「ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド」は悪質なのか?

カン・チュンドさんの2020年8月25日付けのブログ記事を読みました。

●悪質なファンド・オブ・ファンズ形式の投資信託はどうしてなくならないのか?(ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月決算型)が純資産額第1位なんて恥ずかしいことです・・)
https://toshin-clinic.com/blog/20200825-7362/
今日ご紹介する「ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月決算型)」は、実は【毎月分配型 × ファンド・オブ・ファンズ形式】の投資信託です。
もっとも顧客の本質ニーズからかけ離れた、もっとも悪質な投資信託のひとつと云ってよいでしょう。
わたしが問題にするのは(あくまで)毎月分配金を設けている非効率性と、「手数料(コスト)の取り方」です。
当該ファンドは【運用管理費用】が実質、最大年1.81%もかかっているのです。
ところが、仮に当ファンドが素直に世界の「高配当公益株」に『直接』投資を行っていれば、【運用管理費用】は0.6%程度で済むのです。
「えっ!?」
わたしが倫理的に看過できないのは、当ファンドがわざわざ運用管理費用をかさ上げして、自分たちの「報酬」を増やそうとする姿勢です。
実は「ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月決算型)」そのものは?「透明なフクロ」に過ぎません・・。そして、その「透明なフクロ」が運用管理費用を1.21%(税込)も請求しています。
このような悪質な「ファンド・オブ・ファンズ形式」の投資信託が、日本でもっとも純資産額が大きいファンドである自体、ほんとうに恥ずかしいことですし、情けないとも感じてしまいます。
情弱な消費者に対しては高コストの仕組みにしてもよいのだ、という開き直りの姿勢すら垣間見られるのです。
これこそ、日本の投資信託の病理、なのです。





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さて、この文章を読むと、

(1)カンさんを支持する人
(2)カンさんを支持しない人
(3)カンさんが言っていることが理解できない人

の3種類に分かれます。

私は(3)でした。
最初、流し読みしたら意味が分からなかったので、何度か熟読し、ようやく意味が分かりました。

カンさんの問題意識を翻訳すると、

(1)信託報酬0.6%の商品を、
(2)ファンドオブファンズ形式にすることで、1.21%の信託報酬を上乗せしている

となります。これを一言で言うと、

本来0.6%の価値しかないものを1.81%で売るとはけしからん

ということになるでしょう。

確かに、本来0.6%の価値しかないものを3倍以上の1.81%で売っているのであれば、カンさんの言うとおりボッタくりのクソファンドです。
しかし、信託報酬を分解し、他のアクティブファンドと比較してみると、カンさんの認識が間違っていることが分かります。


●ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月決算型) 税抜1.7%
運用会社 0.35%
販売会社 0.70%
信託銀行 0.05%
投資先 0.6%

●ひふみワールド+ 税抜1.48%
運用会社 0.73%
販売会社 0.73%
信託銀行 0.02%

●セゾン資産形成の達人ファンド 税抜1.297%
運用会社 0.29%
販売会社 0.20%
信託銀行 0.04%
投資先 0.767%


ピクテとひふみを比べると、運用会社報酬がピクテ0.35%、ひふみ0.73%であり、ひふみがピクテの2倍以上であることが分かります。
ただし、ピクテの投資先の正式名称は「ピクテ・グローバル・セレクション・ファンド-グローバル・ユーティリティーズ・エクイティ・ファンド」(ルクセンブルグ籍)ですから、このファンドの信託報酬0.6%はピクテのものになります(※)。
そうすると、ピクテの取り分は0.95%となってひふみの取り分0.73%を上回りますが、目くじらをたてるほどの暴利とまで非難することはできません。

※このように書きましたが、投資先のファンドの信託報酬0.6%には運用会社以外の報酬も含まれているでしょうから、全額がピクテのものになるわけではないと思われます。


ピクテとセゾンを比べると、ピクテの取り分(運用会社報酬)は0.35%であるのに対し、セゾンの取り分(直販のため、運用会社報酬+販売会社報酬)は0.49%ですから、ピクテの取り分よりもセゾンの取り分の方が多いことが分かります。
また、両者の投資先の信託報酬を比べると、ピクテは0.6%であるのに対し、セゾンは0.767%であり、セゾンの投資先の方が高コストであることが分かります。
ピクテの投資先はピクテが運用しているため、前述したとおりピクテの取り分は0.95%になるわけですが、自社が運用するファンドを買うのか他社が運用するファンドを買うのかは顧客が支払うコストという観点では同じことです。問題とすべきは、投資先の運用者ではなく投資先のファンドの優劣ではないでしょうか。


私は、カンさんとは異なり、ピクテ・グローバル・インカム株式ファンドはボッタくりのクソファンドであると非難することはできないと思っています。
なぜなら、アクティブファンドですからある程度の高コストはやむを得ませんし、アクティブファンドの保有者は、そのような高コストを支払ってもなお、インデックスファンドよりもプラスリターンが得られると考えてアクティブファンドを買っているわけですから、高コストアクティブファンドは顧客のニーズに応えただけとも言えるからです。

これは価値観の違いですから、外野がとやかく言うべきことではないと考えます。
例えば車を買うときに、「移動できればよいから軽自動車で十分。ベンツを買うやつはブランド料に大金を払って馬鹿なやつだ」と考えている人がいるとします。このように考える人は、勝手に軽自動車を買って幸せに浸っていればよく、わざわざベンツを持っている人のところに行って「お前はバカだ」と批判したとしたら、周りから正気を疑われるでしょう。

私は、ピクテ・グローバル・インカム株式ファンドを買うよりも、たわら先進国株を買うほうが資産を形成し維持するためのツールとしては優れていると考えていますが、だからといってピクテ・グローバル・インカム株式ファンドの保有者に対し、「あなたの買っているファンドはボッタくりのクソファンドだぞ」と言うつもりはありません。
なぜなら、私はピクテ・グローバル・インカム株式ファンドに興味も関心もないため、このファンドが高いコストを支払ってもなお市場平均を上回るリターンを上げ続けることができるかどうかは知らないからです。

私は、統計的に、インデックスファンドを上回るリターンを上げ続けることができるアクティブファンドは極めて少なく、今インデックスファンドを上回るリターンを上げ続けているアクティブファンドがあったとしても単に今まで運が良かっただけかもしれないと考えているため、ピクテ・グローバル・インカム株式ファンドが市場平均を上回り続けることができる可能性はきっと少ないだろうなあと思っていますが、それを口に出してピクテ・グローバル・インカム株式ファンドを名指しで批判しようとは思いません。

なお、カンさんは、

実質ETFに投資するために「ファンド・オブ・ファンズ形式」を採用している楽天・全世界株式インデックス・ファンドなどの投資信託はまったく当てはまりません。

と言っていますが、この点は間違いです。
楽天全世界株は、VTという1種類のETFを買うだけファンドですから、「ファンドオブファンズ(複数形)」ではなく「ファンドオブファンド(単数形)」だからです。
【参考】
●【基礎知識】ファミリーファンド方式とファンドオブファンズ方式
http://tawaraotoko.blog.fc2.com/blog-entry-1474.html

最後に、ベンツはブランド料で高いのではなく、単純に車としての性能が素晴らしいから値段も高いということを付記しておきます。
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コメント

No title

毎日更新を楽しみに、拝見しております。

確かにそうですね。コストを分解すると
よくわかります。ひとつ質問なのですが、
セゾン資産形成の達人ファンドの隣にある
> 税抜0.1297%
は何の値なのでしょうか?

No title

コメントありがとうございます。

>セゾン資産形成の達人ファンドの隣にある税抜0.1297%は何の値なのでしょうか?

実質信託報酬です。

No title

コメントありがとうございます。わかりました。
下にある費用を足すと税抜1.297%ですね。
小数点がもうひとつ右です。

No title

コメントありがとうございます。

>小数点がもうひとつ右です。

はっきり言われないと気付かないものですね。
びっくりしました。

ご指摘ありがとうございます。
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Painter:ますい画伯
http://www.masuitousi.com/

ブログ開始日 2016年3月1日

●リスク資産(6割)は「たわら先進国株」(楽天証券)とVT(SBI証券)をほぼ50:50でホールド中。
●つみたてNISA(SBI証券)では「たわら先進国株」を年初一括40万円購入。
●楽天カード投資(毎月1日)では「たわら先進国株」を毎月5万円購入(+特定口座で11日と21日に各5万円ずつ積立買付中)。
●SBI証券で「インデックスマラソン」の毎営業日100円投資を実行中。

●無リスク資産(4割)は、個人向け国債変動10(みずほ証券、SMBC日興証券)と楽天銀行(金利0.1%)。

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