ETFを買うだけファンドには、
SBI・先進国株式
インデックス・ファンド(雪だるま先進国株式)
があります。
そこで、これとeMAXIS Slim先進国株を比較します。
●eMAXIS Slim先進国株式
インデックス(イーマクシススリム先進国株式
インデックス)
トータルコスト 0.19657%
信託報酬 0.11772%(税抜0.109%)
信託報酬を除く実質コスト 0.07885%
純資産額 299億4800万円
マザーファンドの規模 3329億8500万円
●SBI・先進国株式
インデックス・ファンドSBI(雪だるま先進国株式)
トータルコスト 0.512175%(SBIポイント付与対象外)
信託報酬 0.075%(税込0.081%)
うち運営会社0.03%、証券会社0.03%、信託銀行0.015%
米国ETFの経費率 0.0345%
信託報酬除く実質コスト 0.2772%(前回、「0.2%程度になるリスクがある」と書きましたが、予想を更に超えてきました)
三重課税コスト 0.119475%(推定値)
※計算根拠は後述する。
構成銘柄は次のとおりです。
●シュワブU.S.ブロードマーケットETF(配分比55%)
https://www.bloomberg.co.jp/quote/SCHB:US資産総額 130億8600万ドル
経費率 0.03%
銘柄数 2500銘柄
※VTIは、資産総額1023億8000万ドル、経費率0.04%、銘柄数3680銘柄
●SPDRポートフォリオ・ワールド(除く米国)ETF(配分比45%)
https://www.bloomberg.co.jp/quote/SPDW:US資産総額 40億1000万ドル
経費率 0.04%
銘柄数 1722銘柄
※VEAは、資産総額688億1000万ドル、経費率0.07%、3990銘柄
※三重課税コスト
三重課税コストとは、ファンドが保有する株式の配当金について、
(1)
投資信託 現地国、日本の二重課税
(2)米国ETF 現地国、アメリカ、日本の三重課税
というように、米国ETFはアメリカが10%の源泉税を徴収するというものである。
現地国の税率は10%であることが多く、アメリカは残りの配当金(90%)に10%の源泉税を徴収するため、配当金の9%がアメリカに奪われる。
ファンドが保有株の配当金を受け入れる際、原則としてその10%が保有株の所属国(現地国)によって課税されるが、保有株がファンドと同じ国籍の時はファンド受入時には課税されず、ファンドが顧客に分配金を出した時点で初めて課税される。
この例外が適用されるのは、日本の
投資信託であれば日本株、米国ETFであれば米国株となる。
ファンドが分配金を出したとき、日本の
投資信託は、日本株は日本国の一重課税、日本株以外は現地国・日本国の二重課税であり、米国ETFは、米国株は米国・日本国の二重課税であるが、米国株以外は現地国・米国・日本国の三重課税となる。
配当金が100あったとして、
(1)
投資信託 現地国10、ファンド受入額90
(2)米国ETF米国ETF 現地国10、アメリカ9(90の10%)、ファンド受入額81
となるため、この差額9%(90-81)が三重課税コスト(米国ETFではなく
投資信託であれば払わずに済んだコスト)となる。
ここで「ファンド受入額」と記載したが、これは便宜上の表現である。
投資信託は文字どおりファンドの純資産額に上積みされ、顧客にとっては含み益の一部となり、売却時に譲渡所得として日本国によって課税されるが、米国ETFはそのまま顧客に分配されるため、分配時に配当所得として日本国によって課税され、その際、20.315%が日本国によって源泉徴収される。
無分配の投資信託であれば、米国ETFと異なり、保有株の配当金を顧客に分配して20.315%を徴収されることなく、この20.315%相当額もファンド内で運用し、その運用利益を顧客に渡すことができるため、その分、リターンが向上する(課税の繰り延べ効果)。
SPDRポートフォリオ・ワールド(除く米国)ETFの配当利回りは2.95%である。
https://www.spdrs.jp/etf/fund/ref_doc/Factsheet_SPDW.pdf#search=%27SPDR%E3%83%9D%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%AA%E3%82%AA%E3%83%BB%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%89%EF%BC%88%E9%99%A4%E3%81%8F%E7%B1%B3%E5%9B%BD%EF%BC%89ETF%272.95%の9%は0.2655%であるから、これが三重課税コストとなる。
雪だるま先進国株式ファンドにはSPDRポートフォリオ・ワールド(除く米国)ETFが45%含まれているため、ファンド全体に占める三重課税コストは0.119475%となる。
トータルコストの比較(組入銘柄数)です。
1、eMAXIS Slim先進国株 0.19657%(1315銘柄。大中型株のみ。韓国・日本は含まない)
2、雪だるま先進国株 0.512175%(4222銘柄。小型株を含む。韓国・日本を含む)
※1
eMAXIS Slim先進国株にはSBI証券が0.03%、楽天証券が0.048%の
投信保有ポイントを付与します。これに対し、雪だるま先進国株には、楽天証券は0.048%のポイントを付与するものの、SBI証券は一切のポイントを付与しません。
※2
雪だるま先進国株は、米国株と米国除く先進国株の配分比を55:45としていることから、生まれながらにして時価総額比の指数には連動しない宿命にあります。
というか、シュワブ社の指数55%、ステートストリート社の指数45%を組み合わせてFTSE社の指数に連動させようとしているわけですから、そのような試みがうまくいくはずがありません。
とはいえ、イーマクシススリム先進国株が異次元の値下げをするきっかけになったのは、実質的な信託報酬を税込0.1155%とする雪だるま先進国株が新規設定されたからでした。
雪だるま先進国株は、超低コスト戦争を異次元の領域まで拡大した点で、偉大な功績があります。
また、ETFを買うだけファンドである雪だるま先進国株に対抗値下げしたイーマクシススリム先進国株にも無条件の賛辞を贈るべきです。
以上のとおり、残念ながら、雪だるま先進国株は高コストに沈みました。
そのため、ETFを買うだけファンドを含めたとしても、eMAXIS Slim先進国株がベストバイファンドとなります。
コメント
No title
スリム先進国、300億に達したようですね。
今後の伸びが楽しみです。
2019/01/18 21:30 by まいらじ URL 編集
No title
>今後の伸びが楽しみです。
500億円に到達し、信託報酬の自動引き下げを発動してほしいものですね。
2019/01/19 13:57 by たわら男爵 URL 編集
韓国のありなし
記事中にスリム先進国株式が韓国を含み、雪だるま先進国株式が韓国を含まないとありますが、逆だと思います。
2019/03/01 19:39 by 河童 URL 編集
No title
>記事中にスリム先進国株式が韓国を含み、雪だるま先進国株式が韓国を含まないとありますが、逆だと思います。
たしかに間違っていましたね。
ご指摘ありがとうございます。
2019/03/01 20:59 by たわら男爵 URL 編集