よりコストが安いインデックスファンドに乗り換えるべきですか?

先ほどカンチュンドさんの下記記事を読みました。

●よりコストが安いインデックス・ファンドに乗り換えるべきですか?
http://tohshi.blog61.fc2.com/blog-entry-3130.html

カンさんの文章は平易で分かりやすいため、何の引っ掛かりもなく一読できてしまいます。
そして、何となく分かった気持ちになってしまうという危険性があります。

カンさんは、信託報酬0.6%のAファンドと信託報酬0.1%のBファンドを例示します。

両ファンドの信託報酬差は年0.5%ですから、仮に運用額が1000万円とすると、信託報酬を原因とするコスト差は1年で5万円、20年で100万円になります。
しかし、Aファンドに含み益があるとき、例えば、Aファンドの運用額1000万円の内訳が元本650万円、含み益350万円のとき、Aファンドを売却してBファンドに乗り換えると、Aファンドの含み益350万円×20.315%=71万1025円の譲渡所得税が源泉徴収され、手元には税引き後で928万8975円しか残らないことになります。

カンさんは、概要、このように説き、20年間のコスト差は100万円、徴収される譲渡所得税は71万1025円だから、Bファンドに乗り換えた後の運用期間が20年あるのであれば乗り換えたほうが得であると結論づけます。


さすがカンさん、実に分かりやすい説明です。
私もつい「なるほどそうか」と思ってしまいました。

しかし、この説明は間違っています。
さて、どこがどのように間違っているのでしょうか?

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カンさんの説明が間違っている理由は、譲渡所得税71万1025円と信託報酬差によるコスト減100万円を今の時点で比較してしまっているからです。

譲渡所得税71万1025円は、Aファンドを売却した時点で一度に全額が失われます。
これに対し、コスト削減効果は20年で100万円です。正確には、毎日の純資産額から信託報酬相当額が徴収され続けますので、毎日137円ずつ(365日×20年+5日=7305日。100万円÷7305日=136.8925円)が20年間に渡って差し引かれていきます。

議論の前提として、Aファンドを今売却し、Bファンドを20年保有することにしていますが、Aファンドを売却せず、Aファンドをそのまま20年保有すれば、譲渡所得税71万1025円は今支払うことなく20年後に支払えば済みます。
つまり、売却時期を遅らせれば遅らせるほど譲渡所得税の課税時期を繰り延べることができ、その間、譲渡所得税相当額の運用利益を取得することができるわけです。

投資のリターンを推計する簡単な方法として、72の法則と115の法則というものがあります。
72の法則とは投資元本が2倍になるまでの期間、115の法則とは3倍になるまでの期間の法則です。

期待リターンが3%のときは、72÷3=24、115÷3=38となり、元本が2倍になるまで24年、3倍になるまで38年かかります。
期待リターンが4%のときは、72÷4=18、115÷3=28となり、元本が2倍になるまで18年、3倍になるまで28年かかります。

先進国株の期待リターンは年5%程度と言われていますが、年3~4%程度としても、20年運用すれば2倍に増えることが期待できます。

カンさんは、20年間のコスト差は100万円、徴収される譲渡所得税は71万1025円だから、Bファンドに乗り換えた後の運用期間が20年あるのであれば乗り換えたほうが得であると結論づけましたが、20年の運用期間を前提とするならば、徴収される譲渡所得税の価値は実際の徴収額の2倍(142万2050円)になります。



ここで簡単な比較の視点をご紹介します。


譲渡所得税相当額を運用して、信託報酬差を超える運用利益を得ることを期待することができるかどうか


というものです。

具体的には、下記の計算式で計算します。


信託報酬差÷譲渡所得税相当額×100



カンさんの例でやってみましょう。

5万円÷71万1025円×100=7.0321%

この計算結果が何を意味しているのかというと、Aファンドを売却せずに譲渡所得税相当額を運用したとして、年率7%以上の運用利益をあげることができるのであれば売却しないほうが得であるということです。

先進国株の期待リターンは年5%ですので、年5万円もの運用利益をあげることを想定すべきではありません。

計算式:71万1025円×5%=3万5551円


というわけで、カンさんの記事は結論において正しかったわけですが、結論を導く過程が正しくありませんでした。


もっと詳しいことが知りたい方は、下記記事をご覧ください。

●【基礎知識】投資信託の売却を伴う乗り換えをする際の判断基準
http://tawaraotoko.blog.fc2.com/blog-entry-874.html



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コメント

No title

高齢になって介護保険、医療保険の利用が増えた時に、住民税非課税だとさまざま優遇(減額)が受けられると思いますが、この辺はどうでしょう。少子高齢化がより進む将来においても今と同じように譲渡益の住民税を申告しないという方法がとれるでしょうか。
また、投資信託等の残高が1億円以上残っているときに相続が発生(自分が死亡)して、もしその時に子供が長年外国で暮らしていたら、、実現していない含み益に対して譲渡所得課税の課税が起こることについてはどうお考えでしょうか。
含み益をため込むことは、それはそれで危険なような気がしていますが、どうでしょうか。

No title

コメントありがとうございます。

>含み益をため込むことは、それはそれで危険なような気がしていますが、どうでしょうか。

自分でコントロールできないことを思い悩んでも仕方がありません。

私は、現在の条件でベストを尽くし、あとは運を天に任せることしかできないと考えています。
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ブログ開始日 2016年3月1日

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●つみたてNISA(SBI証券)では「たわら先進国株」を年初一括40万円購入。
●楽天カード投資(毎月1日)では「たわら先進国株」を毎月5万円購入(+特定口座で11日と21日に各5万円ずつ積立買付中)。
●SBI証券で「インデックスマラソン」の毎営業日100円投資を実行中。

●無リスク資産(4割)は、個人向け国債変動10(みずほ証券、SMBC日興証券)と楽天銀行(金利0.1%)。

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