があったと、私も当初から思っていました。

今日の新聞に載っていた、昨日の首相インタビューです。

法に基づいて内閣法制局にも確認のうえで推薦者の中から任命している。個別の人事についてコメントは控えたい。学術会議は政府の機関で年間約10億円の予算を使って活動している。任命される会員は公務員の立場になる。現状では事実上、現在の会員が自分の後任を指名することが可能な仕組みだ。推薦された方をそのまま任命してきた前例を踏襲していいのか考えてきた。総合的、俯瞰(ふかん)的活動を確保する観点から今回の任命について判断した。学問の自由とは全く関係ない。

No title

コメントありがとうございます。

>多くのインデックスブロガーが、投資に直接(≒すぐに?)関係しない政治ネタを書かない中、ときどきこうした骨のある記事を書かれる男爵様を応援しています。

ありがとうございます。

>ルールをゆがめるような問題については、本来無関心であってはならないと思います。

リタイアしても好きに生きられない世の中になってしまうと、リタイアした甲斐がなくなってしまいますからね。

>法的に問題ないか確認を取った上での判断とのことです。

内閣法制局には法律の解釈権限はありません。
しかも、内閣法制局長官は内閣総理大臣の部下ですし、安倍内閣の時代から内閣の意向を忖度する人を長官に任命しています。
したがって、内閣法制局がダメというはずがありません。

違法を指摘された会社の社長が記者会見して、「本件は社内の法務部に確認の上で行ったものであり、違法なものではないと認識している」とコメントしたとしたら失笑されるでしょうが、それと同じです。

菅首相は「前例を踏襲していいのか」と述べていますが、「前例」ではなく「法律によって与えられた形式的任命権を超えて実質的任命権まで行使すべきではないのか」の誤りです。
そして、「法律では形式的任命権しか与えられていないが、そのことが明示的に記載されていないことを奇貨として、内閣法制局の合法意見をお墨付きにして、法改正せずに実質的任命権が当然にあるという解釈変更でいってしまえ」と判断したの誤りですね。

こんばんは。いつも参考にさせていただいております。
私はこの件に関しては民主主義国家において国民が選択可能な政権さえ税金で運営される組織のチェックができない方がおかしいと考えました。
中国との関係が噂されている事も気がかりです。
いっそ大々的に議論されて海外のように必要なら民営化すべきだと考えます

No title

コメントありがとうございます。

>私はこの件に関しては民主主義国家において国民が選択可能な政権さえ税金で運営される組織のチェックができない方がおかしいと考えました。

内閣総理大臣には学術会議の人事権が与えられていないわけですから、仕方がないことです。
内閣総理大臣がそれを不適当であると考えれるのであれば、国会に対して法改正を求め、国会がそれに応じないときは郵政民営化のように政治生命を賭けてまで頑張るかどうかを判断することになるのでしょうね。

>いっそ大々的に議論されて海外のように必要なら民営化すべきだと考えます

元々は政府の諮問に対して答申する役割があったのだろうと思いますが、2007年以降は諮問がないということは当初想定されていた役割が終わったのかもしれません。

私もさっさと民営化したらいいと思いますが、学術会議が存在意義がある組織かどうかという点と、内閣総理大臣が人事権が与えられていないのに人事権があるかのようにふるまっている点は別の問題です。
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