スリム全世界株が抱える課題

いま投信ブログ界では、昨日発表された「eMAXIS Slim全世界株(オール・カントリー)」が話題です。

どのブログも非常に好意的ですが、当ブログとしては、このスリム全世界株には課題があることを指摘しておかなければなりません。



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また、ヤマゲン先生の人生相談本も無料です。ヤマゲン先生は、人生相談をライフワークにしていきたいと語っていますが、実際、素晴らしい回答の連発です。これはすごい本です。必読です。

詳細はこちらの記事をご覧ください。
http://tawaraotoko.blog.fc2.com/blog-entry-1047.html

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その課題とは、スリムシリーズは、基本3種(先進国株、新興国株、TOPIX)はよいとしても、運用技術的な問題点を抱えているのではないかということです。

まずは、最近できたばかりのスリム米国株です。

●【重要な追記あり】eMAXIS SlimでS&P500に投資する3つのメリット
http://tawaraotoko.blog.fc2.com/blog-entry-1053.html

上記記事で検討しましたが、スリム米国株をゼロとしたときの3か月リターンの差(カッコ内は3か月リターン差を4倍して1年リターン差に直したもの)はこうなります。

●iFreeS&P500 0.02671(1年0.10684%)
●SSGA米国株式インデックス・ファンド 0.00261(1年0.01044%)
●スリム米国株 0
●iシェアーズ米国株 -0.17194(1年-0.68776%)
●楽天全米株 -1.09827(1年-4.39308%)

詳細は上記記事をご覧いただくとして、スリム米国株は、設定直後で不利になる時期とはいえ、より信託報酬が高いファンドにリターンで負けてしまっていることが分かります。

つぎに、スリム全世界株(除く日本)も悪いです。

●野村つみたて外国株投信40億円を突破+スリム全世界株よりも良い
http://tawaraotoko.blog.fc2.com/blog-entry-1052.html#more

上記記事で検討したとおり、スリム全世界株(除く日本)は、やはりより信託報酬が高い野村つみたて外国株投信にリターンで負けてしまっていることが分かります。

今回新設されたスリム全世界株(オール・カントリー)には、独自のマザーファンドはなく、先進国株、新興国株、日本株の3種類のマザーファンドをベビーファンドが買うという構造です。
スリム全世界株(除く日本)も同じ構造ですから、スリム全世界株(除く日本)のリターンが悪い原因はこのせいかとも思いましたが、実は野村つみたて外国株投信も同じ構造ですから、この点を言い訳にすることはできません。

私も原因を色々と考えましたが、結局のところ、三菱UFJ国際投信は、巨額のマザーファンドを買うだけファンドであれば問題はないものの、マザーファンドが比較的少額だったり(スリム米国株)、複数のマザーファンドをベビーファンドが買ったりすると(スリム全世界株)、一転して運用が不安定になってしまうという構造的な問題を抱えているのではないかという疑いを抱かざるを得ません。

三菱UFJ国際投信は、スリム米国株やスリム全米株のリターンが他社ファンドと比較して振るわない原因を把握していると思われますので、その開示を期待します。


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コメント

No title

いつも刺激的な、記事を読ませていただき、ありがとうございます。
勉強させていただいています。



マーケティングの面ではどうでしょうか。

品質極悪なニッセイの方が長生きしそうですよね。

償還日が全てだと思います。


slim先進国株全力がいいか、slim全世界がいいか。
どちらに金が集まるんだと…金さえ集まるなら、イライラしますけど、ニッセイかとも考えてしまいます。

今回、『日本を含む全世界』がどれだけ需要があるのか…VTは本場米国では不人気です。



玄人達が、コストカットのために、男爵様のアセアロを真似て

slim先進国株:slim全世界=50:50

になるのがオチではないかと。


玄人が全員、slim全世界『全力』をしてもらわないと先進国株には負けると思います。

どうかしてる…

男爵さんの悪い方の予想的中しましたね〜
どこの会社も顧客ニーズをうまく取り込めずにいるといった印象です。
全世界株が欲しい方々はやはりETF(VT)一択がいいのかも。

しかし、投信ブロガーが一斉に好意的に三菱世界株を取り上げているさまは異様です。勉強しているようでしていない、もしくは大御所の目が気になって言いたいことが言えないのかもw
毎日、梅屋敷からSNSパトロールをされているみたいですし。恐ろしい。。。
だからこそ、このブログの利用価値がさらに大きくなるのでしょうが。何はともあれ、三菱さん残念すぎました。

ブロガーミーティング、弁当の威力はすさまじいってことですね。

スリム米国株の月次レポートを見ましたが、配当込みベンチマークとぴったり一致していましたよ。むしろ、他の米国株ファンドが上振れしているのではないかと。

No title

三菱は割高。運用下手。最初から分かっている。見せかけの0.1%はいらない。10年後、どれもだめ。

No title

コメントありがとうございます。

>マーケティングの面ではどうでしょうか。ニッセイの方が長生きしそうですよね。

ニッセイ外国株はいろいろな問題点を抱えつつも、低コスト先進国株ファンドのニューリーダーとしての先行者利益がありますから、スリム先進国株が挑戦者の気概を持って戦いを挑まなければ勝てません。

私は、スリム先進国株がニッセイ外国株と同額に対抗値下げした時点で、スリム先進国株がニッセイ外国株にとって代わる未来はなくなったと考えています。

>玄人が全員、slim全世界『全力』をしてもらわないと先進国株には負けると思います。

割高な信託報酬ではブームは起きません。
三菱UFJ国際投信は、わずかな信託報酬を惜しむあまり、せっかくの日本を含む全世界株ファンドを台無しにしてしまうリスクをとってしまったと思います。

非常に残念です。

>どこの会社も顧客ニーズをうまく取り込めずにいるといった印象です。

三菱UFJ国際投信は、せっかくブロガーミーティングを定期開催しているわけですから、新商品を売り込む場として利用するのではなく、ブロガーの意見を本気で取り込む場にすればいいのにと思います。

>全世界株が欲しい方々はやはりETF(VT)一択がいいのかも。

私は、特定口座かつDRIPが実現すれば、米国ETF投資が王道になる可能性があると思っています。

>ブロガーミーティング、弁当の威力はすさまじいってことですね。

バンガード社は今半ですから、どうせやるならあそこまでやらないとダメでしょうね。
まい泉では自分で気軽に買えますから、有難味に欠けます。

>スリム米国株の月次レポートを見ましたが、配当込みベンチマークとぴったり一致していましたよ。

信託報酬その他がありますから、ぴったり一致しているということは上振れているということです。

もっとも、ベンチマークとの乖離率との表は、ベンチマークが配当込みか否か、課税控除前か後かとで3種類ありますので、比較の視点としては余り意味のあるものではありません。

>三菱は割高。運用下手。

こういうふうに思われないためにも、三菱UFJ国際投信には、他社ファンドよりもリターンが悪い理由について、ぜひ明らかにしてほしいものです。

No title

男爵殿

乖離の大きさはどこの運用会社でも、差はあれ、下記のように同じだと予想されます。

全世界>全世界(日本除く)

ニッセイ他も全世界を設定し競争の環境下になることが、個人投資家の利益につながると思います。

運用会社が日本の全世界+個人向け国債10年のシンプルな運用が可能となったのが感慨深いです。

No title

折角の全世界株式です。
灯火を絶やしてはなりません。

信託報酬が現時点では先進国株と比較して割高、日本株式部分のマザーファンドが新設なので、安定性や実質コストに懸念がある、等課題は山積しています。

最初は苦労するかもしれませんが、三菱UFJ国際投信さんが不断の努力を積み重ね、ゆくゆくは成功を収め、我々投資家の資産形成に資する投資信託に質・量ともに成長して欲しいです。

No title

コメントありがとうございます。

>ニッセイ他も全世界を設定し競争の環境下になることが、個人投資家の利益につながると思います。

我々にとって利益にはなっても、運用会社は儲かると判断しなければ参入しません。

ニッセイは、既にバラが超低コストであり、失うものがないこと、新興国株を売る必要があることから、0.14%あたりで参入するかもしれませんね。

>三菱UFJ国際投信さんが不断の努力を積み重ね、ゆくゆくは成功を収め、我々投資家の資産形成に資する投資信託に質・量ともに成長して欲しいです。

問題は、全世界株ファンドに顧客のニーズはなく、これから顧客のニーズを作ることから始める必要があるということです。

その方法の一つは、バラで買うより安くするか、せめて同額にして投信ブロガー発のブームを作ることでしたが、バラで買うより高コストでは100円投資の対象にする以上のモチベーションが湧きません。
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たわら男爵

Author:たわら男爵
Painter:ますい画伯
http://www.masuitousi.com/

ブログ開始日 2016年3月1日

●「たわら先進国株」と「VT」を半分ずつ保有中。
●つみたてNISA(SBI証券)は「たわら先進国株」を年初一括購入中。
●クレジットカードによる投信積立サービスを利用し、SBI証券・楽天証券・auカブコム証券で「たわら先進国株」を毎月5万円ずつ購入中。

●無リスク資産は、個人向け国債変動10とauじぶん銀行(金利0.2%)。

パソコン版右端の「ブログ記事検索」と「カテゴリ」が便利です。

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