楽天バンガードファンドは予想を超える高コストでした

バンガード社の米国ETFを買うだけファンドである楽天バンガードファンドシリーズ。

本日、新規設定されたばかりのバランスファンドを除く、楽天全世界株、楽天全米株、楽天新興国株、楽天米国高配当株の運用報告書が公開されました。

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●楽天・全世界株式インデックス・ファンド
信託報酬(A)0.1296%
信託報酬を除くコスト(B)0.2724%
米国ETFの経費率(C) 0.1%
実質コスト(A+B+C)0.502%

●楽天・全米株式インデックス・ファンド
信託報酬(A)0.1296%
信託報酬を除くコスト(B)0.1416%
米国ETFの経費率(C) 0.04%
実質コスト(A+B+C)0.3112%

●楽天・新興国株式インデックス・ファンド
信託報酬(A)0.1296%
信託報酬を除くコスト(B)0.3312%
米国ETFの経費率(C) 0.14%
実質コスト(A+B+C)0.6008%

●楽天・米国高配当株式インデックス・ファンド
信託報酬(A)0.1296%
信託報酬を除くコスト(B)0.2574%
米国ETFの経費率(C) 0.08%
実質コスト(A+B+C)0.467%


●eMAXIS Slim先進国株(参考)
信託報酬(A)0.11772%
信託報酬を除くコスト(B)0.07885%
実質コスト(A+B)0.19657%

●eMAXIS Slim新興国株(参考)
信託報酬(A)0.20412%
信託報酬を除くコスト(B)0.18133%
実質コスト(A+B)0.38545%



並び替えてみます。

スリム先進国株 0.19657%
楽天全米株 0.3112%(スリム先進国株の1.5831倍)
スリム新興国株 0.38545%
楽天米国高配当株 0.467%(スリム先進国株の2.3757倍)
楽天全世界株 0.502%(スリム先進国株の2.5537倍)
楽天新興国株 0.6008%(スリム新興国株の2.0450倍)


わお。
予想を超えた高コストです。

私は、信託報酬を除くコスト(B)について、0.05%程度だったらいいなあと思っていました。

※運用コスト
i-mizuho米国株の信託報酬除く実質コストが0.06%、EXE-i先進国株・新興国株の信託報酬除く実質コストが0.04%であることから、0.05%と推定した。
ところで、i-mizuho新興国株(IEMGのみを買うもの)の第1期運用報告書(ネットで入手不可)を見た投信ブロガーの報告(http://longinv.blog103.fc2.com/blog-entry-1586.html)によれば、信託報酬を除く実質コストは税抜1.24%であった。
その後の運用報告書(ネットで入手可能)を調査したところ、第2期運用報告書では税込0.229%、第3期運用報告書では税込0.19%、第4期運用報告書では税込0.17%と推移しており、1種類の米国ETFを買うだけファンドであってもコスト高となるリスクがある。
http://tawaraotoko.blog.fc2.com/blog-entry-740.html#more

信託報酬を除くコスト(B)は、残念ながらこんな感じです。

楽天全米株 0.1416%
楽天米国高配当株 0.2574%
楽天全世界株 0.2724%
楽天新興国株 0.3312%

高コストですね。

しかも、楽天バンガードファンドシリーズの上記コストには、米国ETF特有の三重課税コストは含まれていません。
私は、楽天全世界株の投資先であるVTの三重課税コストは0.11704%、楽天新興国株の投資先であるVWOの三重課税コストは0.234%と推定しています。

※VTの三重課税コスト
三重課税コストとは、ファンドが保有する株式の配当金について、
(1)投資信託 現地国、日本の二重課税
(2)米国ETF 現地国、アメリカ、日本の三重課税
というように、米国ETFはアメリカが10%の源泉税を徴収するというものである。
現地国の税率は10%であることが多く、アメリカは残りの配当金(90%)に10%の源泉税を徴収するため、配当金の9%がアメリカに奪われる。
ファンドが保有株の配当金を受け入れる際、原則としてその10%が保有株の所属国(現地国)によって課税されるが、保有株がファンドと同じ国籍の時はファンド受入時には課税されず、ファンドが顧客に分配金を出した時点で初めて課税される。
この例外が適用されるのは、日本の投資信託であれば日本株、米国ETFであれば米国株となる。
ファンドが分配金を出したとき、日本の投資信託は、日本株は日本国の一重課税、日本株以外は現地国・日本国の二重課税であり、米国ETFは、米国株は米国・日本国の二重課税であるが、米国株以外は現地国・米国・日本国の三重課税となる。
配当金が100あったとして、
(1)投資信託 現地国9(投資信託の現地国である日本株の1を除いたもの)、ファンド受入額91
(2)米国ETF
うちアメリカ株(VTは52%) 現地国(アメリカ)5.2、ファンド受入額46.8
うちアメリカ株以外(VTは48%) 現地国4.8、アメリカ4.32、ファンド受入額38.88
となるため、この差額5.32%(91-46.8-38.88)が三重課税コスト(米国ETFではなく投資信託であれば払わずに済んだコスト)となる。
ここで「ファンド受入額」と記載したが、これは便宜上の表現である。投資信託は文字どおりファンドの純資産額に上積みされ、顧客にとっては含み益の一部となり、売却時に譲渡所得として日本国によって課税されるが、米国ETFはそのまま顧客に分配されるため、分配時に配当所得として日本国によって課税され、その際、20.315%が日本国によって源泉徴収される。
無分配の投資信託であれば、米国ETFと異なり、保有株の配当金を顧客に分配して20.315%を徴収されることなく、この20.315%相当額もファンド内で運用し、その運用利益を顧客に渡すことができるため、その分、リターンが向上する(課税の繰り延べ効果)。
VTの配当利回りは2.20%であるため(マネックス証券「米国株源泉銘柄レポートBOOK2017年冬号」54頁)、三重課税コストは0.11704%(2.2×5.32%)と推定される。
もっとも、この推定は、米国株とそれ以外の地域の構成株の配当利回りが同率であることを前提とするものであるため、あくまで参考値にすぎないことに注意されたい(一般に新興国株のほうが配当利回りが高いことから、三重課税コストが0.11704%を超える可能性がある)。
http://tawaraotoko.blog.fc2.com/blog-entry-740.html#more

※VWOの三重課税コスト
三重課税コストとは、ファンドが保有する株式の配当金について、
(1)投資信託 現地国、日本の二重課税
(2)米国ETF 現地国、アメリカ、日本の三重課税
というように、米国ETFはアメリカが10%の源泉税を徴収するというものである。
現地国の税率は10%であることが多く、アメリカは残りの配当金(90%)に10%の源泉税を徴収するため、配当金の9%がアメリカに奪われる。
ファンドが保有株の配当金を受け入れる際、原則としてその10%が保有株の所属国(現地国)によって課税されるが、保有株がファンドと同じ国籍の時はファンド受入時には課税されず、ファンドが顧客に分配金を出した時点で初めて課税される。
この例外が適用されるのは、日本の投資信託であれば日本株、米国ETFであれば米国株となる。
ファンドが分配金を出したとき、日本の投資信託は、日本株は日本国の一重課税、日本株以外は現地国・日本国の二重課税であり、米国ETFは、米国株は米国・日本国の二重課税であるが、米国株以外は現地国・米国・日本国の三重課税となる。
配当金が100あったとして、
(1)投資信託 現地国10、ファンド受入額90
(2)米国ETF 現地国10、アメリカ9(90の10%)、ファンド受入額81
となるため、この差額9(90-81)が三重課税コスト(米国ETFではなく投資信託であれば払わずに済んだコスト)となる。
ここで「ファンド受入額」と記載したが、これは便宜上の表現である。投資信託は文字どおりファンドの純資産額に上積みされ、顧客にとっては含み益の一部となり、売却時に譲渡所得として日本国によって課税されるが、米国ETFはそのまま顧客に分配されるため、分配時に配当所得として日本国によって課税され、その際、20.315%が日本国によって源泉徴収される。
無分配の投資信託であれば、米国ETFと異なり、保有株の配当金を顧客に分配して20.315%を徴収されることなく、この20.315%相当額もファンド内で運用し、その運用利益を顧客に渡すことができるため、その分、リターンが向上する(課税の繰り延べ効果)。
バンガード社によれば、VWOの利回りは2.6%である。
https://www.vanguardjapan.co.jp/docs/FS_VWO_JP.pdf
2.6%の9%は0.234%であるから、これが三重課税コストとなる。
http://tawaraotoko.blog.fc2.com/blog-entry-796.html#more

なお、実質コストは、あくまでも運用報告書からうかがわれるコストであって、トータルコストとは異なります。
この点に関する詳細は、下記のリンク先をご覧ください。
http://tawaraotoko.blog.fc2.com/blog-entry-945.html#more

しかし、我々に与えられた材料は、

運用報告書に記載されたコスト
基準価額の推移から推計したリターン

の2点しかありませんので、これらの限られた情報からファンド選択をするしかありません。

限られた情報で判断する限り、楽天バンガードファンドシリーズ、予想を超えたコストといえます。

ところで、楽天バンガードファンドシリーズは、平たく言えば、一定のコストを支払って、米国ETFの購入代行と分配金再投資を代わりにやってもらうというものです。
そのため、米国ETFの売買手数料や為替手数料を支払って米国ETFを直接購入した場合のコストと比較し、どちらが得かを判断するのが分かりやすいです。

そこで、最後に、代行のために我々が支払うことになるコスト(実質コストから米国ETFの経費率を差し引いたもの)を列記します。

楽天全米株 0.2712%
楽天米国高配当株 0.387%
楽天全世界株 0.402%
楽天新興国株 0.4608%

これは、1回限りの米国ETFの売買手数料や為替手数料とは異なり、毎年継続的にかかるコストです。
楽天バンガードファンドシリーズを買うかどうかを判断する際は、代行手数料として上記コストが妥当かどうかという観点から判断すべきであると考えます。


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コメント

No title

いつも男爵様のブログ更新を楽しみにさせて貰っています。



楽天バンガードにすごく期待していたのに残念です。


もうVTは自身で買った方が早いし安いじゃないですか…。

VTを1株だけ購入して、死亡するその日まで、ホールドして、子孫に相続すればいいだけですよね。



VT自体、米国では不人気ですよね。
子孫が、バンガードと楽天の倒産&償還の2重苦に怯えながらの生活は嫌なので、私は『slim先進国株』全力で死亡していきます。

No title

私は今まで楽天バンガード支持派でしたが
念のため運用報告書まで待って正解でした
素直にslim全世界株と日本株の組み合わせで行きます

それにしても売買仲介料取りすぎでしょう
このファンドで一番儲かったのは受益者でも楽天でもバンガードでもなく
ブローカーになりそう

想像以上でしたね。
今後も淡々とスリム先進国株に積み立てることにします。

ありがとうございました。

たわら男爵 さま

ご回答いただき、ありがとうございました。また、楽天バンガードシリーズの記事も読ませていただきました。

質問した矢先に運用報告書が公表されておりましたので軽く目を通しましたが、コストがかなり高かったという印象です。他のファンドとも比較しましたが、楽天バンガードには見切りをつけ、ETFに関しては直接SBI証券で取引しようと思います。

早速、投資信託はemaxis slimシリーズに変更しました。アドバイスいただき、ありがとうございました。

No title

コメントありがとうございます。

>私は『slim先進国株』全力で死亡していきます。

死ぬまで全力でスリム先進国株。
実にいいと思います。

>それにしても売買仲介料取りすぎでしょう

確かに高いですよね。
1種類のETFを買うだけですし。

>今後も淡々とスリム先進国株に積み立てることにします。

それがいいと思います。

>早速、投資信託はemaxis slimシリーズに変更しました

現状では、スリム先進国株を買うのがベストチョイスだと考えています。

また何かご質問等があればコメントください。

No title

素人質問で申し訳ないのですが、これらのA〜Cの数字はどこに書かれているものでしょうか。
たとえば楽天全米の最新の報告書「決算日 2018年7月17日」 (https://www.rakuten-toushin.co.jp/fund/nav/rivue/pdf/rivue_Ak.pdf) を見ても、そこに書かれている数字とは異なっているようです。

No title

コメントありがとうございます。

>これらのA〜Cの数字はどこに書かれているものでしょうか

今回の運用報告書は1年ではありませんので、年率に引き直す必要があります。

その際、信託報酬の変更がなければ、

本来の信託報酬÷運用報告書の信託報酬

で計算して倍率を出し、この倍率を運用報告書の各数字に掛け算すると年率の数字が出てきます。

なお、スリム先進国株は14か月分ですので、14で割った後に12を掛けて年率を出しています。

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たわら男爵

Author:たわら男爵
Painter:ますい画伯
http://www.masuitousi.com/

ブログ開始日 2016年3月1日

●リスク資産(6割)は「たわら先進国株」(楽天証券)とVT(SBI証券)をほぼ50:50でホールド中。
●つみたてNISA(SBI証券)では「たわら先進国株」を年初一括40万円購入。
●楽天カード投資(毎月1日)では「たわら先進国株」を毎月5万円購入(+特定口座で11日と21日に各5万円ずつ積立買付中)。
●SBI証券で「インデックスマラソン」の毎営業日100円投資を実行中。

●無リスク資産(4割)は、個人向け国債変動10(みずほ証券、SMBC日興証券)と楽天銀行(金利0.1%)。

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