世界最低水準の全世界株ETFが爆誕も、私が期待しない理由

日経新聞電子版2019/12/18 18:00によれば、eMAXIS Slimシリーズを運用する三菱UFJ国際投信が、2020年1月、全世界株ETFを世界最低水準のコストで新規設定するそうです。


三菱UFJ国際投信は近く、新興国を含む世界全体の株式に分散投資する「MSCI全世界株指数」に連動する上場投信の設定を当局に届け出る。2020年1月に投入する。運用手数料は年0.0858%(税込み)。100万円の投資で個人の負担額は年858円となる。同社によると、同指数に連動する上場投信としては世界でも最低水準という。


しかし、私は期待していません。



iD決済で還元率5%(~1/31)+メルペイ登録で3500ポイントバック
http://tawaraotoko.blog.fc2.com/blog-entry-1582.html

還元率20%のリボスタイルをしゃぶり尽くす方法
http://tawaraotoko.blog.fc2.com/blog-entry-1558.html




新着記事通知用のツイッターアカウントはこちら。
https://twitter.com/tawaradanshaku

広告

上記記事では、


運用手数料は年0.0858%(税込み)。


としています。

この記事を紹介している投信ブロガーは「運用手数料=経費率」と考えているようですが、三菱UFJ国際投信は現在運用しているETFでそのような表記をしていません。

これは、三菱UFJ国際投信が運用する先進国株ETFの月報です。
https://maxis.mukam.jp/pdf/geppou/181550/181550_201911.pdf

これを見ると、


運用管理費用(信託報酬) 年率0.165%
投資対象とする投資信託証券 年率0.11% 
実質的な負担 年率0.275%
その他の費用・手数料 あらかじめ金額または上限額等を記載することはできません。
追加上場料 追加上場時の増加額に対して年率0.00825%
年間上場料 毎年末の純資産総額に対して年率0.00825%
対象指数についての商標の使用料 信託財産の純資産額に年率0.055%


と記載されています。

上記記事のいう「運用手数料は年0.0858%(税込み)」がこれらの全ての費用を含むのであればすごい話ではあるのですが、私は月報の「実質的な負担」を意味するのではないかと考えています。
なぜなら、三菱UFJ国際投信が運用するETFの月報では、諸費用はファンド負担(純資産額から支払う)と明記される一方で、これらの諸費用を含めた経費率は明記されていないからです。

また、仮に「運用手数料は年0.0858%(税込み)」に諸費用を含むのだとすると、先進国株インデックスのライセンス料が0.055%であることから世界株インデックスのライセンス料もほぼ同額であると推測されるところ、三菱UFJ国際投信の取り分がごくわずかになってしまいます。


ちなみに、VTの経費率は0.09%ですが、そのうち信託報酬は0.07%、諸費用は0.02%です。
https://personal.vanguard.com/pub/Pdf/p3141.pdf#search=%27Vanguard+Total+World+Stock+ETF+Prospectus%27

これはVTの目論見書ですが、表紙から数えて3頁目(頁番号だと1頁)にコストが記載されています。

信託報酬(Management Fees) 0.07%
運用コスト(Other Expenses) 0.02%
トータルコスト(Total Annual Fund Operating Expenses) 0.09%

バンガード社は経費率(エクスペンスレシオ)について、次のように説明しています。


バンガードのファンド/ETFの経費率、いわゆる投資家の皆さまにご負担頂く運用コスト(資産に対する%で表される)は、ファンドの運用資産残高や運用コストの変化に応じて変動する性質のものです。
例えば、マーケットが上昇しファンドの資産残高や投資家からの資金流入が増え規模の経済が働くと、経費率は引き下げられる可能性があります。一方で、資産残高が減ると経費率は上昇するかもしれません。投資のコストは皆さまが手にするリターンに直接影響するからこそ、バンガードは経費率の変更に注意を払うことが重要だと考えています。
バンガードという会社は、バンガードのファンドの投資家によって所有される企業構造のため、一般的な株式会社のように利益を追求する必要がありません。そのかわりに、実現したコスト節約分をファンドに還元することで、結果として投資家の皆さまによりよい投資リターンをもたらしています。
バンガードの原価ベースのコスト構造が規模の経済と結びつくことで、2015年12月末時点のバンガードのファンドの平均経費率は0.18%と、バンガードが創業された1975年当時の0.89%と比べると、80%近いコスト低減を実現しています。また、バンガードETFに関して言えば、2004年当時60億米ドルの残高を運用し、平均経費率は0.22%でしたが、2015年12月末現在運用残高は5,930億米ドルになり、平均経費率は0.12%と45%近くコストを下げています。
経費率の変化がどのように影響するかを把握することは簡単です。経費率の1%は投資元本10,000ドル毎に年間100ドルのコストが課されるということです。例えば0.50%の経費率のファンドがあったとします。この場合、10,000ドル投資するごとに50ドルがコストとして引かれますが、経費率が0.25%に下がった場合に引かれる額は25ドルになります。
https://www.vanguardjapan.co.jp/retail/articles/resources-learning/fund-news/column-20120427.htm


このように、バンガード社が顧客に提示する経費率(エクスペンスレシオ)は極めて明快です。
しかし、三菱UFJ国際投信は顧客に経費率を提示しておらず、


監査法人に支払われるファンドの監査費用・有価証券等の売買時に取引した証券会社等に支払われる手数料・投資対象とする 投資信託証券における諸費用および税金等・有価証券等を海外で保管する場合、海外の保管機関に支払われる費用・投資信託 証券の換金に伴う信託財産留保額等・その他信託事務の処理にかかる諸費用等についてもファンドが負担します。
※上記の費用・手数料については、売買条件等により異なるため、あらかじめ金額または上限額等を記載することはできません。
https://maxis.mukam.jp/pdf/geppou/181550/181550_201911.pdf


としています。

そうすると、私は、三菱UFJ国際投信が新規設定する全世界株ETFの「運用手数料は年0.0858%(税込み)」=「経費率(エクスペンスレシオ)」と考えることはできず、上記記事が「世界最安」ではなく「世界最低水準」という微妙な表現を用いているのも、これが原因ではないかと疑っているわけです。

また、三菱UFJ国際投信は先進国株ETFを運用していますが、これは2010年11月25日に上場しています。
それから9年が経過したわけですが、その純資産額は93億6500万円にすぎません。

私は、これに日本株と新興国株を加えた全世界株ETFを作ったとして、果たしてどれほど売れるのか疑問に思っています。

これに対し、スリムオールカントリー(今回の全世界株ETFと全く同じ指数)の信託報酬は税込0.1144%です。
新規設定日は2018年10月31日ですが、純資産額は既に111億6900万円です。
しかも、ETFと異なり、インデックスファンドのライセンス料は運用会社が負担しています。
さらに、スリムオールカントリーには投信保有ポイント(楽天証券で年0.048%)がもらえます。

今回の全世界株ETFの「運用手数料」とスリムオールカントリーの信託報酬の差は0.0286%ですから、投信保有ポイントを考えるとコスト差は逆転します。

スリムオールカントリーには諸経費が別途かかるのに対し、今回の全世界株ETFの「運用手数料」が諸経費を含む経費率かどうかは不明ですので、一概に比較はできないものの、全世界株ファンドがほしければVTやスリムオールカントリーを選択すればいいだけのような気がしてなりません。

目論見書が公開され、あっと驚く逆転劇があることを期待しています。

広告

コメント

毎回楽しみに拝見させて頂いてます。
疑問なんですが
日本では先進、オールカントリーetfは
あまり売れてないようですが、vtは1兆円
以上の資産規模になってます
これはなにか理由があるのでしょうか?

No title

VTやスリム全世界株に劣後しそうですね。
この商品で三菱は日本のヴァンガードを名乗りたいのでしょうが。

ただリタイア組の一部には少しニーズがあるかも。
1.全世界株型がいいが配当は受け取りたい(自動再投資は望まない)
2.配当は円で受け取りたい
3.国内ETFであれば配当所得を総合課税扱いにして節税しやすい
4.遺産として残す場合に国内ものであれば遺族が扱いやすい
5.国内ETFであれば(株主優待クロスのための)信用取引の代用証券に出来る(投信は代用証券として認めていない証券会社もある)

No title

コメントありがとうございます。

>日本では先進、オールカントリーetfは
あまり売れてないようですが、vtは1兆円
以上の資産規模になってます

VTのマーケットは世界だからではないでしょうか。

>リタイア組の一部には少しニーズがあるかも。

来年からの新税制でも有利になりそうですが、少しのお金をケチって流動性を心配するよりも安心安全なVTをみんな買うと思います。

No title

個人的にはリアルタイムで売買できるのと、売り建てできるのがメリットですね。
メインで積み立てるつもりはありませんが、選択肢が増えるのはありがたいです。

いつのまにかスリムオールカントリーが110億を突破してますね。楽天VTには遠く及ばないものの結構売れてますね。

No title

コメントありがとうございます。

>メインで積み立てるつもりはありませんが、選択肢が増えるのはありがたいです。

ひょっとすると化けるかもしれませんしね。

>スリムオールカントリーが110億を突破してますね。楽天VTには遠く及ばないものの結構売れてますね。

不人気の全世界株インデックスの分野でどれだけ純資産額を伸ばすことができるか、楽しみですね。

vtの事で気づいたのですが、以前こちらで記事にされていたVTwSXがバンガードのサイトでClosed to new investors
となってるんですね。
純資産総額もそこまで少なくないですし
不思議に思います。

No title

情報提供ありがとうございます。

>VTWSXがバンガードのサイトでClosed to new investorsとなってるんですね。

これですね。

https://investor.vanguard.com/mutual-funds/profile/VTWSX#tab=3

私も知りませんでしたが、確かに資金募集が停止されています。

純資産額は17億2000万ドル(約1900億円)ですので、日本基準からすれば素晴らしい実績ですが、アメリカ基準では不満があったのでしょうか?

経費率は0.17%であり、日本のインデックスファンドではまだ勝てませんが、超低コスト戦争によっていい勝負ができる水準になったのは素晴らしいことですね(たわら先進国株の実質コストは0.15789%ですが、運用報告書に記載されない隠れコストがあることから、0.17%を超えるものと思われます)。
非公開コメント

広告

プロフィール

たわら男爵

Author:たわら男爵
Painter:ますい画伯
http://www.masuitousi.com/

ブログ開始日 2016年3月1日

●リスク資産(6割)は「たわら先進国株」(楽天証券)とVT(SBI証券)をほぼ50:50でホールド中。
●つみたてNISA(SBI証券)では「たわら先進国株」を年初一括40万円購入。
●楽天カード投資(毎月1日)では「たわら先進国株」を毎月5万円購入(+特定口座で11日と21日に各5万円ずつ積立買付中)。
●SBI証券で「インデックスマラソン」の毎営業日100円投資を実行中。

●無リスク資産(4割)は、個人向け国債変動10(みずほ証券、SMBC日興証券)と楽天銀行(金利0.1%)。

パソコン版右端の「ブログ記事検索」と「カテゴリ」が便利です。

●「誰でもできる超簡単ほったらかし投資」(カテゴリ「【公開】誰でもできる究極の投資」)はこのブログの全エッセンスを1記事に凝縮したものです。
●カテゴリ「この投資信託がすごい」では、ベストバイファンドの具体名を明示しています。
●カテゴリ「インデックスファンドの基礎知識」を読めば、誰でも簡単に投資信託の必須知識を得ることができます。

新着記事通知用のツイッターアカウントはこちら。
https://twitter.com/tawaradanshaku

インデックス投資家必読の書

ブログ記事検索

他の投信ブログはこちら

管理