VTやVTIは、8年以上の保有で直接買うほうが有利になる

楽天バンガードファンドシリーズは、バンガード社のETFを顧客の代わりに購入してくれるインデックスファンドシリーズです。

しかし、楽天バンガードファンドシリーズには、米国ETFの経費率に加えて、投資信託のコストが掛かります。
他方で、バンガード社のETFを自分で購入するときは、事前に外国株口座を開設する必要があるほか(外国株口座はネット上で簡単に開設することができます)、為替手数料・購入手数料が掛かります。

※為替手数料と購入手数料は楽天バンガードファンドシリーズがブロカーに発注する際もかかりますが、規模のメリットによって希釈化されることから、顧客が自分で購入するよりも安くなります。

※規模のメリットとは、ファンド全体でコストを負担するという意味です。ファンドの純資産額が多額であればあるほど、新規顧客が負担するコストは安くなる半面、既存顧客は他人の売買コストを負担しなければならないという不利益を受けます。
巨額のマザーファンドがある投資信託は、マザーファンド全体でコストを負担してくれるほか、マザーファンドの巨額さを交渉材料としてブローカーとコスト交渉をすることができるものと思われるため、非常に有利です。

結局のところ、バンガード社のETFを買うだけファンドである楽天バンガードファンドシリーズを買うべきかどうかは、余分にどれだけのコストが掛かるのか(米国ETFの購入代行をしてもらうコストとして支払ってもよいコスト水準かどうか)という基準で判断すべきことになります。

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私は、上記の問題意識から、楽天投信投資顧問に対し、2つの質問をし、回答をいただきました。

まず、せっかくバンガード社と協働しているのだから、何もブローカーに依頼して市場で調達するのではなく、バンガード社から直接購入すればいいのではないかという点です。

楽天投信投資顧問からの回答は、バンガード社から断られたという悲しいものでした。

●楽天がバンガード社から直接購入できなかった理由
http://tawaraotoko.blog.fc2.com/blog-entry-1333.html


バンガード社は、日本国内での直販に対して強い意欲を示していましたが、10か月前に断念しています。

●バンガード社が直販を諦めた理由
http://tawaraotoko.blog.fc2.com/blog-entry-981.html

日本国内での直販を検討していたくらいですから、楽天投信投資顧問にETFを直販することは、バンガード社がやろうと思えば簡単にできたものと思われます。
ブローカーに依頼して市場調達するのでは、バンガード社との協働のメリットがそれほどありません。実際、楽天バンガードファンドシリーズは、ブローカー報酬による高コストに悩まされ、熱烈歓迎した投信ブロガーの大半の支持を失ってしまいました。

楽天バンガードファンドシリーズは2017年9月29日から始まりました。
バンガード社としては、その時点では直販を真剣に検討していたことから、楽天投信投資顧問を余り優遇すると自社の直販に影響すると考えたのかもしれません。


さて、バンガード社が米国ETFを売ってくれなかった以上、楽天バンガードファンドシリーズの選択の視点は、顧客自身が自分で買うときと比較してコスト面でどれほど安くなるかということに整理できます。

※米国ETFが分配金を出すときに課税されますが、その課税コストはDRIP(配当金自動再投資制度)の実装によって解決することができます。
日本の証券会社では、サクソバンク証券が2020年1月から特定口座源泉徴収ありに対応する予定です。

その際に参考になるのが、

●コスト比較(楽天バンガードファンドvsVTやVTIを自分で買ったとき)
http://tawaraotoko.blog.fc2.com/blog-entry-1332.html

です。

真ん中の表の「投資額」に着目してください。

この表を見ると、投資額が多額であればあるほど、米国ETFの購入に関する初期コスト(為替手数料と購入手数料)が安くなります。
正確には、初期コストの金額はほぼ同じであるものの、購入額が多額であればあるほど、購入額に占める初期コストの割合が減っていきます。

投資額が10万円のときは初期コストの回収まで8年かかるのに対し、投資額が500万円であれば2年半に激減します。
これを逆に考えれば、投資額が10万円であったとしても、8年以上ホールドするつもりであれば、楽天バンガードファンドシリーズではなく米国ETFを直接購入したほうがコスト面で有利になるということを意味します。

VTやVTIを購入する人の大半は、購入したら絶対に売却しないというストロングホールドを考えているはずです。
しかし、購入金額が少ないと購入時の初期コストに負けてしまうのではないかと考え、米国ETFではなくインデックスファンドを選択した人も多いものと思われます。

超低コストインデックスファンドが登場する前、投信ブロガーの中で「リレー投資」(インデックスファンドで積立投資をし、まとまった金額になったら売却して米国ETFに乗り換えるという投資手法)が流行しましたが、その理由も、米国ETFを購入する際の初期コストの高さを危惧したからでした。

しかし、楽天投信投資顧問の今回の分析によって、わずか10万円ずつの購入であったとしても、8年以上の保有という条件はつきますが、米国ETFのほうがコスト面での優位性があることが分かりました。

楽天投信投資顧問としても米国ETFを買うだけファンドをリリースするに際しては、この記事で私が検討した程度のことは内部検討した上で、それでもなおニーズがあると判断をしたものと推測されます。

私は、ネット上で簡単に外国株口座を開設することができ、ドルを事前に用意する必要がない円貨決済が導入された現在、米国ETFに対する敷居はほぼなくなったばかりか、DRIPの実装によって皆無になると考えています。

楽天バンガードファンドシリーズが生きる道はどこにあるのか?

きっとその答えは、楽天バンガードHEADSが今後のコラムで明らかにしてくれるのではないかと期待しています。


なお、今回の回答で最も驚いたのは、楽天バンガードファンドシリーズには運用報告書に現れない隠れコストは存在しないということでした。
全てのコストが運用報告書を見れば確認できるわけですから、実に素晴らしいことです。


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たわら男爵

Author:たわら男爵
Painter:ますい画伯
http://www.masuitousi.com/

ブログ開始日 2016年3月1日

●リスク資産(6割)は「たわら先進国株」(楽天証券)とVT(SBI証券)をほぼ50:50でホールド中。
●つみたてNISA(SBI証券)では「たわら先進国株」を年初一括40万円購入。
●楽天カード投資(毎月1日)では「たわら先進国株」を毎月5万円購入(+特定口座で11日と21日に各5万円ずつ積立買付中)。
●SBI証券で「インデックスマラソン」の毎営業日100円投資を実行中。

●無リスク資産(4割)は、個人向け国債変動10(みずほ証券、SMBC日興証券)と楽天銀行(金利0.1%)。

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