スルガ銀行の問題点

スルガ銀行(8358)がアツいです。

株価は569円。
これは年初来高値2569円の22%です。

その原因は、いわゆるかぼちゃの馬車騒動です。

広告

かぼちゃの馬車とは、スマートデイズ社が名付けた女性専用シェアハウスのことです。
トイレ、洗面所、シャワールーム等が共有部分で、ここに住んでシンデレラのように未来に羽ばたこうというイメージで若い女性を勧誘していたわけですが、普通の人はホテルですらトイレがないと躊躇すると思いますので、余り一般化しないビジネスモデルだったように思います。

本件の問題点は、スルガ銀行の営業担当者が、支店長の黙認のもとで、融資希望者の信用情報書類を自ら改ざんし、あるいは改ざんされたものであることを知りつつ、スルガ銀行の内規では融資不適格な人に対して融資を実行してしまったという点です。

融資を受けた顧客には何らの実害はありません。
顧客の大半は本来であれば融資不適格者であったわけですから、融資してもらえたことを喜びこそすれ、文句を言う筋合いではありません。
スルガ銀行の融資審査は融資金の回収を確実にする目的で行うものであって、顧客に対して事業の成功可能性を約束するものではありませんから、「融資審査をパスしたから返済できると思って安心したのに」と文句を言う顧客は、自らの不動産投資能力の欠如を棚に上げた無責任な八つ当たりをしているとの非難を甘受すべきでしょう。

では何が問題かというと、スルガ銀行が莫大な不良債権を抱えるリスクが表面化したということです。

スルガ銀行の6月末の自己資本は3282億円です。
これに対し、シェアハウス事業の融資残高は2000億円といわれています。

昨日公表された第三者委員会の報告書によれば、信用情報書類が改ざんされていない案件がどの程度あるのかは改ざんされている案件が多すぎて調査できなかったとされています。
聞き取り調査に対し、改ざんのないケースは100件に1件あるかどうかであると述べた行員もいたとのことですから、2000億円の融資残高のほとんどが汚染されているのではないかという疑いがあります。

信用情報書類の改ざんをしたということは、改ざんをしなければ内規違反で融資が実行できなかったということです(信用情報書類の改ざんをしないで融資が実行されるのであれば、あえて信用情報書類の改ざんをする必要がないからです)。
つまり、信用情報書類が改ざんされた融資案件には顧客の返済可能性に重大な疑いがある(返済能力がない顧客に融資してしまった)ということを意味します。

また、今回の不祥事によってシェアハウス事業に関する世間一般のイメージが失墜しました。
かぼちゃの馬車というネーミングから明らかなように、夢をささやいて金を払わせていたわけですから、まさにイメージ商法といえます。イメージが失墜したことによって、現在の入居者は退去し、新たな入居希望者が現れないリスクがあります。
その結果、返済能力が十分にあったはずの顧客の中にも返済ができなくなる人がかなり出現するはずです。

返済ができなくなった顧客は破産することになるでしょうが、顧客が破産してもスルガ銀行に金は入ってきません。
抵当権を設定したシェアハウスの土地建物を競売しても、そもそもシェアハウス自体に資産価値はないことから債権回収は期待できず(競売代金が安すぎて完済するに足りず)、ほとんどの債権を貸し倒れ処理することになります。
貸し倒れ処理とは、簡単に言えばスルガ銀行がかぶるということです。

自己資本 3282億円
シェアハウス融資残高 2000億円

シェアハウス融資金のうち、どの程度が貸し倒れになるかは分かりませんが、信用情報書類の改ざんがないケースは100件に1件あるかどうかという実情をふまえると、そのほぼ全額が貸し倒れになる可能性すらあります。
ましてやシェアハウスに対するイメージが失墜した現状では、あえてシェアハウスへの入居を希望する人は激減していると思われますから、多くの顧客が家賃収入を得ることができなくなり、スルガ銀行への返済ができない状況に陥る未来を覚悟しなければなりません。

しかも、シェアハウス事業に対する融資だけが杜撰だったと見るべきではありません。
シェアハウス事業に対する融資の信用調査がこれほどまでに杜撰だった以上、他の融資の信用調査にも多かれ少なかれ問題がありそうです。

スルガ銀行の貸出金は3兆2500億円です。
このうち投資用不動産向け融資は2兆1000億円です。

スルガ銀行は870億円の貸倒引当金を積んでいますが、シェアハウス事業の融資残高が2000億円であることを考えると870億円で足りるかどうかは疑問ですし、シェアハウス事業以外の融資の信用調査も杜撰だったということになると、スルガ銀行がかぶる金額は想像を超える莫大な金額になる可能性があります。

このようなとき、誰が責任を取ることになるかといえば、それは株主です。
このままスルガ銀行が持ちこたえることができなければ、静岡銀行あたりが救済するか、そのまま救済者が現れずに破産に至ることになるでしょうが、そうなったとき現在の株は無価値になります(救済者が現れるとしても、既存株式は100%減資して救済者に新規株式を発行することになると思われます)。

私は、スルガ銀行の株が1000円を切ったとき、買おうかどうか迷いましたが、結局、ビビッて手が出ませんでした。
私には、やはりインデックス投資の暖かい陽だまりのような安心さがしっくりくるようです。


広告

コメント

最後の一文に同感せざるを得ませんでした。

No title

コメントありがとうございます。

下がっても確実に騰がるインデックス投資と、下がったまま無価値になる可能性がる個別株とでは、安心感が全く違いますよね。

預金は守られるんですよね?

退職金プランの定期預金を申し込もうとしていたところでした。
このまま申し込むかどうか迷い中です。
この先半年くらいでどうにかなる話ではないと思っているんですけど。。。
少額でも受け付けてくれる貴重な存在だったのになー。

No title

頑張っている地方銀行というイメージでしたが、こんな事になって残念です。
様々な会社と提携して発行しているデビットカードなど魅力的なサービスも多くありました。

No title

被害者の方には申し訳ないけど、何でこんなものに引っ掛かるんだ?
としかいいようがありません。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/55610

> 利回りは8%前後と高く、平均で1億円といわれるローンを組み、3%台後半の利息を払っても、十分に利益が出るとして、人気が高かった。

儲かるんだったら、何で自分でやらないんだ?
これを考えるだけで、十分、怪しい話だと思い至るはずです。

今後、「儲かるんだったら、何で自分でやらないんだ?」と考えて、こういう怪しい話に引っ掛かる人が減ることを期待するのみです。

No title

コメントありがとうございます。

>退職金プランの定期預金を申し込もうとしていたところでした。このまま申し込むかどうか迷い中です。


スルガ銀行がどうなるか分かりませんが、仮に破綻してペイオフになると、1000万円までは補償されますが、手元に戻るまでかなりの時間と手間がかかるでしょう。

>頑張っている地方銀行というイメージでしたが、こんな事になって残念です。

一番悲しいのは森前長官でしょうね。
彼の功績がこれで全て無になりました。

>今後、「儲かるんだったら、何で自分でやらないんだ?」と考えて、こういう怪しい話に引っ掛かる人が減ることを期待するのみです。

欲に目がくらむと、冷静に物事を考えることができなくなります。
怪しい商法に騙される人は昔からいました。人間に欲望がある限り、これからもきっと出続けることでしょう。
非公開コメント

広告

プロフィール

たわら男爵

Author:たわら男爵
Painter:ますい画伯
http://www.masuitousi.com/

ブログ開始日 2016年3月1日

●リスク資産(6割)は「たわら先進国株」(楽天証券)とVT(SBI証券)をほぼ50:50でホールド中。
●つみたてNISA(SBI証券)では「たわら先進国株」を年初一括40万円購入。
●楽天カード投資(毎月1日)では「たわら先進国株」を毎月5万円購入(+特定口座で11日と21日に各5万円ずつ積立買付中)。
●SBI証券で「インデックスマラソン」の毎営業日100円投資を実行中。

●無リスク資産(4割)は、個人向け国債変動10(みずほ証券、SMBC日興証券)と楽天銀行(金利0.1%)。

パソコン版右端の「ブログ記事検索」と「カテゴリ」が便利です。

●「誰でもできる超簡単ほったらかし投資」(カテゴリ「【公開】誰でもできる究極の投資」)はこのブログの全エッセンスを1記事に凝縮したものです。
●カテゴリ「この投資信託がすごい」では、ベストバイファンドの具体名を明示しています。
●カテゴリ「インデックスファンドの基礎知識」を読めば、誰でも簡単に投資信託の必須知識を得ることができます。

新着記事通知用のツイッターアカウントはこちら。
https://twitter.com/tawaradanshaku

インデックス投資家必読の書

ブログ記事検索

他の投信ブログはこちら

管理