DRIP(配当金自動再投資サービス)はなぜ素晴らしいのか

私は、VT(バンガード社の全世界株ETF)とたわら先進国株を半々ずつ保有しています。

VTは、3か月に1回、配当金を出します。
マネックス証券の「米国株投資情報」「個別銘柄情報」によれば、配当利回りは2.40%です。

●配当金生活と税金
http://tawaraotoko.blog.fc2.com/blog-entry-1191.html

上記記事でもお伝えしましたが、

(1)特定口座源泉徴収ありでVTを保有する。

(2)分配金は、総合課税の配当所得として確定申告する。

※確定申告書に記載する配当所得(総合課税)の金額は、実際の分配金×90%(外国税を差し引いた残額)となります。
特定口座年間取引報告書を見ながら、「配当等の額」欄の金額から「外国所得税の金額」欄の金額を自分で引き算してください。

(3)住民税は、確定申告書の数字を転記し(ただし、配当所得の金額はゼロ円=空欄のままにする)、配当所得は申告不要制度を選択する旨のチェック欄にチェックして申告をする(住民税申告書には、税務署の受理印が押された確定申告書のコピーを添付する)。が

という方法を選択すると、源泉徴収された所得税(分配金の15.315%)のうち、相当な部分が還付されます。

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さて、VTは外国株です。

その分配金は、日本株と異なり、

(1)配当控除制度がない。

※日本株の配当金は、確定申告すれば10%の配当控除がききます(確定申告しなければ配当控除はききません)。
例えば、配当金が85万2538円の配当金があれば、8万5253円の配当控除がききますので、実際に課税対象となる配当所得は76万7285円となります。

※配当控除は、外国税額控除とは異なり、実際の配当金の10%ですので、非常に簡便かつ有用です。

(2)分配金は、アメリカ政府が10%の源泉徴収をした後、残りの90%の20.315%について日本国政府が源泉徴収する。

※結局、分配金の28.2835%がアメリカと日本によって源泉徴収され、手元に残るのは71.7165%となる。

※VTを売却した時の売却益(譲渡所得)には、日本国政府が20.315%の源泉徴収をするだけです(アメリカ政府は課税しません)。

という仕組みになっています。


VTはETFですから、VTを構成する現物株が生み出した配当金は全て顧客に分配されます。
その際、上述したとおり、アメリカ政府と日本国政府が課税することから、顧客の手元には71.7165%しか残らないことになります。

これに対し、サクソバンク証券(特定口座に対応準備中)は、DRIP(配当金自動再投資サービス)を実装しています。

DRIPを利用すると、日本国政府が課税する前に自動再投資がなされることから、分配金の18.2835%(日本国政府が源泉徴収するはずだった所得税・住民税の合計額)の課税が繰り延べられます。
要するに、課税時期が分配金受領時から売却時に延期されるため(18.2835%相当額の源泉税相当額は値上がり益に形を変え、売却時に譲渡所得として課税されます)、顧客は、自動再投資された18.2835%相当額の源泉税相当額の運用利益を手にすることができます。


ところで、前述したとおり、VTの配当利回りは年2.40%です。

DRIPを利用しなければ、2.40%相当額の28.2835%がアメリカと日本によって源泉徴収され、手元に残るのは71.7165%であることから、VTを保有し続けると、1.721196%ずつ元本が増えていく計算になります。

※もちろん配当利回りは毎年一律ではありませんので、これは推定計算をするための仮定の数字です。
※買付手数料が別途かかります。

そうすると、VTを保有することによる30年間の累積収益率は、

1.01721196の30乗-1=1.66856732313812-1=0.66856732313812

となります。

これは、1億円のVTを30年間保有して分配金を全て再投資すると、1億6685万6732円になるということを意味します。

※もちろんこれは値上がり益を考慮していません。実際は、値上がり益がこれに加わることになります。

これに対し、DRIPを利用すると、日本国政府の源泉税相当額の課税時期は売却時まで繰り延べされます。
そこで、VTを1億円購入して分配金を全てDRIPし、30年後に売却したとしたら、どうなるかを見てみます。

DRIPを利用すると、2.40%相当額の10%がアメリカによって源泉徴収され、手元に残るのは90%であることから、VTを保有し続けると、2.16%ずつ元本が増えていく計算になります。

そうすると、VTを保有することによる30年間の累積収益率は、

1.0216の30乗-1=1.89856962192197-1=0.89856962192197

となります。

これは、1億円のVTを30年間保有して分配金を全て再投資すると、1億8985万6962円になるということを意味します。
ただし、売却時の値上がり益8985万6962円の20%(0.315%の復興所得税は2037年に終わります)は日本国政府が源泉徴収しますので、手取りは1億7188万5569円となります。



まとめます。

1億円のVTを購入し、30年間保有して分配金を全額再投資したときの税金考慮後の手取り額(値上がり益は含まず)はこうなります。

DRIPなし 1億6685万6732円
DRIPあり 1億7188万5569円
差額 502万8837円(元本1億円の5.02%)

DRIP、素晴らしいですね。
これが特定口座に実装されれば、米国ETF投資に革命が起こるでしょう。


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コメント

No title

DRIP、素晴らしいですね。国内課税分の配当所得について、課税繰り延べ効果があるのですね。

これまでてっきり、DRIPとは国内配当所得課税(源泉徴収)後の配当金を用いた、無購入手数料・無為替手数料の同一ETF即日自動買付、と理解していました。
配当金を実際に手にするかしないかにかかわらず、配当所得発生時に課税されるものと誤解しておりました。

従来の株式・ETFの制度・価値観を覆す画期的なシステムですね。
2018年はカード投資の楽天証券が歴史に名を刻みましたが、今年はDRIPのサクソバンク証券でしょうか。
このような、画期的なシステムの導入は、スリムシリーズとニッセイの低コスト同様、投資環境に大きく貢献するものですね。

No title

たわら男爵さん
素晴らしいです。DRIPがなぜ有用なのか、よくわかりました。
どうもありがとうございます。

今後とも勉強させていただきます。よろしくお願いいたします。

投資信託の配当金

このシステムはいいですね。これを見てETFの配当金はわかりやすいですが、投資信託の配当金はどうなってるのか気になりました。

N225連動型の投資信託を持ってるのですが、これマザーファンドに入ってくる色んな銘柄からの毎月の配当金ってちゃんと僕たちにかえってきてるんでしょうか。年一回の分配金とか言ってるくせに、たわらノーロードとか一回も分配金出してないんですが、僕の年率2%はどこに消えたんでしょうか。

No title

コメントありがとうございます。

>従来の株式・ETFの制度・価値観を覆す画期的なシステムですね。

>DRIPがなぜ有用なのか、よくわかりました。

DRIPが当たり前に利用できる日が早く来てほしいものです。

>N225連動型の投資信託を持ってるのですが、これマザーファンドに入ってくる色んな銘柄からの毎月の配当金ってちゃんと僕たちにかえってきてるんでしょうか。

顧客に分配しなければ、その分だけ純資産額が増えます。

基準価額は、純資産額÷口数ですから、純資産額が増えれば基準価額も上がります。

サクソはいつ実装するのだろう・・・

サクソバンク証券(特定口座に対応準備中)

とのことですが、そんなに時間がかかる作業なんですかね?

どうもやる気がないけど、そう言っておかないといけないからみたいなレベル感なのではと勘ぐってしまうのは間違いですかね。

No title

コメントありがとうございます。

>そんなに時間がかかる作業なんですかね?

サクソバンク証券によると、既に必要な書類は提出しており、連絡待ちだということでした。

相手は役所ですから、1日とか1週間単位ではなく1か月単位で動いているのでしょうね。

No title

再投資に買付手数料がかかるので男爵さんのように高額だと気にならないコストでしょうが、少額から始める投資家にはETF+DRIPは高コストになってしまいますね。
スリム先進国が万人にはベストですね。

SBI証券や楽天証券も、是非、DRIPに対応して欲しいです。

No title

いつも大変有益な情報をありがとうございます。
男爵様のブログをきっかけにインデックス投資をはじめましたが、今後の投資方針に悩んでおり、アドバイス頂ければ幸いです。

現在49歳独身女性、無リスク資産2500万あり、働いている間は毎年150万円投資する予定で、楽天証券のつみたてNISAとカード積立でスリム先進国株を年100万円、SBI証券のスリム全世界株自作で毎週1万円積立中です。

今後は無リスク資産のうち1500万円を5年かけてインデックス投資に充てたいのですが、スリム先進国株に集中投資するか、VTを購入して商品リスクを分散するか悩んでいます。
VTの場合はSBIの定期買付サービスで毎月25万円貨決済するつもりです。

ちなみに、投資目的は60歳で退職するためで、その時は投資元本と無リスク資産が3000万円ずつくらいになると見込んでいます。暴落して資産が減れば再雇用制度を利用して泣く泣く働き続けるつもりです。

投資は自己責任と承知の上で、男爵様ならどうされるか是非お聞きしたいです。よろしくお願いします。

No title

コメントありがとうございます。

>スリム先進国が万人にはベストですね。

私もそう思います。

>SBI証券や楽天証券も、是非、DRIPに対応して欲しいです。

同感です。

>今後は無リスク資産のうち1500万円を5年かけてインデックス投資に充てたいのですが、スリム先進国株に集中投資するか、VTを購入して商品リスクを分散するか悩んでいます。
VTの場合はSBIの定期買付サービスで毎月25万円貨決済するつもりです。

買付手数料0.486%を使って日本株と新興国株を混ぜるかどうかという判断になりますね。

スリム先進国株の実質コストは0.19657%ですので、VTの買付手数料はスリム先進国株の2年6か月分の実質コストに等しくなります。

しかも、スリム先進国株を楽天証券で保有すると、年0.048%の投信保有ポイントも付与されます。
これを考慮すると、スリム先進国株の3年4か月分のコストに等しくなります。

整理すると、VTを買わなければ、日本株と新興国株を諦めることになるものの、スリム先進国株を3年4か月タダで保有できることになります。

>男爵様ならどうされるか是非お聞きしたいです。

私ならば、全額スリム先進国株にします。

スリム先進国株で5年ほど実際に運用してみて、それでもどうしてもVTがほしければ、含み益課税の問題はあるものの、その時点でスリム先進国株を売却してVTを同日一括買付すればよいのではないでしょうか。

No title

男爵様、貴重なアドバイスありがとうございます。

スリムを売却しVTを同日一括買付とは思いつきませんでした。
VTの手数料も引下げられるしとてもいいですね。とても納得できました。

おかげさまで、最適解であるスリム先進国株をひたすら買い付ける覚悟が決まりました。ありがとうございます。

これからもブログ楽しみにしています。

> 要するに、課税時期が分配金受領時から売却時に延期されるため

これって、税務上本当にそのような扱いになるでしょうか?
サクソバンク証券側で源泉徴収はされず DRIP による再投資資金には回るでしょうが、
個人が分配金を(一旦は)受領した事実は変わらないので、受領した年の確定申告時には分配金の分離課税分は申告する必要があるのではないでしょうか?
(税務署等にご確認済みであれば、すみません)

No title

コメントありがとうございます。

>個人が分配金を(一旦は)受領した事実は変わらないので、受領した年の確定申告時には分配金の分離課税分は申告する必要があるのではないでしょうか?

顧客に分配する前にサクソバンク証券がDRIPするわけですから、その利益は実現しておらず、顧客に申告義務はないと考えます。

>税務署等にご確認済みであれば、すみません

こういう微妙な問題は税務署に聞いてはダメです。
前例がないわけですから、国税庁に話が言って納税者に不利になるような理屈を考えるに決まっているからです。

私は、微妙なケースは税務署に事前確認せず、自らの信念に基づいて税務申告を行い、税務調査がなされたらその時点で自らの税務申告の正当性を主張して争ったほうが納税額が少なくなると考えています。

DRIPの誤解

たわら男爵様、
2つの米国証券会社にてDRIPを利用してETFに投資している者です。
なじみが薄いためかDRIPに関する誤解がしばしば日本人にあるように感じます。
DRIPは「配当の出る株式を、まるごと再投資して分配金の出ない投資信託のようにするサービス」ではなく「税金が引かれて一旦顧客に支払われた配当を自動で手数料なしに再投資してくれるサービス」です。
証券会社から送られてくるstatementには、配当が出た日にDIVIDENDとして税金10%(W-8BENを提出しているためで通常は30%のはずです)が引かれた金額と、同日にREINVESTとして同じ金額で買い付けた記録が記載されます。
つまり一旦口座に配当が入金されたことになっているので、この配当に対して確定申告でさらに20%の税金を納めないと立派な脱税となります。
税金の計算は日本円で行う必要があるため、配当が出るたびにその日の為替レートを使って換算して1年間に受け取った配当の総額を計算する必要があるため、税金の申告は非常に面倒です。
さらに、これまでに受け取った配当を所有する銘柄毎に記録しておく必要があります。その株式を売却して譲渡益を確定申告する場合に、DRIPで買い付けた分を考慮して取得価額を計算する必要があるためです。
ちょうどその面倒な確定申告を提出したタイミングでこの記事を見つけたのでコメントさせていただきました。

No title

コメントありがとうございます。

>証券会社から送られてくるstatementには、配当が出た日にDIVIDENDとして税金10%(W-8BENを提出しているためで通常は30%のはずです)が引かれた金額と、同日にREINVESTとして同じ金額で買い付けた記録が記載されます。

私は、サクソバンク証券から送付される年間取引報告書の記載によるのだろうと考えています。

DRIPは新しい制度であり、この点に関する先例はありませんので、納税者は自らの税務的確信に基づいて税務申告をなすべきです。

DRIPの誤解

こんにちは。私もDRIPの複利効果の恩恵にあずかっているFirstradeユーザーのひとりです。先日もどなたかが指摘されていましたがDRIPは確定申告時には面倒です。ExcelのVlookup関数でDりP購入日のTTMレートを引っ張ってくるようにしても古い取引履歴はPDFからコピペするしかなく、泣きたくなりました。

なぜ申告する必要があるかというとAccount HistoryのDividend額と同日のDRIP投資額の差額がちょうど10%の源泉税なのを確認すれば分かるように一旦投資家に支払われ、源泉された配当が自動再投資される仕組みだからです。
いや~確定申告の計算が面倒でようやくいまから提出しに行きます!

No title

コメントありがとうございます。

>なぜ申告する必要があるかというとAccount HistoryのDividend額と同日のDRIP投資額の差額がちょうど10%の源泉税なのを確認すれば分かるように一旦投資家に支払われ、源泉された配当が自動再投資される仕組みだからです。

私は、サクソバンク証券の特定口座年間取引報告書の記載によるしかないと考えています。

特定口座源泉徴収ありということは、自分では確定申告する必要がないということですから、あえて自分から面倒な課税関係に踏み込む必要はないのではないでしょうか。

特定口座とDRIP

男爵さま

私はファーストレードユーザーなのであくまでも外国証券会社での取引として確定申告するしかないのですがサクソバンク証券も来年までは特定口座(源泉徴収あり)は導入されていない状況と思います。

DRIPを特定口座(源泉徴収あり)で管理できるシステムをサクソバンク証券が導入した暁にはそちらにぜひ引っ越したいと思います。

でも一旦今ファーストレードで持っている株をいったん売却してからサクソバンク証券で買い直す必要があるようなので、その売却をした年の確定申告の大変さを想像するとちょっとムリかもしれません。

なにしろ今年は1銘柄の債権が償還されただけでしたが10年保有していたので毎月の利息が10年分=120回のDRIP購入分の取得価格をその取得日の為替レートで算出する地道な作業を要したのです。

ちなみにDRIPの福利効果は絶大のものがありました。でも確定申告は地獄でしたw

No title

コメントありがとうございます。

>でも一旦今ファーストレードで持っている株をいったん売却してからサクソバンク証券で買い直す必要がある

一般口座から特定口座への移管はできないことから、そうなってしまいますよね。

>その売却をした年の確定申告の大変さを想像するとちょっとムリかもしれません。

しかし、いつかは誰か(相続人を含む)がやることになるわけですから、どこかのタイミングで腹をくくってやるしかないのかもしれませんね。

特定口座とDRIP

男爵さま

確かにいつかは売らないといけないので気が重いです(笑)

せめてファーストレードの取引履歴がすべてcsvダウンロード可能だったらすべて一枚のエクセルシートで管理できるのですが。

ファーストレードに要望してみるしかないですね!
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プロフィール

たわら男爵

Author:たわら男爵
Painter:ますい画伯
http://www.masuitousi.com/

ブログ開始日 2016年3月1日

●リスク資産(6割)は「たわら先進国株」(楽天証券)とVT(SBI証券)をほぼ50:50でホールド中。
●つみたてNISA(SBI証券)では「たわら先進国株」を年初一括40万円購入。
●楽天カード投資(毎月1日)では「たわら先進国株」を毎月5万円購入(+特定口座で11日と21日に各5万円ずつ積立買付中)。
●SBI証券で「インデックスマラソン」の毎営業日100円投資を実行中。

●無リスク資産(4割)は、個人向け国債変動10(みずほ証券、SMBC日興証券)と楽天銀行(金利0.1%)。

パソコン版右端の「ブログ記事検索」と「カテゴリ」が便利です。

●「誰でもできる超簡単ほったらかし投資」(カテゴリ「【公開】誰でもできる究極の投資」)はこのブログの全エッセンスを1記事に凝縮したものです。
●カテゴリ「この投資信託がすごい」では、ベストバイファンドの具体名を明示しています。
●カテゴリ「インデックスファンドの基礎知識」を読めば、誰でも簡単に投資信託の必須知識を得ることができます。

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