【追記あり】楽天バンガードが実質コストの緊急レポートを出しました

バンガード社の米国ETFを買うだけファンドである楽天バンガードファンドシリーズ。

先日、第1期運用報告書が開示されましたが、その実質コストは主としてブローカー報酬のせいで高額に沈みました。
詳細は、下記記事をご覧ください。

●楽天バンガードファンドは予想を超える高コストでした
http://tawaraotoko.blog.fc2.com/blog-entry-1033.html
●楽天バンガードが高コストなのはブローカー報酬が高いから
http://tawaraotoko.blog.fc2.com/blog-entry-1034.html#more

運用会社(楽天投信投資顧問)は、本日付けでレポートを出し、この点を説明しています。


※バンガード社の創設者であるボーグルの新著がアマゾンプライムリーディングで無料で読めます。
詳細はこちらの記事をご覧ください。
http://tawaraotoko.blog.fc2.com/blog-entry-1047.html

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レポートはこちらです。

●運用報告書「1万口当たりの費用明細」の内容について
https://www.rakuten-toushin.co.jp/news/pdf/20181005.pdf

売買においては最良執行を図っていますが、ゼロからの新規立ち上げということもあり、ファンド純資産総額が成長する過程において継続的に発生したETF買付けに伴う売買委託手数料が協会規則に則って計算されたことにより、結果としてさらに大きな数値で表示されていることは事実です。
ファンド純資産総額が拡大する過程で、決められたルールに則って簡便法を用いるため各期間の平均値が分母となり、算出される数値が大きく変わることがありうるのです。



上記レポートが何を言っているのかというと、こういうことです。


(1)1年目に純資産額が10億円になり、その過程で売買手数料が500万円かかった。
このとき、売買手数料500万円は10億円の純資産額で負担することになり、実質コストとして示される売買手数料の%の数字が高くなる。

(2)2年目に純資産額が20億円になり、その過程で売買手数料が500万円かかった(ファンドが買った米国ETFの金額は、1年目も2年目も同じ10億円ですから、売買手数料も同じ500万円となります)。
このとき、売買手数料500万円は20億円の純資産額で負担することになり、実質コストとして示される売買手数料の%の数字は、1年目の数字の半分になる。

これは当たり前のことを言っているだけです。
しかし、私も含めてみんなが気にしていることは、「楽天投信投資顧問は運用資産額が少ないことから、ブローカー報酬についてのネゴを効果的にすることができず、その結果、ブローカー対し、相場より高い報酬を支払っているのではないか」ということです。

しかし、上記レポートは、この点について全く言及していません。

第1期運用報告書における売買委託手数料は、下記のとおりです。

iFreeダウ 0.031%
たわらダウ 0.0549%
楽天全米株 0.1028%
楽天米国高配当株 0.14688%
楽天新興国株 0.216%
楽天全世界株 0.2208%


上記の数字はいずれも第1回運用報告書の数字です。

これだけを見ると、1種類の米国ETFを買うだけの楽天バンガードファンドシリーズのほうが、30種類の個別株を買うダウ投信よりも多額の売買手数料を負担しているようにも見えます。

運用報告書の実質コストの数字はあてにならないことから、こいうときに活躍するのは基準価額の比較です。
昨日の記事で、スリム米国株と楽天全米株の3か月リターンを比較し、それを4倍して1年リターンを推計してみました。

●スリム米国株をゼロとしたときのスリム米国株とのリターンの優劣
http://tawaraotoko.blog.fc2.com/blog-entry-1053.html

●iFreeS&P500 0.02671(1年0.10684%)
●SSGA米国株式インデックス・ファンド 0.00261(1年0.01044%)
●スリム米国株 0
●iシェアーズ米国株 -0.17194(1年-0.68776%)
●楽天全米株 -1.09827(1年-4.39308%)

私はこれを見て、VTIとVOOとはほぼ同じリターンであることから、3か月で1%の差は楽天全米株のコストのせいではないかと考えました。

しかし、念のため、今回、バンガード社の米国ETFであるVTI(楽天全米株と同じ指数)とVOO(スリム米国株と同じ指数)のリターン差を比較してみました。

VTI(終値)
7/5 141.60
10/4 148.59
騰落率 4.93644%

VOO(終値)
7/5 250.92
10/4 266.04
騰落率 6.02582%

わお。
なんと、リターン差は1.08938%でした。

昨日の記事では、楽天全米株と同じ指数をベンチマークとする投資信託は存在しないことから、やむを得ずS&P500指数をベンチマークとする投資信託の基準価額の騰落率で比較してみましたが、それでは判断を間違えてしまうようです。

楽天全米株は、運用報告書の数字では非常に高コストのように見えます。
今回のレポートを読んでも、この懸念は消えませんでした。
しかし、同じ指数をベンチマークとする他の投資信託の基準価額と比較するという手法が機能しないことが判明したため、結局のところ、

「高そうに見えるものの、本当に高いかどうかは分からない」

という結論になりそうです。

楽天全米株に投資する際は、同種ファンドが存在しないことによるデメリットを踏まえる必要があるようです。


なお、本題とは関係ありませんが、1年目に全財産を投入してその後は保有だけを続けた人は、別の顧客が2年目以降に売買をした際の手数料を負担し続ける結果になってしまいます。

iFreeシリーズのように、運用会社が新規設定日に1億円とか5億円の自己資金を投じてくれると、初期の投資家はある程度救済されることになりますね。

【2018.10.6追記】
売買委託手数料は、純資産のうちの現金から支出されるため、支出された時点で純資産額が減り、その分だけ基準価額も減ります。
ずっとホールドしている人は、自分の購入後、売買があるたびごとに、他人の売買を原因とする売買委託手数料を負担し続けることになります。
ただし、純資産額が多額になるにつれ、純資産額全体に占める売買委託手数料の割合は減っていくことから、実質コストに占める売買委託手数料の割合も減っていくことになります。

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コメント

No title

 情報入手、いつもながら早いですね。

 ところで(1)についてですが、楽天投資投資顧問の説明によると、分母は10億円ではなく、設定当初の金額と10億円を足して2で割ったものになるのではないかと愚考しますがどうでしょうか?

緊急ですかね?

この補足説明書が公開され、twitterなどで投信ブロガーさんらが

「誠実な対応だ」

みたいなツイートをしているのを目にしましたが、運用報告書を出す時点で既にわかっている事ですから、それが何日も経った後で公表って…誠実な対応とは到底思えませんでした。

顧客のことを本気で考えているのであれば、せめて運用報告書公表と同時、または2、3日後に補足説明を出せばまだ早めの対応だと言えるのでしょうが…できないのでしょうか?緊急レポートでもないような気がします。何を持って緊急なのか?

まぁ別に楽天投信さんのファンドは持ってないので期待もしてなかったです。男爵さんの読者で良かったなぁと改めて感じています。

スリムシリーズの三菱さんには万が一、顧客に何かを説明しなければならない時は、迅速に対応していただきたいなと改めて感じるところでした。

No title

コメントありがとうございます。

>(1)についてですが、楽天投資投資顧問の説明によると、分母は10億円ではなく、設定当初の金額と10億円を足して2で割ったものになるのではないかと愚考しますがどうでしょうか?

あの表は同じ金額で増え続けたと仮定しているため、始期と終期を足して2で割っています。

しかし、追記に記載したように、現実には、売買委託手数料は日々発生するため、その分だけ純資産額も日々減っていくことになります。


>せめて運用報告書公表と同時、または2、3日後に補足説明を出せばまだ早めの対応だと言えるのでしょうが…できないのでしょうか?

感度が悪いせいでしょうね。
運用報告書があれほど不評だとは想定外だったのでしょう。
そのため、急いで緊急レポートを出したものの、高コストの疑いを払しょくするに至らないものでした。

>スリムシリーズの三菱さんには万が一、顧客に何かを説明しなければならない時は、迅速に対応していただきたいなと改めて感じるところでした。

私は、運用会社はプロですから、顧客が適切な投資判断をすることができるように情報提供に努めるべきであると考えます。

その意味では、ブロガーミーティングでブロガーを囲い込んで新商品の宣伝をしたり情報を小出しにするという手法ではなく、スリムシリーズのサイトに質疑応答コーナーを作り、メール等で気軽に質問を受け付け、回答は原則として全て公表してほしいものです。

No title

楽天の例から、新設投信の難しさの1つが良くわかりますね。スリム米国株は自己資金1億円で設定していますが、新しい投信を買う場合はこの点も要チェックでしょうか。私は1年未満の投信は買わないことにしていますが。

No title

金融機関が絶賛する「ドル・コスト平均法」は大いなるペテン…?

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20181005-00057646-gendaibiz-bus_all&p=3

No title

コメントありがとうございます。

>スリム米国株は自己資金1億円で設定しています

100万円ですね。
ちなみに、2種類の全世界株とバランスが1000万円です。
スリム先進国株も100万円です。

iFreeシリーズは景気よく自己資金を投入しますが、スリムシリーズは渋い印象です。

>私は1年未満の投信は買わないことにしています

純資産額もある程度集まったところで参加するのが最も賢い選択かもしれませんね。

>金融機関が絶賛する「ドル・コスト平均法」は大いなるペテン

これは見る価値はないですね。
ちなみに、純金積立は、平均取得価額や損益がログイン後のマイページから確認できます。
裏取りをせずに、想像で書き散らかしている感じですね。

おっしゃる通りですね。

ご回答ありがとうございました。

ブロガーミーティングも個々のブロガーさんらがタダ働きしてくれる上に多少の宣伝効果も見込めるわけで、それはそれで運用会社さんがうまく活用している点は素晴らしいと思います。

一方で、ブログをしていない人が絶対的に多いことを考えた時、ブロガーさんだけが会への参加資格を有することに不公平感を抱く人もいるのではないでしょうか。
それらを考えると、男爵さんが挙げられた質問専用窓口の設置や質問に対するプロからの回答など-この提案は素晴らしいですね!

あと、投資信託を始めた時からずっと感じているのですが、運用会社が公表する資料って全体的にわかりづらいものが多くないですか?
新商品開発やコストパフォーマンスの向上といったハード面の整備は当然ですが、公表資料の見やすさ、わかりやすさといったソフト対策にも力を入れていただきたいなぁと考えているのですが、どうでしょうかね〜。
こんな低レベルな要望、ブロガーミーティングなんかでは出ないんでしょうねw

No title

コメントありがとうございます。

>公表資料の見やすさ、わかりやすさといったソフト対策にも力を入れていただきたいなぁと考えているのです

私は、スリムシリーズの直販化が成功するかどうかは、直販の公式サイトで十分に分かりやすい説明をするかどうかが肝だと考えています。

その一環として、「必ず回答する質問コーナー」も設けてほしいところです。
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プロフィール

たわら男爵

Author:たわら男爵
Painter:ますい画伯
http://www.masuitousi.com/

ブログ開始日 2016年3月1日

●リスク資産(6割)は「たわら先進国株」(楽天証券)とVT(SBI証券)をほぼ50:50でホールド中。
●つみたてNISA(SBI証券)では「たわら先進国株」を年初一括40万円購入。
●楽天カード投資(毎月1日)では「たわら先進国株」を毎月5万円購入(+特定口座で11日と21日に各5万円ずつ積立買付中)。
●SBI証券で「インデックスマラソン」の毎営業日100円投資を実行中。

●無リスク資産(4割)は、個人向け国債変動10(みずほ証券、SMBC日興証券)と楽天銀行(金利0.1%)。

パソコン版右端の「ブログ記事検索」と「カテゴリ」が便利です。

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