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上記記事(著者は保険屋さんです)は、次のように述べます。

少なくとも婚姻期間中に夫婦の給与から拠出した掛金に相当する部分については財産分与の対象と考えるのが自然に思えます。
そうであるなら、夫の給与を元手とする掛金を、夫の口座で積み立てようが妻の口座で積み立てようが半分は相手のものになるわけですから、妻が離婚に備えて自分のiDeCo口座に掛金を積み立てるというのは、必ずしも有効な手段とはならない可能性もあります。
ただ、「妻が夫に対して請求する財産分与の清算額>夫が妻に対して請求する財産分与の清算額」だとすると、相殺後に残るのは妻の夫に対する請求だけになります。この場合、妻が自分のiDeCo口座で掛金を積み立てておくことは、自分の老後資金を確実に確保しておくという意味で有効かもしれません。


これは非常に難しい法律問題ですので、注釈書を確認する必要があります。
OD>新版注釈民法(22) 親族 2 離婚 763〜7 (有斐閣コンメンタール) [ 島津一郎 ]
上記は我が国で最も権威がある注釈書で、大きな図書館には常備されているものですが、217~218頁で次のように述べます。

年金は一定期間の掛金(保険料)を積み上げていくことにより支給を受けることができるものであり、被用者年金は掛金が婚姻中の賃金収入から支払われているのであるから、退職金と同じように夫婦の共同財産という見方もできる。
学説・判例が年金を財産分与に取り込もうとする努力にはいずれにしても限界があり(具体的算定の問題、定期金払の場合の履行確保や義務者死亡の際の処理の問題など)、財産分与において年金を考慮することは夫婦間の解決にとどまり(年金受給権は処分が禁止されている)、分与を受けた妻自身の年金権自体に直接結び付けることができなかった。
そこで、平成16年の年金法改正により平成19年4月開始の離婚時年金分割制度が創設され、婚姻期間中に夫婦が納付した保険料について一定の割合で分割することが認められた。

これは何を言っているのかというと、前提として、年金には、基礎年金(国民年金)、被用者年金(厚生年金、共済年金等)、確定拠出年金の3種類があります。
このうち、基礎年金と被用者年金は、加入が義務付けられている公的年金です。
これに対し、確定拠出値金は、加入が義務付けられてはいない私的年金ですが、単なる個人年金保険と異なるのは、掛金が全額所得控除となるなどの強力な税制優遇を受けることができるという点です。

上記書籍は、

(1)年金のうち、基礎年金が財産分与の対象にならないことは当然の前提である。
→専業主婦であっても3号被保険者として夫と同額の基礎年金を受給することができることから、財産分与の対象にする必要がありません。

(2)公的年金について、年金制度が夫婦単位で老後の生活保障を図るべく制度設計されているため、離婚後の妻の生活保障の見地から財産分与の対象とすべき必要性が高い。

(3)しかし、多くの裁判所が具体的に妻に分与すべき年金額を計算しようと試みたものの、それが非常に困難であったので、年金分割制度が創設された。

と整理しています。

このように、上記書籍は、年金についても財産分与の対象にしたいという価値判断を強調しています。

そうすると、被用者年金(厚生年金、共済年金等)は、国民の老後の生活保障の見地から支給額が決定されており、必ずしも掛金に連動せず、財産分与の対象にするための計算が困難であったことから、現場の工夫にも限界があり、年金分割制度の創設を待つ必要がありましたが、確定拠出年金は、拠出した掛金を年金受給者が運用して得られた金額が将来受け取るべき年金の金額になりますので、財産分与の対象を計算する際は、

結婚してから離婚するまでに拠出した積立金

という具体的な基準に基づくことが可能です。

上記書籍217頁も、

企業年金(東京池判平成16・6・23は、夫の拠出型企業年金の積立金を夫婦共有財産として2分の1の分与を認めた)

とあえて掲記していますので、掛金を半分妻に渡せということを強く示唆していると考えられます。

というわけで、残念ながら、iDeCoは離婚したら守られず、結婚してから離婚するまでの間の積立金の半分を妻に財産分与として渡さなければならなくなりそうです。


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ブログ開始日 2016年3月1日

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