しかし、株式相場は、しばしば暴落に見舞われます。
1割下がるのは当たり前のことです。
誰も驚きません。
2割下がると、「おいおい大丈夫かな」という気持ちになります。
「まだ急落にすぎない。暴落とは呼べない」と強がりつつも、内心では「いよいよ来るんじゃないか」とみんなビクビクしています。
3割下がると、「こりゃヤベェな」という気持ちになります。
ここら辺で、単なる「急落」ではなく「暴落」ではないかとみんなが思い始めます。
4割下がると、「歴史的な大暴落が始まった」「資本主義はもう終わった」「システムが崩壊したからもう元には戻らない」などという悲観論が圧倒的になります。
ちなみに、今年のコロナショックでは、たわら先進国株は、2月21日の15177円から3月24日の9825円まで下がりました。
下落率は35%です。
ただ、今回のコロナ暴落は、原因が誰の目にも明らかであり、先進国が一丸となって前例のない金融緩和に踏み切って株式市場を支えたことから、極めて短期間で暴落から抜け出すことができました。
たわら先進国株は、9月3日に14991円まで戻りました。これは史上最高値(15177円)の98.77%の水準です。
2月21日の15177円から3月24日の9825円は35%の下落でした。
これに対し、3月24日の9825円から2月21日の15177円まで戻るには、1.54倍に増えなければなりません。
なんでもそうですが、下にくだるよりも上にあがるほうが大変なパワーが要ります。
しかし、株式市場はこれまで常に史上最高値を更新し続けてきました。
暴落によって4割、5割株価を下げたとしても、その後、更なるパワーで上昇に転じてきたのです。
我々の目の前には2つの起こり得る可能性があります。
1つめの可能性は、「今回の暴落によって今までとは違うパラダイムシフトが起こり、暴落前の株価水準に戻ることはもうない」というもの。
2つめの可能性は、「今回の暴落も今までと同様に一時的なものにすぎず、数か月後、数年後には暴落前の史上最高値を更新し続けることになる」というもの。
これら2つの可能性のうち、どちらに乗るべきかと今問われたら、誰でも2番目を選ぶことでしょう。
しかし、暴落の最中では冷静な判断ができないため、大抵の人は1番目を選び、パニック売りをしてしまいます。
「オレはコロナ暴落では追加投資をしたし、売らなかったから大丈夫」と思ってはいけません。
前述したとおり、コロナ暴落はこれまでの暴落の中でも異例中の異例と言えるほど軽いものだったからです。そういう意味では、コロナショックは「暴落」とは言えないのかもしれません。
誰もがパニックになり、どうしたらいいのか分からずに右往左往し、非論理的な売り買いをする地獄絵図が繰り広げられるのが暴落相場だからです。
バンガード社の創始者であるジョン・C・ボーグルの口癖であり、最後の著書のタイトルでもある言葉は「ステイザコース」というものです。
航路を忠実に守る限り、船は目的地に安全に到着することができます。
しかし、航路の第一発見者にとっては、その航路が安全かどうかは分からないため、毎日が不安でたまらなかったと思うのです。
幸いなことに、我々は、先人が苦労して発見した安全な航路にタダ乗りすることができます。
しかし、暴落が起こると、冷静な判断ができなくなるため、「自分は危険な航路を進んでいるのではないか。さっさと船から下りたほうがよいのではないか」という不安な気持ちにさいなまれます。下落幅が大きければ大きいほど、不安な気持ちは大きくなっていきます。
すぐに船から下りようとして、航路を外れて最寄りの港に最短距離で進もうとする行為を「パニック売り」と言います。
はたから見れば危なすぎるわけですが、本人はそれに気づきません。そして船は座礁し、船に積んだ財貨は海の藻屑と消えます。
重要なのは、「航路を守る限り安全なんだ」ということを相場が比較的穏やかなときに繰り返し自分の頭に叩きこむことです。
ここで「航路」とは投資計画のことです。均等額積立投資をすると決めたのであれば、相場があがろうがさがろうが関係なく、常に同じ金額を同じタイミングで投下し続けなければなりません。
相場が比較的穏やかなときに自分で決めた投資計画こそがインデックス投資における航路(コース)です。
暴落時には「ステイザコース、ステイザコース」と念仏のように唱え続けて航路を守り続けなければなりません。
航路(均等額積立投資)を守り続ける限り、我々は安全に目的地(暴落前の史上最高値を更新し続ける未来)に到着することができます。
インデックス投資では、目的地に至る航路が全ての人に公表されています。
我々が決めるのは、その航路を進む船に乗った後は目的地に着くまで決して下りないという点だけです。
このルールを守る限り、私は、インデックス投資ほど安全な投資はないと考えます。
コメント
リスク許容度
リスク許容度について質問です。
例えば30%まで下落に耐えられるという人が、30%超の下落に直面した時は「売る」のが正解でしょうか?
将来の値上がりを確信しているなら、どれだけ下げようとも売らないのがベストですが。
さらに下げて半値近くで売るよりはましということでしょうか?
2020/10/19 06:49 by かつを URL 編集
No title
>例えば30%まで下落に耐えられるという人が、30%超の下落に直面した時は「売る」のが正解でしょうか?
新記事でご回答します。
しばらくお待ちください。
2020/10/19 07:37 by たわら男爵 URL 編集