利上げ・ドル高が米国株と新興国株に及ぼす影響

現在、インデックス投資家の中で、米国株だけを買えば十分であるという風潮が強くなっています。

その原因は好調な米国株投資です。
特に、ブログ村の米国株カテゴリを見ると、雨後のタケノコのように次々に新しいブロガーが生まれており、混沌とした状況です。

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2018年9月11日付けの日経新聞の夕刊に「最悪の続落スタートの意味」という記事が掲載されています。

米国株相場が高値圏で足踏みを続けている。
市場の異変を象徴するのがハイテク銘柄の代表格、アマゾン・ドット・コム株の値動きだ。4日に米国企業で2番目となる時価総額1兆ドル(約110兆円)を達成した。ところが個別の悪材料が見当たらないなかで、5日以降は株価が下げ止まらず、10日も前週末比で1%安。475億ドル(約5兆円)もの時価総額を失った。投資家のリスク許容度が低下し、予想PER(株価収益率)で100倍超という「割高」な株価に突然、警戒感を示し始めたようにみえる。
「一部の投資家は米連邦準備理事会(FRB)による利上げや資産圧縮による流動性の低下とドル高に警戒を強めている」。きっかけは先週末公表の8月の雇用統計だ。市場では引き続き「適度に弱い数字=株価にプラス」との見方が多い。ところが想定以上の
賃金上昇を受けて、米2年債利回りは急騰。市場の予想する12月の利上げ確率は再び7割に近づいた。


まず、記事はこのように述べて、アメリカの利上げによって投資資金が株から債券に移動し、株価が下落する懸念を表明します。その影響を真っ先に受けたのがハイテク株だというわけですね。
記事は続けて、利上げによるドル高は新興国経済を直撃するばかりか、回り回って米国のグローバル企業の業績を悪化させると説明します。


流動性低下とドル高で最もダメージを受けるのが、世界的な金融緩和の恩恵を受けてドル建て債務を増やしてきた新興国だ。米ドルに対して現地通貨の価値が下がると債務が膨張し、成長の足かせとなる。10日の米株市場では新興国株に連動する「iシェアーズMSCI新興国市場上場投資信託(ETF)」が年初来安値を更新。マネーの流出は止まらない。
小型株は米国内を中心に事業展開する企業が多く、好調が続く米国景気の恩恵を受けやすい。一方、グローバル企業が多い米大型株は新興国減速の影響を受けるほか、ドル高で売上高が目減りする可能性がある。米国株も新興国不安から無縁ではいられない。


その上で、このように結論付けています。


米国が世界で仕掛ける貿易戦争や新興国不安の影響は、好調な米国経済で相殺できる――。こんな強気論が「米国株1強」の状況をつくり上げた。
米国市場が9月相場の出足に直面したハイテク株安は、そんな「幸せな時間」が長くは続かないことを示唆しているように見える。


また、このようなブログ記事を見ました。

●世界分散のVTは米国集中のVTIにリターンで勝てた年があるのか調べました
https://secrets2mysuccess.net/2018/09/11/post-5300/

結論部分の一覧表が分かりやすいのですが、この一覧表を見ると、2008年から2017年までの10年間は、VT(全世界株)ではなくVTI(米国株)を買っていたほうがドル建てベースでは儲かっていたことが分かります。

ブログ村の米国株カテゴリがにぎわっているのも、米国株トレンドが比較的長く続いているからなのでしょう。
好調な米国株相場を受け、スリム先進国株の保有銘柄のうち米国株が占める割合は実に67.79%(2018.8.31時点)に達しています。
そして、同様に、ステートストリート全世界株の月次運用報告書を見ると、先進国株の配分比率は81%ということですので、全世界株のうち米国株が占める割合は55%と推定することができます。

つまり、あえて米国株100%投資を選好しなくても、日本を除く先進国株ファンドを保有しても68%、日本を含む全世界株ファンドを保有しても55%は米国株となります。
現物運用の超低コスト全世界株ファンドが存在しない現状では(ステートストリート全世界株は現物運用ですが、その信託報酬は税抜0.48%と高いです)、先進国株80、新興国株10、日本株10の配分比で全世界株ファンドを超低コストファンドを利用して自作している一部のマニアを除き、メインの投資先とすべきインデックスファンドは、

楽天全米株(ETF運用)ないしスリム米国株(現物運用)
or
スリム先進国株

のいずれかになります。

しかし、前述したとおり、スリム先進国株の米国株保有率は68%です。
今後、米国株が他の先進国株よりも順調であればファンドの米国株保有率は増加することになるでしょうし、米国株が他の先進国株よりも不調であればファンドの米国株保有率は減少することになるでしょう。
米国株が好きな人にとっても、7割の米国株を保有すればおなか一杯と感じるのではないでしょうか。

しかも、米国株100%投資をすると、全てがドル円の為替レートの影響を受けます。
しかし、先進国株投資であれば、米ドルの影響を受けるのは7割の米国株部分だけであり、残りは米ドルの影響を受けません。リスク資産を100%ドルで持つよりは、3割とはいえ通貨を分散させたほうが安心です。
日経の記事のように、ドルだけであれば米国と新興国だけで完結する関係性になってしまいますが、先進国株にも投資しておけばドルの緩衝材としてちょうどいいと思うのです。

さらに、スリム先進国株の信託報酬は税抜0.11772%であるのに対し、楽天全米株の信託報酬は0.1696%、スリム米国株の信託報酬は0.1728%です。
今後、先進国株と米国株のどちらがより儲かるかは分からないことや、両者には0.05%を超えるコスト差があることからすると(リターン差は不確実ですがコスト差は確実です)、あえて米国100%という地域リスクを取って米国株100%投資をするよりはスリム先進国株を買うべきだと思うのです。


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コメント

No title

はじめまして。
いつも参考にさせていただいております。

最近つみたてNISAを始めたばかりの初心者です。
自分なりに色々調べた結果、Slim先進国:Slim新興国:Slim国内TOPIXを8:1:1で自分と妻両方で始めましたが、以前から気になっていたことではありますが
①米国が下がると日本、新興国も同時に下がることからリスク分散になっていないのでは?
②大きなリターンがあったとしてもそれぞれ10%の保有ではそれほど影響がないのでは?
以上のことからこの先も新興国、日本に積立を継続して良いのか迷っています。

現在自分は44歳、妻は35歳です。
つみたてNISAはこれまで自分約15万円、妻約12万円を積み立てています。今後それぞれ満額の40万円まで積み立てる予定です。

そこで質問なのですが
①このままで継続するべきか、新興国、日本の積み立てを停止し先進国のみに積み立てるべきか。
②現在iDeCoの手続きを松井証券で進めていますが同じ自作全世界にするかSlim先進国1本にするべきか。

iDeCoのほうは自分の年齢では60歳まで16年しかないので妻(会社員)で25年を考えております。
自分の分は今後特定口座での積立を考えております。

当初は長期間いろいろ気にせず積立継続ができると思いこの形に決めましたが、今では逆に気になってしまっています(笑)
素人の質問ですがアドバイスいただけたら幸いです。

No title

ETFでは、VT>VTIと
分散した方がコストが上がりますが、
Slim先進国株式<Slim米国株、楽天全米株
ですから、いかにSlim先進国株式が破壊力があるのかが分かりますね。

一か国というのは余りにもリスクがある行為です。レバレッジを掛けて米国株に投資するという愚かなブロガーも現れ、米国株はいよいよ末期的な高騰なのだろうと理解できます。
「こんなにリターンがあるのに、米国株に投資しないのはおかしい」
「必ず報われる」
信仰じみた染みた感じになっていますね。
世界分散を忘れない人だけは自信をもって投資できるでしょうね。

先進国株式と現金(定期または預金)をバランスよくもっていれば、簡単便利。
コストや配当課税、納得できる国々で構成されていることを考えると、Slim先進国株式主体で十分。ボラが若干小さい日本株とボラが大きいがかなりの長期ではためが作れる新興国株を入れても、ほとんど変わらないでしょう。安定、安心、便利の視点も大切ですね。

いつも楽しみにしてます(*´꒳`*)
今日から日本と新興国を辞めて先進国一本にまとめました。

今後の基本方針としては、イーマクシススリム先進国を積み立てて、それよりもいいのが出たら乗り換えて、イーマクシススリムはホールドのイメージでしょうか?

いつもアドバイスありがとうございます😊

No title

コメントありがとうございます。

>①このままで継続するべきか、新興国、日本の積み立てを停止し先進国のみに積み立てるべきか。
②現在iDeCoの手続きを松井証券で進めていますが同じ自作全世界にするかSlim先進国1本にするべきか。

年に1回のリバランスを必ず実行できるのであれば自作全世界株のほうがよいでしょうし、それが心理的に無理であればスリム先進国株だけでよいと思います。

新興国株と日本株の配分比はどちらも1割前後ですから、入れても入れなくても大差はありませんが、リバランスをせずに配分比が崩れると想定外のリスクを取ることになりますので非常にまずいです。

そこで、スリムシリーズに日本を含む全世界株ファンドがない現状では、特にこだわりがない限りスリム先進国株1本でよいと思います。

>DeCoのほうは自分の年齢では60歳まで16年しかないので妻(会社員)で25年を考えております

これはやめたほうが良いでしょうね。

理由1)iDeCoは小規模企業共済控除になることから、配偶者の掛金は配偶者自身の所得控除にしか使えない。

理由2)妻に子供ができるなどして休業ないし退職すると、足抜けできないiDeCoの手数料負担がもったいない。

理由3)離婚した際、妻に全てを持っていかれてしまう。

>Slim先進国株式<Slim米国株、楽天全米株
ですから、いかにSlim先進国株式が破壊力があるのかが分かりますね。

ニッセイ外国株が追随してくれたおかげで、このコスト水準が将来的にも維持されることが期待できます。

ニッセイには米国株がありませんので、こちらの価格破壊は雪だるまシリーズに期待するしかありませんが、雪だるまシリーズは余りの純資産額の少なさに自壊しかかっていますので、スリム米国株の値下げはないと考えたほうがよさそうです。

スリムシリーズに日本を含む全世界株ファンドができたとしても、その信託報酬は同種ファンドとの比較で決まるため、スリムシリーズを自作したファンドよりも高くなるでしょう。
そう考えると、スリム先進国株がインデックス投資家にとっての最終兵器になるような気がしています。

>今後の基本方針としては、イーマクシススリム先進国を積み立てて、それよりもいいのが出たら乗り換えて、イーマクシススリムはホールドのイメージでしょうか?

スリム先進国株は巨額のマザーファンドを持っており運用が安定していること、より安いファンドが現れても即座に対抗値下げをすることから、乗り換えを考える必要はなく、ずっとスリム先進国株でよいと思います。

No title

返信ありがとうございます😊
先進国スリムで、コツコツ積み立てたいと思います(*´꒳`*)

ちなみに先進国一本の場合リバランスは、必要なのでしょうか?
まだ、20代なので、現金の投資信託のバランスが難しいです(><)
もしよければアドバイスいただけると幸いです。
もちろん自己責任なのは、重々承知しています。

No title

コメントありがとうございます。

>ちなみに先進国一本の場合リバランスは、必要なのでしょうか?
まだ、20代なので、現金の投資信託のバランスが難しいです

リストラされる可能性が低いのであれば、毎月の収入から生活費を除き、全てスリム先進国株を買えばよいと考えます。

インデックス投資では、リスク資産に投下する資金が多い人ほど簡単に勝つことができます。その意味で私のようなリタイア者にとっては最適の投資法ですが、あくまでも働いて作ったお金を安心して増やす手段にすぎず、インデックス投資で莫大な資産を作ることはできません。

まだ20代で今後の給与収入が期待できるのであれば、無リスク資産はできるだけ少なくしてスリム先進国株を買う方がよいと考えますが、余りに無リスク資産が少なすぎると暴落時に心が折れて投資を継続できなくなるリスクがあります。
最初から全力で行くのではなく、最初の2~3年は、投資に慣れることも考えて余剰資金を2等分し、スリム先進国株と貯金を同額ずつすることをお勧めします。

なお、既にある程度のまとまった資金があるときは、5年程度に時間分散させて均等に買ってください。
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プロフィール

たわら男爵

Author:たわら男爵
Painter:ますい画伯
http://www.masuitousi.com/

ブログ開始日 2016年3月1日

●リスク資産(6割)は「たわら先進国株」(楽天証券)とVT(SBI証券)をほぼ50:50でホールド中。
●つみたてNISA(SBI証券)では「たわら先進国株」を年初一括40万円購入。
●楽天カード投資(毎月1日)では「たわら先進国株」を毎月5万円購入(+特定口座で11日と21日に各5万円ずつ積立買付中)。
●SBI証券で「インデックスマラソン」の毎営業日100円投資を実行中。

●無リスク資産(4割)は、個人向け国債変動10(みずほ証券、SMBC日興証券)と楽天銀行(金利0.1%)。

パソコン版右端の「ブログ記事検索」と「カテゴリ」が便利です。

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