不倫相手の離婚慰謝料を否定した今日の最高裁判決

本日、最高裁判所は、過去の不倫相手に離婚慰謝料を請求することはできないとする新判断を示し、大々的に報道されています。



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こういうものは原典を確認しなければなりません。

原典です。
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=88422


該当部分を抜き出します。

夫婦の一方と不貞行為に及んだ第三者は,これにより当該夫婦の婚姻関係が破綻して離婚するに至ったとしても,当該夫婦の他方に対し,不貞行為を理由とする不法行為責任を負うべき場合があることはともかくとして,直ちに,当該夫婦を離婚させたことを理由とする不法行為責任を負うことはないと解される。
第三者がそのことを理由とする不法行為責任を負うのは,当該第三者が,単に夫婦の一方との間で不貞行為に及ぶにとどまらず,当該夫婦を離婚させることを意図してその婚姻関係に対する不当な干渉をするなどして当該夫婦を離婚のやむなきに至らしめたものと評価すべき特段の事情があるときに限られるというべきである。
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/422/088422_hanrei.pdf


要するに、最高裁判所は、

(1)不貞行為をしたことによる慰謝料(不貞慰謝料)
(2)不貞行為を理由として離婚に至ったことによる慰謝料(離婚慰謝料)

を明確に区別し、不倫相手は(1)は負うものの、(2)は負わないと判断したことになります。

最高裁判所は、不倫相手が(2)を負う場合について、

単に夫婦の一方との間で不貞行為に及ぶにとどまらず,当該夫婦を離婚させることを意図してその婚姻関係に対する不当な干渉をするなどして当該夫婦を離婚のやむなきに至らしめたものと評価すべき特段の事情があるとき
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/422/088422_hanrei.pdf

との判断を示しました。

これは要するに、妻が浮気をしても離婚をしない夫婦はいることから、妻の浮気が直ちに離婚の理由となるものではないとの判断に基づくものと言えるでしょう。

今回、なぜ不貞慰謝料ではなく離婚慰謝料が請求されたかですが、判決文では下記のとおり認定されています。


被上告人は,平成22年5月頃,上告人とAとの不貞関係を知った。Aは,その頃,上告人との不貞関係を解消し,被上告人との同居を続けた。
被上告人は,平成26年11月頃,横浜家庭裁判所川崎支部に対し,Aを相手方として,夫婦関係調整の調停を申し立て,平成27年2月25日,Aとの間で離婚の調停が成立した。
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/422/088422_hanrei.pdf


各種報道でも言及されていますが、慰謝料請求権の時効は3年間ですので、不貞慰謝料は、不貞行為が終了した平成22年5月頃から3年後の平成25年5月頃には時効消滅していたことになります。
しかし、離婚が成立したのは平成27年2月25日ですから、離婚慰謝料はそこから3年で時効消滅することになってまだセーフだったことから、今回はあえて離婚慰謝料一本で勝負せざるを得なかったということになりますね。

離婚する理由など人それぞれですから、不倫相手に対する離婚慰謝料の請求を認めなかった今回の判決は妥当であると考えます。
もし不倫相手が離婚慰謝料まで負うことになると、10年後とか20年後に離婚して、離婚の理由が「妻の浮気をどうしても許すことができなかった」ということになったとき、不倫相手は慰謝料請求を受けることになるからです。

最高裁判所は、このような事態は望ましくないと考えて、今回、離婚慰謝料を否定する判断を示したことになります。

この結論に賛成する人も反対する人もいるでしょうが、私は、事情はあるにせよ、妻の浮気相手が分かっていたのであれば、さっさと請求しておけよと感じました。


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コメント

No title

「子供が成人するまで離婚はしないでおこう」なんて言っていられないということですかね。
考えさせられます。

No title

コメントありがとうございます。

>「子供が成人するまで離婚はしないでおこう」なんて言っていられないということですかね。

離婚しなくても、慰謝料だけ先行させて請求していれば時効にかからずに済みました。

最高裁は、「慰謝料請求したいのならさっさと提訴しろ」と言いたいのでしょうね。

No title

こんにちは、いつも勉強させていただいています。

ちょうどこの判決が気になっておりましたので、コメントさせていただきます。

従来、不貞行為をしたけれど離婚しなかった場合と、不貞行為により離婚した場合で、慰謝料の相場が大きく異なることが示されていたと思うのですが、ご指摘の通り(2)離婚慰謝料は負わない、となった場合、これまでの判例との整合性は保てるのでしょうか?

この最高裁の判決では、離婚の有無にかかわらず、不貞行為の慰謝料は一定になってしまうと思うのですが・・・。

No title

コメントありがとうございます。

>従来、不貞行為をしたけれど離婚しなかった場合と、不貞行為により離婚した場合で、慰謝料の相場が大きく異なることが示されていたと思うのですが、ご指摘の通り(2)離婚慰謝料は負わない、となった場合、これまでの判例との整合性は保てるのでしょうか?


調べてみると面白いのですが、欧米諸国では、裁判所は家庭内の問題に立ち入るべきではないという価値判断から否定説が主流のようです。
それを受けて、日本でも、徐々に否定説が有力な見解となりつつあるようです。

考えてみれば、第三者が既婚者と肉体関係を持ったとしても、既婚者の同意を得なければそのような行為はできないわけですから、非難されるべきは自由意思で配偶者以外の者と肉体関係を持った既婚者であり、裁判所を巻き込むことなく家庭内で解決してくれというのは、私は説得的だと思います。

最高裁判所は、世界情勢というふわっとした空気を読んで判断することがありますので、いずれは不貞慰謝料を否定したいのではないでしょうか。

>この最高裁の判決では、離婚の有無にかかわらず、不貞行為の慰謝料は一定になってしまうと思うのですが・・・。

ここで問題となるのは、離婚したかどうかではなく、離婚を決意するほどつらかったかどうかという、つらい気持ちの重さだと思います。

即座に離婚すれば、実際に離婚を決意するほど、とてもつらい思いをしたということになりますので、慰謝料は多少は増えるのではないでしょうか。

No title

ご返答ありがとうございます。

欧米諸国の状況も踏まえて、大変勉強になりました。

しかし、不貞もされて、財産分与でお金も取られて、その上慰謝料も請求できないなんてことなったら、不貞された側からしたら、救いのない世の中になりますね・・・。

被害証言は術後せん妄の幻覚体験の可能性

手術直後の女性患者の胸を舐めたなどとして、準強制わいせつに問われた乳腺外科医に対し、20日東京地裁は無罪判決を言い渡しましたが、こちらの事件もかなり気になります。

No title

コメントありがとうございます。

>不貞もされて、財産分与でお金も取られて、その上慰謝料も請求できないなんてことなったら、不貞された側からしたら、救いのない世の中になりますね

慰謝料は、妻に請求するしかないということになりますね。

>手術直後の女性患者の胸を舐めたなどとして、準強制わいせつに問われた乳腺外科医に対し、20日東京地裁は無罪判決を言い渡しましたが、こちらの事件もかなり気になります。

科警研が資料を全量費消しなければよかっただけで、このような悪しき慣行は改められるべきでしょうね。
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