選ぶなら、品質で(たわら先進国株vsスリム先進国株)

9月14日、赤坂でモーニングスター社主催のイベント「投信エキスポ2018」が開催されました。
それに出席した読者の方から、アセットマネジメントONEは近日中にたわらシリーズの値下げを行うことを表明したと教えていただきました。

思い返せば、昨年の投信エキスポ2017では、スリムシリーズが初めての対抗値下げを予告しました。

●eMAXIS Slimシリーズ初の値下げへ。まずは先進国株から
http://tawaraotoko.blog.fc2.com/blog-entry-561.html

そこで、今回は、たわら先進国株とスリム先進国株を比較してみることにします。

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スリム先進国株は、2018年1月30日、雪だるま先進国株に対抗し、信託報酬を税抜0.189%から0.1095%(税込0.11826%)に大幅に引き下げました。
そして、2018年7月25日からは、ニッセイ外国株に対抗し、信託報酬を更に税抜0.109%に引き下げています。

これに対し、たわら先進国株の信託報酬は、この間ずっと税抜0.2%(税込0.216%)です。

そこで、両者の3月5日から7月4日までの4か月間のリターンを比較し、それを3倍して推定年率リターンを計算してみます。
※スリム先進国株は6か月未満で信託報酬を引き下げたことから、6か月ではなく4か月リターンで比較することにし、日数が少ない2月は避け、この期間としました。

●スリム先進国株
3/5 10790
7/4 11402
騰落率(4か月) 5.6719%
騰落率(1年に引き直したもの) 17.0157%

たわら先進国
3/5 11662
7/4 12316 
騰落率(4か月) 5.6079%
騰落率(1年に引き直したもの) 16.8238%

年率リターンの差 0.1919%
信託報酬差 0.09774%
この差 0.09416%

この結果から、次のことが分かります。

(1)たわら先進国株が信託報酬を引き下げないと、年0.1919%(1000万円あたり1万9191円)の差が生じます。
つまり、投資額が1000万円のとき、スリム先進国株を買ったほうが、たわら先進国株を買うより1万9191円も得をするということです。

(2)たわら先進国株がスリム先進国株と同率まで信託報酬を引き下げたとしても、年0.09416%(1000万円あたり9416円)の差が生じます。
つまり、投資額投資額が1000万円のとき、スリム先進国株を買ったほうが、たわら先進国株を買うより9416円も得をするということです。

投信ブロガーは、昔から、運用報告書の数字から実質コストを推定計算し、どのファンドを買うべきかについて論じてきました。
しかし、スリムシリーズの運用会社である三菱UFJ国際投信が「運用報告書を見ても本当のトータルコストは分からない」という衝撃の事実を明らかにしたことで、買うべきファンドを選択する基準が揺らいでいます。

私は、結局のところ、同一期間の基準価額の騰落率で判断するほかないと考えています。
なぜなら、指数との連動性を目的とするインデックスファンドである以上、その優劣は「指数との接着性」を基準とすべきだからです。

同じ指数を採用するインデックスファンドであっても、各ファンドで騰落率が異なる原因は、

(1)トータルコスト(信託報酬及びその他の運用コスト)が高いか安いか
→コストが安ければ指数により接着するはず

(2)運用技術が高いか低いか
→運用技術が高ければ指数により接着するはず

の2点です。

たしかに、騰落率を比較しただけでは、リターンが良いファンドは、トータルコストが安いのか、あるいは運用技術が高いのかは分かりません。
しかし、騰落率が良いということは、トータルコストと運用技術の総合力で優れたファンドであることを意味します。

繰り返しますが、インデックスファンドの目的が指数との連動性である以上、指数とより接着しているファンドこそが良いファンドと評価すべきです。

もちろん、運用技術が稚拙なファンドが偶然の事情で指数よりも良いリターンを上げてしまい、良い騰落率となることもあるかもしれません。
しかし、ある期間たまたま上振れしたとしても、それには再現性がありませんから、継続的に観察すればメッキは剥がれます。
また、多くのインデックスファンドを長年に渡って運用してきた実績がある運用会社同士であれば、運用技術も同水準になるはずですから、少なくともスリム先進国株とたわら先進国株を比較するときにはこの点は余りに気にする必要はないと考えます。

このように考えると、年0.09416%のリターン差は、やはり運用報告書では分からない隠れコストであると考えたほうが良いのかもしれません。

たわら先進国株は、投信エキスポ2018に合わせ、9月14日付けで、「選ぶなら、品質で。」というパンフレットを公開しました。
http://www.am-one.co.jp/pdf/report/3835/180914_313125_fundts.pdf

このパンフレットの中で、アセットマネジメントONEは、「実質コストは運用報告書から簡単に確認することができます」と述べています。
しかし、これまで検討したとおり、これは不正確な説明です。
トータルコストは運用報告書を見ただけでは分かりません。正確性を期すならば、

運用報告書で判明する「実質コスト」は「トータルコスト」ではない

ということになります。

たわら先進国株が品質をセールスポイントにするのであれば、実質コストではなくトータルコストについて詳細な説明をした上で、「なぜスリム先進国株よりもリターンで劣後しているのか」という問いに正面から答えるべきです。


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コメント

No title

比較された4ヶ月間は、巷でもインデックスファンドが注目され購入者が増える中で、スリムが圧倒的な信託報酬引き下げによって多額の新規購入を獲得できた時期かと思います。新規購入の大幅な流入は、トータルコストから実質コストを引いた部分や、インデックスへの接着度に影響するのでしょうか?
今後、たわらが挽回してスリムと新規購入額が同程度になった場合、あるいは、投資環境が暗転してスリム・たわらともに払い出しが増える場合でも、スリムはたわらに優越するものかどうか、ご意見頂戴したいと思います。
たわらは最近、他所の値下げに蚊帳の外という感じで寂しかったですが、米俵を積み上げる収穫の秋に嬉しい知らせが聞けたらなと、たわらオンリーホルダーとして期待しています。

投信エキスポ 2018

初めてコメントさせていただきます。
自分は運用額も知識もたわら男爵様に遠く及ばないのですが、考え方は近しいと思っていて、どの記事も大変参考にさせていただいております。

そんな自分も投信エキスポに参加させてもらい感じた点をいくつか書かせてもらいたいと思います。

まず、ノベルティに力が入ってるところの方が信託報酬が高いのかなぁなんて感じました。
下記のような具合です。

三菱UFJ国際投信:マイメロのミニBOXティッシュ(立方体で持ち帰りにくく不評w、コストは低め?)
SBIアセット:ボールペンのみ
バンガード:ボールペンのみ
レオス:ステッカーのみ
アセットマネジメントOne:米俵モチーフのお蔵型付箋紙と抽選でお米(当たり)か米俵モチーフのメガネ拭き(ハズレ)
大和投資信託:ボールペンとアンケート回答で今治フェイスタオル
その他(小物系):ボールペンとメモ帳、付箋紙、コアラのマーチ、ポッキー、ハンカチタオル、アイスクリームスプーン、枕カバー等
その他(大物系):インベスコはアンケート回答でビューティーシェイプという肩と背中W押しの孫の手(日本製)、日本ホールディングスはアンケート回答で秋味生八ツ橋(栗味と芋味が5枚ずつのセット)

次にこのエキスポの協賛に楽天系とニッセイ系は入ってなかったのですが、モーニングスター朝倉さんとレオス藤野さん、バンガード塚本さん、コムジェスト高橋さんのパネルディスカッションで最後にお三方が自分で買っている商品の話の際にバンガードの塚本さんが自分は楽天全世界株、お子さんのジュニアNISAで楽天全米株を買っていると話していて面白かったです。
※スライドで楽天のロゴも出てました

パネルディスカッションの結論としてはこれからの時代は低コストパッシブかどアクティブ(アクティブシェア80%超)しか生き残れないというのと、ファンドマネージャー自らが自己資金を投じているファンドに投資するのがいいみたいな感じでした。

最後にモーニングスター朝倉さんの「新たな局面を迎えて再考する資産運用法」という基調講演があったのですが、前半は時代の流れの解説と積立投資の有効性の話だったものの、最後に危機に備えたポートフォリオという話の中で一括投資の運用は債券投資を含めた分散投資、海外債券部分を為替ヘッジするのがいいというまさかの説明がなされ、最後のページには下記のような目安が赤枠で書かれていました。

目標利回り:3%以内(年率)
運用スタイル:一括投資
資産配分:債券60%、株式40%(債券部分為替ヘッジあり)

これって10/4より設定されるSBIアセットのSBIグローバル・バランス・ファンドに思いっきり忖度してますよね。。

なるほどと思うこともなくはなかったですが、たわら男爵様の記事を読ませていただいているおかげでどの話も余裕を持って聞くことができました。
あと、iFreeは年金バランス等力説されてはいましたが空回り感が凄かったです。
※値下げ等については聞けてませんm(__)m

長文失礼しました。

「多くのインデックスファンドを長年に渡って運用してきた実績がある運用会社同士であれば、運用技術も同水準になるはずですから」
であればニッセイもそうなるのでは?

No title

コメントありがとうございます。

>新規購入の大幅な流入は、トータルコストから実質コストを引いた部分や、インデックスへの接着度に影響するのでしょうか?

スリム先進国株に不利に働きます。
資金の流出入は静かな湖面に石を投げこむようなものです。投げ込む石が大きければ大きいほど、湖面に及ぼす影響は大きくなります。

それにもかかわらずスリム先進国株のリターンのほうがよいので、問題性が大きいと思っています。

>ノベルティに力が入ってるところの方が信託報酬が高いのかなぁなんて感じました。

お土産、私も欲しかったです。
もっとも、お土産を貰ってそこに投資する気持ちになれるかどうかといえば、そんなことはないのでしょうが、ボールペンやタオルなどはよく使っていれば自然と目に入りますから、愛着が湧く効果を狙っているのかもしれません。

その意味で、生八つ橋は貰う側にとっては非常に魅力的ですが、渡す側にとっては消え物をお土産にする意味はないでしょうね。
コメは全くの無駄遣いのようにしか見えませんけど。

>バンガードの塚本さんが自分は楽天全世界株、お子さんのジュニアNISAで楽天全米株を買っていると話していて面白かったです。

スリムを買っていても「スリム買ってます」とは言えませんし。
ただ、自社株買いと同じような危険なにおいがします。

>これって10/4より設定されるSBIアセットのSBIグローバル・バランス・ファンドに思いっきり忖度してますよね

SBI証券はメインスポンサーですし、このファンドも5年前に出ていれば超優良ファンドであることは間違いありません。

>iFreeは値下げ等については聞けてません

もしiFree外国株が信託報酬の引き下げをしたら面白いことになると思っています。
どうせ今のままでは頓死するだけですから、乾坤一擲の勝負をかけてほしいところです。

>なるほどと思うこともなくはなかったですが、たわら男爵様の記事を読ませていただいているおかげでどの話も余裕を持って聞くことができました。

お役に立ててよかったです。
今後もご愛読ください。

>多くのインデックスファンドを長年に渡って運用してきた実績がある運用会社同士というのであればニッセイもそうなるのでは?

ニッセイはニッセイ外国株しかめぼしい先進国株インデックスファンドがないと思います。
電話できいたときも、他社の運用状況を余り把握していないようですし、何か手探りで頑張っているような感じを受けました。
少なくとも、電話で聞いただけの人に「インデックスファンドの運用って難しいんですよね」などと愚痴っちゃいけません。

ニッセイ外国株の人気によって純資産額も1000億円を超えましたが、マザーファンドの規模も他社よりはるかに小さいですし。

ご教示ありがとうございました

スリムに不利な環境でも、スリムの方がたわらより、インデックスへの接着度がより良いという実績なのですね。

楽天IDECOで従前よりたわらを積み立てており、今さらマネックスのスリムへ乗り換えるのも手数料4千円と手続きの面倒さとでためらいます。
そもそも、男爵さまのおっしゃるように、足抜けできないIDECOに関わったのが間違いでした・・・。(IDECO開始時にはこのブログを存じ上げませんでした)。

今後ともよろしくお願いいたします。

本文中の2つのファンドの騰落率の比較の箇所に誤字があるようです。

>>●スリム先進国株←ココ
3/5 11662
7/4 12316 
騰落率(4か月) 5.6079%
騰落率(1年に引き直したもの) 16.8238%

No title

コメントありがとうございます。

>楽天IDECOで従前よりたわらを積み立てており、今さらマネックスのスリムへ乗り換えるのも手数料4千円と手続きの面倒さとでためらいます。

私と一緒にたわら先進国株の値下げを祈りましょう。

>本文中の2つのファンドの騰落率の比較の箇所に誤字があるようです。

全く気づきませんでした。
ご指摘ありがとうございます。
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プロフィール

たわら男爵

Author:たわら男爵
Painter:ますい画伯
http://www.masuitousi.com/

ブログ開始日 2016年3月1日

●リスク資産(6割)は「たわら先進国株」(楽天証券)とVT(SBI証券)をほぼ50:50でホールド中。
●つみたてNISA(SBI証券)では「たわら先進国株」を年初一括40万円購入。
●楽天カード投資(毎月1日)では「たわら先進国株」を毎月5万円購入(+特定口座で11日と21日に各5万円ずつ積立買付中)。
●SBI証券で「インデックスマラソン」の毎営業日100円投資を実行中。

●無リスク資産(4割)は、個人向け国債変動10(みずほ証券、SMBC日興証券)と楽天銀行(金利0.1%)。

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