インデックス投資を布教してはダメです(その2)

昨日、「インデックス投資を布教してはダメです 」という記事を書きました。

当たり前のことを書いたつもりだったのですが、すごく不評で驚きました。
昔からあるインデックス投資に対する批判に「フリーライド」というものがあります。

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デメリットの最大のものはパッシブ運用はフリーライド(ただ乗り)という批判である。
投資家が情報を収集し銘柄を取捨選択するから金融市場の価格発見機能は機能しているのであって、そのコストを負担しないパッシブ投資家はアクティブ投資家の発見した価格のフリーライダーなのである(このように誰かがやってくれるだろうという気持が全体の効率性を低下させる現象を社会心理学では社会的手抜きと呼んでいる)。
またパッシブ運用の隆盛は同時にアクティブ運用マインドの衰えであり、その衰えは市場そのものの衰退を招くだろう。なぜなら、パッシブ投資家が必要なときにインデックス・ファンドを構築したり購入できるためには、市場に潤沢な流動性が存在する必要があるが、その潤沢な流動性を提供してくれるのがアニマル・スピリッツにあふれた投資家の群れだからである。
誰も情報収集しない、誰も取引しないという皆がパッシブ運用をする市場を考えれば、パッシブ運用が最適という考え方はどこかおかしいということに気づくだろう。
http://www.tr.mufg.jp/houjin/jutaku/pdf/c200511_3.pdf

これは三菱UFJ信託銀行の11年4か月前のレポートです。

自由競争が優れているのは、競争の結果、より良いものやサービスが生き残るからです。
市場が効率的であるのは、多数のアクティブ投資家が真剣勝負をすることで、価格発見機能(市場の見えざる手)が発動するからです。
すなわち、安いものは買われ、高いものは売られる中で、自然と適正な価格が形成されていくわけですが、そのためには多くの売買が活発になされることが不可欠であり、多くの売買が活発になされるためには多数のアクティブ投資家が市場に参加していなければなりません。

ただし、アクティブ投資家のうち、儲かるのは一握りであり、その大半は損をして市場から退場します。
したがって、退場する以上に新たなアクティブ投資家が市場に参加し、積極的に売買をしてもらわなければ、市場の効率性は失われていきます。
すなわち、我々インデックス投資家は、アクティブ投資家たちの尊い犠牲の上にフリーライドしているわけです。

こちらが頼んだわけではないとか、インデックス投資をやりたければやればいいじゃんとか、インデックス投資よりも儲かると思ったからこそ個別株投資をしてるんでしょという正論は言ってはいけません。誰も幸せにならないからです。

重要なのは、アクティブ投資家の皆さんが頑張っているからこそ、市場は効率化され、我々インデックス投資家は指数の期待リターンをフリーランチできるという点です。

アクティブ投資なんて損するに決まっているから、やめたほうがいいよ。

これは確かに真理です。心優しい人ほど、言いたくなる気持ちは分かります。
しかし、身内ならまだしも、赤の他人に対し、軋轢を生む覚悟で余計なことを言う必要はないと私は考えます。

インデックス投資の肝は、暴落時に淡々と積立てを続けることができるかどうかにあり、これができた人は儲かり、できなかった人は損をします。
市場参加者の圧倒的多数の行動とは真逆の行動を淡々と続けることは相応の覚悟が要ります。
その覚悟のない人は、きっと損をするでしょうし、損をさせた人のことを恨みに思うことでしょう。逆恨み以外のなにものでもありませんが、世の中は理不尽なものです。

ですから、私は、アクティブ投資家を布教して、インデックス投資家に転向させようとは思いません。

というか、リアルの世界で、インデックス投資を勧めようとは全く思いません。
妻は相当な額の資産を保有していますが、その大半は預貯金であり、株主優待目当てで数十万程度の個別株投資に精を出している程度です。頻繁に売買し、優待取りと数万円の譲渡益を得て喜んでいます。
預貯金よりも個人向け国債を買ったほうがいいんじゃないかと思いますし、手数料の高いマネックス証券で個別株投資をしなくてもと思いますが、余計なことは言わず、黙っています。

現状は、我々インデックス投資家にとって非常に良い環境にあるといえます。
ほんの10年前は、信託報酬1.05%のマネックス証券のバランスファンドが輝いていたことを思うと、隔世の感があります。

いままさに超低コストで全世界に投資できる夢の時代が始まったばかりです。
私は、静かにそっとこの時代にフリーライドし、おなか一杯フリーランチにいそしみたいなあと思っています。

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コメント

No title

パッシブとアクティブは相互が相手を利する関係にあるというのはなかなか面白いですよね。
今はパッシブの力が強くなっている状態と言えるかもしれません。いずれ、先進国でも市場が効率的でなくなりパッシブファンドの動きを食い物にする戦術が確立されてアクティブが有利になることもあるかもしれません。
たわら男さんはそういう日が来たら、どうされますか?(仮定の話ですが)
自分はどうかな・・・自分なら、それでもやっぱり銘柄を選ぶのは面倒だからパッシブを続けるかもしれません。

No title

まさに合成の誤謬ですね。
「身内ならまだしも~」の心構えが大切だと思いました。

インデックスを布教するほど、彼らはアクティブになる

面白いことに、「アクティブ投資なんか損するだけだぞ!、インデックス投資の方が絶対いいぞ!」と煽るほど、アクティブ投資家は、さらにアクティブになってくれますw

インデックス投資家にとって、こんな好都合なことはありません。

農耕民族であるインデックス投資家が、お腹いっぱいにフリーランチを食べるには、狩猟民族であるアクティブ投資家の狩猟本能をたくさん刺激してあげなければなりません。

一番効率よく刺激してやる方法が、インデックス投資を、彼らに故意に強く布教することなのです。

布教したからといって、彼らがインデックス投資に転向することなど、100%あり得ないので安心してください。

No title

みなさま、コメントありがとうございます。

>いずれ、先進国でも市場が効率的でなくなりパッシブファンドの動きを食い物にする戦術が確立されてアクティブが有利になることもあるかもしれません。

その頃には私は死んでいるでしょうし、生きていても莫大な含み益を得ているでしょうから、どちらにせよ関係ないと思っています。

もっとも、インデックス投資はアクティブ投資の平均点をとる投資法ですから、アクティブ投資の方法がどうなろうと、その時点の全てのアクティブ投資のリターンの平均点を得ることができますので、そんな時代が果たしてくるのかなとも思っています。

>まさに合成の誤謬ですね。

インデックス投資は一部だからこそ輝くのであり、アクティブ投資家のみなさんのご活躍があってこそですから、ありがたいことです。

>農耕民族であるインデックス投資家が、お腹いっぱいにフリーランチを食べるには、狩猟民族であるアクティブ投資家の狩猟本能をたくさん刺激してあげなければなりません。

私は、何度も述べているとおり、アクティブ投資家の存在はありがたいと考え、心から感謝していますので、とてもそんなことは言えません。
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たわら男爵

Author:たわら男爵
Painter:ますい画伯
http://www.masuitousi.com/

ブログ開始日 2016年3月1日

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●つみたてNISA(SBI証券)では「たわら先進国株」を年初一括40万円購入。
●楽天カード投資(毎月1日)では「たわら先進国株」を毎月5万円購入(+特定口座で11日と21日に各5万円ずつ積立買付中)。
●SBI証券で「インデックスマラソン」の毎営業日100円投資を実行中。

●無リスク資産(4割)は、個人向け国債変動10(みずほ証券、SMBC日興証券)と楽天銀行(金利0.1%)。

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