【追記あり】指数を配当込みに変更するのであれば、センスがない

三菱UFJ国際投信から、このようなメールが届きました。


投信ブロガーのみなさまへ
突然のメールで失礼いたします。
既にご存知かもしれませんが、三菱UFJ国際投信は4月18日(木)19時から三菱UFJ国際投信会議室にて、ブロガー・ミーティングを開催いたします。
ミーティング当日は、当社商品の商品性変更にかかる発表を予定しています。
その他、みなさまからのご意見・ご質問など対話型のプログラムへ主な時間を割く予定ですので、みなさまの積極的な参加をお待ちしております。
お忙しい時期と思われますが、ミーティングへの参加のご検討、もしくはお知り合いの方へブロガーミーティング開催をお知らせいただけますと大変幸いでございます。
また、参加申込に限らず、ご意見・ご質問フォームもご用意しておりますので、どしどしご質問いただければ幸いです。
https://www.am.mufg.jp/meeting/index.html?side_bn=meeting
なお、参加申込につきましては本メールへの返信ではなく、弊社ホームページからお願いいたします。また、みなさまとじっくりとお話ができるよう、募集人数は25名程度を予定しております。
それでは、みなさまにお会いできるのを楽しみにしております。



※よろしければ、次の記事もご覧ください。

●【悲報】アマゾンプライム年会費、本日から1000円アップ
http://tawaraotoko.blog.fc2.com/blog-entry-1280.html

●ポンタポイント運用は、主要株主のためのサービスだった
http://tawaraotoko.blog.fc2.com/blog-entry-1279.html

●ネオモバでTポイント投資がスタート
http://tawaraotoko.blog.fc2.com/blog-entry-1278.html
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さて、三菱UFJ国際投信は、4月18日に開催されるブロガーミーティングの目玉として、


当社商品の商品性変更にかかる発表


をする旨を事前公表しています。


この「当社商品」が何を指すかですが、ブロガーミーティングの目玉情報として特記する以上、「eMAXIS Slim」シリーズであると思われます。
仮にスリムシリーズではなく、「これぞ、日本株」を直販以外のルートで販売するようになったというどうでもいい情報でブロガーを釣ったとすると、以後、三菱UFJ国際投信はブロガーに相手にされなくなるからです。

では、スリムシリーズの商品税変更とは、具体的に何を意味するのでしょうか?

木曜日の発表まで待てばよいだけのことですが、それでは面白くありませんので、事前に予想してみます。

私は、2つの可能性があると考えています。

(1)他社の同種投信が信託報酬を引き下げ、それがスリムシリーズの信託報酬を下回ったときにスリムシリーズが実行する対抗値下げについて、これまでは同率であったところ、今後は単独最安値をめざすというもの

(2)これまでは極力分配金を出さない方針であったところ、2020年1月以降は極力分配金を出す方針に変更するというもの


まず、(1)の狙いは単純です。
仮想敵はニッセイ外国株です。

ニッセイ外国株は、同率値下げではなく、少しだけではあるものの単独最安値を狙って値下げをしています。
すぐにスリム先進国株が追い付きますが、スリム先進国株は同率値下げにとどまるため、ニッセイ外国株のコストに対する意識の高さを見せつける結果となっています。


「小売業界最大の競合他社(どこを指すかは分かるでしょう!)に挑戦する。わが社の福利厚生と最低時給15ドルに対抗してみろ。さあ! いっそ16ドル(約1790円)に引き上げて、われわれの挑戦に応えてみせろ。これは、万人に恩恵をもたらす競争だ」
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190412-00000021-jij_afp-int

アマゾンのジェフ・ベゾスCEOは、最近、このように述べて各所の反響を呼んでいます。
ベゾスがこのような発言をした理由として、その圧倒的な資金力を武器に他社の体力を奪うことのほか(資金力のない他社が15ドルの最低賃金を従業員に支払うことは大変です)、アマゾンとしても更なる人件費の上昇は望ましくないため、他社を積極的に巻き込むことによって、人件費の更なる上昇に否定的な世論形成がなされることを期待しているのでしょう。

スリムシリーズが、同率値下げではなく単独最安値を目指す方針に転換することで、ニッセイ外国株に強いプレッシャーを与え(※)、超低コスト戦争の過熱を抑える効果が期待できます。


※スリムシリーズは、ニッセイなしなしシリーズとは異なり、巨額のマザーファンドを買うだけファンドですので、スリムシリーズが幾ら値下げしても三菱UFJ国際投信は全く痛痒を感じません。
これに対し、ニッセイなしなしシリーズは、マザーファンドをゼロから立ち上げていますので、ニッセイなしなしシリーズを値下げすることはニッセイアセットマネジメントの経営を直撃することを意味します。


つぎに、(2)です。

2020年1月から投資信託の外国税控除が大幅に変更されます。

投資信託の二重課税の解消方法は米国ETFと全く同じ
http://tawaraotoko.blog.fc2.com/blog-entry-718.html

具体的にどうなるかは分かりませんが、大和総研は次のレポートを公開しています。

改正後の外国税額控除額の具体的な算式は大綱には示されていないが、かつて外国債券の利子について採用されていた「差額徴収方式」 と同様のスキームが用いられるものと想定される。
すなわち、外国で源泉徴収が行われる前の配当金 100 に対して外国と日本の国税の源泉徴収が合わせて 15%になるよう国内の源泉徴収税額を調整することが想定される。この場合、既に 10を外国に納付済みであるため、国税の源泉徴収税額は 5(=15-10)となる。地方税 4.5 と合わせると国内の源泉徴収額は 9.5 となり、投資家に支払われる税引後の分配金は 80.5(=90-9.5)
になるものと考えられる。
https://www.dir.co.jp/report/research/law-research/tax/20171229_012629.pdf


もしこのような税制改正がなされれば、分配金を出した上で再投資したほうが有利になります。

外国で源泉徴収が行われる前の配当金100に対し、外国源泉税が10であるとします。

現行制度では、投資信託が分配金を出すと、その時点で外国源泉税を控除した残りの90の20%が源泉徴収されます(計算の便宜上、復興所得税の0.315%は無視します)。
結局、配当金100のうち28が外国と日本で源泉徴収され、残りの72が手元に残ることになります。

これに対し、現行制度で投資信託が分配金を出さなければ、日本国の源泉徴収はなされないため、配当金100から外国源泉税10を差し引いた90が手元に残ることになります。
90のうち18は日本国の源泉税相当額ですが、投資信託が分配金を出さないことで、源泉徴収の時期を売却時に繰り延べすることができます。
つまり、投資信託が配当金を受け入れた時から投資信託を売却するまでの間、顧客は18を運用することができ、その運用利益を手にすることができます(18とその運用利益は、売却時に譲渡所得として源泉徴収されます)。

ここで気づいたように、投資信託が分配金を出すか出さないかに関係なく、外国源泉税10は失われたままです。
しかし、税制改革によって来年1月1日以降、投資信託が分配金を出せば配当金100のうち80.5が残ることになるとすると、下記のようになります。

分配金を出さない投資信託 90が残るが、うち18は売却時に課税される。
分配金を出す投資信託 80.5が残る。

つまり、状況を整理すると、

8.5の損(80.5-72)を受け入れる代わりに9.5の運用利益(90-80.5)を手に入れるべきかどうか

ということになるわけです。

ところで、運用の世界には「72の法則」というものがあります。元本が2倍になるための期間は72を運用利回りで割ればよいというものです。
仮に運用利回りを5%とすると、元本が2倍になる投資期間は14年5か月間(72÷5=14.4)となります。

理論上では、9.5を14年ほど運用すると19に増えるため、8.5の損を取り戻すことができます。

しかし、株式投資の期待リターンは年5%であるとはいえ、コンスタントに毎年5%ずつ増えていくものではありませんし、時間がたてばたつほど、現在20.315%の源泉税の税率が引き上げられてしまうリスクもあります。

しかも、14年は結構長いです。
14年以内にその投資信託を売却してしまえば損をしてしまいますので、簡単に売却して他の投資信託に乗り換えることもできません。

このようなことを考えると、大和総研のレポートのような税制改正がなされるのであれば、分配金をコンスタントに出す投資信託を選択したほうがよいことになります。

ただ、税制改正の具体的な内容は現時点では確定していないはずです。
https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2019/request/fsa/31y_fsa_k_21.pdf#search=%27%E6%8A%95%E8%B3%87%E4%BF%A1%E8%A8%97+%E4%BA%8C%E9%87%8D%E8%AA%B2%E7%A8%8E+%E5%B9%B3%E6%88%9031%E5%B9%B4%E5%BA%A6%27

そうすると、三菱UFJ国際投信が税制改正を見込んで現時点で(2)を行うことにはリスクがあります。

そうすると(1)かなという気もするのですが、私は、逆に、ベンチマークを配当込み指数に変更するという発表をするのではないかと危惧しています。

スリムシリーズが極力分配金を出さない方針である以上、ベンチマークは配当込み指数(しかも課税後配当のネット)にしたほうが配当原因の乖離がなくなりすっきりします。

●【基礎知識】指数の種類
http://tawaraotoko.blog.fc2.com/blog-entry-757.html

しかし、税制改正の結果によっては、むしろ分配金を積極的に出したほうが顧客の利益になりますので、スリムシリーズとしても、そのときは分配金を極力出した上で、ベンチマークは現状のプライスを維持してほしいところです。

仮に今回の商品性の変更がベンチマークをプライスからネットに変更することであれば、私は、三菱UFJ国際投信はセンスがないと言わざるを得ません。

4月18日の発表が楽しみです。

【2019.4.13追記】

コメント欄でこのような情報をいただきましたので、追記します。

外国税控除の確定版改正内容は4月中に公開される見込みなので、まだ未確定で対応を進めてる段階ですが、基本的には男爵様の想定のようになりそうです。
ただ、当初は地方税の外国税控除はされず、地方税の課税標準は上がるので、外国で源泉徴収が行われる前の配当金 100 に対して、投資家に支払われる税引後の分配金は 80.0(地方税が5.0)になるイメージのようです。
※手取りは増えますが地方税は増えます


このような税制改革がなされれば、極力配当を出したほうが顧客にとって有利になると思われます。
4月18日の発表がますます楽しみになってきました。


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コメント

No title

「商品性変更」についての私の根拠なき予想はベンチマーク指数の変更ではないかと。
以前の男爵さんのエントリーずばりです。
http://tawaraotoko.blog.fc2.com/blog-entry-859.html

No title

追伸
でもスリム全世界(オールワールド)リリースのためにMSCIジャパンをわざわざ組成したくらいだから、コスト低減のためにMSCIから離れることはしなさそうですね。

No title

コメントありがとうございます。

>スリム全世界(オールワールド)リリースのためにMSCIジャパンをわざわざ組成したくらいだから、コスト低減のためにMSCIから離れることはしなさそうですね。

私もそう思います。

No title

今の信託報酬(率)がそのままエクスペンスレシオになれば驚きます。

No title

コメントありがとうございます。

>今の信託報酬(率)がそのままエクスペンスレシオになれば驚きます。

ニッセイ外国株が泣きますね。
しかし、赤字になるため、実現可能性はなさそうです。

No title

今後、配当を出した方が顧客にとって有利になる可能性がある、と言う話は、投信の大きな転換点のように思います。
将来の税制は分かりませんが、つみたてNISAは20年間保有しますから、考えておきたいと思いました。

つみたてNISAは今までは再投資型が複利効果が期待できて有利でしたが、今後は受取型の方がよいのでしょうか?

No title

コメントありがとうございます。

>つみたてNISAは今までは再投資型が複利効果が期待できて有利でしたが、今後は受取型の方がよいのでしょうか?

つみたてNISAで分配金を出すと、つみたてNISAの射程外になります。

どのみち非課税であるつみたてNISAでは、分配金を出さずにファンド内で再投資したほうが確実に有利です。

いつも楽しく拝見させていただいております。
今回のブロガーミーティングですが、男爵様は出席されないのでしょうか?

No title

コメントありがとうございます。

>今回のブロガーミーティングですが、男爵様は出席されないのでしょうか?

都内であれば弁当を食べがてら参加するのですが、交通費を考えると超高級弁当になってしまいますので、残念ながら参加はしません。

No title

情報提供ありがとうございます。

DCへの対抗を含め、新記事にさせていただきます。
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プロフィール

たわら男爵

Author:たわら男爵
Painter:ますい画伯
http://www.masuitousi.com/

ブログ開始日 2016年3月1日

●リスク資産(6割)は、たわら先進国株(楽天証券)とVT(マネックス証券)をほぼ50:50でホールド中。
●つみたてNISA(SBI証券)はeMAXIS Slim先進国株を年初一括40万円購入。
●楽天カード投資はeMAXIS Slim先進国株を毎月5万円購入。
●松井証券で「Slim全世界株リバランス積立」の毎営業日1万円投資を実行中。
●楽天証券で「たわら男爵15種」の毎月2回100円投資を実行中。
●SBI証券で「インデックスマラソン」の毎営業日100円投資を実行中。

●無リスク資産(4割)は、個人向け国債変動10(みずほ証券、大和証券)と楽天銀行(金利0.1%)。

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