究極のバランスファンド(三菱UFJ国際投信の直販の秘策)

つみたて次郎さんの4月6日付け

●現金(キャッシュ)を組み込んだバランスファンドがないのはなぜだろう
https://siegeljiro.com/cash‐balancefund

を読みました。

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現在のような超低金利時代に債券投資をするのは危険です。
なぜなら、利上げによって債券の時価が大きく毀損するリスク(※)があるからです。

※既に発行され、市場に流通済みの債券は、利上げによって下落し、利下げによって上昇します。
利上げとは、これから新たに発行される債券の価値が高い(既発行債券よりも利率が高いから)ということですので、既発行債券は利上げ前と同じ価格では売れなくなります(同じ値段なら、より有利な利率の新規発行債券を買うから)。
そのため、既発行債券は利率の高い新規発行と同じ利率になるように、元本部分の価値を利息部分に移動して、より利率の高い新規発行債券に対抗しなければなりません(既発行債券は市場に流通済みですので、新規発行債券との利息の差に相当する価値を元本から減らした金額でなければ売れなくなります)。
このような理屈で、利上げがなされると、債券ファンドの保有する債券の時価が下落し、債券ファンドの基準価額も下落することになります。

超低金利時代の債券投資は危険です。
債券ファンド単体で考えれば、将来の利上げのリスクがあるばかりか、債券の究極的なリターンである利息も超低金利であるため、期待することができないからです。

しかし、株と債券の配分比が固定されているバランスファンドは、株価が下落したとき、自動的に債券を売って株を買うため、株をより安値で仕入れることができます。
マルキール先生は、これを魔法使いと呼びました。


投資家なら誰でも、間違うことなく「安く買って、高く売る」指令を出してくれる魔法使いがいたらいいなと思うだろう。
そして、規則正しいリバランス戦略こそ、その魔法使いなのだ。
(「ウォール街のランダム・ウォーカー原著第11版」444頁)


ただし、暴落によって市場が壊れるときがあります。
大暴落時は、全ての市場参加者がビビってしまい、株だけでなく債券も投げ売りし、とにかく手元に現金を置きたがる傾向があるからです。

このようなことを考えると、つみたて次郎さんが指摘するとおり、債券ではなくキャッシュとリバランスするバランスファンド(リスク資産は株式100%であることから、複数のアセットクラスで構成される「バランスファンド」ではありませんが、便宜上バランスファンドと呼称します)が魅力を持ちます。

「株100%の投資信託を特定口座で買って、証券口座に現金を置いておき、投資信託が下落したら置いてある現金で投資信託を買い増しすればいいだけではないか」

大暴落を乗り越えた経験がない人は、そのように思うかもしれません。
しかし、大暴落時は、全ての市場参加者が恐怖で凍り付きます。逆に言えば、全ての市場参加者が恐怖で凍り付き、追加投資をしようなどとは考えないからこそ、投げ売りがなされ、それが更なる暴落を呼び込み、「底が見えない」恐怖にみんなが震えて過ごすことになります。
そのようなとき、「自分だけは大丈夫」と思うべきではありません。あなたも私も、みんなが恐怖で何もできなくなるでしょう。

三菱UFJ国際投信は、直販に踏み切りましたが、

●三菱UFJ国際投信は直販の戦術選択を誤った
http://tawaraotoko.blog.fc2.com/blog-entry-1239.html

上記記事でお伝えしたとおり、戦術選択を誤った結果、その将来は非常に暗いです。
そこで、私は、三菱UFJ国際投信に対し、勝手に次の提言をします。

(1)直販にラップ口座を導入する。

(2)ラップ口座は、顧客が事前に設定した固定配分比(顧客はキャッシュ割合も指定できるものとする)で機械的に売買を繰り返すものとする。
もちろん固定配分比での購入には均等額積立買付にも対応するし、リバランスについては年に複数回の任意の日を事前設定できるようにし、事前設定した日に固定配分比になるように自動で売買するものとする。

(3)ラップ口座の報酬は取らない。正確には、ラップ口座の報酬は、ラップ口座で運用する財産から現金部分を除いた部分(購入した投資信託の時価総額)の信託報酬と同額とする。


このような制度を導入することは、技術的にそれほど難しくないものと思われます。
現在松井証券がやっているものに現金を付け加えるだけです。松井証券が無料で提供しているサービスを三菱UFJ国際投信が無料で提供できない理由がありません。

三菱UFJ国際投信が販売会社部分の信託報酬を削ったり、ポイントを提供したりするなどしたくないということであれば、他社では味わえない新しいサービスを提供する必要があります。

キャッシュとの自動リバランスを組み入れたラップ口座はこれまで例がありません。
しかも、見せかけの信託報酬は極めて安くなります。スリム先進国株と現金を50対50の配分比にしたラップ口座の信託報酬は0.0545%となりますので、激安です。

三菱UFJ国際投信は、このラップ口座の導入によって、利益を失わずに顧客に対して新しい価値を提供することができます。
しかも、見せかけの信託報酬は激安となり、コストの点でも他社との差別化をすることができます。
さらに、信託報酬を単純に値下げすると、SBI証券や楽天証券といった既存の販売会社ともめるリスクがありますが、この方法であればもめることはありません。

ここまで書いて、この方法を三菱UFJ国際投信が採用するかどうかで、三菱UFJ国際投信の直販の未来が左右されるのではないかと思えてきました。

三菱UFJ国際投信は4月18日にブロガーミーティングを開きます。
今回は参加しないブロガーから意見を事前公募していますので、この記事を私の意見として送信しておきます。

出席するブロガーの中で興味がある方は、三菱UFJ国際投信に対し、この点のほか、下記の点の実行状況についても確認していただきたいです。

●スリムシリーズ、監査費用を含む全てのコストが引き下げ対象であることを明言
http://tawaraotoko.blog.fc2.com/blog-entry-1101.html


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コメント

No title

男爵さんのプランは理想的ですね。
ただ直販会社の場合、現金(預り金)での長期預かりが業法的に×なのではないかと思われます。
最低限MRFならば可能かもしれませんが、直販と離れますしまた別のハードルが高そうです。
以前に三井住友アセットのキャンペーンで直販口座を開き投信を売買したとき、売却金を半月ほど口座内で放置していたら、速やかに出金するようにと指示されましたので。

No title

コメントありがとうございます。

>直販会社の場合、現金(預り金)での長期預かりが業法的に×なのではないかと思われます。

全く検討していませんが、なんとなくラップ口座であれば大丈夫なのではないかという気がします。

この点も含めて、誰か三菱UFJ国際投信に聞いてくれないかなと思っています。

No title

業法的にクリアできたとしても、現金(預り金)を余分に預かるということは分別管理のコスト(対信託銀行)、投資者保護基金加入上のコストがかさみますので、ラップ口座手数料をゼロにするというのはビジネス的に厳しいでしょうね。
三菱がそれを乗り越えてくれるのであれば拍手喝采ものですが、投信会社としては荷が重く、収益構造に幅のある松井のほうが実現可能性はあるかもしれません。

No title

コメントありがとうございます。

>ラップ口座手数料をゼロにするというのはビジネス的に厳しいでしょうね。

私は、信託報酬中の販売会社報酬を超えるコストが掛からないのであれば、三菱UFJ国際投信はやるべきだと思います。

三菱UFJ国際投信の直販が現在やっていることは、既存の証券会社の焼き直し(ポイントを考えると下位互換)にすぎません。

販売会社との関係性からコストで戦う道を放棄するのであれば、新たな価値を創造し顧客に提供する必要があります。

三菱UFJ国際投信は、学資投資は新たな価値創造ではなく、顧客にとって魅力的な提案ではないことに早く気付くべきです。

No title

いつも楽しく拝見させて頂いています。
情報が早く、いつも参考にさせて頂いています。
少額の積み立て投資は以前からしていましたが、つみたてNISAが始まる少し前からメインの運用として積立投資をしているほぼ素人です。
その素人からすると究極でなくて良いので、マットコ専用の投信としてセゾンバンガードバランスファンドと同じようなアセットアロケーションで信託報酬0.2%以下で発売すると資金が集まると思うのですがどうでしょうか?
というより、これが販売されたら楽天やSBIのようにポイントがなくても、私は購入します。現在セゾンバンガードバランスファンドを購入していますが、令和元年からスリム(オールカントリー)とスリム先進国債券を楽天証券で1:1に変更して購入する予定です。

No title

コメントありがとうございます。

>マットコ専用の投信としてセゾンバンガードバランスファンドと同じようなアセットアロケーションで信託報酬0.2%以下で発売すると資金が集まると思うのですがどうでしょうか?

直販専売では売れないと思います。

残念ながら、三菱UFJ国際投信にブランド価値はほぼないからです。

>現在セゾンバンガードバランスファンドを購入していますが、令和元年からスリム(オールカントリー)とスリム先進国債券を楽天証券で1:1に変更して購入する予定です。

自分でリバランスするのは勇気が要ります。

ポイントにこだわりがないのであれば、松井証券の自動リバランスサービスを利用したほうがよいと思いますし、楽天カード投資の枠が使い切れないのであれば、月額5万円ずつスリム先進国株を買ったほうがよいと思います。
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プロフィール

たわら男爵

Author:たわら男爵
Painter:ますい画伯
http://www.masuitousi.com/

ブログ開始日 2016年3月1日

●リスク資産(6割)は「たわら先進国株」(楽天証券)とVT(SBI証券)をほぼ50:50でホールド中。
●つみたてNISA(SBI証券)では「たわら先進国株」を年初一括40万円購入。
●楽天カード投資(毎月1日)では「たわら先進国株」を毎月5万円購入(+特定口座で11日と21日に各5万円ずつ積立買付中)。
●SBI証券で「インデックスマラソン」の毎営業日100円投資を実行中。

●無リスク資産(4割)は、個人向け国債変動10(みずほ証券、SMBC日興証券)と楽天銀行(金利0.1%)。

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