税制改正があってもなお分配金を出さないほうが得だった

2020年に大きな税制改正がなされます。
それは、投資信託の分配金の二重課税の解消を目的としたものです。




※よろしければ、次の記事もご覧ください。

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二重課税を簡単に説明します。

1種類の外国株に投資する投資信託があったとします。
その外国株が100の配当金を出したとき、投資信託が顧客に対し、100の配当金をそっくりそのまま分配金として出したとします。

このとき、外国株の所属国によっても異なりますが、外国株の所属国は概ね10%の源泉徴収税を課します。
この時点で100の配当金は90に減ることになります。換言すれば、投資信託は、外国株の所属国に対して10の税金を支払って残りの90を受け入れることになります。

そして、投資信託が受け入れた税抜後90の配当金相当額をそっくりそのまま顧客に分配すると、今度は日本国が20.315%(うち15.315%は所得税、5%は住民税)の源泉徴収税を課します。
この時点で、顧客は、100の配当金のうち、(100-10)×(100%-20.315%)=71.7165を受け取ることになります。

つまり、日本株であれば100の配当金のうち20.315を税金として支払うだけで済んだところ、外国株だったせいで28.2835を支払わなければならなくなってしまいました。
この差額7.9685が二重課税となります。

そこで、2020年税制改正は、所得税を上限として外国税を控除することを認めました。
上記の例で説明すると、本来の所得税は15.315のはずですので、所得税は15.315-外国税10=5.315に減ります。
つまり、配当金が100のとき、外国税10+所得税5.315+住民税5=20.315となり、日本株と同じ税金になり、二重課税が解消されます。


この理解を前提として、分配金を出したほうがよいと結論付けたのが大和総研の是枝レポートでした。


投資信託の外国税額控除の制度解説とファンドに及ぼす影響の試算
https://www.dir.co.jp/report/research/law-research/tax/20190612_020839.pdf


上記レポートは次のように述べます。

従来、長期投資を行う場合、分配金の支払は課税のタイミングを早めてしまうため投資家にとって不利で、なるべくファンド内に利益を留保して分配金を払出さないことが投資家にとって有利と考えられていた。
しかしながら、外国税額控除も考慮すると、分配金の支払時に外国税額控除を受けることができるため、長期投資を望む投資家にとって分配金の払出しが必ずしも不利とは言えなくなる。
試算では、ファンドが負担する外国税の水準が年率0.3%(外国での税率が約9.1%)以上となるファンドB3・B4・B5について、ファンドの保有期間が40年以内の範囲では、分配金を払出さないファンドAよりも税引後リターンが高くなる。
また、ファンドが負担する外国税の水準が年率0.1%(外国での税率が約3.2%)であるファンドB1においても、12年以下の保有期間であれば分配金を払出さないファンド A よりも税引後リターンが上回り、外国税の水準が年率 0.2%(外国での税率が約 6.3%)であるファンドB2では同じく27年以下の保有期間の範囲でファンドAの税引後リターンを上回る。
すなわち、ファンドが負担した外国税を分配金にかかる所得税から全額控除できる場合、分配金を払出す方が払出さないよりも投資家の税引後リターンが高くなる可能性が高いものと言える。

※マザーファンドが個別株を保有し、ベビーファンド(スリム先進国株)はマザーファンドを買うだけという方式をファミリーファンド方式といいます。
上記レポートによると、ファミリーファンド方式をとる投資信託にも今回の法改正の恩恵は及ぶものの、ファンド・オブ・ファンズ方式(セゾングローバルバランスファンドのように外国籍の投資信託を買うもの)をとる投資信託には今回の法改正の対象外になるとのことです。

※外国税を差し引くことができるのは所得税部分(15.315%)だけで、住民税部分(5%)はそのままです。
そのため、外国税率が15.315%を超えると差し引けない外国税が残ってしまいますが、上記レポート6頁の「図表5 主な国の配当・利子に対する源泉徴収税率(日本から投資する場合)」によれば、日本から投資する場合の外国税率は10~15%であるため、結論としては、外国税と日本の所得税・住民税の合計額は「外国税引き前の配当金×20.315%」にほぼ等しくなります。



簡単に説明すると、こういうことです。

冒頭の1種類の外国株に投資する投資信託を例にします。
この投資信託が分配金を出して再投資したとき、顧客が手にすることができるのは、保有する外国株が出した100の配当金のうち79.685です(残りの20.315は源泉徴収税)。
しかし、この投資信託が分配金を出さないと、保有する外国株が出した100の配当金のうち90をファンドに受け入れることになります。この90は顧客にとっては値上がり益となりますので、解約時に20.315%(90×20.315%=18.2835%)が課税(譲渡所得税)されます。
この結果、分配金を出していれば20.315の税金で済んだものが、分配金を出さないと28.2835の税金(外国税10を含む)を払うことになり、差額7.9685を損することになるわけです。

なお、72の法則(元本が2倍になるまでの期間を簡易計算するもの)というものがあります。
年利4%で運用したとすると18年で2倍になるため、上記の差額7.9685を損すると言っても課税時期は将来の解約時であることから、20年ほどホールドすれば損はしないことになります。

というわけで、是枝レポートを読んだ私の理解は、100%分配方針(ファンドが受け入れた配当金を100%顧客に分配する)を採用したほうが顧客にとって得であるものの、同じファンドを20年ほどホールドすれば変わらないというものでした。


しかし、昨日、三菱UFJ国際投信が10月18日に開催したブロガーミーティングの議事録と配布資料(議事録の「当日お配りした資料はコチラ」の直下の赤字をクリックすると各資料のPDFに遷移します)を公開しました。
https://www.am.mufg.jp/text/meeting4_191107.pdf?side_bn=meeting

注目すべきは、「公募投資信託等における外国税額控除の制度改正」という資料です。
https://www.am.mufg.jp/text/meeting3_191018.pdf


参加したブロガーの記事を読んでもそのような結論に至る理由が全く理解できませんでしたが、この資料を読んでようやく理解することができました。


2020年税制改正は、「収益1円あたりの外国所得税」を計算することを求めています。
この「収益1円あたりの外国所得税」が多額であればあるほど、所得税から控除できる外国税が増えるため、我々にとって有利になります。
しかし、昨日公開された資料によって、「収益1円あたりの外国所得税」を計算する際の「収益」とは、

「その年に受け入れた配当金(インカムゲイン)」+「その年の値上がり益(キャピタルゲイン)」+「前年度以前に受け入れた配当金(未分配のもの)」+「前年度以前の値上がり益(未分配のもの)」

となることが分かりました。

是枝レポートは、「その年に受け入れた配当金(インカムゲイン)」+「前年度以前に受け入れた配当金(未分配のもの)」を前提に検討していたことから、

1年目 未分配(100のうち外国税10を支払って残りの90をファンドに受け入れ)
2年目 90を分配

のケースでは、2年目の収益1円あたりの外国所得税は半減してしまうので(分母が2倍になるため)、各年で100%分配を目指したほうがよいと結論づけています。

しかし、インカムゲイン(配当益)だけでなくキャピタルゲイン(値上がり益)まで分母に含めることになると、配当金について100%分配を目指したとしてもキャピタルゲインが年々積み上がってしまい、保有期間が長ければ長いほど節税効果は徐々にゼロに近づいていくことになります。

これを防ぐには、三菱UFJ国際投信が上記レポートで指摘しているとおり、その年に発生したインカムゲイン(配当益)だけでなく、その年に発生したキャピタルゲイン(値上がり益)についても100%分配をしなければなりません。
しかし、インカムゲインは2020年税制改正によってその年にしたほうが有利ですが(ただし、その年にしなくても20年ほど継続保有をすれば72の法則によって税金分が自己増殖します)、キャピタルゲインはその年に税金を払おうが20年後に払おうが支払う税金は同じであることから、税金の支払時期の繰り延べができなくなるというデメリットを受けるだけになってしまいます。

※税金の支払時期を繰り延べて20年ほど継続保有すれば、72の法則によって倍増するため、実質的に支払う税金はゼロになります。

先進国株インデックスファンドについては、3ファンドが税抜0.0999%まで信託報酬を引き下げたことで、今後の値下げ余地がほぼなくなり、どのファンドを保有しても大差はない状況になっています。

私は、たわら先進国株を既に大量保有して多額の含み益を抱えており、今更たわら先進国株を売却してスリム先進国株に乗り換えても損をするだけです。
また、安定運用が期待できる企業DCを中心とした巨額のマザーファンド、信金を含む多様な販売チャンネル、最安の運用会社報酬に可能性を見出していますので、今後もたわら先進国株に集中投資していきます。

しかし、ニッセイ外国株であってもスリム先進国株であっても、税抜0.0999%のコスト水準では、既に保有している人が他の2ファンドに売却を伴う乗り換えをすると損するだけですので、20年の継続保有は十分にあり得ることです。
そうすると、2020年の税制改正があってもなお分配金を出さないファンドのほうが得をすると考えられます。


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コメント

No title

楽天証券のIDECO NISA 特定口座にたわら、スリムの再投資型があります。来年1月購入分からすべて分配型に変えた方がいいですか? IDECOは分配型はなしで、再投資型だけですか?

No title

コメントありがとうございます。

>来年1月購入分からすべて分配型に変えた方がいいですか?

分配型は分配金が出たときに自動的には再投資されないもの(再投資したいのであれば手動でスポット購入しなければならないもの)、再投資型は分配金が出たときに自動的に再投資されるものです。

2020年税制改正の観点からはどちらでも同じですが、分配型は再投資の手間がかかるため、再投資型のほうが優れています。

なお、本文で検討したとおり、分配金を出さないインデックスファンドのほうが得です。
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たわら男爵

Author:たわら男爵
Painter:ますい画伯
http://www.masuitousi.com/

ブログ開始日 2016年3月1日

●リスク資産(6割)は「たわら先進国株」(楽天証券)とVT(SBI証券)をほぼ50:50でホールド中。
●つみたてNISA(SBI証券)では「たわら先進国株」を年初一括40万円購入。
●楽天カード投資(毎月1日)では「たわら先進国株」を毎月5万円購入(+特定口座で11日と21日に各5万円ずつ積立買付中)。
●SBI証券で「インデックスマラソン」の毎営業日100円投資を実行中。

●無リスク資産(4割)は、個人向け国債変動10(みずほ証券、SMBC日興証券)と楽天銀行(金利0.1%)。

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