スリム米国株の実質コストが判明しました

スリムシリーズの運用報告書が、本日、公開されました。

まずは、誰もが待ちわびた「eMAXIS Slim全米株(S&P500)」から見ていきます。



※よろしければ、次の記事もご覧ください。

●d払い+イオンカードで40%還元か?
http://tawaraotoko.blog.fc2.com/blog-entry-1380.html
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●eMAXIS Slim全米株(S&P500)

信託報酬 税抜0.15%(税込0.162%)
本ファンド(ベビーファンド)の純資産額 212億1800万円
マザーファンドの純資産額 364億3600万円
新規設定日 2018年7月3日

信託報酬を除くコスト(2018年7月3日~2019年4月25日)
0.065%

さて、今回は第1期ということで、0.065%は1年ではなく約10か月のコストです。
年率を出す最も簡便な方法は、10で割って12を掛けることです。

しかし、信託報酬の変更がないのであれば、次のように計算することができます。

※スリム米国株は、2019年6月14日から信託報酬を税抜0.16%から0.15%に引き下げましたが、第1回運用報告書の締日(2019年4月15日)の後ですので、実質コストの計算には影響しません。

0.1728%(税込の信託報酬)÷0.138%(運用報告書に記載された信託報酬)=1.25217391304
0.065%(運用報告書に記載された信託報酬を除くコスト)×1.25217391304=0.08139130434%

というわけで、信託報酬を除くコストは年率0.08139%と推計することができました。

とはいえ、年率0.08139%のコスト水準は高いのか安いのかはこの数字だけでは分かりません。
そこで、同種ファンドと比較してみます。

まずは、同じ指数(S&P500指数)をベンチマークとするインデックスファンドを見てみます。

●iFreeS&P500 0.132%
●ステートストリート米国株 0.09%

スリム米国株、優秀ですね。
ちなみに、ステートストリート米国株は100%現物運用ですが、iFreeS&P500は24%が米国ETF運用ですので、その経費率が別にかかっているはずです。
それを踏まえると、スリム米国株の優秀さが光ります。

では、ライバルファンドである楽天全米株と比較してみます。
楽天全米株のベンチマークはアメリカの株式市場全体を対象とするものですが、ボーグルはその著書で「2つのインデックスのリターンの長期的な相関は0.99(1.00が完全相関)もあり、どちらを選択しても差異はない」と述べており、ほぼ同じものといえます。

●楽天全米株vsスリムSP500
http://tawaraotoko.blog.fc2.com/blog-entry-937.html

楽天全米株は、第1期運用報告書で開示されたコストが想定外の高コストに沈み、FOYの順位を大きく下げました。
その後、3か月ごとに第2期運用報告書の途中経過を開示するという奇手に出たことで、投信ブロガーの支持を急速に回復しつつあります。

5月9日付けで開示された途中経過によれば、楽天全米株の信託報酬を除くコストは年率0.06133%と推計されます。
https://community.rakuten-toushin.net/article004/

開示された信託報酬を除くコスト(2018年7月18日~2019年4月17日)
0.046%

0.046%÷9か月×12=0.06133333332


比較します。

●スリム米国株 0.08139%
●楽天全米株 0.06133%
●両者の差 0.02006%(1000万円あたり2006円の差)

運用報告書に記載された数字は簡便法で作成されており、実際の数字とは必ずしも一致しません。
また、スリムシリーズの運用会社である三菱UFJ国際投信は、運用報告書に記載された数字は必ずしも正確ではなく、経費計上されない隠れコストが別にかかっていると述べています(たわら先進国株の運用報告書から推計される信託報酬を除くコストはスリム先進国株よりも優秀であり、たわら先進国株はこの点を自画自賛して宣伝材料としていますが、三菱UFJ国際投信の上記指摘はたわら先進国株の姿勢を強烈に批判したものといえるでしょう)。


インデックス運用は、取引所を通さずに証券会社と相対で複数銘柄を同時に売買する「バスケット取引」という注文を多用するが、この取引は売買価格に手数料が反映されており、「売買委託手数料」を分けることができない。その結果、交付運用報告書に記載される売買委託手数料には、実際に発生した売買手数料が含まれていない場合が多い。
https://www.quick.co.jp/3/article/14584


しかし、楽天投信投資顧問は、運用報告書に記載された数字は実態を正確に反映したものであるとしています。


楽天バンガードシリーズの場合、ETFを売買しているファンドですので、1万口あたりの費用明細で開示している内容をそのまま目安としていただいてよろしいかと存じます。この費用明細作成に際しては、コストの実額を用いて計算しておりますので、もちろん、期によって変動はございますし、過去の実績ではございますが、概ね実態に即していると考えております。
http://tawaraotoko.blog.fc2.com/blog-entry-1332.html


そうすると、スリム米国株の0.08139%というコストは、隠れコストを反映していないため、実際にはもっと高くなるリスクがあります。
これに対し、楽天全米株の0.06133%というコストは、実態を反映したもので、実際にもこの数字となります。

※三菱UFJ国際投信は、直近のブロガーミーティングで、本当のコストの数字を把握していると述べていますので、公式サイトで任意開示してほしいものです。

したがって、現状の信託報酬を前提とする限り、楽天全米株が優れていることになります。

とはいえ、スリム米国株には値下げの可能性があるのに対し、楽天全米株にはその可能性はありません。


企業努力としてがんばりたいとは思っていますが、正直、公募投信に係る0.12%は最大限努力をした結果です。大きい会社と価格競争しても厳しいので、違うところで戦いたいと思っています。
http://tawaraotoko.blog.fc2.com/blog-entry-1024.html


そうすると、スリム米国株が将来的に信託報酬を引き下げたとき、楽天全米株をコストで逆転する可能性があります。
しかし、スリムシリーズは、「自ら先駆者として最安値を更新することはしないが、他社ファンドが最安値を更新すればすかさず同じ値段に引き下げて対抗する」というコバンザメ作戦を採用しています。
そのため、より安い同種ファンドが登場しない限り、スリム米国株の信託報酬は下がりません。

我が国では米国株に特化したインデックスファンドは伝統的に人気がなく、iFreeS&P500が登場するまではダウ30指数に連動するインデックスファンドがいくつか存在するだけでした。
超低コスト戦争の影響は米国株インデックスファンドにも及んでいますので、いまさら他社が0.15%の信託報酬で新たに新ファンドを出すとは思えません。

また、寄らば大樹の陰という諺があります。

広瀬隆雄さんは、つみたてNISAで何を買えばよいかと聞かれて、次のように答えています。
https://twitter.com/hirosetakao/status/1141987762599370752
https://twitter.com/hirosetakao/status/1142006872565833728

「楽天全世界株式インデックスファンド」もしくは「楽天全米株式インデックスファンド」が良い気がします。
その理由は明快です。積み立てNISAとかiDeCoは、ゼロ戦だとおもって。つまり何十年も積み立てるものですから、航続距離が決定的に重要になる。もし燃費が悪いファンドを買うと「海にドボン!」です。
紹介した商品は「なぜそんなローコストが実現できる?」というカラクリがボクに見えやすいです(=ヴァンガードのファンドに依拠している)。だから安心して紹介している。
僕の仕事は機関投資家向け米国株セールスだったので世界の機関投資家が顧客でした。日本の金融機関はしょぼい。どこの馬の骨かわかんないようなチンケな連中が運用しているファンドをうかつに言及して、ツボったら、たまんない。
そういうキモチで当たり障りのない商品を選んでいる…これでわかった?


楽天全米株はバンガード社の米国ETFを買うだけファンドです。
第1期運用報告書は高すぎるブローカー報酬のせいで動揺したものの、純資産額が増えた第2期に入っては落ち着いた運用が続いており、今後も同様の運用が続くことが推測されます。
楽天全米株には、楽天全世界株のような弱点(三重課税コスト問題)が存在しませんし、来年の税制改正の恩恵は受けられないものの、それは無分配方針を維持するスリム米国株も同じです。

したがって、S&P500指数にこだわりがなければ、米国株投資は楽天全米株を選択すればよいような気がしています。
とはいえ、私は米国株に集中投資するのは反対であり、余剰資金は全てスリム先進国株を買うべきであると考えています。


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コメント

No title

>したがって、S&P500指数にこだわりがなければ、米国株投資は楽天全世界株を選択すればよいような気がしています。

楽天全米株ですよね?

No title

ご指摘ありがとうございます。
本文を訂正しました。

Vanguardは三菱よりも圧倒的なブランド力が有りますが楽天はどうですかね
仮に楽天が20年後30年後に経営破綻したとしたら楽天投信顧問が仲介している楽天バンガードシリーズはどうなるのでしょうか?強制償還?
そう考えると三菱の方が安心感がある気がします

No title

コメントありがとうございます。

>仮に楽天が20年後30年後に経営破綻したとしたら楽天投信顧問が仲介している楽天バンガードシリーズはどうなるのでしょうか?

仮に楽天投信投資顧問が破綻しても分別管理されているため、他社が承継するか繰上償還されることになります。

>三菱の方が安心感がある気がします

三菱UFJ国際投信は三菱信託銀行の100%子会社ですので、楽天カード株式会社の100%子会社である楽天投信投資顧問とは安心感の点で隔絶した差はありますが、破綻することまで心配する必要はないと思います。
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たわら男爵

Author:たわら男爵
Painter:ますい画伯
http://www.masuitousi.com/

ブログ開始日 2016年3月1日

●リスク資産(6割)は「たわら先進国株」(楽天証券)とVT(SBI証券)をほぼ50:50でホールド中。
●つみたてNISA(SBI証券)では「たわら先進国株」を年初一括40万円購入。
●楽天カード投資(毎月1日)では「たわら先進国株」を毎月5万円購入(+特定口座で11日と21日に各5万円ずつ積立買付中)。
●SBI証券で「インデックスマラソン」の毎営業日100円投資を実行中。

●無リスク資産(4割)は、個人向け国債変動10(みずほ証券、SMBC日興証券)と楽天銀行(金利0.1%)。

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